2011年11月5日土曜日

「愛着」と「関与」の関係

人や組織との関わりの中で繰り広げられる「関与」と「愛着」の関係性を考えてみたい。人や組織と関わる時間やエネルギー、決意などが高まると、相関的にその人や組織への愛着も高まってきて、様々な感情が渦巻く状態になる。その一方で、人や組織と関わる時間やエネルギーが低いと愛着は低くなり、関心も低い状態になる。

特に親子関係などは典型的な例である。関わる時間やエネルギーのかけ方が高まると、愛着や思い入れも高まって、様々な感情も高まり、問題も生じやすく、ストレスにもなりやすい。人間にとって「感情」は、人間形成、人間味を増すためにはとても大切なエネルギー源であり、その感情のエネルギーがなければ、人間は無関心になり、人間味が低下する。

人間関係を良好に保つために、「ある程度の距離感を持ってお付き合いする」、あるいは「6割程度でお付き合いする」というアドバイスがある。この「距離感」と「6割」は何を示しているかと云うと、関与する時間、エネルギー、決意する深さなどのことで、その「関与」が高まると、「愛着」も高まり、様々な感情が渦巻いて、ストレス状態が生じやすくなるということである。

車の運転に例えると、前方の車に近づきすぎて走行すると、常に意識を集中しておかなければならない。もしも、前方の車が急ブレーキを踏んだりすると事故に巻き込まれる恐れもでてくる。しかし、十分な車間距離を保って運転していれば、万が一の急ブレーキや事故にも備えることができる。

ただ、人間関係や組織との関係において、どの程度関われば良いのかと云う、数値的な基準などは分からない。これは、人それぞれの感覚でしかない。愛着度が高まって、ストレスになるのであれば、関わり過ぎるのは止めようということになると、関与の程度が低くなり、効果的な行動につながらずに達成感や満足度も低くなり、人間としての味わいも感じられなくなるかもしれない。

大切なのは、このような「関与」と「愛着」の関係性を知った上で、必要な時には「関与」を高めたり、距離を意識したりすることでその関係性を自分で上手にコントロールするということではないだろうか。

2011年11月3日木曜日

「期待」と「満足」のコントロール

多くの人は、さまざまな事柄に対して期待や希望を抱く。もしも、自分が思い描いている期待通りの情報やモノが手に入らない場合、失望感が生じる。その一方で、大きな期待を抱いて、その通りの情報やモノであれば、あまり喜びが得られないだろう。また、期待以下であれば、満足度は低下するだろう。

期待の持ちようは人それぞれだが、このように情報を提供する場合、期待の持たせ方次第で、実際にその情報やモノを得た時の満足度は大きく変わる。そのような意味で、期待度のコントロールは、満足度の調整に連動する。

私たちは主催しているセミナーの広告として、「今度のセミナーはすごくいいですよ。」と、自分たちが感じたままに正直に伝えているのだが、その伝え方次第で、相手に期待を過剰に抱かせ過ぎると、満足度の低下にもつながりかねない。

人それぞれに脳のフィルターは異なるので、こちら側がすごいと感動したことが、相手が同様に感動するとは限らない。そのような意味も含めて、むしろ期待はほどほどに抱いていただく程度のほうが満足を保つことができるのかもしれない。

前回、PCRTの研究会で持続圧の手法をご紹介する際、今までにないコンセプトと検査法だっただけに、伝える側としては、とてもワクワクした。しかし、実際に伝えてみると、最初はその検査法の価値に気づく受講者は少なかったように感じた。

初めて紹介したということもあって、「情報を伝える側」と「受け取る側」のギャップが見えていなかった問題もあっただろう。伝える側としては、わかりやすいように伝え方を準備したつもりでも、「そうか、ここのポイントをもっとわかりやすく伝える必要があるのか・・・」などと、伝えて初めて分かることも多々あった。

最近、眼球ポジションを使った手法を応用している。これは、めまいの検査法、施術法に類似しており、以前にも研究していた手法ではあるが、ブレインマップのコンセプトと合わせて、よりシンプル化して使いやすいように工夫した。これは、頑固なセルフイメージの施術にも応用できるので、ハード面の施術としては持続圧振動法と同様に効果が高い。

それ故に、今度の研究会でも「すごいですよ」と言いたいところだが、あまり、期待度が高いと、満足度に影響を及ぼすので、「PCRTを継続して受講され、試行錯誤を繰り返している先生にとっては、とても役立つ手法になりますよ」とだけお伝えしたい。

でも、伝える側にとっては、本当は「すごいですよ」と言いたい。すでにこのブログを読んでくれている方にとっては、今回のような期待度のコントロールは意味をなさないかもしれないが、人間の心理というものは、実に奥深くて面白い。