2012年4月12日木曜日

オシュマン博士の講演に参加して

「エネルギー医学のDr.オシュマンが久留米市で講演するそうです」と、出版社の方から驚きの一報をいただいた。「あのオシュマン博士が!? 久留米に…」心がソワソワした。

7年ほど前になるが、エンタプライズ社から翻訳出版された『エネルギー医学の原理』、それに続く『エネルギー療法と潜在能力』という本を読んだ時の感動は今でも覚えている。当時、このような奥深い研究をされているオシュマン博士という人はどのような人物なのだろうかとネットで検索した。何かセミナーを行っているのであれば、海外でも出向いて行こうかと考えたくらいだった。

そのオシュマン博士が、東京ではなく私のオフィスがある福岡市に隣接する久留米市に来られるという。縁のある人が久留米市に在住するとの理由のようだが、私は何かの引き寄せだろうと勝手に思い込む。その日はすでに予定が入っていたが、なんとか調整してオシュマン博士の講演だけを拝聴させていただくことができた。講演の冒頭から、生体エネルギーを体感できるワークから入り、そのワークと講演の内容とが結びつくようにプレゼンテーションが構成されていた。生体エネルギーという目には見えない存在を、できるだけ一般の方々に分かるようにという工夫がなされていた様子が伺えた。

講演内容は、上述の2冊の著書に書かれていることが主な内容で、その内容は私たちが主催している心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)研究会の講義などに引用していたのでよく理解できた。私は開業当初から臨床の現場で施術効果の本質を研究している治療家である。カイロプラクティックや鍼灸、その他各種療法で「なぜ、効果があるのか?」「その背景には何があるのか?」その本質を臨床現場で何度も検証に検証を重ねてきている。そして、様々な施術法の効果の本質を洞察していると『振動』=『エネルギー』というキーワードの共通概念が浮かび上がってきた。我々が引き出す施術効果というものは、『生体エネルギーの変化』によってもたらされているという事実が見えてきた。

以来、セミナーや研究会の講演では、『身体はエネルギー的に見なければならない』と治療家に指導しつづけている。カイロプラクティックのアジャストメント(矯正)で特に誤解されているのが関節の「ズレ」の矯正である。アジャストメントによる「ボキッ」という関節音とともに、あたかも関節の「ズレ」が整復されたかのような錯覚に陥る傾向にある。しかし、カイロプラクティックのアジャストメントは、脱臼の整復とは異なる。「ボキッ」というアジャストメントの後に症状が軽減、あるいは消失した場合、「ズレ」が矯正されたから症状が改善されたのだと思い込んでしまう。

しかし、それは本質的な原因と結果ではない。本質的な効果は、「ズレ」の矯正によるものではなく、振動刺激によってもたらされた生体のエネルギー的変化によるものである。そのことを『どのように科学的に証明されるのですか』と尋ねられると、『臨床的には証明ができるが、科学的なデータはありません……』と答えるしかない。生体エネルギーによる治療効果は、カイロプラクティックに限らず各種療法の施術効果に共通していて、目には見えない生体エネルギーによるため、そのことを科学的に証明できる検査手法やデータによる検証が乏しいのが現状である。しかしオシュマン博士の著書は、幅広い情報で我々の臨床的効果を科学的にバックアップしてくれていると私は思う。

大げさに聞こえるかもしれないが、私はオシュマン博士の本に触れて救われた気がした。なぜならば、オシュマン博士の本が出版される前から治療哲学として機械構造論から有機生命論へのパラダイムシフトの必要性を感じ、どのようにしてその概念を分かりやすく伝えることができるのかと案じていた時だったのである。まさに絶妙なタイミングでオシュマン博士の著書に出会うことができたと感謝している。そして、今回も絶妙なタイミングでオシュマン博士の講演を拝聴することができ、自分が目指す方向性を新たに再確認させていただくことができた。

現代医学の機械構造論に慣れ親しんでいる人々にとっては、この目には見えないエネルギー医学の分野は眉唾もののように受け止められかねない。しかし、オシュマン博士が書かれた著書は、本質的な施術法を追い求めている我々臨床家にとっては心強い情報であり、理論と臨床とが螺旋のごとくかみ合いながら我々の方向性を勇気づけてくれる。自然治癒力を引き出すことを目的に施術を行う治療者にはぜひオシュマン博士の著書を熟読していただき、臨床と理論を矛盾なく結びつけて、多くの患者さんに幅広く貢献していただければと願う。

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