2014年12月9日火曜日

今年最後のAMセミナーを終えて

昨日、東京でアクティベータセミナーが開催され、今年最後のセミナーが終了しました。全国から多くの先生方にお集まりいただきました。今回は、ベーシックとアドバンスのプログラムが同時開催されました。誠実で熱心な先生方にお集まりいただくことができ、私たち指導者スタッフも多くの学びを得ることができました。


毎回、セミナーが終了した後には、あの質問にはこのように説明すればもっと分かりやすかったのではないかといろいろと反省することや学ぶことが多々あります。今回はアドバンスのクラスでの質問のなかで、大切なポイントがいくつかありましたのでシェアしたいと思います。

ポジション1の臨床的意義について、

ポジション1を構造的に診るのと、筋肉のトーンを感じ取る「有機的な読み取り方」をするのとではPD側の判断に大きな違いが出てきます。患者さんの身体的構造やその時々の状態にもよりますが、一見、右短下肢に見えても、その患者さんの立位姿勢を再現するように足関節部の底屈と内反をしっかりと取り除いて、十分な軸圧(頭上圧)を加えることで、最初に見えた右短下肢が、左短下肢へと逆転することがあります。そして、その多くが左PDと一致します。この正確なポジション1が読み取れるかどうかは、臨床的にとても重要なポイントになります。

アクティベータ・メソッドの施術の多くが腹臥位で行われますが、このポジション1による頭上圧(軸圧)は、重力下にある立位姿勢での神経機能学的な状態を一時的に再現させるという意味も含まれます。もしも、私たち人間が無重力状態や寝たきりの状態で生活しているのであればこのポジション1での刺激はあまり意味を成しません。私たちは常に重力に逆らって立ったり座ったりすることで、それぞれの関節に軸圧が加えられ、そして、バランスを保っているということを踏まえることが大切です。

歩けない乳幼児の場合はどうでしょうか?乳幼児は最初、首が座らない状態から、数か月でだんだんと座る状態、すなわち重力に逆らって頭を保持する機能が養われてきます。抱っこされているか、ベビーカー、あるいは寝ている状態ですので、下肢、骨盤への重力に伴う軸圧はかからない状態です。ポジション1を見る際には、頭上圧ではなく、両下肢を軽く牽引して下肢長差を比較します。そして、重力負荷がまだかからない骨盤や腰椎、胸椎などは検査、矯正せずに、頸椎1番、あるいは2番などの上部頸椎を調整します。この部位には反射系の中枢である脳幹部が存在するということと、頭が重力に逆らって座るという構造学的機能が最初に働く部位という意味で重要になります。

中国古典の「呻吟語」の中で、「ただ道を得ることの深き者にして、然る後に能を浅言す。凡そ深言する者は、道を得ることの浅き者なり。」とあります。

つまり、「道を深く体得している人ほど、語ることが単純でわかりやすい。ああだ、こうだと回りくどく、むずかしいことをいう人ほど、道を体得することが浅い。」ということです。

カイロプラクティックや様々な施術法の分野でも、ああだ、こうだと回りくどく難しいことを語る人がいます。聞き慣れない専門用語を使ってあたかもそれくらいは知っていて当然ですよと言わんばかりに学者のように語る。

何か頭のいい人のように錯覚しがちですが、心に入り染み込んでこない。表面的な知識は豊富なようだが何か本質的なことが分かりにくい。結局、語る本人が本質的なことを理解していないので、シンプルな言葉で分かりやすく伝えられないように感じます。

カイロプラクティックでも様々な理論があります。そして、それを説明するための理屈があり、納得しながら学びを深めていくわけですが、Activator Methodsにはカイロプラクティックのエッセンスがたくさん詰まっているように思います。

以前から繰り返し言っていることではありますが、AMにはシンプルの中にも奥深さが隠されています。まだまだ、解っているようで、解っていないことがたくさん隠されているはずですので、「解ったつもり」にならずに、さらなる本質を追及していきたいと思います。

2014年12月1日月曜日

お陰様でファミリーカイロ創業20周年、ありがとうございます。


お陰様でファミリーカイロプラクティックセンターは、今年の12月1日で20周年を迎えることができました。この20年間で多くの素晴らしい人たちとのご縁をいただきました。年を重ねるごとに、信頼して通院していただいている方々によって支えられ、守られている治療院であるということをひしひしと感じている今日この頃です。

この業界に入って30年以上もの歳月が過ぎましたが、治療院の創業だけでなく、開業前にも多くの人に支えていただき、育てていただきました。最初に修行させていただいた牧内整骨院の牧内与吉院長や諸先輩の先生方には臨床家としてのイロハから教えていただきました。留学前や留学期間中にも陰ながらサポートしていただいた脇田重孝DCは、パーマ大学の先輩でもあり目標とする心強い存在でした。

開業後にはカイロプラクティックのパイオニアのひとりである米国のDr. Arlan Fuhrとの出逢いをはじめ、英国のJoseph O'Conner氏との出逢いはかけがえのない出逢いであり、過去から現在に至るまで、様々な人に支えられ、育てていただきましたが、何よりも父母をはじめとする家族の支えは大きく、その支えなくしては今日のファミリーカイロは存在はなかったといっても過言ではありません。


また、ファミリーカイロを創業してから、素晴らしいスタッフに支えていただきました。ファミリーカイロの今日までの繁栄は、ほんとうにスタッフの縁の下の力によってもたらされたのだと思っています。ありがとうございました。

2014年10月16日木曜日

「ストレス」を認知して脳(心)のコップを広げよう!

PCRT(心身条件反射療法)別名:ニューロパターンセラピーは、脳(心)のコップに溜まったストレスの誤作動を解放させて、様々な症状を改善します。さらに、ストレスに対する「認知力」を高めて、ストレスを整理し、脳のコップの枠(容積)を広げます。そうそることでストレスに対する「耐性力」や「適応力」を上げ、「脳の体質改善」へと導くことができます。

痛み、コリ、しびれ、疲れなどの様々な症状は、意識的にも無意識的にも様々なストレスが溜まり、脳(心)のコップの中で、耐性のボーダーラインを超え、緊張が持続し続けることで生じます。一般的にはストレス解消としてストレスの対象から離れて、息抜きに非日常的な行動をしたり、運動したりしてストレス発散に努めます。



そのようなストレス解消法で一時的に改善することもあるかもしれません。しかしながら、表面的には解消された気分になっても、深層的にはその緊張が芯から取れていないことも少なくはないのではないでしょうか?深層的に芯からその緊張を取り除くためには、脳・神経系の誤作動を調整することが必要です。人間の身体をコントロールしている脳・神経系の誤作動が調整されると痛みやコリを引き起こしている原因の緊張は自然に解放されます。

人は生きている以上、様々なストレスと接しながら生活しています。そのストレスは生きていくうえでも大切な「刺激」で、何らかの刺激がなければ生きていくことができません。しかしながら、そのストレスが一時的であれば問題はないのですが、慢性的に長引くようなストレスを抱える場合があります。そのような場合、できるだけそのような慢性的なストレスは元から解放させなくてはなりません。PCRTではその元のストレスを特定してそれに関係する誤作動を調整し、脳(心)のコップにストレスが溜まらないようにサポートすることができます。

さらに、PCRTの施術を継続していると、脳(心)のコップの枠が広がり、様々なストレスが溜まっても、整理されやすくなります。また、脳(心)のコップの容積が広くなっているので、ストレスに対する「耐性力」と「適応力」が身に付き、様々なストレスの影響を受けにくい体質へと改善されていきます。

PCRTでストレスの影響を受けにくい体質改善を目指しましょう!

2014年10月3日金曜日

腓骨神経麻痺の早期回復

【初回所見】

二十歳後半の女性が、腰から足にかけてのコリ感、運動時痛、しびれ感を訴えて来院。腰痛は以前からあったとのことだが、今回は2週間ほど右足指のしびれ感がでてとれないとのこと。前かがみになると腰から臀部にかけて痛みを伴う。接客業なので、お辞儀の際に前かがみになるのがつらいとのこと。痛みの程度はやや軽減してはいるが、足先のしびれ感が取れないとのこと。2週間前に整形外科医院を受診。レントゲン検査を受け、痛み止めと炎症を抑える薬の処方を受ける。

【初回検査所見】

爪先立ちで歩いてもらうと、右側に不安定感あり。踵で歩いてもらうと右の足関節背屈がしにくい状態。足関節背屈運動も左右比較すると30度の誤差があった。右の前脛骨筋に軽度の麻痺がある状態。右側の足背部(第一、第二中足指節関節周辺部)に知覚異常を伴う。右の股関節周辺の筋群に機能異常、右腰方形筋部に機能異常。

AM(アクティベータ・メソッド)では右の下肢、骨盤部、腰部、頸部に神経関節機能障害を認めた。
PCRTの脳神経機能検査では、右側の対光刺激、右側の聴覚刺激、右側の嗅覚刺激、眼球の上方、下方運動にて陽性反応を示した。
PCRTの経絡検査では胃経に陽性反応がみられ、「劣等」の感情が関係していた。
PCRTの感情検査では、その他「恐れ」、「連帯感」の感情、「刺激、変化、挑戦」の価値観に陽性反応を示した。

【初回~5回までの施術】

AMとPCRTにてそれぞれの陽性反応を調整。腰痛、臀部痛は初回の施術でかなり改善。右足先の軽度の麻痺としびれ感は、施術回数を重ねるごとに徐々に改善、5回目の施術後には、踵での歩行がほぼ左右均等になり、足関節背屈も左右同じ角度まで改善した。施術開始から3週間目だった。

【考察】

腓骨神経麻痺にも様々な原因、ならびに程度がある。大きく分類すると「構造学的な直接的な圧迫」による麻痺なのか、「神経生理学的な間接的な圧迫」、すなわち筋肉、筋膜などの軟部組織による間接的な緊張によるものに分類することができる。すでに整形外科院で構造学的な検査を受けていることから、構造学的な原因は除外できると判断した。また、初回のAMとPCRTの施術直後に麻痺症状の改善がみられたことからも神経生理学的な原因が関係していることが明らかだった。西洋医学的には総腓骨神経絞扼性神経障害による腓骨神経麻痺ということだが、AMとPCRTを併用して神経生理学的な誤作動を起こしている原因を消去することで症状が明らかに改善していった症例だった。神経を直接圧迫したなどの肉体的な原因ではなく、心と身体のつながりの誤作動が関係していたので、その「誤作動」が溜まらない様な体質改善を目指すためにも定期的な施術が理想だろう。


2014年10月1日水曜日

「身体のバランス」と「心のバランス」

「身体のバランス」は正常に保てているでしょうか?

現代は、山あり谷ありの複雑な自然な環境とは異なり、ほとんどの道は舗装され、バリアフリーで、障害物が少ない安全な環境で毎日の生活を送っています。そのため知らず知らずのうちにバランス感覚は退化して、その機能が低下している可能性があります。

身体のバランス感覚をテストする簡単な方法があります。まずは、両足でまっすぐに立ちます。次に片方の太ももが床と平行になるぐらいに挙げて、片足立ちをします。30秒ぐらい保持します。(転倒しそうになったらすぐに足を床に着けましょう!)あまりふらつきがなければ、少し休んで、今度は目を閉じて、片足立ちを30秒ぐらい保持します。ふらつきがなければ、身体のバランス感覚は正常です。

もしも、大きくふらついたり、挙げた足が床に数回着くようでしたら平衡感覚の調整機能に異常が生じている可能性があります。平衡感覚には耳の奥の三半規管や小脳の機能が関わっていますので、そのような異常がある場合には、専門医での診察や当院での治療をお勧めします。

さて、「心のバランス」ですが、正常であるかどうかの判断はとても複雑です。一つの判断基準として、「感情」があります。「感情」には「外に現れる感情」と「内で処理される感情」があります。また、自分で自覚しやすい「顕在的感情」と、自覚しにくい「潜在的感情」があります。感情の性質から分類すると「意欲」や「義務」などの意志的感情、「喜び」や「連帯感」などの肯定的感情、「恐怖」や「逃避」などの否定的感情があります。

一般的には否定的な感情は無くして、肯定的な感情を持つようにしましょうという教えがありますが、それは、心のバランスから考えるとそれは不自然かもしれません。喜怒哀楽の感情は外に現れるか否かにかかわらず、生きた人間としてその感情が日常の生活の中で現れないということは心のバランスが保てていない可能性があります。

また、「怒り」の感情は良くないといわれています。その感情が一時的ではなく長引くような感情になると、人間関係だけでなく身体にも影響を及ぼします。しかし、子供をしつけるときには時には激怒して大切なことを気づかせて、次の日には、ケロッとして、喜んで笑顔で接するということもあるでしょう。そのような強弱のある感情やバリエーション豊富な感情の中で豊かな心が育まれるのかもしれません。

ドラマや落語でも面白い内容には、笑わせたり、驚かせたり、泣かせたりして、喜怒哀楽の感情を巧みに表現して、人間味を感じさせてくれます。論語の中で「中庸」という言葉があるように、過大、あるいは過少にならずに何事もほどほどにバランスを保つことが大切だと説かれています。身体も心の感情も偏らずに幅広く動かすことが身も心も豊かになる秘訣になるようです。

2014年9月26日金曜日

腰痛、股関節痛、膝関節痛の背後にある小脳機能障害

【初回検査所見】

10年以上前に通院されていた患者さんが、腰痛、頸肩部痛、膝関節痛を訴えて来院。問診によると1年以上前から体調不良を感じていたとのこと。関節の可動域の検査に伴って腰部、膝関節部、股関節部、頸肩部に運動時痛が生じる。検査をしながら話を聞いてみると、主訴である関節痛以外にここ数か月間の生活の中でバランスの悪さを感じているとのこと。

関節の機能検査以外に小脳の検査をしてみると、小脳の機能異常が関係していた。片足立ちの検査では特に右片足では動揺が観察された。小脳の機能障害の検査の一つでもある前腕の回内回外検査では右側が左に比べて回旋しにくい様子。脳神経系機能検査では、右側の視覚刺激、聴覚刺激、嗅覚刺激、眼球運動刺激で陽性反応が観察された。

【施術】

AM(アクティベータ・メソッド)とPCRTを併用。右膝関節、骨盤、右股関節、腰椎、胸椎、頸椎部をAMにて調整。PCRTでは「刺激、変化、挑戦」関係する価値観、「恐れ」の感情に関係した誤作動を調整。

【2回目、3回目の施術】

2回目、3回目と施術を行うごとに片足立ちと前腕の回内回外検査ではかなり改善が見られた。その改善に伴って、腰痛や頸部痛、膝関節痛の症状も改善されていった。

【4回目、5回目の施術】

全体的なバランスがかなり改善されたが、左股関節部の違和感があるとのことで、その部位もAMとPCRTにて調整を行い、施術直後にすぐに改善された。

【考察】

腰痛や関節痛を抱えている患者さんの中で、小脳の機能低下が関係しているケースも少なくはない。小脳の機能低下が生じると関節部のバランス低下が生じ、その結果、関節痛などの症状が伴う事例がある。本症例は小脳の機能検査を的確に行い、脊椎関節の調整とともに小脳の機能調整も同時に施術したことが早期の回復につながったと考えられる。

もしも、この小脳機能異常を見逃していれば、関節の機能障害もすぐにぶり返して、症状の改善度も低かったかもしれない。顕著な機能障害ではないにしても、このような総合的なバランス調整をすることは早期回復にはとても重要なポイントになるだろう。







2014年8月29日金曜日

病理的所見のない小脳性運動失調の前腕回内回外反復運動試験陽性反応の改善

【初回所見】
73歳女性が数か月前位より、歩行時に左側によろめくとのことで来院。病院では小脳性運動失調症との診断を受け、病理的には異常がないとのこと。その他、全体のバランスも悪いとのことでそれらの調整も望まれていた。

【初回検査施術】
最初に片足立ちをしてもらうと、左右共にふらつきがあり、体幹が揺れるようなふらつきを示した。特に左の片足立ちで大きな体幹の揺れを示した。小脳性運動失調症の検査一つである前腕回内回外反復運動試験では左の前腕に陽性反応が示された。その他、指鼻試験、踵膝試験なども行ったが特に顕著な反応は示されなかった。
脳神経刺激による神経反射機能検査では、左嗅覚刺激、左対光反射、左聴覚刺激、左表情筋刺激、左舌筋刺激、左僧帽筋刺激で陽性反応が示された。
施術はAM(アクティベータメソッド)で主に右側の脊柱部の調整を行い、PCRTにて嗅覚刺激による脳神経のバランス調整、並びに「恐れ」、「逃避」、「劣等」、「連帯」、「優越」に関係する誤作動を調節した。

【考察】
一回目の施術では、前腕回内回外反復運動試験が、施術前と施術後では顕著な変化が見られた。しかしながら、片足立ちの検査ではあまり変化は見られなかった。20日後、2回目の来院時には、よろめきがかなり改善されたとの報告をいただき、前腕回内回外反復運動試験もほぼ左右差がなく安定していた。片足立ちは、まだふらつきがみられるが、リハビリ運動と施術を継続すればだんだんと改善されるだろう。久ぶりに来院された患者さんでもあり、最初から信頼関係が維持されたうえでの施術であった。家の事情で頻繁には通院できないとのことだが、できる限り早期に回復できるように努めたい。


2014年8月18日月曜日

複雑系思考、システム思考によるPCRTのアプローチ

人間を深く追求すればするほど、「実に複雑な関係性の中で生かされているのだな~」と感じます。当たり前のことではありますが、機械仕掛けのロボットのように1+2+3+4=10というような単純計算では答えがでません。人間の複雑な知能を研究した人工ロボットの開発も進んでいますが、複雑な心を持った実際の人間の複雑性にはまだまだ程遠いようです。

「複雑系」の学問では様々な分野で研究が進められています。学際的には、複雑系に特化した研究分野として、システム論、複雑性理論、システム生態学、サイバネティックスなどがあります。その他、複雑系を理解するうえで語られる閉鎖系と開放系の概念があり、「生命」は開放系の世界であり、複雑に自然と調和しながら生かされています。特に人間の生命体は複雑系の世界であり、人間をコントロールしている脳・神経系は複雑系そのものです。複雑系の中でも「複雑適応系」と「非線形力学系」という考え方は、本質的な「健康」を維持していくうえで関係が深いと私は感じています。


「健康」の分野も大局的に分類すると、機械構造論的健康と有機生命論的健康に分類され、機械構造論的健康はニュートン的パラダイム、有機生命論的健康はアインシュタイン的パラダイムの影響を受けていると考えられます。機械構造論的健康、あるいは通常医療の世界で特徴的なのが、「要素還元論」の考え方で、階層構造的に上位から下位へと分類し、因果関係論的に健康問題や病気を考える傾向があります。これは、線形思考ともいわれ、あらかじめ決められた答えを導き出す手法がとられます。

ニュートン力学や線形思考では、原因が同じなら結果も同じことになりますが、複雑系の世界ではそうはいきません。線形思考とは、方程式に当てはめれば必ず正解が得られるという直線的な方法です。一方、非線形または複雑系の世界では、初期条件がほんのちょっとでも違えば結果は予測不可能になります。

例えば、「7+○=10」という計算式があり、あらかじめ決められた答えを導き出す際、○は3というように一つの正解が決められています。もしも、「○+○+○+○=10という計算式がある場合、1+2+3+4=10、あるいは2+3+1+4=10、あるいは0+4+6+0=10のように複数の正解があります。前者はあらかじめ決められた答えを導き出す「線形思考」で「要素還元論」ではこの思考法が必要になります。後者は何通りもある答えの関係性を導き出す「非線形思考」で「システム思考論」ではこの思考法が必要になります。

PCRTの施術のアプローチは、症状改善というゴール(答え)のために、非線形的に何通りものアプローチの仕方があります。そのアプローチの仕方は複数に複合しています。一つの症状を改善させるために複数のEB(エネルギーブロック)を一つ一つ開放していく場合もあれば、関係し合う一つのEBを解放させることで、他のEBが解放されることもあります。

それはあたかも積木崩しのように、症状の背後にある「感情」や「信念」、「価値観」に関係する複雑な「心の構造」を明確にすることで、長年、慢性的に苦しんでいた症状から解放されることもあります。これは、要素還元論的な単一な要因ではなく、様々なシステムや感情、思考パターンなどが複合的に関係し、要因も様々に関係し合った結果であります。

PCRT中級2では、「非線形思考」、「システム思考論」に基づく概念を基本として、そのアプローチの仕方をできるだけわかりやすくご説明していく予定です。今回の研究会では、「脳神経系刺激調整法」、「PCRTソフト面調整法の全体像」、「ハード面からソフト面への施術以降の仕方」、「選択優先チャートの使い方」、「ベイシック感情チャートの使い方」、「五感パターンチャートの使い方」、「信念、思い込み、意味づけ〔意味記憶〕に対するアプローチの仕方」、「セルフイメージ〔映像記憶〕に対するアプローチの仕方」などをご紹介する予定です。
それでは先生方と学びを深め、さらに進化し、成長できることを楽しみにしております。

2014年8月16日土曜日

膝関節痛の背後にある脳機能のバランス異常!

膝関節痛の背後にある脳機能のバランス異常!

【初回所見】
62歳女性が膝関節痛の症状を訴えて来院。約1か月半まえから発症。走ることや階段を降りる際に不自由を感じるとのこと。バトミントンは以前から時々行い、最近ソフトバレーを始めて、その練習ができない状態。3週間ほど前に整形外科を受診して、右膝に水が溜まっていたので抜いてもらったとのこと。電気治療と飲み薬を服用したが変化がなく、知人のご紹介で来院。

【初回検査施術】
最初に片足立ちをしてもらうと、特に右足立ちでは、膝に震えが生じバランスが不安定な状態。眼球運動、対光反射、舌の動き、嗅覚刺激による機能検査で、主に左側からの脳神経系への刺激で陽性反応が示された。AM(アクティベータメソッド)で主に右側の足関節部、膝、股関節部、骨盤、脊柱部の調整を行い、PCRTにて嗅覚刺激による脳神経のバランス調整、並びに「喜び」に関係する誤作動を調節した。

【考察】
まだ、一回目の施術ではあるが、施術前と施術後では、特に右足立ちの検査では顕著な変化が見られた。本症例は、膝関節周辺の機能異常反応も示されてはいるが、特に三半規管や脳機能のバランス異常が顕著で、次回の施術から特に脳バランスの機能異常を目安に施術を進めなくてはならない症例であると感じた。一回の施術で完治したわけではないので、しばらく通院していただき、早期回復に努めたい。


2014年8月8日金曜日

隠れた『ホルモンバランス』の異常

隠れた・・・???

「なぜ、『隠れた』というのかな?」と思われるかもしれません。

施術前に改善されたい症状をお聞きした後、どの領域の『働き』の異常に関係しているのかを検査をします。するとホルモン系の臓器反応点で陽性反応を示される患者さんがいます。そのような患者さんは、よくお聞きするとある特定の症状というよりも複合した症状でつらい思いをされているようです。

そして、そのような患者さんたちを継続治療させていただき経過観察してみると、ホルモン系に関連する陽性反応が消失するにつれて、それらの症状も改善される方が多く見受けられます。

そのような患者さんは病院でも病気の診断を受けられたという方もいますが、病院の検査では異常が見つからず、当院での神経反射検査では陽性反応が示されるという患者さんも少なくありません。いずれにしろ、当院で示される陽性反応がだんだんと消えていくにともなって自覚症状も改善される方が多いようです。

ホルモン系の症状といえば、女性に多い「更年期障害」として知られています。しかしながら、いまでは女性だけに限らず「男性更年期障害」も広く知られてきております。また、40歳以降の更年期障害以外にも20代、30代の若い方にもホルモン系の機能異常に関連した症状が見受けられます。

このように病院の検査では診断がつかないけれども、ホルモン系の『働き』に異常がある状態、すなわち「未病」の段階で早期に改善されることが望まれます。

『内分泌系は身体の状態を一定に保つ(恒常性維持)のために神経系や免疫系と密接に関係しあっています。内分泌系の情報伝達物質(メッセンジャー)がホルモンです。ホルモンは全身のいたるところでつくられ、身体の健康維持のために様々な『働き』の調整をしています。特に生命の活動維持と成長や成熟および生殖機能を担います。』

我慢できないほどではないけれども

疲れやすくなった、身体がだるい、重い、朝起きるのがきつい、眠気がする、手足がむくむ、汗をかきやすい、動悸がする、吹き出物がでる、腰痛、肩こり、頭痛、ゆううつになる、イライラする、睡眠障害、生理不順、性機能障害、不妊、残尿感、頻尿など。

上記のような症状がありましたらお気軽にご相談ください。



2014年7月25日金曜日

強い腰痛、膝痛からの改善!

【初回所見】
56歳女性が腰痛と膝関節痛を訴えて来院。腰痛は30年位前から発症。現在では日常的に腰痛があり、毎日コルセットを使用しており、重いものが持てない状態。膝関節痛は、右膝が15年位前から、左膝は1年前から発症。現在では階段を昇る、正座をすることに支障があるとのこと。現在、整形外科医院にも通院しておりリハビリ中だが特に変化がみられないとのこと。病院では湿布、リハビリでは温熱、電気療法、運動療法の指導を受けている。病院では脊柱管狭窄症の診断を受けている。

【初回施術】
初回の筋抵抗検査では主に左股関節部と腰部の筋抵抗弱化が診られた。膝の屈伸や腰部回旋などの運動時疼痛が示された。AM(アクティベータ・メソッド)では骨盤部、脊柱部、左股関節部、両膝関節部に神経関節機能障害の陽性反応が示され、それぞれ調整を行った。最初は椅子から立ち上がるのもつらい状態だったが、施術後には全体的な動きも改善された。初回はAM(アクティベータ・メソッド)のみの施術を行った。

【2回~3回目の施術】
経過は良好にてAM施術の継続ならびにPCRT(心身条件反射療法)での姿勢パターン調整や経絡調整法などを補助的に併用する。

【4回目の施術】
AM施術を継続し、補助的にPCRTでは歩く動作イメージ、経絡調整法などを施す。さらに体軸バランスを強化する目的で、片足立ちによるリハビリ運動を指導する。

【5回目の施術】
初回の施術から調子は良かったが、長時間同じ姿勢を続けた後に立ち上がる際に腰が伸ばせずに痛みがあったとのこと。AMの施術後にPCRTにて原因パターンを調べてみると、座って一生懸命作業しているときの「喜び」や「連帯感」の感情が誤作動に関係していた。お聞きしてみると過去の写真を整理していて、思い出や家族とのつながりを感じたらしい。

【6回目の施術】
腰痛や膝関節痛はほとんど感じなくなり経過は良好とのこと。メンテナンス的に全体を検査していると頸肩部に緊張反応が示されていた。AMで施術を終えた後にPCRTで検査をしてみると寝ている姿勢で緊張反応を示す。枕をいろいろ変えてみても合わないらしい。通常、寝ている状態ではリラックス状態にあるはずだが、脳の誤作動によって緊張状態に学習記憶されていた。問診しながらPCRTで検査を進めていると、「いつも寝ていてこのまま目が覚めない状態になるのではないか・・・」という不安にかられているという。よくお聞きしてみると、最初に訴えていた腰痛や膝関節痛以外にもぜんそくや尿管結石の既往歴があり、自分の身体(健康)に自信が持てない状態とのことだった。その学習記憶による誤作動もPCRTにて調整を行った。

【7回目の施術】
経過は良好にてAMとPCRTの併用にてメンテナンス的に施術を終え、ご自身でリハビリ運動を継続しながら、様子を見ていただくことにした。

【考察】
当院を信頼して下さっている患者さんからのご紹介で、最初は半信半疑だったようだ。初診時はとてもつらそうな表情だったのが、だんだんと症状が改善されるにつれて本来の笑顔も取り戻された様子。不安だった自分の身体に自信が持てただろう。今回の症例は主にAMで施術を行い、補助的にPCRTを併用した症例だった。特に最初のAMの施術による即効的な効果が信頼のきっかけになったと思う。


2014年7月24日木曜日

掌蹠膿疱症の改善!

ご家族でファミリーカイロを利用していただいている小学6年生になる女の子がお母さまに連れられて来院。今回は数か月前から手の皮がむけてガサガサしている掌蹠膿疱症の症状。病院でも治療を受けているけれども治りが悪いとのこと。掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は、手掌・足底に無菌性の膿疱が反復して出現する皮膚病。基本的に慢性難治性の疾患とされている。

【初回の施術】
PCRTで関連領域を検査すると、アレルギー領域が示される。検査をしてみると『湿度』、『お風呂で使う石鹸』、そして、何か触れるものという反応が示されるが何か分からない。お母さまにお聞きすると、クラシックバレエの稽古でいつも触るバーではないかという指摘してくれた。検査をしてみると、アレルギー反応が示される。さらに複合してその時にかいている汗も反応が示された。そして最後に学校で使う手さげカバンもアレルギー反応が示された。

【2回目の施術】
症状は初回の症状を10としたら7割程度に改善。前回の検査で陽性反応が示された『湿度』、『お風呂で使う石鹸』は陰性反応。バレエの稽古の際のバーは再度反応を示すので、次にバーに関係する関連感情を検査して診ると『意欲』で陽性反応。手さげカバンも再診で陽性反応が示され、次に手さげカバンに関係する関連感情を検査して診ると『喜び』で陽性反応。それぞれ呼吸振動法で調整。お母さまの提案で車のシートも影響しているのではということで検査して診ると陽性反応を示す。そして、最後に自分の手と手を合わせて検査をしてみると陽性反応が示されたので同様に施術を行った。これは、自分の皮膚と皮膚とがアレルギー反応を示していると考えられ、それを適合させた。

【3日目の施術】
症状は初回の程度を10として3程度に改善。順調に改善している様子で、前回示されたバレエのバー、手さげカバン、車のシートも陰性反応が占めされた。しかしながら、自分の手と手を合わせる検査では陽性反応が示されたので、さらに関連感情を検査して診ると、『喜び』の感情が示され、合わせて施術を行った。

次の施術の予約を入れていたが、ご都合がつかなくなったとのことでキャンセルされた。その後の経過はお聞きしていないが恐らく良い方向へと向かっているだろう。まだ隠れた要因が存在していて、ぶり返してしまうこともあるかもしれないが、治療の効果としては明らかに表れていた。本症例は基本的にAMで脊柱を調整後、PCRTで「五感」と「感情」のEB(エネルギーブロック)を消去して改善した症例だった。

2014年7月21日月曜日

疲労骨折からの改善!

【来院時の現症】

14歳女の子、中距離の陸上選手。2か月ほど前より右の踵が痛くなり、来院された時には部活の練習ができない状態で、痛みは毎日感じているとのこと。ファミリーカイロを来院する6日前に整形外科医院を受診。レントゲン検査で踵骨の疲労骨折の診断。投薬、貼り薬、電気低周波治療を受け、3回ほど通院されたとのこと。足のアーチを支える足底板装具も装着されていた。普通に足を着いても痛みがある状態だったで、最初から爪先立ちなどの負荷を掛ける検査は行わなかった。

【初診時施術】

最初の筋抵抗検査では、特に足のアーチを構成する筋肉、右下肢全体の筋群の弱化反応が診られた。アクティベータ・メソッド(AM)で検査を進めていくと、特に足関節周辺部、ならびに腓骨周辺の神経関節機能障害の反応が示された。PCRT(心身条件反射療法)の施術では走る際のイメージや爪先立ちのイメージ、陸上関係の心配事などの誤作動反応が示されたので、合わせて施術を行った。

施術後は両足である程度爪先立ちができるまで改善。付き添って施術を見ていただいたお母さまにも、ある程度の信頼を得られたようで、当院での継続治療を希望された。「継続通院されるのであれば、今日からでも足底板は付けないほうが治りが早いので、足底板は外されたほうがいいですよ」とご指導させていただいた。

【2回目の施術】

片足立ちで軽く屈伸運動をしてもらうと、左右ともにふら付いて不安定な状態。平衡感覚の異常を疑い、三半規管の検査をしてみると複数の眼球方向で反応を示す。幼いころから乗り物には酔いやすいとのこと。三半規管のバランス調整も行い、三半規管に関連する神経学的機能の向上を目的にリハビリ運動の指導を行う。

【3回~6回目の施術】

だんだんと症状が軽減していき、通常の日常生活では痛みをあまり感じなくなってきた。五日目の施術後に試しにジョギングをしてみると5分後ぐらいで痛みが生じたので中断したとのこと。

【7回目~13回目の施術】

陸上の練習も自分のペースで少しづつ始めながら、13回目の来院日には、ジョギングをこない、全力の7割程度で走ってみたけれども痛みがでなかったとのこと、検査でも骨盤と脊椎以外、患部の足の反応は示されなかった。当院で施術を初めて40日後、12日後には中体連が控えていた。

【14回目の来院】

通常の練習を行っても痛みを生じなかったとのこと。片足立ちでジャンプを繰り返してもらうと、痛みはないが、何かスムーズさに欠ける。尋ねてみると、「右足は、何かジャンプの仕方が分からない感じ・・・」という。「ジャンプの際はどこに意識を向けていますか?」と尋ねてみると、足に向けているという。そのパターンを検査してみると、緊張パターンの反応を示した。

そこで、足ではなく身体が宙に浮いている感じを意識してジャンプしてみてはどうですか」とアドバイスし、その感覚で検査をしてみると、緊張パターンが示されない。緊張パターンも施術で切り替えて、実際にジャンプをしてもらうと、今度は、左右同じようにジャンプができるようになった。

今度は、実際のレースの際の意識はどこに向けているかを尋ねてみると、足の運び方など、足に意識を向けているとのことで、その意識での走りも「緊張パターン」を示していた。そこで、「何かに引っ張られたり、何かに押されたりして身体が浮いているような感覚で先を意識して走ったりするイメージに変えてみてはどうですか」と、意識を体の部分に向けるのではなくその先にあるものに向けるようにしてはどうですかと提案し、自分なりの感覚でイメージをしてもらった。

すると、先ほどの「緊張パターン」は示されなかったので、そのイメージで走る練習を実際にしてはどうですかとアドバイスさせていただいた。

【15回目の施術】

部活でのジョギングには支障がなかったが、足底部に少し違和感があったとのこと。検査をしてみると、右足の縦のアーチを創る関節部と足底筋の機能異常が診られた。アクティベータ器にて調整後、肉体外のエネルギーブロック(PCRT検査による)が診られたので感情面による誤作動を調整した。週末には中体連が控えており、部活が終わる「喜び」と部活が終わった後に勉強を頑張る「期待」という前向きな感情が絡んでいた。大会を前にして、順位やタイムのことも大事なのかもしれないが、それよりも中体連最後の大会を前にして、何か将来に向けたすがすがしさを感じさせてくれた。

【考察】
一般医療では、疲労骨折の治療となると、少なくとも2か月から4か月は安静が必要とされる。恐らく当院で施術を行わなければ、足底板でしばらく固定して、数か月間安静を保っていただろう。長期的にはそれでも治るのかもしれないが、希望されていた最後の中体連には参加できないのは明らかだった。今年の中体連が娘にとって最後になるので、悔いのないように参加させてあげたい!」という親御さんからの勧めで当院へ来院していただいた。施術する側としては、調整すれば早期に回復させることができるという自信はあるものの、ほんとうに大会までに間に合わせることができるのかとプレッシャーがなかったわけではない。
詳しい施術内容までは述べていないが、ここまで順調に改善した背景にはいろいろな壁がいくつかあった。大きな壁の一つとして、「疲労骨折がそんなに早く治るのか」という一般常識の壁だった。病院でレントゲン診断を受け、足底板で固定してもらい、長期の安静を指示されたわけなので、骨折しているのに固定もせず、できるだけ早期に動かすように指示されるということは「常識破り」になる。その一般医療による常識として植えつけられた思考パターンからコーチング的に探索して、新しい自分の治癒力を信じられる信念体系へと変化させる必要があった。そのようないくつかの一般医療常識に絡んだ信念体系の壁を乗り越えることによって、本来持ち備えている患者自身の治癒力が最大限に発揮できた成果だと思う。
AM、PCRT、コーチングというようにそれぞれの良さを患者さんのニーズに応じて併用した症例であった。

2014年7月18日金曜日

「信頼」から生まれる自然治癒力

身体の健康を管理するために、身体の「構造」が正常であるかを知ることも大切ですが、慢性症状の多くは、身体の「働き」が正常であるかを知ることがとても重要です。

急性疾患の多くは、身体に生じる「構造」の変化です。事故や怪我などで骨折や捻挫をした場合、壊れた身体部位の構造修復が必要です。また、事故や怪我がなくても突然に頭や心臓の血管が破裂する、詰まるなどの構造異常も早急に構造修復が行わなければなりません。そのような急性疾患に対する「構造異常」の修復は現代医学が得意とする分野です。

その一方で「慢性疾患」に対する医療はどうでしょうか?平均寿命は延びても「慢性疾患」の数は増える傾向にあるようです。診断技術の進歩によって病気の診断をしやすくなったということもあるでしょうが、現代医学には身体の構造には異常がみられない慢性疾患に対しては、急性疾患を修復するほどの成果はあまりないようです。

それはなぜでしょうか?慢性疾患の多くは、「構造異常」の問題ではなく、「機能異常」の問題だからです。「機能異常」というのは身体の「働き」の問題で、その「働き」の異常は、画像診断では異常が分からない目には見えない問題です。また、その「働き」とは単に電気系統のような確実性があるエネルギーシステムの問題ではなく、「心と身体の関係性」に関与する複雑で、不確実性の高い生体エネルギーシステムの問題です。

当院やライフコンパスアカデミーではこの目には見えない生体エネルギーシステムのバランス調整に挑戦し続けています。目には見えないバランスですので身体を検査器具として使います。ポーズを取る、生体エネルギーに関係する異常部位を触る、あるいはイメージするなどで身体に「刺激」を加えて、その「刺激」による身体の微細な反応を読み取ります。もしも、からだの「働き」に誤作動があれば陽性反応として示されます。

この検査法は目では確認できないために、身体の反応に委ねられます。また、この身体を使った検査法は患者さんと施術者との「信頼関係」があって初めて成り立つ検査法ですので、信頼関係の程度によって検査結果の精度に影響を与え、それに伴って治療効果にも影響を及ぼすことになります。

自然治癒力を引き出す施術法はこの「信頼関係」があってなせる業です。目に見えない治癒力や生体エネルギーを対象とする医療には特にこの信頼関係がとても重要になります。さらに、患者さんと施術者との信頼関係以上に大切なのは、患者さん自身が「自分の自然治癒力を信頼」しているかどうかです。私たち施術者は患者さんが本来持っている自然治癒力を引き出すことが最大の目的ですが、信じてもいないことを無理に信じさせることは困難です。

自然治癒力は健康のための最大の力であり、ほとんどの人に平等に与えられています。私たちは様々な関係因子を整理して、治癒力を最大限に引き出すお手伝いをしています。もしも、検査法や施術法に何か理解できないことなどがありましたらお気軽にお尋ねください。皆様のお役に立てるように努力し続けてまいります。

2014年7月11日金曜日

顎関節症の改善!

高校2年生(16歳)女性、3年程前より顎の調子が悪く、ひどくなったのは半年ぐらい前で、口が開けにくくなり、お母さんに検索してもらった別のカイロプラクティック治療院で施術を受ける。7回ほど通院して口を開けることができるようになったが、食事をするときやあくびをする時に、左顎関節部に痛みを伴うとこのこと。その症状には変化がなく、家が近いこともあって当院を受診。

【初回施術】

アクティベータメソッドにより、骨盤、背骨の神経関節機能障害を調整、さらに顎関節の検査を行うと、「噛み合わせる。」「下顎を左にずらす。」「顎をひっこめる。」という動作で陽性反応が示された。さらにPCRTの検査をしてみると、特定のお友達とおしゃべりをする際にも陽性反応が示された。

施術が終わり、「前の治療とは違っていたかもしれませんが、どうでしたか?」と質問すると。

「感動しました!」

という答えが返ってきた。

既にカイロプラクティックの施術を受けているので、期待に沿っているだろうかと質問させていただいたが、治療を受けていただくことで信頼が得られた様子。また、最初にご紹介していただいたお母さまからも、「同じカイロプラクティックでも違いがあるのか」というご相談をいただき、「カイロプラクティックには様々な施術法がありますので、一度施術を受けていただいて継続されるかどうかを判断されてはどうですか」とお答えさせていただいたので、その点では期待に沿っていた様子で安心した。

【2回目~5回目の施術】

2回目~5回目の施術では、施術後はしばらくいい状態が続くが、食べていると症状がだんだんと戻ってくるとのこと。アクティベータ療法による神経関節機能障害の施術に加えて、PCRTの施術を併用した。PCRTでは顎関節のバランスを悪くさせる緊張のパターンが徐々に開放された。4回目の施術では、ダイエットのことを気にされているというパターンが浮き彫りにされ、そのことは症状が出始めた経緯とも一致していた様子だった。

【6回目の施術】

「今度は食事しても痛くなかったです!!」

6回目の施術では、食事をしても痛みがなかったとのことで喜ばれていた。他の感情も複雑に絡んでいた様子ではあるが、やはり、ダイエットに絡んだ感情が大元になったのでないかと感じる。脳では、「食べたいけど、食べたら太る・・・」などの矛盾した感情が絡んで誤作動を生じさせていたのだろう。つまり、心因的な要因が絡んで顎関節を構成する筋肉のバランスが乱れていたのだろう。

【考察】
一時的な顎関節症は、神経、筋骨格系だけのアプローチで改善されることが多いが、一か月以上が経過した慢性的な症状に関しては、メンタル面と絡めて本質的な治療を行わなければ改善されないことが多い。心と身体は関係しあっているということは当たり前のことではあるが、その関係性を診ることがまだまだ現代医学では当たり前のことになってはいないかもしれない。今後もさらに心と身体の関係性を診ていく研究が求められるだろう。
顎関節症は筋バランス、神経バランスを整えるActivator MethodsとPCRTとの併用がとても効果的である。

2014年6月7日土曜日

緊張の「糸」を切り離そう!

腰痛や肩こり、関節痛など体の不調は、何らかの「緊張」から生じることが多いようです。

『緊張』???

「緊張はしている感じはないけど・・・」
「あまり、人前で緊張することもないし、不安もないけど・・・」

『緊張』が一つの原因のプロセスになっているといわれると、上記のように考える人も少なくはないかもしれませんね。

ここで言っている『緊張』とは、意識して分かるレベルの緊張のことではありません。
それは、無意識に、あるいは自動的に体に生じている微細なレベルの「緊張」のことを述べています。

力を抜いているかのように見えても、実はとても微細なレベルで筋肉が自動的に緊張したままになっているのです。

そして、

その緊張はあたかも「糸」で引っ張られているかのように身体の柔軟性を制限しているのです。つまり、身体は目で見てもわからないレベルで制限され、自由に、スムーズに、しなやかに動かせていない状態になっているのです。

その自由な動きを制限する「糸」の多くが「感情」と関連しています。

「え、感情???」

身体の緊張が「感情」とどのように関係するのか不思議に思われる方も少なくはないかもしれません。しかし、「感情」すなわち「心の動き」と「身体の動き」は密接に関係しあっているのです。

だからこそ、身体を「感情」と関連付けて治療を施すことで、その「糸」が切り離されて、本来の自由な身体の動きを取り戻すことができます。

「コリ感」や「関節痛」、あるいは「疲れ感」を感じたら、何らかの「糸」によって制限されているかもしれません。その「糸」に関連する感情は、「仕事関係」や「家族関係」、あるいは「飲食関係」や「未来関係」につながったりしているのです。

心身条件反射療法ではそのような関係性をひも解いて、症状の改善に努めています。

2014年6月6日金曜日

心の「クセ」を知ることの効用!

自分で気が付いているか否かは別にして、他人から見て分かる人の「クセ」があります。「クセ」とは一般的にいうと、無意識のうちに行う習慣的行動のことを示し、体の動かし方、話し方など、自動的に繰り返される傾向を表しています。

これらの身体的なクセは、普段意識していないので心とは切り離されているかのように思われますが、実は心理面と密接に関係しあっており、無意識の心によってコントロールされているのです。広い意味では「習慣化」=「クセ」として理解することもできるでしょう。

人の「クセ」に関する研究は、20世紀初頭から始まり「行動主義心理学」や「認知行動療法」などに体系化され、今日においても世界的に幅広く研究が行われています。「クセ」は、「身体的なクセ」と「心理的なクセ」に大きく分けることもできます。

特に「心理的なクセ」は、「身体的なクセ」につながっていることが多く、その思考パターンを知ることで多くの気づきを得ることができます。無意識的な自分の「クセ」を知ることでどんな効用があるのでしょうか?ファミリーカイロで行われている心身条件反射療法(PCRT)やコーチングにおいても、奥に隠れたパターンを探索して、そのパターンを明確に認識することで、健康面やメンタル面などの改善につなげています。

「クセ」には変えたほうがいいクセと、変えないほうがいいクセがあります。変えないほうがいいクセとは、適度に運動するクセ、健康にいいものを適度に食べるクセ、いつも笑顔で挨拶するクセなどがあるかもしれません。変えたほうがいいクセとは、毎晩深酒をする、あるいはいつも人の批判ばかりするクセなどがあるでしょう。

このように目に見える習慣化されたクセは、本当に変えたいという本人の強い決意があれば、ある程度コントロールができるかもしれません。しかしながら、目には見えない心理的に習慣化されたクセは、自分で認識できないことが多く、それらは一般的に「思考グセ」、あるいは「思いグセ」として表現され、変えがたいものです。

このような心の「クセ」は複雑でつかみどころのないという特徴がありますが、「内向きの思考グセ」か、「外向きの思考グセ」かに大きく分けることができます。「内向きの思考グセ」は比較的には「安心」と「安定」などを求める傾向があります。「外向きの思考グセ」は、「挑戦」や「成長」を求める傾向があります。

現代のような平和な時代には「安心」や「安定」よりも、外向きに「挑戦」や「成長」を求めたほうが健全になれるでしょう。より良い変化がもたらされるのは、多くの場合自分の隠れた心のクセの全体像を認識し、新たな選択肢が増えた時です。あなたの心のクセは今どちらの方向に向いているでしょうか?

2014年4月19日土曜日

膝関節痛の改善!

一か月半前より左膝関節内側部に痛みを生じ、7年間続けていたウオーキングができなくなり、歩くのが常に不自由に感じるとのことで来院。痛みの始まりは、久しぶりに登山にいき、下山する際に膝に痛みを感じ、それ以来症状を抱えているとのこと。

整形外科を受診し、レントゲン検査を受ける。タナ障害ではないかと診断され2回ほど通院。その後整骨院に10回ほど通院されたとのこと。リハビリ、マッサージ、低周波などの施術を受けた。

初期の痛みからすると60%ぐらいは改善されたようだが、そこからが改善されないらしい。初回の検査では、右大脳、左小脳の機能異常が認められる。片足立ちで屈伸運度を軽くしてもらうと、右脚では膝に症状もなくバランスが取れた動きをするが、左脚では右膝に痛みがあり、大きくふらついた。

最初は、アクティベータ・メソッドで神経関節機能の調整を行い、PCRTで神経系に誤作動を示している感情面の治療も行った。施術後の片足立ちの検査では、明らかに屈伸運動のバランスが改善され、症状も改善された。

その後、屈伸運動のリハビリも安定し、階段や後ろ歩きなど付加でも症状が無くなり、5回の施術で治療を終えた。様々な感情が絡んではいたが、最も影響を及ぼしていると感じたのは未来の退職後の不安だった様子。とても前向きな方ではあるが、未来にチャレンジすることが大きければ大きいほどその不安も潜在的に影響していたことが伺えた。

会社勤めの人にとっては、退職という人生においては大きな節目がある。その節目を境に様々な病気を抱える人も少なくはないだろう。未来のことは誰も予測できないが、明るい未来を想像するか、不安な未来を想像するかの「想像の選択肢」は皆平等に与えられている。

と、理屈では簡単にいうことはできるが、人間の脳、心はそれほど単純ではない。だからPCRTのような施術が必要になる。

2014年4月16日水曜日

石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)の改善!

30代後半の女性、会社員が右肩の痛みで来院。症状はファミリーカイロに来院される3日前の夜から始まったとのこと。疼痛発症の翌日に病院を受診して、レントゲン検査により、石灰沈着性腱板炎と診断される。その二日後に当院を受診。来院時の所見では右肩はほとんど動かせない状態で、パソコンも打てず、服も着れない、髪も結えない状態。肩関節の石灰化は5年ほど前にもレントゲン検査で診断されていたとのこと。

そのように以前から肩関節周辺は悪い状態で、今回の激痛を機に本質的に改善したい様子。ファミリーカイロでの初診時には肩関節を動かすことも、うつ伏せに寝ることもまともにできなかった。石灰化がある部位を軽く触診しただけで激痛が走るので、その部位を触らないように用心しながらアクティベータメソッドで脊柱のバランスを整え、PCRTで生体エネルギーバランスを整えた。

最初は感情面が複雑に絡んでおり、感情面のパターンが少なくなるにつれて症状も徐々に改善され、6回目の施術時にはほぼ日常生活では肩関節の痛みの症状は感じなくなっているとのことだった。現在ではメンテナンス的に自分では気づかない脊柱や関節部のバランス異常部位を整えている。

石灰化の原因として、様々な説があると思われる。自然療法を研究している治療家として、石灰化が生じるプロセスとしては、基本的に3つの段階があると考えている。

1. 肉体的、心理的ストレス
2. 神経系の誤作動
3. 筋肉系の機能障害

それぞれの段階は複雑であり、個々の患者さんによって様々な因果関係が絡んでくるだろう。上記の3つのプロセスを経て、関節の動きがアンバランスとなり、そのアンバランスを補う形で生体内では自然発生的に石灰化が生じると考えらえる。

この石灰沈着性腱板炎に限らず、肩関節周囲炎などの肩の痛みの原因は、この基本プロセスから生じるとことがほとんどである。このような肩関節の機能障害による施術を行う際、まずは、症状のある肩関節を構成するどの筋肉の働きに異常があるかどうかの筋抵抗検査法を用いる。

痛みなどを抱えた肩関節機能障害のある患者さんの多くは、筋抵抗検査法によって数か所陽性反応が示される。そして、施術によって陽性反応が解消されるに伴って症状も改善されるというケースがほとんどである。このように多くの臨床例から分かることは、上記の3つのプロセスが関係しており、早期に本質的に治すためには肉体面(ハード面)の調整と共に心理面(ソフト面)の調整も不可欠であろう。

現代医学の情報だけを信じている多くの人は、関節の痛みなどがあると、まずは構造的な異常を主な原因と考える傾向にあるが、事故などの外傷が原因でない限り、自然発生的に生じた機能障害は、筋肉系のバランス異常であり、それは神経系のバランス異常から生じ、さらにそれはメンタル面や様々な関係性によって生じている。

このような本質的なプロセスは、単に肩関節だけでなく腰や膝など様々な関節にも関係している。この本質的なプロセスをもっと多くの人に知っていただくことができればと願っている。


2014年4月14日月曜日

野球選手のイップス(送球恐怖症)の改善!


ある専門職仲間で構成される野球部の選手(ピッチャー)が、肩の症状とイップス(送球恐怖症)で来院。約1年前からその症状を抱えており、週末一回のペースで行われている練習のたびにつらい思いをされているとのこと。

基本的な施術法はアクティベータ・メソッドと心身条件反射療法(ニューロ・パターン・セラピー)【PCRT】との組み合わせで行った。改善のポイントは心身相関的に影響を及ぼしている神経的な誤作動である。それは潜在的な感情と神経系との関係性で学習記憶されている誤作動であり、その誤作動の学習記憶を再プログラム化していく。

特に無意識的にアンバランスのスイッチを入れる「潜在的な感情」の検査が重要で、その検査がスムーズにいけば、後は消去法のように潜在的感情とリンクした誤作動パターンを消去していく。その誤作動のパターンが取れればとれるほど、イップスの症状は改善していく。

初回の検査では、「連帯感」→キャプテンとしてのチームワーク、責任。「恐れ」→周囲からの評価や批判。「意欲」、避けたい。「義務」→経験者としてできねばならない。「恐れ」→交代(過去の経験)。2回目の検査では、「劣等感」→過去の自分との比較。イップス以外の肩の痛みの症状も、「義務感」、「恐れ」、「責任」、「劣等感」の感情が絡んでいた。

3回目に来院されたときには、イップスの症状があまり出なかったとのご報告をいただいたが、今までになかった左腕の違和感を生じたとのこと。検査をしてみると、筋肉系のバランス異常の反応が示されたので筋肉系の調整を行った。イップスは様々な場面で学習記憶されている場合が多いので、試合の場面を様々な角度から想定してイップスの検査をしてみた。

ある程度、基本的なイップスの誤作動パターンは消去されたが、さらにもっとも緊張するような試合での場面(満塁で勝敗を左右)を想定してもらい検査をしてみると、陽性反応が示されたのでその感情も調整した。4回目の検査では、筋肉系のバランス異常反応と試合の勝敗を左右する満塁の場面でイップスの反応が示された。同じパターンがぶり返していたのでさらに深いレベルとパターンを検査して施術を行った。

イップス(送球恐怖症)の治療経過は良好で、イップス症状の誤作動パターンが消去されるに伴って、症状が改善される。もしかすると、今後の練習や本番の試合で、隠れている誤作動パターンが示されるかもしれないが、学習記憶された誤作動の陽性反応を消去していけば症状がさらに改善されるだろう。

特に、イップスのように明らかに心と身体の関係性による誤作動の症状は、肉体面だけ、あるいはメンタル面だけと分けて治療するのではなく、心身相関的な関係性を検査して施術を行わなければ本質的な治療にはつながらないだろう。実際に臨床現場では、イップスといわなくて、心と身体の関係性による誤作動による様々な体調不良はとても多いように感じる。

追記:イップスの改善報告!
先日、卓球のイップスの症状で通院されていた患者さんが、全九州卓球選手権のダブルスの部門で準優勝されたたとのご報告をしてくださいました。ご報告ありがとうございます!!この患者さんも脳に学習記憶された誤作動パターンを消去しながら治療を行った結果改善されました。

2014年4月2日水曜日

体に合わせる「アレルギー治療」

先日、「アレルゲン免疫療法」という特にスギ花粉症に対する治療法がテレビでも紹介されていました。アレルゲン免疫療法は、減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。以前は、皮下注射による減感作療法が行われていましたが、注射による痛みや長期間に渡る定期的な通院などの面で患者の負担が大きく、重篤な副作用が問題となっていました。そこで最近ではスギ花粉舌下液を舌下に投与する方法が開発され、自宅での服用も可能であるということです。治療は長期間(3~5年)かかるとされ、すべての患者さんに効果が期待できるわけではないということです。

このアレルゲン免疫療法の「体をアレルゲンに慣らしていく」という治療目的は、ファミリーカイロで行われているPCRT(心身条件反射療法)のアレルギー治療と類似していますが、治療法やアレルゲンに対する考え方は異なります。PCRTではアレルゲンを量子力学的に「物質=エネルギー=情報」という概念でとらえています。アレルゲンがもっているエネルギー的波動情報を、アレルギー症状をもつ患者さんの生体エネルギーに合わせる目的で治療を行います。アレルゲン免疫療法のように実際のアレルゲンエキスを人体に使ったりはしません。

PCRTのアレルギー治療は、恐らく病院で行われているアレルゲン免疫療法よりも早期に改善され、副作用などはありません。「体をアレルゲンに慣らしていく」という治療目的は同じなのですが、人体を検査器具として使うため検査も簡便です。また、臨床経験から、関係するアレルゲンだけで合わせる治療をするよりも、アレルゲンに関連した「感情」を組み合わせて治療を施すことで、早く治療効果が引き出せることが分かっています。

目鼻、呼吸器、皮膚などのアレルギーで悩まされている方は増えてきているようですが、根本的に治すためには、対症療法ではなく、「体をアレルゲンに慣らしていく」ということが基本になります。本来人間の体は、様々な環境や物質、微細なアレルゲンに「慣れる力」、すなわち「適応力」を持ち備えています。逆にいうと、アレルゲンを避けようとすればするほど、「過敏度」は高まり「慣れる力」は低下するということになります。

ファミリーカイロでは、その「慣れる力」を最大限に引き出す臨床研究を長年継続しております。アレルギー症状の程度や期間によって、症状が改善するまでの期間は様々ですが、反応を示す原因パターンを消去することで段階的に改善していきます。アレルギー症状でお困りの方はお気軽にご相談下さい。

先日、拙著「体の不調は脳がつくり、脳が治す」が出版されました。PCRTのアレルギー治療に関する内容にも触れています。ご興味がありましたら書店、インターネットでお買い求めいただければ幸いです。ファミリーカイロでも販売しております。

2014年3月12日水曜日

原因不明の胸部痛、PCRTでは内分泌系の機能障害が絡んでいた

4日ほど前から思い当たる原因がなく胸部痛が強くなり、いくつかの病院を回り、最終的に大学病院でCTの検査をしたけれども異常が見つからなかったらしい。とりあえず症状がある部位にステロイド注射を二日間打ってもらったが症状は改善されずに来院。


大学病院の先生によると、尿酸値が高いので、痛風のような痛みが胸部にきたのではないか?でもその様な症例は見たことがないといわれたらしい。胸部痛以外にも、20日ほど前から左膝関節と左肩関節の痛みがあったという。

来院時には呼吸も荒く、胸部痛のために寝返りにも時間がかかり、胸部を軽く押さえただけで、痛みが増強する。特に左肩関節を上に挙げるのが困難で、左側の頸部痛が伴う状態。かなり痛みが強い状態なので、胸椎付近の触診もあまりできない。

アクティベータ・メソッドの施術を最初に行い、次にPCRTにてエネルギーブロック(EB)の検査を行う。主に胸腺と甲状腺の内分泌系のEBが示された。EBの原因に関係する感情を調べてみると、意欲、連帯感、義務感、劣等感の感情が絡んでいた。

施術後呼吸も正常に戻り、寝返りも楽にできるようになった。肩関節や頸部の運動時痛も消失して、とてもつらそうな顔から安心感が現れた。治療前に比べるとかなり症状が改善されたが、時間の経過に伴ってぶり返すこともあるので、継続治療が必要だろう。

内分泌系の機能障害による痛みのメカニズムは定かではないが、内分泌系のEBの陽性反応が消失することで痛みが改善される患者さんも少なくない。他には、甲状腺に絡んだ代謝障害や疲れ感、婦人科系の内分泌障害、副腎皮質などのEBを解消させることで多くの症状が改善される。

2014年3月6日木曜日

2014年度PCRT基礎1のご案内

2014年度PCRT基礎1のご案内

いよいよ3月16日、17日にPCRTの基礎1が始まります。今年から来年に渡って、基礎1、基礎2、中級1、中級2、上級1、上級2が予定されています。PCRTの施術領域は筋骨格系、アレルギー系、メンタル系、臓器系、内分泌系など多岐にわたる症状に適応できます。関節系、筋肉系、さらには経絡・チャクラなどの生体エネルギー系の誤作動の調整のみならず、心身相関による誤作動の調整も行う本質的な施術法です。PCRTの学びを深めることで、症状が改善する人がいる一方で、なぜ症状が改善されない人がいるのかということの本質が『脳と身体の学習記憶』にあるということも見えてきます。

PCRTの本質とその技術を着実にマスターしていく学びの道筋として、ステップ1では主に肉体ハード面の反射系領域の検査法と施術法を学びます。ステップ2では主にソフト面の心身相関領域の施術法を学びます。そして、ステップ3として『信念や思い込みに関係する検査法と施術法』を学びます。解剖学的にはステップ1では主に『脊髄、脳幹領域(第一層)』、ステップ2では『大脳辺縁系(第二層)』そして、ステップ3では大脳新皮質領域へのアプローチを行います。

誤作動を検査するターゲットとしては、ステップ1では主に反射系を利用して関節系や筋肉、筋膜系への受容器への誤作動を診ます。ステップ2では主に感情に関係する心身相関領域の検査、施術を行います。そして、ステップ3ではコーチング技法を応用しながら心身相関的に誤作動を生じさせている思い込みや信念に対するアプローチを行います。よって、これらの技法と統合すると、本質的な意味で心身を有機的な生命体としてとらえる『心身相関統合療法』になります。

PCRTに参加されている多くの先生方は臨床でアクティベータメソッドを活用されています。それ以外にも様々な施術法を臨床現場で活用されていることでしょう。本研究会を継続的に参加されることで、様々な手法によってなぜ効果があるのかという本質が見えてくるでしょう。『○○の療法だから効果がある』という認識から『○○の療法の○○の刺激による○○の作用によって効果がある』という本質が見えてくるでしょう。

始めて参加される先生方にとっては今まで語られなかった「症状の原因」を学ぶことができるかもしれません。そして、継続して参加して下さっている先生方にとっては、より幅広く深みのなる本質的な概念や手法が明確になり、治療家としての自信をさらに深めることができるでしょう。


『継続は力なり』です。

2014年2月13日木曜日

「刺激」→「処理」→「反応」がもたらす作用

先日、新万能細胞といわれるSTAP細胞発見のニュースがあった。この革命的なニュースで特に興味深かったのは、研究過程での偶然の発見であるということである。研究者の小保方さんは、「細胞に強いストレスがかかると、どうにか生き延びようという仕組みが働くのではないか」と考え、思いつくストレスをどんどん細胞に試したという。STAP細胞が打ち破った常識は「動物細胞でも外的刺激で初期化した」「あまりに簡単すぎる技術で実現」など数多い。

これほど常識破りだったため、昨年春、世界的に権威ある英科学誌ネイチャーに投稿した際は、過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄していると酷評され、掲載を却下されたらしい。だが、「STAP細胞は必ず人の役に立つ技術だ」との信念を貫いて膨大なデータを集め、今回は掲載にこぎつけた。「何度もやめようと思ったけれど、あと1日だけ頑張ろうと続けてきて、いつの間にか今日に至った」と話されたという。

近代科学の常識にとらわれない発想が今回の発見につながったのだろう。この素晴らしい研究成果とPCRT療法の臨床現場での成果を重ねあわせるのはいささかおこがましいが、現代科学の常識にとらわれない発想と、様々なストレス刺激を試して治療法を生み出してきたというところはとても興味深い。PCRT療法では、「ストレス=刺激=振動=情報=エネルギー」という捉え方をするという意味においては、身体への刺激、脳への刺激、五感を通じた様々な組合せ刺激によって、神経細胞ネットワークへの変化を促し治療効果が引き出されているという点においては共通点があるように感じた。

このPCRT療法も「刺激」と「反応」という生体反応の無条件反射と条件反射作用の様々な組み合わせを試すことで治療体系が確立されてきた。「治る人と治らない人の違いは何か?」それは、様々な「刺激」に対する脳の「処理」がどのようになされるかで、病気や症状につながる「反応」がでるかでないかが決定される。「刺激」→「処理」→「反応」がもたらす作用の過程の脳の処理をPCRTでは脳の『学習記憶』といい、別の言葉でいえば、それは「適応力」になるだろう。

私たちは様々な環境の変化に適応して生き延びていく「適応力」と「自然治癒力」とが密接に関係しあいながら、私たちの健康は保たれている。基本的に私たちは様々な刺激情報の中で生活を営んでおり、その刺激に対してどのように身体が反応を示すかで、同じような環境の中で生活していても、不調になる人とならない人がいるのである。言い換えると人間がどれだけ環境からの刺激に対して幅広く適応できるかで健康にも不健康にもるといえるだろう。

普段、私たちは変化に適応するということは、ほとんど意識していないが、流れゆく時間の経過とともに周りの環境は常に変化し、様々な情報刺激にさらされ、脳や身体が自動的に反応を示している。この「刺激」に対して、どのように「反応」を示すか。それはどのように脳で「処理」されるか、どのように脳でプログラム化されるかということでもある。そして、そのプログラムはいつでも再学習することが可能である。そのサポートをするのが心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)【PCRT療法】になる。

画像はhttp://www.tera-house.ac.jp/tec/blog/index.php?blogid=11より引用させていただきました。


2014年2月6日木曜日

「挑戦」と「安定」とのバランス

年の初めには「今年も頑張ろう!」と意気込みを感じる人と、その一方で、「今年は無理をせずのんびりしよう!」と、年の節目に、気持ちを新たにする方も少なくはありません。それは、大きく分けると「挑戦」と、「安定」というテーマで考えることができます。この「挑戦」と「安定」は、「健康」や「人生」にとても深く関係していると私は思います。

「日常生活の心理学に関して、今世紀最高の研究者」とも言われているアメリカの心理学者のミハエル・チクセントミハイは、有名な「フロー理論」を提唱しました。フローとは「全人的に行為に没入している時に人が感じる包括的感覚」、「集中力が抜群で、活動に完璧に没頭している最高の状態」と表現をされています。

人は「フロー体験」をすることで、人間の無限の可能性を引き出し、素晴らしい成果を引き出すといわれています。その「フロー体験」が実践されていた職場として、創業者の井深大さんが健在だった当時のソニーが紹介されています。戦後に混乱期に掲げられた「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」・・・というソニー設立趣意書の創業理念に基づいて突き進んでいた頭脳集団が、「フロー体験」によって、当時としては革命的な製品を世に出してきたといわれています。

人は何もしないと「無気力」になります。社会問題にもなっている認知症にはこの「無気力感」が関係しているといえるでしょう。何らかのスキル(能力)を身に着けると満足を感じますが、だんだんとそれに慣れると「退屈感」を感じます。少しチャレンジして高いスキルを身に着けると自信がついて、「満足感」や「安心感」を感じ、さらには「幸福感」も感じるかもしれません。その一方でチャレンジの度合いが高くなると、「心配感」を感じます。さらにチャレンジの度合いが高くなると「不安」になりストレスを強く感じるようになります。

人は本能的に「安定感」や「安心感」を求める傾向がありますが、そこには「退屈感」が伴うことが少なくはありません。だからと言って「挑戦」ばかりが継続するとストレス度が高まり、心身共に疲弊しがちになます。人は「退屈」と「挑戦」の狭間にある自分に合った「フロー体験」をすることで、心身のバランスが保たれ、素晴らしい体験がそこから生まれます。

また、「最良の健康」を維持するためにも、この「フロー体験」を保ち続けることが大切です。何歳になっても、「適度な挑戦」は持ちつづける工夫こそが、この「フロー体験」を伴う「最良の健康」を維持する秘訣です。安定の継続=不健康といってもいいくらい、「安心」、「安定」、「満足」には危険が隠されているということも心に留めておきましょう。「挑戦」と「安定」とのバランスを保ちながら最良の健康と成長を維持していきましょう。

2014年2月1日土曜日

急性捻挫にはアクティベータ・メソッドがとても効果的!

64歳、女性の患者さんが、足を引きずって来院。その日の朝9:30頃に、室内を歩行中に段差で足を踏み外し負傷したとこのこと。足根中足指節関節(リスフラン関節)に向けて中足骨に軸圧を加えると、その関節部に痛みが生じる。中足指節関節部を触診すると強い圧痛を伴う。負傷後、5時間程度経過しており、多少の腫脹は認められるが、骨折の際の腫れではないことが予測できた。

足関節や足指関節の自動運動は運動時痛のためにかなり制限がある。負傷を受けた周辺の関節への他動運動も慎重に行いながら検査を行った。治療では最初にアクティベータ・メソッドのプロトコルに基づいて、下肢、骨盤、脊柱の調整を行い、足関節周辺の調整をアクティベータⅤで行った。特に圧痛が強いリスフラン関節周辺には指を添えてアクティベータⅤによる振動刺激を加えた。治療中、検査の際には関節を動かす程度によっては痛みが伴っていたが、アクティベータⅤによる調整刺激ではほとんど患者さんには痛みがなかった様子。

患者さんに負傷した瞬間をイメージしてもらうと、陽性反応が示されたので、トラウマによる緊張の治療も心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)で施した。治療直後には痛みが完全にとれないし、歩行も引きずる感じではあったが、明らかに改善が見られた。6日後には海外旅行に出かける予定があるとのことで、それまでに治したいとの意向。それまでに毎日でも集中して治療されることをお勧めした。

翌日、普通に歩行できるようになって来院された。リスフラン関節周辺にやや腫脹があったが自動運動もかなり改善されていた。初回と同様にアクティベータⅤで調整した。関節の可動範囲もかなり改善された。このような急性の捻挫の患者さんには、アクティベータ・メソッドは即効的な治療効果を示してくれる。特にこのアクティベータⅤは、圧痛の強い捻挫を生じさせた関節にも振動刺激をスムーズに加えて適切な調整ができる。今回の患者さんは、捻挫してその日に来院していただいたので、その分、治りも早いだろう。

Metatarsophalangeal joint sprain with ActivatorⅤadjustment.
64 years old female had a metatarsophalangeal joint sprain.  She came in to our clinic with pulling her leg with strong pain. After one t
reatment with Activator V, she was able to walk normally in next day.  She got quick a result with Activator V adjustment.  Activator V is very effective with smooth adjustment in acute joint sprain!

2014年1月6日月曜日

2014年度PCRT研究会のご案内

お蔭様でPCRT研究会は今年で9年目になります。本研究会では、様々な「症状」が引き起こされる本質的な原因を追究していきます。単に身体機能的なメカニズム(ハード面)のみならず、「心と身体の関係性」や「内界と外界との関係性」(ソフト面)をシステム的にアプローチする手法を研究対象にしております。本研研究会に継続参加されることで、治る人と治らない人の違いは、「脳(潜在意識)と身体機能の学習記憶」にあるという症状の因果関係が明らかになってきます。

PCRT研究会は、2013年度から基礎1、基礎2、中級1、中級2、上級1、上級2に分けられ、プログラムの内容がさらに充実してきました。患者様へのアプローチの仕方も数年前よりも格段に進化し、患者様にも心地よく治療を受けていただけるようになってきました。身体に及ぼす心理的影響は一般のメディア情報においても取り上げられる機会が増えてきており、本質的な原因を追究する治療者として患者様との信頼関係も一層深まってきています。

ここ数年間のPCRT研究会における大きな成果は、身体に及ぼす心理的影響が、単に「恐れ」などの「否定的な感情」のみならず、「喜び」などの「肯定的な感情」や「意欲的な感情」も身体機能の『誤作動』に関係しているということが明らかになったことです。心理的影響というと=「否定的感情」と捉えられがちですが、それだけではないという発見は、本研究会継続による大きな成果だと思います。

さらに、PCRTの施術領域が脳の三層構造に照らし合わせて分類することができました。代替医療の多くは脊髄、脳幹部の反射系の作用を利用したハード面の機能的施術になりますが、PCRTでは感情面(大脳辺縁系)と反射系関係する信号の誤作動調整、さらには信念や思い込み(大脳新皮質)と反射系が及ぼす信号の誤作動調整を行うことが可能です。そして、これらの「誤作動はすべて、脳・神経系の学習記憶による」という捉え方はPCRT研究会の特徴でもあります。

将来的に臨床的成果のみならず、科学的証明につながる研究活動も科学者と共にできればと願っております。心身相関療法の研究はまだまだ発展途上の段階ですが、この分野には本質的な「健康」のカギが隠されおり、現代医学では解決できない様々な領域の症状改善が期待できます。私達研究会はさらにこの分野を開拓し、現代医学の隙間を埋める治療者団体であり続けていきたいと希望しています。

本年度も本質的な治療法を求める先生方と共に、地域社会から必要とされる治療者団体になれるように、一歩ずつ前進して参ります。

2014年度、年頭のごあいさつ

お蔭様で今年ファミリーカイロは20周年を迎えます。患者様をはじめ、スタッフに支えられてここまで成長させていただくことができました。皆様には心より感謝申し上げます。

昨年末に、長きに渡ってファミリーカイロ、ならびに(有)ライフ・コンパスを支えてくれた森山が退職することになりました。約10年間にわたる勤務の間、経理関係、セミナー関係、施術関係など幅広く貢献していただきました。本来持ち備えている几帳面さと美的なセンスを幅広く仕事に活かし、(有)ライフ・コンパスの社員として、その能力に磨きをかけて貢献しながら成長していただいたと思います。ファミリーカイロでの施術者としての技術技能も持ち備えていますので、今後も多くの人に役立っていただければと心から願っております。

ファミリーカイロも新たなチーム体制に変化していきますが、来院して下さる一人一人の患者様の中に喜びが創り出せるように、できる限りの支援をさせていただければと願っています。今年は「徳力」「知力」「体力」をテーマに、多くの人のお役にたつことができるように一歩一歩前進してまいります。今年もセミナー、研究会活動が毎月予定されています。基本的には治療院あってのセミナー活動ですので、治療院活動とアカデミー活動をバランスよく保ちながら、毎日の仕事と実生活の中から「喜び」と「学び」を創り出していきたいと思います。

今年もファミリーカイロ、ならびにライフコンパスアカデミーをよろしくお願いいたします。