2017年5月31日水曜日

寝ている時に両足がジンジンして歩く時に両足が重たい

寝ている時に両足がジンジンして歩く時に両足が重たい

85歳、女性、両膝や足の裏、両手の痛み、右肩関節の痛みを訴えて来院。ふらつき感や足のむくみの症状もある。血管迷走神経失神で何度か意識がなくなり病院に搬送されたとのこと。整形外科や内科の病院には通院されている。

【経過と調整】
最初は歩行もままならなくて、付き添いの方と来院されていたが、通院回数を重ねるごとに徐々に回復された。当初は関節の痛みに加えて、メニエール氏病や頻尿、喘息、アレルギー、便秘など様々な症状を抱えていた。症状があまりにも複合しているので、最初は何が改善され何が改善されていないのかが分かりにくかった。

通院回数を重ねるごとに、今まで長く患っていた両膝の痛みや肩関節、手の痛みも改善された。施術後に症状が一時改善され、ぶり返すことも多かったが、そのぶり返しもだんだんと少なくなり、ご本人も治るということに自信を持たれていた様子だった。数週間は足の痛みを訴えることがなかったが、先日、寝ている時に両足がジンジンして、歩く時に両足が重たいという。症状の程度を数値化すると10段階で「10レベル」。

アクティベータ・メソッドによる調整後、症状が「6レベル」まで下がる。その後、PCRTのハード面調整法にて中枢神経系刺激と筋膜調整を行い「3レベル」まで下がる。3日後に来院され、ジンジンしていた症状がだいぶん改善されているが、特に右足に症状を感じるとのこと。症状のレベルを尋ねると「3レベル」。引き続き、アクティベータとPCRTの筋膜を調整後レベルを尋ねると「1レベル」まで改善。帰りには「だいぶん楽になった!」と喜んで帰られた。

【考察】

年齢のせいという訳ではないが、年を重ねるごとに病院で様々な治療を経験されている様子だった。最初の通院では様々な症状を抱えていたので、症状を数値化するという段階ではなかったが、症状が限定化されるにつれて、数値化することができ、さらに症状の改善度を客観的に確認することができた。治療法はもちろん、自分自身の治る力に対する信頼がかなり高くなった様子。今後、症状がぶり返すこともあるかもしれないが、「治らない経験」よりも、「治る経験」の方が上回ったのではなかろうか。今後もご自身の身体に自信が持てるようにサポートさせていただく。

2017年5月29日月曜日

送球イップス 「挑戦者」から「理想のゴール」へ

送球イップス 「挑戦者」から「理想のゴール」へ

情報:
中学2年生男子、野球部、ピッチャー、野手兼任。小学生の頃から野球を始める。
1年ほど前(昨年の5月)より軽度のイップスの症状を感じ、秋頃には回復したが、最近(今年の4月後半)より不安定になってきたとのこと。通常のキャッチボールでは問題ないが、ピッチャーやファーストへの送球でうまく投げられないとのこと。

【1回目】

目安検査:
*右上肢挙上、右肩甲帯後方で陽性反応
*ピッチングのストレートで陽性反応、変化球(カーブ)は陰性反応
*ショートからファーストへの送球で陽性反応

《ハード面調整》
アクティベータ・メソッドにて関節筋肉系の調整を行う。胸椎中部と右上肢の陽性反応を調整
《ソフト面調整》
問診にてどのような時に不安定になるのか尋ねたところ、投手で登板した際、試合の立ち上がりでは問題ないが、プレッシャーを感じてくると不安定になってくるとのこと。さらにどんな時にプレッシャーを感じるかを尋ねたところ、昨年、自分の責任で点が入ったことを経験しているのでそれが関係しているかもしれないとのこと。その時を思い出してイメージしてもらうと陽性反応を示すので、そこから、チャートを使って誤作動記憶に関係するキーワードの検査をして調整。さらにエピソード記憶として、不安定な自己イメージを調整。

【2回目】

《目安検査》
ハード面の目安検査は陰性反応
*ソフト面の目安検査は前回のショートからファーストへの送球、並びに練習でのピッチングでのイメージも陰性反応
*そこで、実際の試合のピッチングのイメージをしてもらうと陽性反応
*不安感を10段階で表してもらうと7のレベル。そこから調整を行う。

昨日の練習ではショートを守り、普通の送球はできたとのことだった。
ハード面調整はほとんど陽性反応が示されず、主にソフト面調整を行う。

《ソフト面調整法》
大脳辺縁系に関係するいくつかのキーワードが示されたが、特に印象的だったのは、小学生の頃から野球を始めて、周りからも期待されていたため、自分はできて当たり前だという自負があった様子。そのプライドを守ろうとしている心の背景が見えてきた。このようなパターンは比較的上手で周りから期待されている選手に生じやすいプレッシャーである。このような場合、多くは失敗しないようにと「守り」のプレーになる傾向がでて自分の実力が発揮できなくなる。そこで、「挑戦者」であることの大切さを提案させてもらい、様々な事例をお伝えした。

【3回目】

《経過》
問診で、昨日の練習試合で登板したが、3回が終わって、自信がなくなったので監督さんに伝え、交代してもらったとのこと。もっとも自信がない度合いを10とすると10レベルとのこと。
自信がない10レベルを目安として、そこからソフト面調整を行う。
前回に引きつづいて失敗しないように「守る」というマイナスのパターンやチームへの責任感を感じる反応も示されていた。
それに加えて、「意味記憶」や「エピソード記憶」の反応も示され調整を行う。調整後、自信のないレベルが10から1まで改善される。

【4回目】

《経過と考察》
問診では、外野で練習や試合を行うようになり、外野で野球を楽しめているとのこと。しかしながら、今後、ピッチャーやショートでも問題のないようになりたいとのことで、未来を先取りした検査で陽性反応を引き出し調整を行う。
検査では、「意味記憶」や「恐れ」のキーワードで陽性反応が示され調整を行う。
理想のピッチングや送球のイメージができている理想の自分になっているゴールのイメージはできますか?と尋ねると、ちょっと首を傾げながら難しい表情を表す。これはよくあるイップスを引きずってしまうパターンだが、イップスの症状が治ったら、〇〇の練習をする、あるいは〇〇のゴールを決めるというような、イップスが治らないと理想のゴールのイメージができないというパターンが示されていた。このようなパターンに入ると、無意識的にできない理由、あるいは失敗の理由をイップスのせいにしてしまう癖がついてしまい改善が遅くなる。もちろん、イップスが治れば、送球ができるようなるという理屈をもっともな理由になるのだが、人間の脳は、「原因と結果」を混同して、負のサイクルにゴール設定して、そのから抜け出せなくなる。イップスという症状は結果であり原因ではない。つまり、イップスは目的(ゴール)があるから生じてしまう症状で、ゴールがなければイップスは生じないので、イップスの症状を治すのをゴールにしてしまうと、何のためにイップスを治しているのか脳が混乱して負のサイクルに陥るということである。そのゴール設定は、間接的にも直接的にもイップスを改善するためにはとても大切である。このような負のサイクルに入っている場合はコーチング的に質問させてもらう。「何のために送球するのか?」、「何のために練習をしているのか?」「何のために野球をしているのか?」「何歳まで野球をするのか?」など、ゴールに関係する隠れた価値観について質問させてもらうことが多い。すると、多くの方は、自分自身の盲点に気づき、自分を俯瞰的に捉えることができ、心にゆとりができて新たな神経回路のパターンが生まれて改善への一助になる。

【5日目】

《経過》 
昨日、監督さんから急にピッチャーで起用され登板したところ、7イニングを問題なく完投できたとのこと。イップスの症状に関してはだいぶん自信がもてた様子だった。今日は、肩の違和感がでたので、主にそこを診てほしとのこと。

《目安検査》
肩関節伸展、外転、肩甲帯後方、頚椎伸展、屈曲に陽性反応

《ハード面調整法》
*アクティベータ・メソッドにて胸椎、右肩関節、肩甲帯を調整
《ソフト面調整法》
*「競争心」や「自省心」で陽性反応。それぞれ調整を行う。

《考察》
イップスに関してはかなり改善している様子で前向きな印象が持てた。本症例は、「守り」から「挑戦者」へ、そして、「イップス治しの負のサイクル」から「理想のゴール」へと「不健全のパターン」から「健全なパターンへ」と抜け出すことに成功した事例である。イップスにはそれぞれにパターンがあり、それぞれに治るプロセスがある。施術者は一人一人の患者さんに寄り添って、そのドラマをしっかりと汲み取っていく力が必要だと改めて思う。


2017年5月23日火曜日

気分障害(イライラ感)の遠隔治療

気分障害(イライラ感)の遠隔治療

70代女性、大学教授。6年ほど前から当院を利用していただいており、数年前より電話による遠隔治療を好んで利用していただいている。約5ヶ月ぶりの遠隔治療の依頼。数週間前より自律神経失調症のような症状が現れ、気分のイライラ感も強く、すぐにカッとなったり、突然、たわいのないことで悲しくなったりするとのこと。最高のイライラ感を10レベルとすると8(フィンガーテスト《生体反応検査法》)レベル。

術者:「おそらく、イライラ感が治まったら、他の自律神経系に関係した症状も治まってくると思いますが、どうですか?」
患者:「そうですね。」
術者:「それでは、イライラ感を思い浮かべていただいて、検査をさせてもらいます」
誤作動記憶検査チャートを使いながら、フィンガーテストにて検査。
大脳辺縁系→信念→警戒心
患者:「今・・・・・とても仕事に追われている感じで、よそ見をするとその仕事に支障がありそうで、何か馬の目隠しのように前だけを見ていないといけないという感じで・・・でも、気になる本があるとそれを取り寄せたりして、・・・仕事に集中しなくてはいけないのに他のことが気になっていますね・・・家事のこともあるし・・・・〇〇も気になるし・・・何か閉塞感を感じている自分がいますね・・・」
術者:「そうすると、仕事に集中しなくてはいけない時なのに、他のことが気になる自分を警戒しているかもしれませんね・・・」
患者:「そうですね・・・・」
術者:「それでは、先ほど話していただいた内容を気にしている自分を警戒していることを意識してもらいながら調整させてもらいますね」
電話を通じて遠隔治療で調整する。
術者:「はい、警戒心の反応はとれました。先ほどの8のレベルからどれ位になっていますか?」
患者:「ん・・・・」
術者:「では、こちらで検査して見ますね。検査(フィンガーテスト)では4レベルになっているようですが、どうですか?」
患者:「そうですね。それぐらいですね。」
術者:「では、まだ、レベルが下がりそうなので、さらに検査をして行きますね」「それでは、先ほどのイライラ感に戻って思い浮かべてもらえますか?」
患者:「はい・・・・」
誤作動記憶検査チャートを使ってフィンガーテストで検査
大脳皮質系→意味記憶→一般論
術者:「今度は意味記憶の「一般論」で反応していますので、何か一般論的な意味づけをされて、今の症状につなげている可能性があると思いますが・・・」
患者:「・・・・最近、〇〇を感じている自分がいるのですよね・・・おそらく自分の「老い」を気にしているのだと思います・・・最近、周りの知り合いが毎月のように亡くなってなって行くのですよね・・・〇〇の人たちはだんだんと元気がなくなっていっているような・・・」
術者:「というと、そのような周りの情報、つまり一般論にのって、〇〇さん自身もそのようになっていくのではないかと思い込んでいるということでしょうか?」
患者:「そうですね・・・・・」
術者:「海外でもそのような傾向があるのですか?」
患者:「英国の〇〇の人たちはもっと元気があるのですよね・・日本の〇〇の人たちとは違いますね・・・」
術者:「それでは、そのような一般論からの思い込みを認識してもらいながら調整しましょう・・・」
電話を通じて遠隔治療で調整する。
術者:「はい。一般論から意味記憶の反応が取れました。先ほど、イライラ感のレベルが4でしたが、今はどうでしょうか?・・・検査をしてみますね。・・・今2ぐらいになっているようですが、どうでしょうか?」
患者:「そうですね。だいぶん楽になっていると思います。・・・」
・・・遠隔治療完了・・・

二週間後、ご家族の件で代理治療の相談があり、その後の経過を聞いてみると、あれからすっかり良くなったとのことで喜んでいただいた。