2017年7月31日月曜日

AM5050周年記念米国研修参加報告

2017720日から22日に渡って、アクティベータ・グローバル・リーダーシップ・カンファレンスが開催された。最終日にはAMの創立50周年に当たる記念式典も催された。今回アクティベータ・ネットワーク・ジャパンからは5名が参加した。

 初日の講義は、Dr. Nathan Unruhによる盛業メソッドのプレゼンが行われた。テクノロジーを駆使したマーケティング戦略が印象的だった。次に、ディレクターやインストラクター達の非公開のミーティングで今後の展望や注意事項が伝達された。今後、グローバルにオンラインセミナーを活用する計画であるとのこと。

2日目の最初のスピーカーは、Chicken Soup for the Chiropractic Soulの著者で元パーカーカイロプラクティック大学学長のDr. Fab Manchinだった。パブリックに耳を傾け、自らがスピーカーになってストーリーを語り続けることの大切さを伝えていたことが印象的だった。

二人目のスピーカーは、WFC(世界カイロプラクティック連合)会長、Dr. Richard Brown。カイロプラクティックの世界的動向についてのプレゼンがあった。その後、CCEの会長やギリシャカイロプラクティック協会会長や法律家やなどを交えてパネルディスカションが行われた。

三人目のスピーカーは、パーマーカイロプラクティック-ウエスト大学の会長、Dr. William Meeker。米国におけるカイロプラクティックの認知に関する調査結果が報告された。米国のカイロプラクティックの利用者は、首や腰の痛みに対して95%の人が効果的だと答えている。61%の米国人がカイロプラクティクは首や腰の痛みに対して効果的だと信じており、29%の米国人がカイロプラクターを最初に選択するとのこと。

カイロプラクティックに関する5つの質問項目があり、まずは、安全であるか?効果があるのか?カイロプラクターは本当のドクターなのか?誰がカイロプラクターを受診するのか?カイロプラクティックは首や腰の痛みに効果的なのか?米国には医療分野でドクターの学位を有する職業が4つあり、それに必要な教育時間を比較して報告されていた。Medical Doctor4800時間、Doctor of Osteopathy4665時間、Doctor of Chiropractic4620時間、Doctor of Physical Therapy3870時間とのこと。
 
四人目のスピーカーは、現在、イギリスの名門大学の一つであるケンブリッジ大学の神経学教授を勤めているDr. Frederick Carrick。アクティベータのアジャストメントがどのように神経系に影響を及ぼすのかの可能性についてのプレゼンがあった。

夕方からは、ドクターファーと奥様のジュディーさんからのご招待で、地元の球場で大リーグを観戦させていただいた。とても白熱した試合で、日本のインストラクターチームを初め、イギリスやブラジルからの参加者も野球観戦を存分に楽しんだ。

余談になるが、試合が始まる前に米国の国家斉唱が始まると、通路を歩いていたお客さんは足を止め、店員さんも作業を止めて胸に手をあてて、アメリカ国旗を見つめていた。誰もその静粛な雰囲気を乱す人はいなかった。以前から知ってはいたが、改めて米国人の愛国心に感動した。

最終日の午前は、Steven B. Wiley氏によるリーダーシップに関するプレゼンが行われた。リーダーシップの概念として、トランザクショナル(取引型)とトランスフォーメショナル(変革型)のリーダーシップの違いについての説明があった。トランザクショナルは権威や

規律によって部下を統率していくタイプで、トランスフォーメショナルは人格的に部下を教化して目標に向かって率いるタイプなどの説明があった。

日本のアクティベータチームのリーダー、責任者としての活動も18年目。お陰様でとても洗練されたチームになっている。今日までたくさんの先生達に協力していただき、チーム全体の個性もそれぞれのメンバーの個性によって変化してきた。チームとしては様々な紆余曲折があったが、その都度成長してきた。東洋的に言えば、チームリーダーには「義」と「愛」が大切なのかなと今回の講義を聞いて感じた。
 
午後からは、スペイン在住のDr. Ricardo FujikawaDr. Arantxa Orgega de MuesよりアクティベータVによる骨粗鬆症への効果に関する研究報告があった。アクティベータを使っているドクターのほとんどが、このリサーチの価値や未来への可能性を感じたのではないだろうか?アクティベータVによるアジャストメントが骨粗鬆症に影響を与えているという科学的研究は追試され、さらに広がってくるのかもしれないと感じた。

その他、いくつかのプレゼンがあり、夕方からAM50周年の記念式典が開催された。豪華な会場でディナーを味わった。その後、ローガンカイロプラクティック大学やWFC(世界カイロプラクティック連合)、ヨーロッパのカイロプラクティック団体などから祝辞とお祝い品がドクターファーに贈呈された。日本からはAMを使ってその恩恵をうけている先生達から寄付を募り、博多人形と寄付者の名前を刻印した記念の盾を贈呈させていただいた。博多人形は無形文化財保有者、人間国宝の宗田源蔵作の「羽衣」の能の人形。気品のある荘厳な雰囲気が心のこもった日本からの贈り物として伝えることができたと思う。
 
最後に、AMを率いているインストラクター達への表彰が行われた。年間ディレクター賞や年間リサーチ賞などが表彰され、驚いたことに私もイーグル賞という名誉ある賞をいただいた。私は、米国のインストラクターカンファレンスに参加させていただいて20年目になるが、この賞は特別な人しかいただけないことを知っているが故に嬉しさもひとしおだった。この賞は、今日まで協力してくださった日本のスタッフのお陰でもあり、コツコツと積み重ねてきた日本チーム全体に与えられた賞だと思っている。
 
今回の節目となる50周年の記念行事に参加させていただき、さらなる成長と貢献を積み重ねていこうと心を新たにした。日本チームはさらに成熟し次のステージに向かい、目の前の患者さんはもちろん、日本の健康医療に貢献したいと思う。


2017年7月15日土曜日

イップスの改善にブレーキをかける「技術論」とイップスにならない「コツ」

ゴルフのドライバーイップスの患者さんで、しばらく通院されて、一時改善されていたが、また、ぶり返していた。その原因の一つに「技術論」へのこだわりがあった。通院過程でフォームなどのテクニックなどに囚われすぎると、イップスの改善に影響を及ぼすということは頭では理解しても、ついついテクニック論の方へ傾いて症状の改善を遅らせていた。

なぜそこから抜け出せないのか?それを調べてみることにした。するとゴルフの技術論を追求すること自体が大好きで、そこが「快」になっているということが分かった。「ゴルフプレー」→「問題を引き出す」→「技術論で答えを模索」→「快」→「ゴルフプレー」→「問題を引き出す」→「技術論で答えを模索」→「快」→「ゴルフプレー」というような潜在的な負の習慣(パターン)が「快」にリンクしており、そのサイクルから抜け出せていないとうことが分かった。

好きだからゴルフをやっている。それはごく当たり前のことなのだが、具体的にゴルフの何が好きなのかを質問してみると、人それぞれに微妙に違うものである。だんだんと上達するという「自己成長」が「快」になっている人もいるだろう。勝ち負けに関係なく、友人とゲームを楽しむことが「快」になっている人もいるだろう。ゴルフプレーを継続する動機は人それぞれであるが、今回は隠れた動機(快)が条件付けされて、イップスの改善にブレーキをかけていたという事例である。

患者さんはそのことが心の底から理解できた様子で、撮りためていたゴルフ指導に関するビデオを見るのを辞めると宣言された。以前から技術論がイップスに影響しているのが分かっていたので、技術論から卒業したのかなと安心していたものの、心の底では抜け出せていなかったということがその時に分かった。

誤解のないように言えば、「技術」を意識することが全てイップスにつながるという訳ではない。スイングのフォームを改良して、成績が向上した人もいる。どのようなスポーツでも最初は基本のフォーム(型)を指導者から学んで、何度も練習を繰り返し、身体に覚えさせて上達していくものである。

要するに技術(テクニック)は必要だがその捉え方が大事なポイントになる。「どのような技術論がイップスになりにくいのか」、多くのイップスの患者さんたちをサポートしてきた経験からイップスになりにくい「コツ」をご紹介させていただく。これは、ゴルフのイップスに限らず、あらゆるスポーツやハフォーマンスなどのスランプにも影響を及ぼすので、参考にしていただけばと思う。

イップスにならないための「コツ」

機械論

有機論
機械論的な理論のメカニズム
より
有機論的な自然のメカニズム
細かい技術理論の指導を受ける
より
全体を見てマネして身体で覚える
部分的なテクニカル指導
例:テイクバック(ゴルフ)では決して頭を動かさない
より
全体的で抽象的な指導
例:足から手への連動が重要
腕や足の部分を意識する
より
軸や下半身など全体を意識する
部分的な身体の動かし方
より
目的に応じた自然な身体の動かし方
力やスピード
より
バランスやリズム

この「機械論」と「有機論」を比較してどのように感じるだろうか?一見すると「機械論」の方が、何か理論的で信頼できるような感じがしないだろうか?その一方で「有機論」は、抽象的で答えがないような曖昧な感じがするだろう。それは、多くの人が機械論的、あるいは科学的な教育を受けているからであるといえよう。その思考ラインで考えると、分析的、還元論的になり、身体をロボットのように考えて、部分的な理屈で問題を改善しようと考えてしまう。

しかしながら、人間は部品を取り替えれば修理できる単純なロボットではない。部分的で機械論的な理論で答えがでないことばかりの連続である。人間はむしろ全体的で有機論的な「関係性」や「つながり」で統合された生き物であることを忘れてはならない。



2017年7月11日火曜日

PCRT中級1のご案内

いよいよPCRT中級1が8月6−7日に開催されます。スタッフ一同の協力で準備を進めています。ほぼ内容が完成されてきました。面白い研究会になりそうでワクワクしています。特に筋骨格系、自律神経系、内分泌系、免疫系、メンタル系に対するハード面調整法が洗練されてきました。

基礎1から紹介してきたハード面調整法は11項目になります。患者さんの症状に合わせて使い分けますが、臨床現場で使える手法が盛りだくさんです。新しく進化したブレインマップ調整法、音階調整法、頭蓋骨調整法、経絡調整法、さらにシンプル化した意味記憶・エピソード記憶の調整法、そして、ソフト面調整法の詳細(上級)感情チャートの質問の仕方をご紹介する予定です。


PCRTの施術の進め方とそれに伴ったカルテも使いやすくなりました。何よりもすぐに効果が現れるので、患者さんの満足度が高くなっていると思います。心身条件反射療法事務局への問い合わせもだんだんと増えてきてPCRTのニーズも高まっているようです。皆様のご参加を心よりお待ちしています。