2017年9月20日水曜日

ICC国際コーチ養成講座のご案内

ライフコンパスアカデミー(LCA)代表の保井です。LCAではAMセミナーとPCRT研究以外にICC国際コーチ養成プログラムを組み込んでいます。私たち治療家は臨床現場において様々な症状を抱えた患者さんに遭遇します。様々なテクニックを修得することである程度の成果を引き出し、患者さんに喜んでいただくことができます。

しかしながら、臨床経験を積み重ねるごとにハウツー的な手法だけでは対応できない事例も多々あります。インターネットの普及に伴い、様々な情報が飛び交う中で、患者さんたちの求めるニーズもだんだんと複雑性を増しています。施術者がどのようなスタンスで施術を行っているかによって患者さんのニーズも異なってくると思いますが、「刺激反応」の反射系だけの施術では、患者さんが求めているニーズに対応できない事例もだんだんと増えてきているように感じます。

脳の三層構造に照らし合わせてみると、大脳辺縁系や大脳皮質系といった心理面も複雑に関係しています。反射系の調整法であれば、神経学的刺激によって肉体面の誤作動記憶を引き出し調整することで、異常反応を正常反応に書き換えることが可能です。しかし、頭(心理面)に関係して様々な感情や意味付けが関係している場合は、「身体の記憶(運動性記憶)」に対して、「頭の記憶(認知性記憶)」を引き出して調整することが求められます。

臨床経験が増すにつれて、臨床現場では様々な「応用力」の必要性を感じられているのではないでしょうか?様々な患者さんへの対応や治療院内でのチームワーク、さらなる成長のためのゴール設定や戦略戦術など、単なるマニュアル手法では解決できないその場、その場に応じた「応用力」や「思考力」が求められます。

ICC国際コーチング養成トレーニングを受講されることで、この「応用力」や「思考力」を幅広く身につけることができると私は考えています。この「応用力」と「思考力」は特にICCのトレーニングのワークの中で繰り広げられる、それぞれの経験の中で培われます。書物だけでは身につかない知性がそれぞれに養われます。

「知識」とは「言葉で表せるもの」であり、「書物」から学べるものです。一方、「知恵」とは「言葉では表せないもの」であり、「経験」からしか学べないといわれています。スマホで検索すれば、ありとあらゆる情報が引き出される時代において、「直観力」「洞察力」「大局観」などと呼ばれる知性がさまざまな分野で求められています。そのような知性は深みのある経験を通じて磨かれ、その経験を通じて本質的な知恵が蓄えられていくのではないでしょうか?

ICC国際コーチング養成講座を一度受講されたからといって、すぐにそのような知恵が身につくわけではありません。しかしながら、単なるコーチングのハウツウ的なスキルを超えたコーチとしての基礎力を身につけることで、臨床現場や経営、さらには人生においてじわりじわりと深みのある「思考力」や「応用力」が身についてくると信じています。


ご自身の無限の可能性を信じさらなる高みを目指そうとされている先生方にはぜひ参加していただきたいトレーニングです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

2017年9月19日火曜日

「素直さ」で健康を創る

「素直さ」は人間の成長において、とても大切であると一流の人の賢人達は説いています。理屈や言い訳をせずに素直に修行に励む子は吸収が早く伸びていく。問題に直面しても、素直にものを見ていくことで解決の糸口が見えてくる。

1000年以上もの昔、設計図や重機などがない時代にどうして東大寺や薬師寺などのような洗練された建造物が建てられたのでしょうか?宮大工棟梁、西岡常一氏の内弟子の経験をもつ小川三夫氏は、「おそらく奈良時代の工人たちは何も心がとらわれることなく、素直に物事を捉えることで、あれだけの知恵を生み出したのでしょう。それを再建しようと思えば、やはり自分を無にして昔の工人に心を合わせることが大事です。そうすると「つくってやろう」というのではなく「自然に作り上げていく」という感覚が分かってくる。私はこれまでの人生の中でこの素直さということをとても大事にしてきました。」と述べています。

治療者が、「治してやろう」という心で患者さんに接するよりも、「患者さんと一緒に二人三脚で自然治癒力を引き出そう」というスタンスでアプローチした方が、治療効果も高くなる傾向があります。患者さん達は治療者に治してもらうという感覚がごく自然なのかもしれません。しかし、「治す力」というものは本来患者さん自身がもっているものなので、治療者はその「治す力」を引き出す調整をさせていただいているのです。

身体に聴いて、誤作動の反応を引き出し、「治す力」をブロックしているところを調整していく。不思議と思われる「生体の反応」も素直に受け入れてくださる患者さんは治りも早いという傾向があるようですが、通常医療の理屈で疑問を抱く患者さんにとっては、その反応が腑に落ちない。すると自然治癒力も引き出され難くなり治りも遅くなる傾向があるようです。

素直な人に共通するのは、うまくいかないのは自分のせいで、周りのせいにはしないという傾向があります。ノーベル賞を受賞した山中伸弥氏は、「うまくいった時はおかげさま。うまくいかなかった時は身から出た錆」を信条にしてきたといいます。また、松下幸之助氏も「僕はな、物事がうまくいった時にはいつも皆のおかげだと考えた。うまくいかなかった時はすべて自分に原因があると思っとった」といっていたそうです。

人は生きていく上で、様々な困難や壁に遭遇することがあります。その時、自責にするのか、他責にするのかで、その人の人生は大きく左右されるのではないでしょうか。健康問題に関してもそう思います。特に原因不明の慢性症状などは、基本的には自分自身の生活習慣や心の習慣が症状の原因に関係することが多いのですが、改善し難い人は単に身体だけの問題にしたり、他者や周りに原因の矛先を向けたりする傾向があります。

他者や周りが作った原因だから、自分には変えられないと思い込む。もしも、自分にも原因の一部があると思うことができれば、そこから原因を変えることができますが、自分には全く非がないと思い込んでいるから他者次第、医者や治療者次第となり、自らの自然治癒力も変化し難くなる傾向が生じます。

少しでも「病気や症状は自らが創ったものである」という前提に立てば、自分自身を省みて、変えるべきところを変えれば、病気や症状の流れも変わりやすくなります。

「過去と他人は変えられない。しかし、今ここから始まる未来と自分は変えられる。」エリック・バーンより。 

2017年9月1日金曜日

閃き(アイディア)が生まれるとき

 致知の2017年9月号の特集で、閃きに関する記事が掲載されていた。
「閃きは人間内面の成長の原動力」として、賢人の言葉を紹介していた。

斎藤一斎は「大上は天を師とし、その次は人を師とし、その次は経を師とす・・」もっとも優れた人は人や本からではなく、天から直接学ぶという。人は閃いた時、「何か(閃き)が上から(天)から降りてきた」などということがあるが、天から教えてもらったという意味であろう。

成功した経営者や後世に何かを残した人、あるいは心に残る名曲を作った人などは、ふとした時に閃くということをよく聞く。忘れない様にメモ帳などにそのアイディアを書き残しているという。天から降りてくるというよりも、その人の無意識レベルの脳が今までの情報を整理して意識化しているのだろう。

このような価値のある閃きは、単に脳の訓練をするとか、瞑想をするとかで簡単に出てくるものではないだろう。そのような訓練も大切だが、その閃きの背後には様々な経験や知識の積み重ねによる努力が蓄積されているはずだ。

経営の神様といわれている松下幸之助氏も閃きの基本は「熱意」だという。「熱意が基本にあると、絶えず、寝ている間でさえも考えるようになる。僕は寝る間も惜しんで仕事をしてきた。・・・そうなると不思議なもので新しいことが浮かんでくるものだ。浮かばないとすれば、それは熱意が足りないことにほかならない」という。

また、稲盛和夫氏も「情熱」を大切にしてきた人だが、「来る日も来る日も顕微鏡をのぞいていたら、顕微鏡の向こうに宇宙が見えた」「宇宙には知恵の蔵のようなものがあり、必死に研究に打ち込んでいると、その知恵の一端に触れ、画期的な新材料や新製品を世に送り出すことができた・・・」と述べている。


つまり、純粋に何かのために努力をしてきた人には何かの知恵が天から与えられるということだろう。一時的な情熱なら誰にでもできるが、何年も何十年もその情熱を持ち続けることは並大抵のことではない。情熱の質には色々あるだろうが、密かな情熱を持ち続けて、純粋に努力をし続ければ、その努力は裏切らないだろうし、その努力に対して天は「閃き」を与えてくれるのだろう。