2018年12月4日火曜日

自然な顔の美しさ

ニュースレター2018.12-2019.01

人の顔は変わる?長年の臨床経験の中で、毎日患者さんに接していると、顔の表情を伺う観察力も自然に鋭くなってきます。それは経験を積んだ治療者の脳に蓄積された数十年間のデータに基づくもので、数字では表せない感覚的な能力です。最初に来院される患者さんの多くは、肉体的にも精神的にも問題を抱えています。その問題が徐々に改善されるごとに、患者さんの表情が変化していく場面に遭遇します。

「あっ、あの方の顔が変わってきた・・」あるいは「あの人の人相が変わってきた・・」中には、「本当はこんな顔をしていたのか?」と、気づかされる場面があります。肉体的にも精神的にも様々な症状が改善されると、暗いイメージの表情から明るいイメージに変化してくる患者さん、何か不満をかかえている表情から感謝が見え隠れする表情へと変化してくる患者さんなど、本来の美しい顔に遭遇する瞬間があります。

継続的に来院して下さっている患者さんの表情の変化は、サポートさせていただいている治療者にとっては醍醐味でもあり、喜びでもあります。「心と身体の関係性」、あるいは「意識と無意識の関係性」を調整させていただいている患者さんの多くは、自分でも認識し難い心の奥に隠れた自分に遭遇することもあります。その時、ありのままの自分を優しく包み込んであげることで、何かが変わるようです。

特に顔の表情に変化が現れてくるのは、「意識」と「無意識」が調和してくる時です。自分の心の「建前」と「本音」が調和してくるときといってもいいでしょう。もしかすると、あまり見たくない自分の内面を認めてあげたときかもしれません。あるいは、「そんな自分がいてもいいのだ・・」「嫌な自分にも何か意味があるのだ・・」などと、無意識の自分の存在を認めてあげた時に、未来に繋がる心の成長が育まれているように感じられます。

美しく見せたいという願望は年齢や性別を問わず多くの人にあると思います。女性であれば、お化粧や美顔マッサージなどを施すかもしれませんし、表情筋のトレーニングをされている方もおられるかもしれません。どの手法もその方に合っていれば有効な手段になると思います。このような美しさを保つ方法には大きく分けて「外から働きかける方法」と「内から働きかける方法」があります。

内面に働きかける方法とは、前述した「意識」と「無意識」を調和させる方法です。当院で行なっている「身体に聞く検査」を繰り返し受けていると、だんだんと自分の無意識の心の点と点が繋がって、線となり、さらには面となって全体像が見えてくるようです。複数の表情筋は、意識でコントロールできる部分もありますが、多くは無意識で作り出され、瞬間、瞬間にその表情が印象付けられます。意識と無意識がつながることで、自然の笑顔、自然の仕草が表現され、それが美しい顔として私たちの記憶に残っていくのだと思います。

この自然体の顔の美しさは、年齢や性別を問わず、善悪を超えた調和の美しさといってもいいのではないでしょうか?その美しさは言葉では言い表し難いものがあるように思います。脳の神経回路が常に変化しているように、いつからでも顔の表情は変化します。自分らしい自然な美しさを育んでいきましょう。

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