2019年8月29日木曜日

疲労骨折のバランス調整

脛骨の疲労骨折の患者が、3回目の治療後に疲労骨折のある側の足でケンケンできるようになった。側で見ていたお母さんが、「痛くないの?」と尋ねると「うん・・」と嬉しそうに微笑んでいた。3回の施術で完治したわけではないが、患者さんが顕著な改善を自覚されたその背後にある「原因と結果」を考察してみたい。

高校1年性のサッカー部の男子が1ヶ月ほど前より両足(下腿部)に痛みを生じて、整骨院と整形外科を受診。病院では右脛骨の疲労骨折と左脛骨のシンスプリントと診断される。病院で診断された2日後に当院を受診。まだ、完治したわけではないが、3回目の治療後に患者自身が症状の改善を自覚され、治る方向へ自信を持たれた。通常であればケンケンするなんてありえない状態。なぜ、そのように改善したのか私なりの考察を述べてみたいと思う。

病院で疲労骨折の診断を受けると、数ヶ月は練習を中止、安静を指示される。通常、「骨折」したら安静が当たり前と思う方がほとんどだろう。骨折に関する医学知識があればなおさらその思いは強くなるかもしれない。私自身も本質的な治療に確信を得る前まではそのように考えていた。

しかし、いくつかの早期改善の施術経験を通してその考え方が一変した。「試合に出たいけれど、どうにかならないでしょか・・・病院では安静を指示されているので・・・」と大事な試合を控えている診断された子供の親御さんに相談を受けて疲労骨折の施術をさせてもらう機会がいくつかあった。どの症例も施術をしてみると、意外に回復が早く、試合に出場できるようになった。

おそらく通常の医学的知識の考えでは恐らく説明がつかないと思う。まず、考えなくてはならないのは外傷による骨折とは性質が異なるということである。外傷の骨折は明らかに「直接的外力」による影響だが。しかし、疲労骨折の場合は「間接的外力」による影響だろう。「間接的外力」とは、筋肉のバランスや関節のバランスがうまく調和できていないために間接的に骨に「ねじれ(捻転)」などの間接的外力が異常に繰り返し加わったことによる結果である。

つまり、身体の筋肉・関節のバランスが悪く違和感を感じながら無理をし続けたことが予測される。若い選手は一生懸命練習していると、多少の違和感を感じてもそれが当たり前になって、痛みに慣れて無理をすることも考えられる。疲労骨折の原因はバランス異常による間接的外力による結果なので、そのバランスを調整すれば回復は早いのだと推測できる。

そして、バランスが調整されれば、骨折部への異常なストレスは加わることなく、むしろ、骨癒合を助ける正常な刺激が骨芽細胞に加わることで治癒を早めるのではないかと考えられる。つまり、原因となるバランス異常を調整するから改善が早いのだと思う。ただし、ここでいうバランスとは単に筋肉・関節・骨だけのバランスのことではなく、無意識・脳・神経系などを含めた総合的なバランス調整の結果である。それは早期回復にとても重要なポイントだと私は経験的に確信している。

2019年8月12日月曜日

帯状疱疹後神経痛

70代後半の女性が口の周りの帯状疱疹後神経痛を訴えて来院。7週間ほど前に帯状疱疹で病院に入院。10日ほどで退院。来院時は病院に通院中で投薬や点滴の治療を受けているとのこと。帯状疱疹は無くなったが、その後の痛みが1ヶ月ほど継続しており、日常生活などにも支障をきたしているとのこと。特に朝の目覚めで痛みが最も強くなる。痛み止めを服用すると軽減するらしい。

当院を利用していただいたことがある息子さんからのご紹介で来院された。最初はハード面だけの施術を行った。患者さんの表情から察するとまだ痛みが強い感じが伺えた。ソフト面の調整は、初診時の患者さんには控えるようにしている。それは患者さんの理解度や信頼度を考慮してのことである。しかし、症状の改善度とあるキーワードが顕著に示されていたことを考慮して、そのキーワードに対して質問させていただいた。

すると、誤作動記憶が明確に反応を示していたので、二つのキーワードに関連するソフト面の調整を行った。施術後、患者さんはにっこり笑って痛みから解放された様子が伺えた。かなり痛みで苦しまれていたのだろう。

初回の施術から2ヶ月ほど経過している。遠方からの来院で、気軽に通院できる状況ではなかった。一回の施術で痛みがかなり改善されていたのは明らかだったが、その後も痛みがぶり返さずに維持されていることを願う。

帯状疱疹の原因はウイルスであると言われている。確かにウイルスは関係しているが、私の臨床経験では、その背後には潜在的なストレスが関係していることがほとんどで、そのストレスの調整後の症状が改善される。ストレスによって免疫力が低下してウイルスが暴れ出し、ストレスに条件付けされて痛みが記憶されるのだと考えている。

帯状疱疹に限らず、様々な「神経痛」には潜在的ストレスが関係していることが多い。このような施術が当たり前になる社会になると、もっと多くの方が痛みから解放されるだろう。私たちはそのような施術文化を社会に創造していきたい。

2019年8月2日金曜日

書痙(ジストニア)

問診情報

高校3年生の男子がお母様と共に書痙の改善を期待して来院。初診時は全く書くことができずに手も震えるとのこと。発症当時はペンを持つこともできず、初回来院時はペンを持つことはできるが、その後手が動かなくなる状態。

初回来院5ヶ月前に3つの病院を受診されたとのこと。一つ目の心療内科を受診、その約2週間後に二つ目の心療内科を受診、その1ヶ月後にメンタルクリニックを受診していずれも精神薬を処方される。

施術前後を評価するための初回の目安検査

身体機能検査(間接法)
陽性反応が示された動作
頚椎左回旋、肩甲帯後方、肘関節屈曲、拳を握る、母指と小指を近づける、書く動作
心身相関機能検査
書くイメージ

初回の施術

ハード面調整(AM)では、骨盤、脊柱、左肩甲骨、肘関節、手関節の機能異常を調整。
ソフト面調整(PCRT)では、大脳辺縁系の誤作動記憶、信念関連のキーワード3つ、価値観関連のキーワード1つ、大脳皮質系のエピーソ記憶を調整。

施術経過

2回目〜12回目まで2枠の予約(施術時間:2025分)をいただき継続治療を行う。ハード面調整とソフト面調整の施術を継続する過程で、5回目の来院時にはメンタル的に気分が改善され、全く書ける感覚がしなかった当初から10段階で4レベルまで上がった感じがするとのことだった。

そして、6回目の来院時には何とか書けるようになったとのこと。しかし、書くことに集中すれば何とか書けるが、他のことを考えながら記述することは難しいとのこと。つまり、以前のように自然には書けない状態。

7回目から書痙の症状が改善傾向に向かったので以前からあったアレルギー性鼻炎の施術も並行して行う。10回目の来院時には本調子ではないが調子がいいとのこと。鼻炎の症状も改善されているとの報告を受けた。11回目ではほぼ自然にかけるようになってきたという報告を得た。

12回目ではほとんどいいとのことで、メンテナンス的に脳のバランスを調整。書痙に関する書くイメージの検査でも陰性反応だった。

13回目では1枠(10分)の予約をいただき、主に脳バランスの誤作動記憶の調整を行う。

考察

大学受験を控えているにも関わらず約5ヶ月間も書痙の症状を患っており、人生の大切な節目に大変な思いをされたように感じた。身体(書痙)に影響を及ぼしている無意識的な誤作動記憶を調整していくうちにだんだんと症状が改善されていった。施術(PCRT)のコンセプトもある程度理解していただいていたので、段階的に改善方向へと向かったのだと思う。

原因となる過去の記憶から鑑みると様々な事柄が絡み合っていたようだ。もつれた糸の束を一本ずつほぐすように誤作動記憶を一つ一つ消去していった結果、完治へと導かれた。症状が改善していくプロセスを通じて、自分の心の奥にある思い(心の構造)を知り調整することで脳の柔軟性が増して症状が改善された。

このような本質的な心身相関の原因療法を体験することで、単に症状が改善したことだけではなく、メンタル的なコントロールも上手になっていると思う。大学生、社会人へと進む過程でこの経験を生かして健康を維持していただきたいと願う。