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2018年10月2日火曜日

過去の記憶(プチ・トラウマ)が、現在の症状につながる

トラウマ(心的外傷)というと、命が脅かされるような出来事(戦争、事故、虐待など)によって、強い精神的衝撃を受けることが原因とされます。当院で慢性症状の本質的な原因を探求していると、一般的に知られているようなトラウマ(心的外傷)と言わないまでも、「プチ・トラウマ」とも言える慢性症状に関係する過去の「誤作動記憶」の影響が多く存在していることが分かります。「プチ・トラウマ」の特徴として、理性的に処理して意識的にはほとんど気にしていなくても、無意識的に心の奥に保存されている記憶と言えるケースがほとんどです。

過去に起こった記憶が無意識に思い出されて、それが現実に起こっているかのような感覚があるときに、「フラッシュバック」という心理用語で表現されます。フラッシュバックは「恐怖」や「怒り」などの感情や身体的症状など、感覚の記憶として再現されます。そして、その記憶はまともに意識に上らないため、フラッシュバック性の記憶は鮮明に再現されますが、言語化するのが困難な場合が多いようです。

この「フラッシュバック」は、強いトラウマ体験(心的外傷)を受けた場合の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の特徴的な症状の一つとして知られていますが、冒頭で述べたように長年の心身条件反射療法の臨床研究では、強いトラウマ体験でなくても、過去の記憶がフラッシュバックされて、身体的症状を引き起こすケースに多く遭遇します。検査で示された過去の記憶を引き出して調整を行うと、施術直後にその患者さんが訴えていた症状が消失することから、過去の記憶が関係していたことが分かります。

施術後に、「そういえば、そのこと(過去の記憶)をふと思い出しました」とフォードバックしてくれる患者さんも少なくはありません。症例によっては、10年〜20年以上も前の記憶でも、検査を進めるとほとんどのケースで、症状に関係する誤作動記憶にたどり着き、調整を行うと症状の改善につながります。時系列の検査をLPRT(言語生体反応検査法)で進めると、ピンポイントでその誤作動記憶にたどり着き、患者さんはもちろん、術者もその検査の正確性に驚かされます。その検査の結果も慣れてくると当たり前になりますが、それでも、抱えている患者さんの問題はそれぞれに異なるので、その症状が改善されるときの喜びはいつも新鮮です。

もしも、「プチ・トラウマ」が慢性症状の原因になっている場合、タイムカプセルのように保存されていた内容を引き出して、その過去の記憶に戻って調整を行います。その内容が明確に表現できる場合もありますが、場面だけで言葉に表現できない場合もあります。内容が明確に言語化されなければ調整ができないわけではないので、誤作動反応を示している場面だけで調整を行います。慢性症状に関係する誤作動記憶は複数存在することが多いのですが、調整後には多くの症例で症状の改善を確認することできます。隠れた「プチ・トラウマ」を見つけて慢性症状を解消していきましょう。

2018年8月24日金曜日

思いがけない過去の「トラウマ」が慢性症状を引き起こす

先日、患者さんが痔の症状を訴えてしばらくぶりに来院。以前も痔の症状で施術させていただいたことがあり、その時は一時改善したが、今回はその時よりも悪いとのこと。来院時には、何もしなくても患部に痛みを感じているとのことだった。

アクティベータ療法でハード面の施術を終えた後、PCRTのプロトコルへと進んだ。最初に示されたキーワードは「恐れ」だった。プロトコルに従って、詳細チャートで「どの領域から特定したら良いのか」という前提で、「分野」→「立場」→「時系列」という順でPRT検査をすると、「時系列」で反応。そこから「現在」→「過去」・・・と進めると「過去」で反応。さらに、「近い過去」なのか「遠い過去」なのかをLPRT(言語生体反応検査法)で検査すると、「遠い過去」で反応。そこからLPRTで年代を特定すると、18年前で反応を示す。

「18年前の恐れに関係する記憶が関係しているようですが、何か心当たりがありますか?」と尋ねると、患者さんは「・・・・その年は丁度、主人が亡くなった年ですね・・・」という。「それでは、その当時を思い出して、その時の最悪の恐れをシナリオ的に想像してもらいますか?」と尋ねる。検査で陽性反応が示されたので、そのイメージで調整を行う。

調整後

「あっ・・だいぶん楽になりました・・・」と喜んでいただいた。

1週間後に来院していただいたが、前回の施術後から改善状態が継続しているとのことで喜んでいただいた。検査でも陽性反応が示されずに改善が維持されていた。今回の痔の症状の改善は、ある意味、劇的に改善した一例といっていいだろう。

この患者さんの痔の症状は以前から診させていただいたのに、なぜ、その時に過去の記憶が引き出されず、今回は引き出されたのか?後で振り返った。それは、できるだけ施術者(私)の思い込みが最小限になるように、マインド設定をして、チャートに沿って検査を進めた結果だと思った。私自身もまさか18年前の記憶が影響しているとは思いもよらなかったし、ご主人をご病気で亡くされていたことは知っていても、18年前だとは知る由もなかった。

改めて「無意識に聞く検査」に磨きをかけて、幅広くアンテナを広げて、本質的な原因を引き出せるように訓練をし続けなくてはならないと思った。また、思いがけない過去の記憶(トラウマ)が、案外現在の慢性症状に結びついているということをもっと多くの人に知ってほしいと思う。また、そのトラウマが症状の発症よりも遠い過去であっても無意識の脳と関連していることも少なくはない。理性的な脳で考えると辻褄が合わないことでも、深い感性的な脳は関係しているようだ。トラウマの調整で症状が改善されたことから考えても、そのトラウマが症状に関係していたと思わざるを得ないだろう。