ラベル メンタル系 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル メンタル系 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年8月16日月曜日

3〜4年前からのパニック障害の改善

20代後半、求職中の男性が、自律神経系、頭痛、顎の痛み、不安感などパニック障害に関連する症状を訴えて来院。症状は3〜4年前から始まったとのこと。当時、営業職でお客様や上司との関係で色々なストレスを感じていたと言われていた。大学まで野球を行なっており、現在では、お父様が監督をされている地元のクラブチームの野球の指導でコーチをされている。少年野球から大学まで本格的に野球をされていたようで、真面目で誠実な方だという印象がありました。

 

ご本人も思い当たる原因は仕事上のストレスからだといい、何か悪いことを聞いたり、ニュースなどを見たりしたときに不安になるとのこと。初回の検査では、PCRTの脳バランス検査で使う、前頭前野、大脳辺縁系、脳幹脊髄系の検査ポイントで陽性反応。肩、首周辺並びに顎関節周辺の機能検査で陽性反応が示された。光刺激や音の刺激でも陽性反応。脳神経を刺激する他の検査法でも陽性反応が示されることが予測されましたが、目安検査として患者さんがある程度体感できたので他の検査法は省きました。

 

アクティベータ療法とPCRTの両方を合わせたハード面調整法を終えた後、ソフト面の調整を行った。患者さんによると、思い当たるお客様関係のストレスがあるとのことで、そのトラウマから検査を進めていった。PCRTの認知調整法で示されるいくつかのキーワードから質問を行い、誤作動記憶になっているエラーを調整した。

 

それ以降約1週間おきに通院していただき、メンタル系の調整が含まれていることから二枠の予約をとっていただき調整を継続。4回目の来院には、肩、首、顎関節周辺の機能異常部位の検査反応が示されなくなり身体的な症状は改善した。その後、以前からあった閉所恐怖症や悪いニュースを聞いて不安感を感じるなどのパニック症状のメンタル系の調整へと進んだ。PCRTの検査では、エレベーター、新幹線、飛行機など逃げられないような狭い空間のイメージで全て陽性反応が示された。

 

7回目以降の施術からかなり改善してきたので一枠の予約で通院していただき、10回目の来院時には、「だいぶん落ち着いてきた」とのことで、過去のトラウマに関係する誤作動記憶の反応はほとんど出なくなっていた。3週間ぶりに二枠で予約をいただいた際には、野球のクラブチームの現在進行形のストレスが睡眠や不安感に関係していた。コーチとして板挟み的なストレスが関係しており、そのモヤモヤした感覚を調整することで、施術後にはスッキリした感覚があった様子だった。

 

その後、また何かあったらご連絡いただけるとのことだったが、2ヶ月ほど経過して、ご予約の連絡がないので、安定しているのではないかと願っている。

 

 

2021年3月26日金曜日

「何もすることがないこと」の恐怖

先日、カンブリヤ宮殿という番組を途中から見た。料亭などで料理を際立させるために添えている「葉っぱ」を売って、年商2億6000万円を稼ぎ出すという「いろどり」代表取締役、横石知二氏が紹介されていた。

http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/bn/080728.html


横石氏は、高齢者がワクワク働ける仕組みを構築して、そのシステムのお陰で高齢者は生き甲斐を見出し、その地域の医療費もかなり削減されているという。なのと80歳を超えるおばあちゃんたちが、パソコンを使って全国の「葉っぱ」市場の情報を収集して、自らマーケティングを行って、葉っぱを売りさばいているという。おばあちゃんたちは、自分が働いた分だけ稼げるので毎日が楽しくて仕方がない。その「葉っぱ」のビジネスができて以来、その地域には似合わない立派な家が建てられている。


その番組の司会をしている村上龍氏が、「何もすることがないこと」は恐ろしいことと、本質的なことを洞察した意見を述べていた。この「葉っぱ」の町では、高齢者が稼げるビジネスがあるので、高齢者はいつもニコニコして身体も心も豊かになっている。病気になるのが当たり前かのように言われている高齢者が元気一杯。逆の見方をすれば、豊かな日本で、何もすることがなくて、病気になっている人がいかに多いということの証明でもあるが、村上氏は何もすることがなくて、罪を犯す若者が増えてきていることにも触れて、「何もすることがないこと」が、いかに怖いことなのかを鋭く指摘されていた。


心身条件反射療法のような本質的な原因を調べる検査をしていると、「何もすることがない」ということが、いかに病気や体調不良の原因になっているかが良く分かる。現在、注目されている「認知症」の原因も、「何もすることがない」というところから始まっているようで、家族的にも社会的にも何もすることがなくなってきてから、認知症が発症し始めているように感じる。


「何もすることがない」ということは身体だけではなくメンタル面の健康にも非常に良くない。


現在、高齢者の医療費のことで、問題になってるようだが、「高齢者=病人」のような錯覚を生じさせる制度を作るよりも、高齢者が死ぬまで楽しんで働ける仕組みを作ってほしいと願う。その方が、明らかに病気も減り、医療費が削減できるだろう。その証明は、今回のこの番組の例を見ても明らかではないだろうか。


病気や犯罪の原因は、「何もすることがないこと」などと単純に答えると、ピントがズレているかのように思われるかもしれないが、豊かな国では、そのことが原因になっているのである。家族的にも社会的にも、若者や高齢者が「楽しく働ける仕組み」は、「最高の医療改革」、「幸せの源泉」になるかもしれない。


2008731 ()

保井志之

2019年11月9日土曜日

「私はいい人である」という「基準」がもたらす緊張 (赤面症)

赤面症で通院されている患者さんの一コマで、奥に隠れていた誤作動記憶のパターンが分かったのでご紹介したいと思います。赤面症の症状は初回からするとかなり改善され、表情にも豊かさが現れている様子、でも時折、症状が出るのではないかと不安になるような状態。

目安検査で示されたのは、近所の人と対面で話をする場面のイメージで陽性反応

誤作動記憶の検査をすると、「恐れ」の反応

術者:「今までの傾向だと、“どのように評価されるか”ということがよく反応で示されていたと思いますが・・・」

術者:「今回も「いい人」であるかどうかの評価が気になっている自分がいる可能性がありますか?」

患者:「そうですね・・」

PRT陽性反応

術者:「ご自分にとって“いい人の基準”があるとしたら、どんな人でしょうか?」

患者:「“人に迷惑を掛けない”、“嘘をつかない”、“人の悪口をいわない”・・・」

術者:「それは悪い人ではない基準になりそうですが・・。悪い人でなければいい人のようになっているかもしれませんね・・・」

術者:「いい人の基準というと、幅が広いと思うのですが、心当たりのあるいい人の基準、あるいはモデルはないでしょうか」

患者:「・・・・・ん? 漫画の主人公???」

PRT検査

術者:「あっ、今の言葉で反応しているので、その漫画の主人公がいい人の基準なのでしょうね」

術者:「脳(無意識)は漫画の主人公のようなヒーローが基準になって、そのように評価されているかどうかを気にして緊張しているということですね・・・」

患者:「・・・・あ〜なるほど、それはあり得る(笑)」

調整を行い、誤作動記憶の反応は消失しました。

[考察]
患者さんは昔から漫画が好きで、よく読まれているとのこと。恐らく知らず知らずに漫画の主人公の人格が自分の無意識に投影されて「在るべきいい人」の基準になっていた様子です。以前にも別のキーワードで「漫画の主人公」が関係して誤作動記憶の調整をしたことがあり、今回は患者さんも比較的早く「漫画の主人公」が関係しているかも・・・と察しがついた様子でした。今回の誤作動記憶のパターンは、「相手にどのように思われるのか」ということが誤作動記憶の原因になっていました。

そして、それは以前にも繰り返されていた誤作動パターンなので、さらにその奥にある誤作動記憶のパターンを引き出すために質問を深めていました。「人にどのように思われるか」ということは誰もが気に掛かることです。しかしながら、人それぞれに「基準」が異なります。いい人の基準のハードルを高くすれば、緊張度は高まりますし、逆にハードルを低くすれば、緊張度は低下します。注目すべきはその人がどのような「いい人の基準」で緊張のスイッチを入れているか、さらにはその「基準」ができた「経緯」はどこからかということです。

今回の事例ではよく読んでいた漫画の主人公からの情報によって、「いい人の基準」が学習記憶された様子でした。私たちは、幼い頃から見てきたヒーローものや、悲劇のヒロインを主人公にした漫画やドラマで、知らず知らずのうちに影響を受けていることもあるようです。そして、それが隠れた信念体系となり、心の基準を創って、メンタル面や身体面に制限をかけてしまうようです。「まさかそんなことが心身に影響を及ぼすなんて・・・」と思われる人もいるかもしれませんが、脳の神経回路の誤作動記憶という視点から見ると、起こりうる因果関係です。このような施術で改善する多くの患者さんの実例から見ても辻褄があいますし、患者さんご自身が納得されていることがとても大切だと考えています。さらなる改善を期待しています。

2018年11月24日土曜日

首の痛みが教えてくれた「結婚の目的」

30代の女性が首の痛みを訴えて来院。最初の頚部痛の施術で肉体のみのハード面の施術を行ったが、深いところの緊張が改善されていない様子。そこでメンタル系のソフト面の施術を行う。検査では「意欲」に関係していたので、将来の意欲に関係することを意識してもらい調整。施術後に痛みは軽減したが、11日後に首の痛みが継続しているとのことで再来院。その日も将来の意欲で調整したが、同じ意欲のパターンなので、恐らく内容が不明瞭であると推測。詳しい内容をお聴きした方が調整も効果的になると思い、「話せる内容であれば内容を教えていただければ」と尋ねる。

前々回の副鼻腔炎の施術の際にも深い内容のことを伺っていたので、恐らくそのことに関連したことだろうと、内容をお聞きした。「もしも、意欲的になっているとすれば、仕事と家庭を両立させるとのことかな・・」という。そこから、生体反応検査を行いながら、質問させていただき、深いレベルの無意識を探索。

*コーチングのやり取りが厳密ではないが以下のように進めた。

何のために仕事と家庭を両立させるのですか?
「幸せのため・・・」
あなたにとって仕事と家庭の両立で得られる幸せとはなんですか?
「・・・良きパートナーと巡り会えて・・・子供を産んで幸せな家庭を築く・・・」
そもそも、結婚の目的は何ですか?何のために結婚をするのですか?
良きパートナーと巡り会えて、子供が生まれると幸せになれそうですか?
「いや・・・お互いに成長しながら家庭を築いていくこと・・・」

生体反応検査法ではさらに深い意欲の目的はないようなので、そのことを認識してもらい調整。その後、調整前にあった首の回旋時痛は消失した。また、将来への意欲に関係する目的が整理された様子で、喜んでいただいた。恐らく、ご本人は将来について深く考えていたのだろう。なぜなら過去に色々経験をされていたので、今度はそのようなことが繰り返されないようにと真剣に自分の将来について考えていたのが伝わってきた。恐らく、「何のために結婚するのですか」などと、誰からも質問されたことはないだろうし、一般的に「幸せになるため」としか答えようがないだろう。そこで、いきなり「あなたにとって幸せとはなんですか?」と尋ねられると、返答に困るのが普通だろう。

結婚して、子供を産んで、家庭を築いて、幸せになれるかもしれないし、なれないかもしれない。それはその人それぞれの価値観であるということは言うまでもない。ただ、あえていうならば、幸せとは「創り出すもの」で、単に「与えられるモノ」ではないだろう。むしろ、「与えることで得られるモノ」かもしれない。多くの人にとっての幸せは、良きパートナーを得ることや子供を授かることかもしれない。確かにそうかもしれないが、そこから何かを与え続け、創造していかなければ幸せは得られないだろう。「幸せ」は何かを得るということよりも何かに向かって前進し続けていく過程で遭遇するものではなかろうか?

今回ご紹介させていただいた患者さんも、恐らくそのようなことをどこかで考えており、施術の質問を通して気づかれ、モヤモヤした心の葛藤が整理されたようだ。そして、それに伴って首の痛みを生じさせた無意識の緊張がほぐれて症状改善につながったようだ。

首の痛みが人生にとって大切なことを教えてくれた一症例である。

2018年9月16日日曜日

過去の記憶が急性腰痛の原因

50代男性。腰痛と肩こりが主訴で来院。定期的に腰痛があるとのことで、今回は左腰部、左股関節周辺、並びに右肩関節周辺の機能障害。アクティベータ療法で調整すると、すぐに筋肉の働きも正常化して、症状も改善する。しかし、次の来院日にはぶり返していた。3回ほど継続的に施術をさせていただいた。毎回、治療後は症状が軽減しているようだが、朝起きた時が悪いという。ハード面の施術だけ様子を見ていたが、寝ている際のイメージで誤作動記憶の反応が毎回示されたので、次回はソフト面の施術の提案をした方が良いだろうと考えていた。朝起きて症状がある場合は、寝ている間の無意識の誤作動を疑う。

4回目の来院時、ぎっくり腰(急性腰痛)のように悪いとのこと。寝ている状態でのイメージ検査でも陽性反応が示されるので、ハード面調整を行なった後にソフト面調整法を行なった。寝ている状態を目安に検査を進めていくと、いくつかのキーワードが示され、会社の人事異動に関することで、責任のある立場に関する事柄がストレスになっていた様子だった。恐らく脳は無意識にそのことを思い身体を緊張させたのだろう。調整後はかなり改善した。

その次の日の来院の際、前回の改善が維持されている様子。朝起きた際の腰痛も良かったとのことだった。機能検査ではかなり改善しているのに、痛みをかばっている様子があるので、おそらくエピソード記憶が関係しているのではと予測した。そして、検査では予想通りエピソード記憶の陽性反応が示され、その誤作動記憶を調整。さらに検査をすすめると。「恐れ」→「時系列」→「六ヶ月前」に反応を示す。『六ヶ月前に何か「恐れ」や「不安」などに関係することで、思い当たることがありますか?』と尋ねると、丁度、その時に人事異動の辞令を受け、いくつかの恐れや不安があったとのことだった。

前回の施術で人事異動がストレスとして関係していたことは知っていた。しかし、6ヶ月前に初めて会社から人事異動の辞令を受けたことまでは知らなかった。でも、PCRTの検査では、ピンポイントで誤作動記憶の陽性反応にたどり着く。このようなピンポイントの誤作動記憶の検査結果で多くの患者さんは驚かれる。そして症状がその誤作動記憶の調整で改善するので、その記憶が影響を及ぼしていたということを認めざるを得ない。

施術者は淡々と検査を進めてはいるが、「ん〜なるほど!」と因果関係が明確になるとが、内心とても面白い。「面白い」というと、辛い症状を抱えている患者さんに対して不謹慎かもしれないが、原因があっての結果なのだという繋がりが明確になることが、難問を解決したように面白い。このように人間の脳の記憶が、いかに慢性症状に影響を与えているのかということをもっと多くの人に知ってもらいたいと思う。

2016年8月22日月曜日

オリンピック選手のコメントに変化が・・・


今日でリオのオリンピック閉会式を迎えました。今回のオリンピックは単に競技だけでなく、選手のメンタル面に興味が注がれました。先日、たまたま目にしたオリンピックのテレビ番組で、重量挙げの競技で銅メダルを獲得した三宅宏実選手が試合後のインタビューを受けていました。インタビュアーが、「最後は、どのような心境で競技に臨んだのですか?」と質問すると三宅選手が「2回目は失敗しているので、後は、天に任せるだけで・・・」というようなコメントしていたのが印象的でした。大会前に腰痛が悪化したとのことで、恐らく最後は開き直って「無心」で挑戦したのでしょう。

最近、スポーツのメンタルトレーニングやコーチングなどの手法がだんだんと広く浸透してきているのか、スポーツ選手のコメントに変化が表れているように感じます。オリンピック選手ともなれば、国レベルの期待や世界からの注目度から生じるプレッシャーは、計り知れないものがあるとオリンピックを経験した多くの選手は語っているようです。「オリンピックには魔物がいる」と、体操で金メダルを獲得した内村航平選手が話していたそうですが、後に「魔物は自分自身で創りだしている」ということが分かったらしく、後輩の白井健三選手にアドバイスしていたといいます。

通常、ミスするはずのない場面でミスをしてしまうと、「何かにやられた!」と思いがちになり、「魔物」などのせいにしたくなりますが、実は自分の無意識が引き起こしているのです。「魔物」というのは、私なりに表現すると「無意識の誤作動」なのですが、この誤作動が生じる傾向は、深い心理面に関係するようです。私の心身相関に関連する臨床経験でも多くのスポーツ選手が、本来の実力が発揮できなくなるような誤作動記憶のパターンが浮き彫りにされることがあります。

選手それぞれに異なる誤作動記憶の背景がありますが、多くの傾向として、優勝して自分がチャンピオンの立場になると、「守り」に入ってしまう傾向があるようです。「守り」と対照的になるのが「挑戦者」の精神です。試合のパフォーマンスをサポートさせていただいている選手には、次の対戦相手やパフォーマンスを想像してもらい、心身相関的に「誤作動記憶」がないかどうかを検査します。自分の置かれた立場や地位を守るような気持ちで試合に臨むイメージをすると誤作動反応が示され、挑戦者の気持ちで試合に臨むイメージをすると、誤作動反応はなくなる傾向があります。

多くの選手は勝つために試合をしているので、「絶対に勝つ!」という意気込みで試合に臨むわけですが、「絶対に勝つ」という意識は身体機能に誤作動を生じさせやすくなる傾向があります。それよりも、「普段の練習通り」という思いで試合に臨むと、本来の実力が発揮され、理想的なパフォーマンスができる選手が多いようです。

今回、惜しくも4連覇を逃した吉田沙保里選手の試合直後のコメントから察するに、「・・・で申し訳ないです」あるいは、「日本選手の主将として、金メダルを取らないといけないところだったのに、ごめんなさい」というようなコメントは、多くのプレッシャーを背負って臨んだことが伺えます。もしも、「普段の練習通りに・・・」という思いだけで戦っていたら本来の実力が発揮できていたのかもしれません。それは単なる勝手な予測にしか過ぎないですし、相手がいる競技ですので、相手の実力が上回っていたのかもしれません。

「勝っても負けても、今まで練習してきた通りに全力が出せる」と、心の底から思えることができればいいのかもしれませんが、無意識の心はそれほど簡単ではないようです。

選手によっては、「周りからの声援が大きいほど、実力がだせる」という傾向の人もいますが、本番での無意識の誤作動記憶のパターンがあるかどうかは、事前に検査をすれば分かります。孫子の兵法に、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」とあります。敵の実力やメンタル面も含めた現状をしっかりと把握し、自分自身の実力や深いメンタル面も良くわきまえて戦えば、勝ち続けることができるということです。

昔から武道においても「無心」になることが重要視されています。スポーツ選手が勝利したとき、「無心で走りました!」「何も考えていなかったです!」などという「無心」であったであろうコメントを聴くことがあります。恐らく、それは「ゾーン」か「フロー」といった状態の時のことで、そのときに多くの選手はピークパフォーマンス、すなわち最高のパフォーマンスが発揮できるとだといわれています。

スポーツ選手をサポートする治療者として、単に肉体面だけでなく、このような隠れたメンタル面のケアができるかどうかはとても重要な役割になると思います。多くの治療者がもっと本質的なところに興味をもっていただき、活躍する選手の縁の下の力持ちになってくれればと願います


2016年3月1日火曜日

摂食障害の改善

【経緯】
最初は首や背中の痛みの改善目的で来院されていた患者さんから「言いにくいことだけど相談がありまして・・・」と、長年、「摂食障害」で悩まれているとのことで相談を受けた。摂食障害にも色々あるが、相談を受けた患者さんは、満腹感を感じるまで食べて、嘔吐を繰り返すというタイプとのこと。以前は太っていたが、そのパターンを繰り返すことで理想の体型を保てていたという。

一回目の施術
〈PCRT検査〉
お腹いっぱい食べないと気が済まないというイメージ=陽性反応
太ってしまう恐怖=陽性反応
関連キーワード=「慈悲心」(自分に対する)⇒存在感⇒自分がどんな風であっても認めてあげたい=陽性反応

二回目の施術(5日後)
〈患者のコメント〉
施術後、気持ちが楽になった気がします。
〈PCRT検査〉
お腹をいっぱいにする恐怖=陽性反応
関連キーワード=「慈悲心」(自分に対する)⇒存在感⇒太っていても自分の存在を認めてあげる

三回目の施術(4日後)
〈患者のコメント〉
お腹いっぱいにして吐く習慣はなくなったけど、その代わりに下半身のむくみや下腹部の張りが気になります。
〈PCRT検査〉
飲み物全般+執着心=吐きやすくするために飲むことに意識が向いていた。忠誠心=趣味=ダイエット=太らないようにすべき

四回目の施術(3日後)
〈患者のコメント〉
吐く習慣がなくなったので当然なんでしょうけど体重が3キロぐらい増えて、お腹の張りやむくみが気になります。
〈PCRT検査〉
慈悲心=苦しんでいる自分に対して 成長(価値観)=乗り越えようとしている自分に対して満足度が低い 復讐心=今までダイエットのためにお腹いっぱいまで食べ、嘔吐していた自分

五回目の施術(3日後)
〈患者のコメント〉
前回の施術の後、以前のように体重に対してはあまり気にならなくなり、今のままの自分でいいという意識がでてきました。今は、お腹を満たしたいというよりも、口を満たしたいという習慣が気になっています。
〈PCRT検査〉
口さみしくなるとき=陽性反応
⇒警戒心⇒つながり・愛情⇒お母さんとのつながり⇒痩せた時自慢の娘といわれた⇒お母さんに認められたい(承認)

六回目の施術(4日目)
〈患者コメント〉
吐いたりする行為はなくなったが、数年前から夜中に起きて甘いものを食べる習慣があります。その行為も異常だと思っていませんでしたが、最近、嘔吐する摂食障害がよくなって、それも異常な習慣だと感じるようになりました。
〈PCRT検査〉
夜中に甘いモノが欲しくなる記憶=陽性反応
意欲⇒つながり・愛情⇒ご主人⇒聴覚⇒ご主人からの言葉の満足度が低いための欲求

【考察】
摂食障害にも様々なパターンがあるが、満腹感を得られるまで食べ嘔吐を繰り返すというパターンは比較的多いかもしれない。今回ご紹介させていただいた患者さんの摂食障害は15年以上も続いたとのこと。深層心理的に深い内容が絡んでいたにも関わらず、このPCRTの検査で施術を進めていくと比較的早期に改善がみられる。早い人では1回から2回の施術で異常な過食の欲求がなくなり、だんだんとスマートな体型、というよりも本人らしい理想の体型になっていく患者さんもいる。恐らく通常の心理療法やカウンセリング療法であれば、ここまで深い誤作動記憶にたどり着くには相当な時間がかかるだろう。PCRTは摂食障害など、深層心理に関係する無意識の誤作動記憶の施術には効果的ではあるが、本人が本当に心から治したいという気持ち(コミットメント)の度合いが強くなければ効果が得られないというネックはある。しかしながら、摂食障害に限らずメンタルヘルスに関係する障害で、本人のコミットメントの程度が高ければ高いほど、PCRTによる施術効果は高いと感じている。

2015年5月14日木曜日

薬物依存の治療

50代前半の女性の患者さんが、薬物依存の傾向があるので、改善したいとの希望。薬物はデパスという抗不安薬である。不安感に襲われるとその薬物でその場をしのいでいた経験が長く続いているとのこと。最近、その頻度が多くなり、薬物から解放されたいとこのことだった。

検査を行ってみると、隠れた原因パターンは過去のお母さまとの関係性が絡んでいた。その背後にある信念などの「心の構造」を明確にしながら、脳に学習されていた「誤作動記憶」の陽性反応を施術した。

その後の来院で、薬物依存の治療の後、すごく気分が楽になり、週末も心地よく過ごせたのとのご報告をいただいたが、トイレなどの狭い空間や、高速道路の運転などで、気持ちは大丈夫だが、何かいつもとは違う妙な感覚があるとのこと。

検査をしてみると、感情や信念、価値観などの大脳辺縁系関連の誤作動反応はでない。その代わりに、エピソード記憶(大脳皮質系関連)の誤作動反応がでた。つまり、脳の中で記憶された症状、すなわち、脳で創り出される違和感の「誤作動記憶」だった。

依存症の治療は、ご本人のコミットメント(本当にやめたいという覚悟)が50%以上なければ、治療効果を引き出すのが難しくなる。言葉では止めたいといっても、心の奥では止めたくない自分がいたりする場合が大半を占める。止めたいと思いつつも、止めたくない自分もどこかにいるということを認めながら、止めたい自分が50%以上優っている場合は、治療効果がすぐに引き出せる。

今回ご紹介させていただいた患者さんは、別の症状で治療を受けており、信頼関係のレベルが高かったので、治療効果がすぐに引き出せたようだ。本症例は、「大脳辺縁系」と「大脳皮質系の両方に絡んだ症例だった。

2015年4月3日金曜日

コア・マッスル強化トレーニングで腰痛? (コーチング手法を取り入れた症例)

高校2年生。進学校に通い勉強も熱心で、水泳の練習もまじめ、将来がとても楽しみな優秀な青年である。

最近、本屋さんで水泳選手のための体力強化が解説された本を購入したとのこと。書かれている練習方法が納得のいく内容だったので、それを参考にして腰部のコアトレーニングを始めたらしい。なぜか、そのトレーニングを始めると腰痛を感じ、泳いでいても腰に違和感があり、スムーズな泳ぎができなくなっているとのこと。

腰部に関連する全体的な検査では、個々の筋肉バランス異常はあまり見られない。そこで、コアトレーニングのイメージをしてもらうと、明らかに誤作動の陽性反応が示される。また、泳ぐイメージをしてもらったところ、それもまた陽性反応が示される。

コアトレーニングを始める数か月前に来院された際にも、水泳のイメージで反応が示され、その誤作動の治療をしていたので、直感的に、これは、新しく始めたコアトレーニングが関係しているのではないかと思った。

恐らく無意識的に、身体のバランスがコアトレーニングの方に傾きすぎて、何のために泳いでいるか脳が混乱している状態なのかもしれない。

脳の身体の関係性を探索するために、コーチング手法を取りいれながら、生体反応検査を行い、関係性による誤作動の陽性反応を観察。

「泳ぐ目的は何ですか?」

「えっ、早く泳ぐことです・・・」

「早く泳ぐというと、明確なタイムのゴールがあるということですね。そのタイムに達するとどうなるのですか?」

「九州大会・・・インターハイ・・・」いろいろなキーワードが出てきて、「インカレ???」でも大学では競技というよりも楽しんで泳ぎたいかもしれない・・?」

このような質問しながら、同時に生体反応検査をしていると、段階的な複数の目標のイメージに対して、陽性反応が示されていたので、「その数値的なゴールが得られたときと、あるいは、そこに向かっている途中のプロセスで得られる『モノ』はなんですか?」という深い質問を投げかけた。

「?????得られるモノ???」

「すぐに答えられるような質問ではないかもしれませんので、ホットパックの間に考えてみてください。」

10分後

「どうですか?」

「難しいですね・・・」

「この質問は、人の行動の背後にある価値観、分かりやすくいうと心のエネルギー源のような『モノ』を尋ねた質問です。」

「その価値観の例として、このようなキーワードがあります。」

「安心・安定」「刺激・変化・挑戦」「存在感・重要感・特別感」「つながり・愛情」「成長」「貢献」

「これらの言葉で、心に響くキーワードはなんですか?」

「挑戦」ですね。

「そうでしょうね。○○君は、例え目の前にあるゴールを達成したとしても、次を目指して挑戦し続けるでしょうね・・・」

「ゴールに挑戦することが心の栄養素になっている感じですか?」

「はい(笑)」

「では、そのことを十分に感じながら泳ぐイメージをしてみてください。」

「そのイメージで検査をすると、誤作動の陽性反応はでていませんね。」

「それでは、その挑戦というご自分が大切にしている価値観を意識しながら、先ほどのコアトレーニングのイメージもしてみてください。」

「それも陽性反応はでていませんね。」

「それでは、目の前のゴール、あるいはコアトレーニングに意識が向き過ぎて誤作動を起こしていたパターンから、ご自分の大切な価値観を意識してゴールに向かっている健全なパターンに切り替える治療をしましょう。」

治療後、

「あっ、はっきり見えるようになった・・・」

いきなり、何かと思ったら、天井に貼っている視力検査の記号が、治療前はぼやけていたのに、治療後にはっきり見えるようになって驚いたそうだ。

直接的に心因性視力障害の治療をしたわけではないが、間接的に視力が改善されたようだ。

コアトレーニングも大切だが、ゴールに向けた自分の価値観や信念などのメンタル面を統合させてトレーニングすることがもっと大切だという学びがあった。

施術にコーチングを取り入れて、総合的な視点で診て、効果を発揮した症例である。

2015年3月27日金曜日

難治性の蓄膿症

30年以上も前から慢性的な蓄膿症の症状で悩まれているとのことで来院。5回目の来院でしたが、蓄膿症だけでなく、他の症状も改善されたとことで、大変喜んでいただきました。施術を受ける前に、拙著「体の不調は脳がつくり、脳が治す」を読んでいただいていたとのこと。PCRT療法に対する理解と信頼関係もうまく構築されたように思います。メンタル面だけではく、様々なアレルギー情報も関係していました。

長年抱えた慢性症状にも長年抱えるだけの「学習記憶」があり、その誤作動の記憶をひも解いていくことで症状も徐々に改善されました。心の奥に隠れている潜在的な感情や心の構造をご自分で認識することで、様々なメンタルブロックが解除され、本来の自然治癒力が引き出されたようです。このような治療効果も「信頼関係」があってのことです。患者様と術者間の信頼関係、ならびに自分自身の治る力を信じるということはとても大切なことだと改めて感じさせていただきました。


2015年2月3日火曜日

「生体反応検査」で分かる誤作動

昨年度より、キーワードのチャートを使った検査法を取り入れておりますが、メンタル系に関係する脳の学習記憶による誤作動の特定がスムーズで、患者様にも分かりやすく治療効果が得られているようです。

最初は、言葉の文字を見ただけで身体が反応を示すということに、「え、え、???」という感じになられた方も少なくはないと思います。私たち治療者はこのように身体を使った検査法を「生体反応検査」といい、言語情報を使った検査を「言語神経反射検査」と呼んでいます。

古来より言霊として語られているように、言葉には見えない力が宿ると信じられてきております。長年、言葉に関する臨床研究を積み重ねてきましたが、結論的に「言語」=「情報」=「エネルギー」=「波動」=「気」という法則が当てはまります。これはエネルギー医学の分野でもいわれていることです。

例えば、日本語のチャートを使った「言語神経反射検査」を日本語の意味が分からない英語圏の患者さんや小児に検査を行っても、文字を眺めるだけで「反応を示す言語」と「示さない言語」が明確に示されます。

この反応は、言葉の「意味」というよりも言葉の「情報」=「エネルギー」が脳を刺激して生体エネルギーが無意識的に反応を示していることになります。脳には様々な「情報」をキャッチする機能が備えられておりますので、普段意識していない情報でも敏感に反応が示されます。

また、脳は高度な記憶装置を備えていますので、その情報が学習記憶され、誤作動を生じさせて様々な症状を引き起こしてしまいます。検査で引き出された学習記憶の情報が深ければ深いほど本質的な改善につながりやすく、表面的な感情の背後にある価値観や信念に関係することが多いようです。

チャートは、「感情」、「価値観」「信念」に関係する分野に分かれており、普段意識していない言語で反応を示すことが多いようです。特に信念や価値観に関係する自分の中にあるルール、すなわち『~べき』や「~ねばならない』が影響を及ぼしていることを知ることで脳の柔軟性が広がり、様々な変化に対するストレスへの耐性がついてきます。

「諸行無常」という仏教思想があるように、あらゆるものが常に流動的に変化し、同じ状態が続くということが不自然であるという前提があれば、信念や価値観に対しても柔軟性が広がり、様々な環境での適応力も変化するかもしれません。

生きていくうえで「ストレス」という刺激は常に存在し、常に変化し、進化し続けています。私たちはそのような流転するストレスと共存しながら生活を営む必要があります。本質的な健康を保つためにもこの流転するストレスとの共存は必須条件です。

最良の健康を維持していくために、メンテナンス的にもファミリーカイロでの治療をご利用ください。よろしくお願い申し上げます。