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2021年5月28日金曜日

意識の電気信号を使って症状を治す

 先日、NHKの番組で、脳と機械をつなぐ新たな技術「ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)のことが紹介されていた。脳卒中で手の動きが麻痺した人に脳と連動したリハビリ装置を装着し、患者が自分の意識で念じてその意識信号をBMIに送り、ロボットである装着器具を動かそうとする。AIを活用して患者が念じている脳波をキャッチしてBMIを動かそうとするという。最初はどのように念じればロボットが動くのかうまくできないが、段々と訓練をしているとロボットを動かせる様になり、同時に新たに脳の神経回路が構築され、ロボットの力を借りなくても自動的に手を動かすことができる様になる。

臨床研究では約7割の患者に改善の効果があり、今後はその機器を市場に販売していく計画らしい。意識で念じてロボットを動かす研究は10年以上前にニュースを通じて知っていた。PCRTのセミナーで当初から話している脳の可塑性(変化する機能)に通じる理論が人工ロボットの分野にある。そのような脳の可塑性につながる内容も興味深く情報を集めてブログやセミナーなどで紹介させていただいていた。


PCRTの施術法の一つで「意念調整法」という療法がある。簡単に言えば意識の電気信号を使ってエネルギーブロックを解放させ症状を治す療法である。念じてロボットを動かすという行為と同様に、念じてエネルギーブロックの波動、波長に働きかけるという施術に通じるものがあると以前から感じていた。このような生体を使った検査法や意識による意念調整法は患者と術者間の脳の波長を合わせて検査し、調整する必要があると常々感じており、その波長合わせには訓練が必要で、適切な訓練ができれば多くの人がマスターできると考えている。


ただ、少なからず、その訓練がうまくいかないこともあるので、念じてロボットを動かす訓練の様に、訓練の仕方をさらにバージョンアップしていくことができればと考えている。先日行われたPCRTの実技セミーにおいても、意念調整法で科学的な仮説などがあれば教えてほしいという質問があった。科学というものを信頼している現代人にとっては「意念調整法」というのは、眉唾的な療法に思えるだろう。テレパシーや意識の研究をしている科学者の論文を引用して仮説を述べることも不可能ではないと思うが、科学と言われる様な膨大なデータを取っているわけではないので、厳密なアカデミックな世界でいわれるような科学というには程遠い。


しかしながら、私はアカデミックな科学を尊重しながら、臨床現場における客観性や再現性、そして、それに伴って施術効果の結果にはこだわってきた自負があり、その姿勢で30年臨床経験を積み重ねてきた。長い臨床経験で様々な療法を学んできたし、臨床研究による施術法の開発も行ってきた。再現性や客観性、そして、結果が伴わなければ、すべての方法論や手法は切り捨ててきた。現在も客観性や再現性を重んじてセミナーで指導をさせていただいているし、やはり結果にはこだわりを持っている。アカデミックな科学的論文を指標にすることも大切だが、私は臨床現場の結果を指標に今後も臨床研究を継続していくつもりである。


意識でロボットを動かすこという「意識」そのものが電気信号であり、生体エネルギーである。そして、

その波長が脳波に何らかの影響を及ぼしているということだろう。私が開発した意念調整法も100%とは言えないにしてもそれに近い確率で効果があるという確信に基づいて、その技法をセミナーで紹介している。今回参加してくださった受講者のほとんどの方が意念調整法を使って何らかの結果を感じてもらっている。おそらく意識でロボットを操る訓練の様に、意念調整法での適切な検査法、調整の際の意識の送り方、念じる感覚を掴むことでさらに成果も上がると思う。


今後もさらなる臨床経験を積み重ねて多くの患者さんに喜んでいただければと願う。


2021年2月16日火曜日

「配線理論」から「電波理論」への進化

 「脳を司令塔とする神経系は身体の働きをコントロールしている。だから神経系の働きを整えて健康を維持しよう。」という考え方は理にかなっている。その考え方に基づけば、神経系の解剖や機能の知識は大切になってくる。言い換えると、神経系の知識があればあるほど、体の働きを調整するエキスパートのようにも思えてくる。長年、臨床現場でさまざまな症状を抱えている患者さんたちの施術をしていると、確かに神経系の知識は必要だと思う。

 しかしながら、神経系の解剖、機能に基づく知識だけでは辻褄が合わないことに多々遭遇する。例えば、膝の慢性的な痛みの患者さんで、神経学的に考えると膝の働きに関係する神経末端の神経受容器、その上位レベルの脊髄神経、さらにその上位レベルの中枢神経という神経経路、すなわち、神経の電気信号が流れる配線に沿って問題があるのではないかと考えるだろう。

 

確かにその配線理論に基づいて、神経系の流れに沿った部位を活性化(施術)することで、神経系の機能が改善され、症状が改善されることがある。しかし、その神経系の機能の異常を引き起こす原因は何かと考えると、その配線理論では辻褄が合わない。多くの臨床家にとって分かってはいるけれども悩ましい課題である。それは一般的にいえば、目には見えない「ストレス」である。

 

長年、神経機能異常を引き起こす原因を追求し続けた視点で言えば、脳から発する無意識の信号だといえる。別の言い方をすると、配線理論ではなく電波理論である。関節の機能に異常を引き起こす電波信号が条件付けされ、脳に記憶されているが故に慢性症状を引き起こしていると考えられる。この電波理論は、私が長年研究してきた心身条件反射療法において、「原因と結果」という観点において臨床現場で辻褄が合う理論である。

 

その理論の証明はどのようにするかと言えば、無意識の誤作動記憶を認識して調整するという実例を多くの症例で証明するしか今のところはない。このような施術を知らない治療者にとって不思議な治療法だと思われても致し方ないが、最先端の科学、量子力学、量子脳理論などでも「電波理論」「波動理論」へと進化し続けていることを考えれば不思議なことではないだろう。

 

昔は配線でつながる電話機だけだったが、今ではあらゆるものが電波でつながる時代である。そのように考えると、身体の働きも、神経系の配線機能だけでなく、電波機能でつながっているという考えに基づいて施術をすることが大切になってくる。長年、施術法の研究を継続していく過程で、神経系を深く学んだ時期があったが、やはり、臨床現場ではいわゆる神経系の配線理論には限界を感じる。このような考えに行き着くのには神経学をある程度学んできたが故に言えることだが、今後も脳、無意識、波動、そのような目には見えない電波信号、波動信号を検査して、調整する施術法を進化させていきたい。

 

2016年7月29日金曜日

再学習記憶による「治る力」を信じて健康を保ちましょう

もしも、多くの慢性疾患や難病が、「脳の誤作動記憶」から生じているとしたらどうでしょうか?「脳の誤作動記憶」とは、心と脳と身体の関係性で創られる誤作動記憶の事です。病気の原因が「記憶」にあるとすれば、「記憶」を書き換えれば新しい脳の神経回路が創られて症状や病気が改善されるということになります。脳には可塑性といって、脳梗塞などで一部の脳が損傷されても、リハビリ運動などの機能回復訓練でその機能を補う新たな神経回路が創られいるとうことが医学的にも知られています。

脳梗塞などによって受けた機能障害は目で見ても分かるような症状ですが、医学的な検査では原因が分かりにくい慢性症状もたくさんあります。その多くの慢性症状が、無意識的な脳の誤作動記憶によって生じます。原因が「記憶」という脳の神経回路にある場合、肉体内の構造異常を見つける医学的検査では判断することはできません。また、症状や病気の原因を探索する際、多くの医療では、肉体内だけの構造異常や機能異常を探そうとして、身体と心の関係性にまで目を向けることはほとんどありません。

「心が関係する?」と聞くと、多くの人は心がいいとか悪いとかに意識が向けられます。しかし、心がいいとか悪いとかで病気や慢性症状を引き起こすわけではありません。症状に関係する心のほとんどが無意識的な心です。つまり慢性症状のほとんどは無意識的な様々な誤作動記憶によって生じると考えられます。さらに広い視座に立てば、意識と無意識との心がうまくつながらないことによって不調和が生じてしまうということです。

誤作動記憶とは、知らない間に身につけてしまった間違った身体の働きの『クセ』といういい方もできます。『クセ』とは、脳と身体に習慣的に学習された記憶の結果もたらされる自動的な働きです。その『クセ』は自分の意志とは無関係に作動してしまい、意識的にはどうすることもできません。このような病気や症状を引き起こす『クセ』を改善させるためには、意識ではなく、無意識に働きかける必要があります。

無意識的に生じている身体の働きの異常を改善させるためには、まずは無意識の誤作動に対する検査が必要です。その検査をするためには、「身体を使った検査」、すなわち、身体に『刺激』を加えて、身体がどのように『反応』するかを診る「生体反応検査法」がとても大切になります。この検査法がスムーズに進められると、治療効果も高まり、症状も段階的に改善されていきます。慢性症状はこのような無意識的な心身の学習記憶によってもたらされた結果であるという前提に立てば、再学習し、記憶すれば治るのが当たり前ということになります。

本来、治る力は平等に与えられています。ご自分自身の「治る力」、再学習記憶できる力を信じて健康を保ちましょう。

2015年11月6日金曜日

「記憶と情動の脳科学」を読んで

PCRT研究会を開催する前から、慢性症状には「メンタル系」との関わりが非常に強いということと、慢性症状に関係する生体のバランス異常は、構造面ではなく生体エネルギー面に目を向けなくてはならないということが分かっていました。

其の後、心身相関と生体エネルギーの知識を取り入れながら、その視点で臨床研究を積み重ねていきました。すると、「記憶」という脳科学の分野にも密接に関係があることが分かり、脳科学の分野にも目を向けて知識の領域を広げていきました。

脳科学分野の本にはかなり目を向けてきたつもりでしたが、最近、まだ読んでいない脳科学系の本に偶然出会いました。それは、PCRTに密接に関係する『記憶と情動の脳科学』「忘れにくい記憶」の作られ方という題の本で、内容もとても興味深く、PCRTで臨床研究してきたことを裏付けてくれるような内容でもありました。

慢性症状の原因が、「誤作動記憶」にあるということに触れてはいませんが、「記憶」と「情動」(感情)が密接に関係しており、長期記憶には「情動」が深くかかわっているということを分かりやすく説明しています。PCRTの視点でいえば、慢性症状を引き起こしている脳の誤作動が、長期に記憶されているから症状が長引いているとう説明の裏付けとなります。

この本では「情動」という一般的には聞き慣れない言葉と使っています。英語では、情動はEmotion、感情はFeelingsです。PCRTでは、一般の人にも理解しやすいように、EmotionもFeelingsもまとめて「感情」という用語を使っています。とくにPCRTで扱う感情は、潜在的、あるいは無意識的な感情であるということが、「ミソ」です。

この本で興味深いところは、長期の記憶には、「情動」が深く関係しているというところのほかに、「捏造される記憶」、『「思い出すこと」=「創り出すこと」』、「蓄積してきた記憶が組み合わされる」『「予測」は過去の記憶があってこそ』などで、PCRTの理論背景と通じることが多く見受けられます。

著者のジェームズ・マッガウ氏は、「学習」と「記憶」の分野で研究を継続しているアメリカの神経性物学者で、半世紀にわたって記憶に関する神経生物学的プロセスを研究してきました。このようなPCRTと密接に関連する著書に出会えるということは、臨床研究を積み重ねている臨床家にとっては多大な喜びです。

パブロフから始まった「古典的条件付づけ(条件反射)、「道具的条件付け」「学習」、「行動」、「習慣」、そして「記憶」に関するこのような研究成果には、「慢性症状」を改善させるヒントがたくさん含まれていると私は考えています。

今後も、このような研究者の著書に遭遇できるようにアンテナを張りながら、臨床と勉強を継続していきたいと思います。