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2021年5月28日金曜日

意識の電気信号を使って症状を治す

 先日、NHKの番組で、脳と機械をつなぐ新たな技術「ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)のことが紹介されていた。脳卒中で手の動きが麻痺した人に脳と連動したリハビリ装置を装着し、患者が自分の意識で念じてその意識信号をBMIに送り、ロボットである装着器具を動かそうとする。AIを活用して患者が念じている脳波をキャッチしてBMIを動かそうとするという。最初はどのように念じればロボットが動くのかうまくできないが、段々と訓練をしているとロボットを動かせる様になり、同時に新たに脳の神経回路が構築され、ロボットの力を借りなくても自動的に手を動かすことができる様になる。

臨床研究では約7割の患者に改善の効果があり、今後はその機器を市場に販売していく計画らしい。意識で念じてロボットを動かす研究は10年以上前にニュースを通じて知っていた。PCRTのセミナーで当初から話している脳の可塑性(変化する機能)に通じる理論が人工ロボットの分野にある。そのような脳の可塑性につながる内容も興味深く情報を集めてブログやセミナーなどで紹介させていただいていた。


PCRTの施術法の一つで「意念調整法」という療法がある。簡単に言えば意識の電気信号を使ってエネルギーブロックを解放させ症状を治す療法である。念じてロボットを動かすという行為と同様に、念じてエネルギーブロックの波動、波長に働きかけるという施術に通じるものがあると以前から感じていた。このような生体を使った検査法や意識による意念調整法は患者と術者間の脳の波長を合わせて検査し、調整する必要があると常々感じており、その波長合わせには訓練が必要で、適切な訓練ができれば多くの人がマスターできると考えている。


ただ、少なからず、その訓練がうまくいかないこともあるので、念じてロボットを動かす訓練の様に、訓練の仕方をさらにバージョンアップしていくことができればと考えている。先日行われたPCRTの実技セミーにおいても、意念調整法で科学的な仮説などがあれば教えてほしいという質問があった。科学というものを信頼している現代人にとっては「意念調整法」というのは、眉唾的な療法に思えるだろう。テレパシーや意識の研究をしている科学者の論文を引用して仮説を述べることも不可能ではないと思うが、科学と言われる様な膨大なデータを取っているわけではないので、厳密なアカデミックな世界でいわれるような科学というには程遠い。


しかしながら、私はアカデミックな科学を尊重しながら、臨床現場における客観性や再現性、そして、それに伴って施術効果の結果にはこだわってきた自負があり、その姿勢で30年臨床経験を積み重ねてきた。長い臨床経験で様々な療法を学んできたし、臨床研究による施術法の開発も行ってきた。再現性や客観性、そして、結果が伴わなければ、すべての方法論や手法は切り捨ててきた。現在も客観性や再現性を重んじてセミナーで指導をさせていただいているし、やはり結果にはこだわりを持っている。アカデミックな科学的論文を指標にすることも大切だが、私は臨床現場の結果を指標に今後も臨床研究を継続していくつもりである。


意識でロボットを動かすこという「意識」そのものが電気信号であり、生体エネルギーである。そして、

その波長が脳波に何らかの影響を及ぼしているということだろう。私が開発した意念調整法も100%とは言えないにしてもそれに近い確率で効果があるという確信に基づいて、その技法をセミナーで紹介している。今回参加してくださった受講者のほとんどの方が意念調整法を使って何らかの結果を感じてもらっている。おそらく意識でロボットを操る訓練の様に、意念調整法での適切な検査法、調整の際の意識の送り方、念じる感覚を掴むことでさらに成果も上がると思う。


今後もさらなる臨床経験を積み重ねて多くの患者さんに喜んでいただければと願う。


2020年6月3日水曜日

コロナ禍後のPCRTセミナーについて

コロナ禍の影響で、医療関係をはじめ、ビジネスや教育現場など様々に影響が及んでいます。LCAのセミナー活動も変化せざるを得ない状況で、LCAスタッフの協力を得て、セミナーに関係する動画配信を行っています。本年度からPCRT基礎1では動画による教材を販売しております。また、4月から「治療哲学」の動画を8本、「調整メカニズム」の動画7本撮影しました。現在、基礎2の動画も作成しています。

今まで動画の配信やオンラインセミナーには、「体験型セミナー」を重視するが故の抵抗感がありました。今回は必要に迫られてその準備をしてみると、今まで思いもつかなかったメリットがたくさんあることに気づかされました。

web講義のメリット
l  主催者側はある程度伝えたいポイントが正確に伝えられる。
l  受講者側は分かりにくいところは繰り返し観ることができる。

web講義のデメリット
l  ライブで質問ができない。
l  ライブでの気づきや受講者間の交流ができない。

上記のことも踏まえて、次回のPCRTセミナーでは、セミナー前のweb講義にプラスして16時間の実技セミナー(体験セミナー)を開催します。web講義だけだと、大切な「体験・経験」ができないデメリットは大きいと思いますが、web講義と連動して実技セミナー(6時間)を行うことでそのデメリットは解消されます。

受講希望者はセミナーを申し込まれると、実技セミナー前の予習教材として動画とデジタルのテキスト(PDF)で学習してもらいます。さらにClassroomというサイトを使って、セミナー前課題として、質問事項など記載していただき、課題(アンケート)を提出していただきます。実技セミナー当日にはあらかじめ動画で学習していただいた内容からの質疑応答をさせていただきます。セミナー後も課題(アンケート)をClassroomにご提出していただき、質問事項などは講師が答えて、後で受講者に動画で配信させていただきます。

初めての試みなので改善点は多々あると思います。今回の動画撮影に多大な時間を費やしています。スタッフ一同で様々な角度から考察と工夫を重ねており、恐らく今まで以上に学習効果が高く、より密度の濃い内容のセミナーになると信じています。


よろしくお願い致します。

2020年3月19日木曜日

2020年度、PCRT基礎1セミナーを終えて

お陰様でPCRTセミナーは今年で15周年目になります。新型コロナウイルスの影響が世界的に広がっている状況において、PCRT基礎1セミナーにご参加いただき有難うございました。LCAスタッフを始め、受講者の方々のご協力をいただき、出来る限り予防対策を講じて二日間のセミナーを終えることができました。

会場ではできるだけ風通しが良くなる様に十分な換気でコロナ対策をさせていただき、寒さを感じたり、騒音で講義内容が聞こえにくいところもあったりしたかもしれません。また、動画の音声も不十分でご迷惑をおかけしました。そのようなセミナー環境の中で受講者の方々に熱心に受講していただきました。お陰様で二日間充実したセミナーを開催することができました。スタッフ一同、感謝申し上げます。

今回の基礎1のセミナーでは、基本となる生体反応検査法や誤作動記憶(EB)の基本検査法などを動画でご紹介し、できるだけ実技で体験できるようにサポートさせていただきました。基本となる手順はテキストに記載されています。基礎1セミナーではボリュームが多く消化しきれない内容もあったかと思われますが、セミナー体験に基づいて、セミナーテキストを参考にご自身で今回の内容をノートにまとめて復習されると学びが深まると思います。

次回の基礎2の症状別テーマは、肩関節痛、膝関節痛、頭痛、顎関節痛、肘、手、指、足関節痛の調整法です。ソフト面調整法は、「信念チャート」や「価値観チャート」の使い方を学びます。入門編や基礎1で学んだ内容からさらに深くなってきます。生体反応検査法(PRT)がある程度できている前提で講義が進められますので、入門編や基礎1で学んだPRTを十分に訓練して基礎2のセミナーにご参加ください。

尚、PCRTセミナーでは単にハウツウ的な学びではなく「自然施術療法」の本質を伝えることを主眼に置いています。理論を十分に理解し、基礎1で教授されている基本実技を繰り返し訓練すれば、自ずと結果はでるはずです。基礎2セミナー参加にあたって、PCRTHPに掲載されている以下の事前課題を学習されると理解が深まります。

l  事前課題として、骨、関節、筋肉などの名称や部位などの基本解剖をあらかじめ学習されると内容がより理解しやすいです。
l  PCRT基礎編参考資料(HP)、PCRT基礎編参考資料(ブログ)、PCRT基礎編参考資料(メディア投稿)を読まれるとさらに内容が理解しやすくなります。



よろしくお願い致します。

2019年11月15日金曜日

2019年度PCRT上級セミナー後のフィードバック

今年最後となるPCRT上級セミナーが先日開催されました。PCRTは毎年進化し続けているため、年に一回参加される方にとっては、ハードルが高いところもあったかもしれません。PCRTの基本的な手順を踏まえての上級編ですので、「手順」よりも「本質的な原因と結果」に焦点を当ててご紹介させていただきました。今回初めてご紹介した音叉を利用した骨、靱帯、軟骨などの検査法は、主に筋骨格系の症状を抱えた患者さんには有効で、筋肉、筋膜、神経系だけの視点を超えた幅広い領域で効果を引き出すことができると思います。

ジストニアとイップスに関する調整法もご紹介させていただきました。このような症状はまさに脳の「誤作動記憶」による結果であり、脳の機能や神経の経路だけを理解して、機能低下がある神経機能を刺激するだけで改善するという単純な症状ではないということがある程度ご理解いただけたのではないでしょうか。脳の神経回路は教科書に記載されているような「線形」に表される単純な神経の経路だけで働いているわけではありません。「非線形」で「複雑系」の要素が強く、様々な脳の神経回路、すなわち無意識領域の複雑性が関係しています。

ジストニアやイップスの症状が改善する過程において、この「無意識領域」の「気づき」が必須条件になります。この「気づき」を引き出すためには有効な手順が必要で、意識レベルのカウンセリングで引き出せるものではありません。「心(脳)と身体の関係性」における検査と調整を行うことで、その「気づき」が可能になります。類似した症状でも人それぞれに原因があり、早期に改善する患者さんもいれば、時間がかかる患者さん、一度改善してもぶり返す患者さんなど様々です。このような様々な患者さんの治療の経験を重ねていく過程で、早期に治る患者さんと、期待通りの改善が見られない患者さんとの違いも見えてくると思います。

「心と身体の関係性」、「意識と無意識の関係性」、「脳の誤作動記憶」という領域を長年研究してきたPCRTですが、全てのジストニアやイップスの症状に有効とは言い切れません。これは他の症状においても同じことが言えますが、まずは治療を依頼してくださる患者さんとの信頼関係です。患者さん自身が治療法のコンセプトをある程度理解され、さらに、施術後に治療効果を体験して施術者ならびにその治療法を信頼してもらうことが大切です。あまりにも大きな期待を抱かせるような誇大な広告は信頼関係を損なう要因にもなりますので、あくまでも「可能性」として一度体験していただき、患者さん自身がその効果に納得できる前提で治療を継続してもらうことが大切だと思います。

治療者にとって、まずは「結果」が出せる「技」を身につけなければ始まりません。ジストニアやイップスにも程度があります。慢性的な肩こりや腰痛、眼瞼痙攣(ドライアイ)なども軽度のジストニアとして分類されている文献もあります。まずはそのような慢性症状を改善できる「技」を身につけて、施術の幅を広げていくことが必要かと思います。このような「技」を身につけるには、ジストニアとイップスのセミナーを単発で受講したからといってできるわけではありません。まずは、PCRTの基本となるスキルとコンセプトをしっかりとマスターすることが必須条件になります。何事も軸となる「基本」が大切で、その上で「応用」を加えて、臨機応変にそれぞれの患者さんにあった施術を創造していきましょう。

それでは、来年さらに進化したPCRTセミナーでお会いできることを楽しみにしております。

2019年10月23日水曜日

痛みはどこから?骨、靭帯、軟骨からの痛み

腰痛や関節痛の痛みはどこから来ているのか?痛みの症状を改善させるためには痛みに関連する部位の特定が必要です。痛みの種類は発生源から分類すると3つに分けられます。まずケガや火傷のときの痛みのように、その部位に炎症が生じ、痛みを起こす物質が発生して知覚神経を通じて脳で痛みを感じる「侵害受容性疼痛」と呼ばれる痛み。次に構造的な異常が見えないにもかかわらず痛みが生じている「神経障害性疼痛」と呼ばれる痛み。そして、3つ目は、「侵害受容性疼痛」にも「神経障害性疼痛」にも当てはまらず、「心因性疼痛」と呼ばれている分類の痛みで、これは心の問題というよりも脳の認知の異常によって生じる痛みです。その問題の本質は心(精神機能)ではなく、「脳(無意識と身体との認知機能)」にあると考えられます。

そして、多くの慢性症状は、これらの痛みの発生源が複合しています。症状の種類や慢性化の程度などによって「神経障害性疼痛」の問題の度合いが大きかったり、あるいは「脳(無意識と身体との認知機能)の問題の度合いが大きかったりします。慢性症状で一時的に症状が改善されても、すぐに振り返す場合には、特に「脳(無意識と身体との認知機能)」に原因が隠されていることがほとんどです。先日もある膝関節を抱えた患者さんで、振り返す原因を検査していたところ、単に関節を構成する筋肉や関節だけでなく、半月板や前十字靭帯そのものの誤作動記憶が関係しており、その誤作動記憶を調整することで症状が改善された事例があり、改めて無意識と身体との関係性による誤作動記憶、すなわち脳の認知に関係する領域が痛みに深く関わっていたことを確認しました。

通常の医学的な視点からすれば、筋肉や筋膜に分布する神経学的機能が痛みに関係する発生源になると考える傾向にありますが、神経分布の少ない靭帯や軟骨も慢性症状の痛みの発生源になっており、それは脳の誤作動記憶に深く関係しています。筋肉の機能異常による痛みに関しては、マッスルテストによって比較的容易に検査することができますが、靭帯や軟骨、骨などはそれ自体での動きがない組織ですので、エネルギーブロック(EB)の検査には、特殊な検査をしなければなりません。その検査法はPCRT上級編でご紹介させていただきます。

この検査法をマスターできると、慢性的な関節痛の隠れた痛みの発生源の特定が容易にできるようになり、慢性症状の改善度がさらに高まると思います。次回のPCRT上級編では、骨、軟骨、靭帯からの痛みの発生源を特定し、調整する検査法に加えて、ジストニアやイップスなどの調整法など、上級でしか学べない内容をご紹介させていただきます。皆様のご参加を楽しみにしております。

2019年9月12日木曜日

2019年度PCRT中級2を終えて

今回は台風が東京を通過するという最中、無事に中級2のセミナーを終えることができました。基礎1から中級2までのシルバー認定受験資格が得られる最後のプログラムでした。本年度、最初から全てのプログラムを受講していただいた先生方が着実に成長している過程が明らかに感じ取れました。イップスの症例報告をしていただいた先生も今年から初めて参加していただきましたが、PCRTのコンセプトや手法が明確に示された分かりやすい内容の症例報告でした。

PCRTの特徴である「身体をエネルギー体として診る」「物質や情報をエネルギーとしてとらえる」、並びに慢性症状を単に「機能異常」だけでなく、「誤作動記憶」として捉えるところ、また、原因を単一ではなく、「関係性」によってもたらされた複合因子であるという点についての理解が、机上の空論ではなく、実践的に理解していただいたのではないかと思います。そして、多くの慢性症状が身体内だけの機能異常を調整する「閉鎖系」の視点だけでなく、身体機能と肉体外や無意識の心理社会的要因との関係性も含めた誤作動記憶の機能異常を調整する「複雑系」の視点が必要であることも実感していただけたのではないかと思います。

今回のPCRT中級2までのプログラムでエネルギー的な視点での「蟻の目」、「鷹の目」、そして時系列的に流れを読む「魚の目」のスキルを上げることが、有機論的な視点を持った施術者にとって重要であるということを学んでいただいたのではないかと思います。次回11月10日11日に福岡で開催予定の上級編では、シルバー認定以上レベルの内容をご紹介させていただきます。心身相関に関連するイップス、遠隔治療、ダミーや模型などを使った代理検査や調整法などをご紹介させていただきます。

2019年5月23日木曜日

「素直さ」は成長の源

先日、PCRT基礎2のセミナーを終えて色々な気づきがありました。受講生はいつものように臨床経験が豊富な方から少ない方まで幅が広く、できるだけ多くの受講生に分かりやすく理解してもらうために、基礎知識から専門知識まで広く網羅した内容になります。そのような幅の広さから、ある先生にとっては膨大な知識になり、ある先生にとっては丁度良い内容になったのかもしれません。このような形式のセミナーであるため繰り返し受講していただくよう勧めています。そして、繰り返して受講されている先生は着実に内容を理解して臨床現場で使えるようになっているようです。

私は長きに渡って、このような幅広い受講者を「蟻の目」の視点で直接ご指導させていただいたり、先生方の上達ぶりを年単位で客観的に「鷹の目」の視点で観察させていただいたりする立場にあります。そのような立場で観察していると、上達が早い人と、遅い人の違いが見えてきます。さて、その違いは何でしょうか?一言で言うと、それは「素直さ」にあると思います。経営の神様といわれる松下幸之助氏が「一流の人たちの共通項は素直な心を大事にする」というような内容を述べていたのを思い出します。

かれこれ20年ほど近い経験を振り返ると、やはり素直な人は成長が早いように感じます。「素直な人」とは、単に「イエスマン」や「騙されやすい人」とは異なります。「素直な人」は、しっかりした自分の考えを持ちつつも相手の立場になって、相手の心をしっかりと受け止めようとします。デモや実技の際においても、しっかりと見て真似ようとしますので、吸収が早くスムーズにできるようになってきます。つまり、「素直に学んで素直に真似ている」のです。模倣から始まって、最終的には自分のモノにしていくわけですが、言い換えると、真似が下手な人は上達するのに時間がかかりますし、その背後にある心の制限が邪魔をしているのかもしれません。

素直でない人は、見て習うというよりも理屈(頭)で習おうとするので、自分が信じている理屈が先行しすぎて、批判的に見てしまいます。結果的に柔軟性が欠けてしまうので技術をスムーズに習得することができなくなります。また、アドバイスをすると、あれこれと言い訳をして理屈を言う傾向があります。PCRTセミナーは常に進化し続けていますので、手法や手順が変化することがあります。素直な人は、過去の手法や手順は尊重しながらも、進化した手法や手順を素直に学ぼうとして自らも進化しようと努力します。一方、素直でない人は、過去に身につけた手法に囚われて、進化した手法を身に付けることに抵抗し自らの成長にブレーキを掛けてしまいます。

「ハイハイ」と素直に受け止めているようで、実は心から素直に受け入れていないという人もいます。それは、その人の実技を見ていると読み取れます。何か頑なに信じているモノがあると、それが足かせになって、新たな技術が入ってこなくなるようです。我々治療者の仕事には常に「柔軟性」や「応用力」が求められます。毎日の臨床で同じ患者さんは来院しませんし、一人の同じ患者さんでも次の来院日には変化がありますので、その変化に対しての「応用力」が求められます。

過去に身につけた技術技能は捨てるモノではありません。身体に身に着いた技術は身体が覚えているので捨てたくても捨てられないモノです。新しい技術技能を身に着けることで、身につけた技術を捨てるのではないかと錯覚しがちですが、むしろ新しい技術を身に着けることで、過去の技術が柔軟に修正され磨きがかかってきます。そして、新しい技術を積み重ねることで臨床においても柔軟性が養われるはずです。理屈よりもまずは結果を素直に受け入れることが肝心であり、その結果を引き出す技術を素直に受け入れることで成長が促されるのだと思います。年齢とともに素直さがなくなってくるとも言われていますが、何歳になっても「素直さ」は仕事に限らず人生を豊かにしてくれる大切な心の姿勢だと思います。「素直さ」は成長の源になるようです。


2019年5月3日金曜日

治療院での「めまい」のアプローチ

めまい、ふらつき、フワフワ感、天井が回るなどの症状を抱えた患者さんが私たちの治療院に来院されます。「めまい」の原因は様々で、病院での治療が必要な「めまい」もありますので、病理的な疑いのある患者さんは病院への受診をお勧めしたほうが良いでしょう。特に腫瘍や感染症が伴う場合は病院での治療が必要です。耳が原因の場合は耳鼻科、脳が原因の場合は脳外科や神経内科などで検査が必要です。

「めまい」の治療のために来院される患者さんの多くが、腰痛や肩こりで受診された経験があり、信頼関係が築けている患者さんです。また、すでに病院での検査を受けて、改善が見られずにご紹介で来院される患者さんもいます。私たちが診る患者さんは、基本的には病理的な構造的異常を伴う「めまい」ではなく、機能的な異常による「めまい」症状です。

患者さんが訴える「めまい」の症状にも様々な種類があります。長年、「めまい」の患者さんを施術させていただいた経験で、自然療法で効果が出せる機能異常による主な「めまい」の発生源は「前庭器官」、「小脳」、「頸動脈洞」だと考えています。最も多く遭遇してきたのは「前庭器官」で、次いで多いのは「小脳」。そして、3つ目が起立性調節障害に関係する「頸動脈洞」です。「めまい」といっても、患者さんによって様々な表現の仕方があります。この3つの発生源は問診からもある程度推測することができます。前庭器官に機能異常がある場合は自分が回るというよりは天井や周りが回るという表現をされます。小脳性の機能障害の場合はまっすぐに歩けず平衡感覚がおかしいというような表現をされます。そして、頸動脈洞の機能障害は立ち上がった時にふらつくと訴えます。これらの3つの発生源が複合した症状もありますので、それを明確にするためには目安検査が必要になります。

それぞれの機能障害をプロトコルに基づいて施術を行うと、施術前に示された目安検査の陽性反応が陰性化され、ほとんどの患者さんがその場で症状の改善を体験されます。めまいを引き起こす発生源は異なっていても、基本的には身体を調節するコントロール系に異常をきたしているわけです。コントロール系統の調整だけでも症状の改善が促されますが、症状がぶり返す場合には、さらにそのコントロール系を乱す原因を調整する必要があります。私の臨床経験によるとその多くが無意識的な誤作動記憶で、いわゆる心と身体の関係性による誤作動です。ほぼ9割以上の「めまい」の患者さんがその誤作動記憶の調整で改善されるので、その因果関係には確信を得ています。構造異常の診断が得意な西洋医学の文献でも「めまい」の原因の約3分の1は心因性という報告もあります。

「めまい」だけの症状ではなく、パニック障害や不安障害などでも「めまい」を伴うことがしばしば見られます。私たちの臨床現場では心因性といっても本人も自覚していないような無意識的な内容が原因となっていることがほとんどです。「めまい」の施術直後には9割以上の方が症状の消失、あるいは軽減を体感されますが、次の来院時にはぶり返している方も少なくはありません。その場合は、原因となる誤作動記憶を掘り下げて消去法のように原因パターンを消していくことで症状が改善されていきます。これも私の経験ですが、機能的な「めまい」の症状は、筋骨格系の症状と同様に比較的改善されやすい症状であると言えるでしょう。

次回のPCRT基礎2では「めまい」の発生源を特定する目安検査とハード面調整法だけでも効果があるという手法をご紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。

2019年4月24日水曜日

PCRT基礎2へのご案内

いよいよ5月より「平成」から「令和」へと元号が改元され新時代を迎えることになりました。今思うと、私が米国のカイロプラクティック大学へ留学した年が、昭和天皇が崩御され「昭和」から「平成」へと改元される1989年でした。あれから30年の歳月が流れ、「手技療法を極めたい!」という志から随分と進化したものだと我ながら思います。今では「手技」とは何かという本質的な意味は自分なりに理解していますが、当初は関節を機械の歯車のように微妙に合わせるような巧みな技術があるものだと思っていました。

そして、帰国後、AMを本格的に臨床に取り入れて数年で「手技」とは究極的には「刺激」であり、その刺激は「情報伝達」、さらには「エネルギー伝達」であるということがだんだんと明らかになってきました。この本質が分かるまで、遠くアメリカまで留学して帰国後に開業、それから臨床現場では試行錯誤の連続でした。留学当初から様々なセミナーに参加して、様々な理論に触れることができました。マニュアル通りに結果が出せるかどうかが私の最大の臨床現場での関心ごとでした。まずは「結果」が伴うことで、その背景にある理論を帰納法的に検証してきました。私が一番こだわってきた「結果」というのは、調整後にその場で症状が改善されるかどうか、あるいは陽性反応が消失するかどうかという「結果」です。

慢性症状であれば、前の「クセ」に引き戻されて戻ることもしばしばですが、調整直後に結果の判断ができずに数週間後に改善されたというようなその「結果」は調整で良くなったのか、調整しなくても自然に良くなったのかの判断ができないために、私の中では調整直後に結果が伴わなければ、その調整法で効果があるかどうかが分からないと判断していました。開業してから約25年は毎日そのように臨床現場で検証して、治療効果を追求してきました。現在ではハード面調整法からソフト面調整法まで幅広く調整法の研究を継続しており、基礎1でご紹介した「言語加算調整法」もその一つです。

今回、「言語加算調整法」からさらに進化して「意念調整法」という名称でご紹介させていただきます。ハード面調整法からソフト面調整法への橋渡しとしてのみならず、幅広い症状の改善に使えることが明らかになりました。おそらくこの「意念調整法」を入れることで、PCRT全体がさらに使いやすくなると思います。また、手順もシンプルなのでPRTが安定している施術者にとっては臨床現場でかなり役立つ調整法になると思います。それ以外に、今回の基礎2では主に四肢関連の症例別のアプローチの仕方、めまいやふらつきに関係する前庭器官、小脳機能検査、ブレインマップ脳領域調整法、チャートを使ったソフト面調整法のアプローチの仕方をご紹介します。

皆様にお会いできるのを楽しみにしております。よろしくお願いします。