2014年2月13日木曜日

「刺激」→「処理」→「反応」がもたらす作用

先日、新万能細胞といわれるSTAP細胞発見のニュースがあった。この革命的なニュースで特に興味深かったのは、研究過程での偶然の発見であるということである。研究者の小保方さんは、「細胞に強いストレスがかかると、どうにか生き延びようという仕組みが働くのではないか」と考え、思いつくストレスをどんどん細胞に試したという。STAP細胞が打ち破った常識は「動物細胞でも外的刺激で初期化した」「あまりに簡単すぎる技術で実現」など数多い。

これほど常識破りだったため、昨年春、世界的に権威ある英科学誌ネイチャーに投稿した際は、過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄していると酷評され、掲載を却下されたらしい。だが、「STAP細胞は必ず人の役に立つ技術だ」との信念を貫いて膨大なデータを集め、今回は掲載にこぎつけた。「何度もやめようと思ったけれど、あと1日だけ頑張ろうと続けてきて、いつの間にか今日に至った」と話されたという。

近代科学の常識にとらわれない発想が今回の発見につながったのだろう。この素晴らしい研究成果とPCRT療法の臨床現場での成果を重ねあわせるのはいささかおこがましいが、現代科学の常識にとらわれない発想と、様々なストレス刺激を試して治療法を生み出してきたというところはとても興味深い。PCRT療法では、「ストレス=刺激=振動=情報=エネルギー」という捉え方をするという意味においては、身体への刺激、脳への刺激、五感を通じた様々な組合せ刺激によって、神経細胞ネットワークへの変化を促し治療効果が引き出されているという点においては共通点があるように感じた。

このPCRT療法も「刺激」と「反応」という生体反応の無条件反射と条件反射作用の様々な組み合わせを試すことで治療体系が確立されてきた。「治る人と治らない人の違いは何か?」それは、様々な「刺激」に対する脳の「処理」がどのようになされるかで、病気や症状につながる「反応」がでるかでないかが決定される。「刺激」→「処理」→「反応」がもたらす作用の過程の脳の処理をPCRTでは脳の『学習記憶』といい、別の言葉でいえば、それは「適応力」になるだろう。

私たちは様々な環境の変化に適応して生き延びていく「適応力」と「自然治癒力」とが密接に関係しあいながら、私たちの健康は保たれている。基本的に私たちは様々な刺激情報の中で生活を営んでおり、その刺激に対してどのように身体が反応を示すかで、同じような環境の中で生活していても、不調になる人とならない人がいるのである。言い換えると人間がどれだけ環境からの刺激に対して幅広く適応できるかで健康にも不健康にもるといえるだろう。

普段、私たちは変化に適応するということは、ほとんど意識していないが、流れゆく時間の経過とともに周りの環境は常に変化し、様々な情報刺激にさらされ、脳や身体が自動的に反応を示している。この「刺激」に対して、どのように「反応」を示すか。それはどのように脳で「処理」されるか、どのように脳でプログラム化されるかということでもある。そして、そのプログラムはいつでも再学習することが可能である。そのサポートをするのが心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)【PCRT療法】になる。

画像はhttp://www.tera-house.ac.jp/tec/blog/index.php?blogid=11より引用させていただきました。


2014年2月6日木曜日

「挑戦」と「安定」とのバランス

年の初めには「今年も頑張ろう!」と意気込みを感じる人と、その一方で、「今年は無理をせずのんびりしよう!」と、年の節目に、気持ちを新たにする方も少なくはありません。それは、大きく分けると「挑戦」と、「安定」というテーマで考えることができます。この「挑戦」と「安定」は、「健康」や「人生」にとても深く関係していると私は思います。

「日常生活の心理学に関して、今世紀最高の研究者」とも言われているアメリカの心理学者のミハエル・チクセントミハイは、有名な「フロー理論」を提唱しました。フローとは「全人的に行為に没入している時に人が感じる包括的感覚」、「集中力が抜群で、活動に完璧に没頭している最高の状態」と表現をされています。

人は「フロー体験」をすることで、人間の無限の可能性を引き出し、素晴らしい成果を引き出すといわれています。その「フロー体験」が実践されていた職場として、創業者の井深大さんが健在だった当時のソニーが紹介されています。戦後に混乱期に掲げられた「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」・・・というソニー設立趣意書の創業理念に基づいて突き進んでいた頭脳集団が、「フロー体験」によって、当時としては革命的な製品を世に出してきたといわれています。

人は何もしないと「無気力」になります。社会問題にもなっている認知症にはこの「無気力感」が関係しているといえるでしょう。何らかのスキル(能力)を身に着けると満足を感じますが、だんだんとそれに慣れると「退屈感」を感じます。少しチャレンジして高いスキルを身に着けると自信がついて、「満足感」や「安心感」を感じ、さらには「幸福感」も感じるかもしれません。その一方でチャレンジの度合いが高くなると、「心配感」を感じます。さらにチャレンジの度合いが高くなると「不安」になりストレスを強く感じるようになります。

人は本能的に「安定感」や「安心感」を求める傾向がありますが、そこには「退屈感」が伴うことが少なくはありません。だからと言って「挑戦」ばかりが継続するとストレス度が高まり、心身共に疲弊しがちになます。人は「退屈」と「挑戦」の狭間にある自分に合った「フロー体験」をすることで、心身のバランスが保たれ、素晴らしい体験がそこから生まれます。

また、「最良の健康」を維持するためにも、この「フロー体験」を保ち続けることが大切です。何歳になっても、「適度な挑戦」は持ちつづける工夫こそが、この「フロー体験」を伴う「最良の健康」を維持する秘訣です。安定の継続=不健康といってもいいくらい、「安心」、「安定」、「満足」には危険が隠されているということも心に留めておきましょう。「挑戦」と「安定」とのバランスを保ちながら最良の健康と成長を維持していきましょう。

2014年2月1日土曜日

急性捻挫にはアクティベータ・メソッドがとても効果的!

64歳、女性の患者さんが、足を引きずって来院。その日の朝9:30頃に、室内を歩行中に段差で足を踏み外し負傷したとこのこと。足根中足指節関節(リスフラン関節)に向けて中足骨に軸圧を加えると、その関節部に痛みが生じる。中足指節関節部を触診すると強い圧痛を伴う。負傷後、5時間程度経過しており、多少の腫脹は認められるが、骨折の際の腫れではないことが予測できた。

足関節や足指関節の自動運動は運動時痛のためにかなり制限がある。負傷を受けた周辺の関節への他動運動も慎重に行いながら検査を行った。治療では最初にアクティベータ・メソッドのプロトコルに基づいて、下肢、骨盤、脊柱の調整を行い、足関節周辺の調整をアクティベータⅤで行った。特に圧痛が強いリスフラン関節周辺には指を添えてアクティベータⅤによる振動刺激を加えた。治療中、検査の際には関節を動かす程度によっては痛みが伴っていたが、アクティベータⅤによる調整刺激ではほとんど患者さんには痛みがなかった様子。

患者さんに負傷した瞬間をイメージしてもらうと、陽性反応が示されたので、トラウマによる緊張の治療も心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)で施した。治療直後には痛みが完全にとれないし、歩行も引きずる感じではあったが、明らかに改善が見られた。6日後には海外旅行に出かける予定があるとのことで、それまでに治したいとの意向。それまでに毎日でも集中して治療されることをお勧めした。

翌日、普通に歩行できるようになって来院された。リスフラン関節周辺にやや腫脹があったが自動運動もかなり改善されていた。初回と同様にアクティベータⅤで調整した。関節の可動範囲もかなり改善された。このような急性の捻挫の患者さんには、アクティベータ・メソッドは即効的な治療効果を示してくれる。特にこのアクティベータⅤは、圧痛の強い捻挫を生じさせた関節にも振動刺激をスムーズに加えて適切な調整ができる。今回の患者さんは、捻挫してその日に来院していただいたので、その分、治りも早いだろう。

Metatarsophalangeal joint sprain with ActivatorⅤadjustment.
64 years old female had a metatarsophalangeal joint sprain.  She came in to our clinic with pulling her leg with strong pain. After one t
reatment with Activator V, she was able to walk normally in next day.  She got quick a result with Activator V adjustment.  Activator V is very effective with smooth adjustment in acute joint sprain!

2014年1月6日月曜日

2014年度PCRT研究会のご案内

お蔭様でPCRT研究会は今年で9年目になります。本研究会では、様々な「症状」が引き起こされる本質的な原因を追究していきます。単に身体機能的なメカニズム(ハード面)のみならず、「心と身体の関係性」や「内界と外界との関係性」(ソフト面)をシステム的にアプローチする手法を研究対象にしております。本研研究会に継続参加されることで、治る人と治らない人の違いは、「脳(潜在意識)と身体機能の学習記憶」にあるという症状の因果関係が明らかになってきます。

PCRT研究会は、2013年度から基礎1、基礎2、中級1、中級2、上級1、上級2に分けられ、プログラムの内容がさらに充実してきました。患者様へのアプローチの仕方も数年前よりも格段に進化し、患者様にも心地よく治療を受けていただけるようになってきました。身体に及ぼす心理的影響は一般のメディア情報においても取り上げられる機会が増えてきており、本質的な原因を追究する治療者として患者様との信頼関係も一層深まってきています。

ここ数年間のPCRT研究会における大きな成果は、身体に及ぼす心理的影響が、単に「恐れ」などの「否定的な感情」のみならず、「喜び」などの「肯定的な感情」や「意欲的な感情」も身体機能の『誤作動』に関係しているということが明らかになったことです。心理的影響というと=「否定的感情」と捉えられがちですが、それだけではないという発見は、本研究会継続による大きな成果だと思います。

さらに、PCRTの施術領域が脳の三層構造に照らし合わせて分類することができました。代替医療の多くは脊髄、脳幹部の反射系の作用を利用したハード面の機能的施術になりますが、PCRTでは感情面(大脳辺縁系)と反射系関係する信号の誤作動調整、さらには信念や思い込み(大脳新皮質)と反射系が及ぼす信号の誤作動調整を行うことが可能です。そして、これらの「誤作動はすべて、脳・神経系の学習記憶による」という捉え方はPCRT研究会の特徴でもあります。

将来的に臨床的成果のみならず、科学的証明につながる研究活動も科学者と共にできればと願っております。心身相関療法の研究はまだまだ発展途上の段階ですが、この分野には本質的な「健康」のカギが隠されおり、現代医学では解決できない様々な領域の症状改善が期待できます。私達研究会はさらにこの分野を開拓し、現代医学の隙間を埋める治療者団体であり続けていきたいと希望しています。

本年度も本質的な治療法を求める先生方と共に、地域社会から必要とされる治療者団体になれるように、一歩ずつ前進して参ります。

2014年度、年頭のごあいさつ

お蔭様で今年ファミリーカイロは20周年を迎えます。患者様をはじめ、スタッフに支えられてここまで成長させていただくことができました。皆様には心より感謝申し上げます。

昨年末に、長きに渡ってファミリーカイロ、ならびに(有)ライフ・コンパスを支えてくれた森山が退職することになりました。約10年間にわたる勤務の間、経理関係、セミナー関係、施術関係など幅広く貢献していただきました。本来持ち備えている几帳面さと美的なセンスを幅広く仕事に活かし、(有)ライフ・コンパスの社員として、その能力に磨きをかけて貢献しながら成長していただいたと思います。ファミリーカイロでの施術者としての技術技能も持ち備えていますので、今後も多くの人に役立っていただければと心から願っております。

ファミリーカイロも新たなチーム体制に変化していきますが、来院して下さる一人一人の患者様の中に喜びが創り出せるように、できる限りの支援をさせていただければと願っています。今年は「徳力」「知力」「体力」をテーマに、多くの人のお役にたつことができるように一歩一歩前進してまいります。今年もセミナー、研究会活動が毎月予定されています。基本的には治療院あってのセミナー活動ですので、治療院活動とアカデミー活動をバランスよく保ちながら、毎日の仕事と実生活の中から「喜び」と「学び」を創り出していきたいと思います。

今年もファミリーカイロ、ならびにライフコンパスアカデミーをよろしくお願いいたします。

2013年12月28日土曜日

仮性近視は、筋肉系‐神経系―脳(潜在意識)の関係性による誤作動

高校受験を控えた受験生が、急に視力が落ちたとのことで、お母様の奨めで来院されました。最初は天井に貼られている張り紙がぼけて見えにくいとのことでしたが、治療後にはその文字がはっきりと見えやすくなったとのことで「えっ、見えやすくなった!!」「何でよくなったのですか??」と喜ばれていました。

近視には、仮性近視、屈折性近視、軸性近視があります。視力回復の治療で比較的に効果が出やすいのは初期段階の仮性近視、もしくは軽い屈折性近視です。仮性近視が始まる原因は様々ですが、今回の患者さんは今、受験勉強の真っただ中。毎日、集中して本やノートを見ているのでしょう。近視の原因の多くは目のレンズ(水晶体)調整に関わる筋肉の機能障害です。

視力調整はレンズ(水晶体)の両端に着いている網様体筋で調整されています。この網様体筋が緊張したり弛緩したりして、レンズを厚くしたり、薄くしたりして遠近を調整しています。もしも、この網様体筋がうまく働かなくなるとレンズの調整ができなくなり、視力が悪くなります。

この視力障害も腰痛や肩こりなどの症状と同様に筋肉系が関わっていますので、他の関節障害と同じように筋肉系‐神経系―脳(潜在意識)の関係性をニューロパターンセラピーで検査して調整を行います。

検査では主に網様体筋の機能障害を検査します。今回の症例では、「意欲」、「義務感」、「期待」、「不安」などの感情が、網様体筋の誤作動に関係していました。二回目の治療では、最初の治療後は良かったけれども、その後、勉強した後に症状が戻った感じになったとのことでした。しかしながら、二回目の治療前と治療後の視力検査では視力検査表で3段階の改善が見られました。

三回目の治療では、あまり勉強していなかったとのことでしたが、3段階の改善が維持されたままでした。さらに遠近の動きによる検査では、陽性反応が示されたので誤作動の原因パターンを検査してみると、「恐れ」の感情が奥に隠れているようでした。仮性近視の多くは心因性で単にメンタル面がいいとか悪いとかではなく、肯定的な感情も含めて筋肉調整の誤作動に影響を及ぼしています。

このように仮性近視の多くは、筋肉系‐神経系―脳(潜在意識)の関係性による誤作動で
生じることが多く、その誤作動を調整することで改善されます。しかしながら、原因があっての結果です。同じようなパターンを繰り返さないように、長時間近くを見過ぎないようにすることも大切です。近くと遠くを見る網様体筋の運動を繰り返しながら柔軟性をつけるリハビリも必要になります。

今回の症例では、見えにくくなって早めに来院されたこと、本人が眼鏡をかけたくないという本人の強い思い、そして、この治療を信頼して下さっているお母様が勧めてくださったことが良い結果につながりました。特に、小中学生の時期に眼鏡で矯正する前の段階で調整すると効果的です。

仮性近視の原因は、単に近くを長時間見続けるというだけでなくメンタル(感情)面も関わることが多いので、その関係性による誤作動を調整することで早期に改善されます。DSなどのゲームやスマホなどの利用が増えていくに伴って近視の子供も年々増えてきているようです。

近視を手術で治す方法も増えてきているようですが、危険が伴いますし、できれば眼鏡も必要のない自然の状態を維持していくことができればと願います。眼鏡が当たり前にならないように、子供の時期から視力の健康にも気を付けていきましょう。

2013年12月17日火曜日

科学的研究へのチャレンジ


先日は、PCRT上級1の研究会を開催しました。講義の冒頭では、PCRTの特徴でもある神経系レベルと刺激レベルの関係性の全体像を「単一刺激から複合刺激」、ならびそれらの刺激に関係する「ハード面調整法とソフト面調整法」との関係性をご紹介させていただきました。

代替医療の多くの施術は反射系の単一刺激によるハード面の施術がほとんどですが、本質的な治療を目指す場合、単に反射系だけでは治療効果が引き出せない場合も多々あります。症状の程度や種類、患者のタイプによって、ハード面の単一刺激で治療効果が引き出せる場合と信念(思い込み)などによって治癒力が引き出せない場合もあります。その場合はソフト面の複合的な検査刺激、ならびに治療刺激が求められます。

PCRTで定義しているハード面調整法とは、主に脊髄、脳幹部への単一刺激によるもので、反射系の作用を利用して施術効果を引き出しています。そして、PCRTが得意とするソフト面調整法は、主に大脳辺縁系と反射系への複合的な刺激によって治療効果を引き出します。さらに、信念や思い込みが関係してくると主に大脳新皮質、ならびに大脳辺縁系や反射系を含めた複合的な刺激によって治療効果を引き出します。

あくまでも仮説ですが、脳科学的な理論と一致しているのでないかと考えています。前回の中級2の研究会では、陽春堂さんとエムピージャパン㈱さんにご協力いただいて、筋電計と脳波計による計測を行わせていただき、PCRTによるMind-Bodyに関係する検査法の客観的評価の可能性を探ってみました。

私たちが検査指標としている様々な生体エネルギーブロック(EB)に対する検査法が表面筋電系や脳波計で客観的に読み取ることができるのかという試験を行ってみました。初めての試験なので色々と試行錯誤しながらの試みでした。短時間での試験ということもあり、EBの存在を証明する客観的なデータを読み取ることが困難だったものの、私たちが行っている身体の神経反射を使った検査法は、とても微細な神経学的な変化であり、さらに脳の深層部の電気的変化、あるいはエネルギー的な変化を客観的に示す必要があるのではないかと感じました。

今回の試験において、意識的に運動するなどのイメージでは脳波の波形が明らかに変化していることが読み取れましたが、我々が検査指標としているEB反応を示す潜在的感情のイメージでは明らかな波形の変化は読み取ることは少し困難に感じました。しかしながら、抑制系の誤作動のイメージでは脳波の波形が、正常部位と異常部位では明らかな変化が見られました。はじめての試みなので検査のやり方にも色々な問題があったとは感じますが、検査法のデザインをもっと工夫すれば、様々な検査法のデータを読み取る可能性は十分あるとも感じました。

今後も私たちが施術のターゲットにしている目には見えない生体エネルギーブロックや誤作動反応などの科学的研究は、社会にとっても意義深い研究だと考えています。21世紀はエネルギーの時代だともいわれているように、生体エネルギーを科学する時代でもあると思いますので、科学者のご協力を得ながら、科学的な研究にも目を向けてチャレンジしていきたいと考えています。