2014年10月3日金曜日

腓骨神経麻痺の早期回復

【初回所見】

二十歳後半の女性が、腰から足にかけてのコリ感、運動時痛、しびれ感を訴えて来院。腰痛は以前からあったとのことだが、今回は2週間ほど右足指のしびれ感がでてとれないとのこと。前かがみになると腰から臀部にかけて痛みを伴う。接客業なので、お辞儀の際に前かがみになるのがつらいとのこと。痛みの程度はやや軽減してはいるが、足先のしびれ感が取れないとのこと。2週間前に整形外科医院を受診。レントゲン検査を受け、痛み止めと炎症を抑える薬の処方を受ける。

【初回検査所見】

爪先立ちで歩いてもらうと、右側に不安定感あり。踵で歩いてもらうと右の足関節背屈がしにくい状態。足関節背屈運動も左右比較すると30度の誤差があった。右の前脛骨筋に軽度の麻痺がある状態。右側の足背部(第一、第二中足指節関節周辺部)に知覚異常を伴う。右の股関節周辺の筋群に機能異常、右腰方形筋部に機能異常。

AM(アクティベータ・メソッド)では右の下肢、骨盤部、腰部、頸部に神経関節機能障害を認めた。
PCRTの脳神経機能検査では、右側の対光刺激、右側の聴覚刺激、右側の嗅覚刺激、眼球の上方、下方運動にて陽性反応を示した。
PCRTの経絡検査では胃経に陽性反応がみられ、「劣等」の感情が関係していた。
PCRTの感情検査では、その他「恐れ」、「連帯感」の感情、「刺激、変化、挑戦」の価値観に陽性反応を示した。

【初回~5回までの施術】

AMとPCRTにてそれぞれの陽性反応を調整。腰痛、臀部痛は初回の施術でかなり改善。右足先の軽度の麻痺としびれ感は、施術回数を重ねるごとに徐々に改善、5回目の施術後には、踵での歩行がほぼ左右均等になり、足関節背屈も左右同じ角度まで改善した。施術開始から3週間目だった。

【考察】

腓骨神経麻痺にも様々な原因、ならびに程度がある。大きく分類すると「構造学的な直接的な圧迫」による麻痺なのか、「神経生理学的な間接的な圧迫」、すなわち筋肉、筋膜などの軟部組織による間接的な緊張によるものに分類することができる。すでに整形外科院で構造学的な検査を受けていることから、構造学的な原因は除外できると判断した。また、初回のAMとPCRTの施術直後に麻痺症状の改善がみられたことからも神経生理学的な原因が関係していることが明らかだった。西洋医学的には総腓骨神経絞扼性神経障害による腓骨神経麻痺ということだが、AMとPCRTを併用して神経生理学的な誤作動を起こしている原因を消去することで症状が明らかに改善していった症例だった。神経を直接圧迫したなどの肉体的な原因ではなく、心と身体のつながりの誤作動が関係していたので、その「誤作動」が溜まらない様な体質改善を目指すためにも定期的な施術が理想だろう。


2014年10月1日水曜日

「身体のバランス」と「心のバランス」

「身体のバランス」は正常に保てているでしょうか?

現代は、山あり谷ありの複雑な自然な環境とは異なり、ほとんどの道は舗装され、バリアフリーで、障害物が少ない安全な環境で毎日の生活を送っています。そのため知らず知らずのうちにバランス感覚は退化して、その機能が低下している可能性があります。

身体のバランス感覚をテストする簡単な方法があります。まずは、両足でまっすぐに立ちます。次に片方の太ももが床と平行になるぐらいに挙げて、片足立ちをします。30秒ぐらい保持します。(転倒しそうになったらすぐに足を床に着けましょう!)あまりふらつきがなければ、少し休んで、今度は目を閉じて、片足立ちを30秒ぐらい保持します。ふらつきがなければ、身体のバランス感覚は正常です。

もしも、大きくふらついたり、挙げた足が床に数回着くようでしたら平衡感覚の調整機能に異常が生じている可能性があります。平衡感覚には耳の奥の三半規管や小脳の機能が関わっていますので、そのような異常がある場合には、専門医での診察や当院での治療をお勧めします。

さて、「心のバランス」ですが、正常であるかどうかの判断はとても複雑です。一つの判断基準として、「感情」があります。「感情」には「外に現れる感情」と「内で処理される感情」があります。また、自分で自覚しやすい「顕在的感情」と、自覚しにくい「潜在的感情」があります。感情の性質から分類すると「意欲」や「義務」などの意志的感情、「喜び」や「連帯感」などの肯定的感情、「恐怖」や「逃避」などの否定的感情があります。

一般的には否定的な感情は無くして、肯定的な感情を持つようにしましょうという教えがありますが、それは、心のバランスから考えるとそれは不自然かもしれません。喜怒哀楽の感情は外に現れるか否かにかかわらず、生きた人間としてその感情が日常の生活の中で現れないということは心のバランスが保てていない可能性があります。

また、「怒り」の感情は良くないといわれています。その感情が一時的ではなく長引くような感情になると、人間関係だけでなく身体にも影響を及ぼします。しかし、子供をしつけるときには時には激怒して大切なことを気づかせて、次の日には、ケロッとして、喜んで笑顔で接するということもあるでしょう。そのような強弱のある感情やバリエーション豊富な感情の中で豊かな心が育まれるのかもしれません。

ドラマや落語でも面白い内容には、笑わせたり、驚かせたり、泣かせたりして、喜怒哀楽の感情を巧みに表現して、人間味を感じさせてくれます。論語の中で「中庸」という言葉があるように、過大、あるいは過少にならずに何事もほどほどにバランスを保つことが大切だと説かれています。身体も心の感情も偏らずに幅広く動かすことが身も心も豊かになる秘訣になるようです。

2014年9月26日金曜日

腰痛、股関節痛、膝関節痛の背後にある小脳機能障害

【初回検査所見】

10年以上前に通院されていた患者さんが、腰痛、頸肩部痛、膝関節痛を訴えて来院。問診によると1年以上前から体調不良を感じていたとのこと。関節の可動域の検査に伴って腰部、膝関節部、股関節部、頸肩部に運動時痛が生じる。検査をしながら話を聞いてみると、主訴である関節痛以外にここ数か月間の生活の中でバランスの悪さを感じているとのこと。

関節の機能検査以外に小脳の検査をしてみると、小脳の機能異常が関係していた。片足立ちの検査では特に右片足では動揺が観察された。小脳の機能障害の検査の一つでもある前腕の回内回外検査では右側が左に比べて回旋しにくい様子。脳神経系機能検査では、右側の視覚刺激、聴覚刺激、嗅覚刺激、眼球運動刺激で陽性反応が観察された。

【施術】

AM(アクティベータ・メソッド)とPCRTを併用。右膝関節、骨盤、右股関節、腰椎、胸椎、頸椎部をAMにて調整。PCRTでは「刺激、変化、挑戦」関係する価値観、「恐れ」の感情に関係した誤作動を調整。

【2回目、3回目の施術】

2回目、3回目と施術を行うごとに片足立ちと前腕の回内回外検査ではかなり改善が見られた。その改善に伴って、腰痛や頸部痛、膝関節痛の症状も改善されていった。

【4回目、5回目の施術】

全体的なバランスがかなり改善されたが、左股関節部の違和感があるとのことで、その部位もAMとPCRTにて調整を行い、施術直後にすぐに改善された。

【考察】

腰痛や関節痛を抱えている患者さんの中で、小脳の機能低下が関係しているケースも少なくはない。小脳の機能低下が生じると関節部のバランス低下が生じ、その結果、関節痛などの症状が伴う事例がある。本症例は小脳の機能検査を的確に行い、脊椎関節の調整とともに小脳の機能調整も同時に施術したことが早期の回復につながったと考えられる。

もしも、この小脳機能異常を見逃していれば、関節の機能障害もすぐにぶり返して、症状の改善度も低かったかもしれない。顕著な機能障害ではないにしても、このような総合的なバランス調整をすることは早期回復にはとても重要なポイントになるだろう。







2014年8月29日金曜日

病理的所見のない小脳性運動失調の前腕回内回外反復運動試験陽性反応の改善

【初回所見】
73歳女性が数か月前位より、歩行時に左側によろめくとのことで来院。病院では小脳性運動失調症との診断を受け、病理的には異常がないとのこと。その他、全体のバランスも悪いとのことでそれらの調整も望まれていた。

【初回検査施術】
最初に片足立ちをしてもらうと、左右共にふらつきがあり、体幹が揺れるようなふらつきを示した。特に左の片足立ちで大きな体幹の揺れを示した。小脳性運動失調症の検査一つである前腕回内回外反復運動試験では左の前腕に陽性反応が示された。その他、指鼻試験、踵膝試験なども行ったが特に顕著な反応は示されなかった。
脳神経刺激による神経反射機能検査では、左嗅覚刺激、左対光反射、左聴覚刺激、左表情筋刺激、左舌筋刺激、左僧帽筋刺激で陽性反応が示された。
施術はAM(アクティベータメソッド)で主に右側の脊柱部の調整を行い、PCRTにて嗅覚刺激による脳神経のバランス調整、並びに「恐れ」、「逃避」、「劣等」、「連帯」、「優越」に関係する誤作動を調節した。

【考察】
一回目の施術では、前腕回内回外反復運動試験が、施術前と施術後では顕著な変化が見られた。しかしながら、片足立ちの検査ではあまり変化は見られなかった。20日後、2回目の来院時には、よろめきがかなり改善されたとの報告をいただき、前腕回内回外反復運動試験もほぼ左右差がなく安定していた。片足立ちは、まだふらつきがみられるが、リハビリ運動と施術を継続すればだんだんと改善されるだろう。久ぶりに来院された患者さんでもあり、最初から信頼関係が維持されたうえでの施術であった。家の事情で頻繁には通院できないとのことだが、できる限り早期に回復できるように努めたい。


2014年8月18日月曜日

複雑系思考、システム思考によるPCRTのアプローチ

人間を深く追求すればするほど、「実に複雑な関係性の中で生かされているのだな~」と感じます。当たり前のことではありますが、機械仕掛けのロボットのように1+2+3+4=10というような単純計算では答えがでません。人間の複雑な知能を研究した人工ロボットの開発も進んでいますが、複雑な心を持った実際の人間の複雑性にはまだまだ程遠いようです。

「複雑系」の学問では様々な分野で研究が進められています。学際的には、複雑系に特化した研究分野として、システム論、複雑性理論、システム生態学、サイバネティックスなどがあります。その他、複雑系を理解するうえで語られる閉鎖系と開放系の概念があり、「生命」は開放系の世界であり、複雑に自然と調和しながら生かされています。特に人間の生命体は複雑系の世界であり、人間をコントロールしている脳・神経系は複雑系そのものです。複雑系の中でも「複雑適応系」と「非線形力学系」という考え方は、本質的な「健康」を維持していくうえで関係が深いと私は感じています。


「健康」の分野も大局的に分類すると、機械構造論的健康と有機生命論的健康に分類され、機械構造論的健康はニュートン的パラダイム、有機生命論的健康はアインシュタイン的パラダイムの影響を受けていると考えられます。機械構造論的健康、あるいは通常医療の世界で特徴的なのが、「要素還元論」の考え方で、階層構造的に上位から下位へと分類し、因果関係論的に健康問題や病気を考える傾向があります。これは、線形思考ともいわれ、あらかじめ決められた答えを導き出す手法がとられます。

ニュートン力学や線形思考では、原因が同じなら結果も同じことになりますが、複雑系の世界ではそうはいきません。線形思考とは、方程式に当てはめれば必ず正解が得られるという直線的な方法です。一方、非線形または複雑系の世界では、初期条件がほんのちょっとでも違えば結果は予測不可能になります。

例えば、「7+○=10」という計算式があり、あらかじめ決められた答えを導き出す際、○は3というように一つの正解が決められています。もしも、「○+○+○+○=10という計算式がある場合、1+2+3+4=10、あるいは2+3+1+4=10、あるいは0+4+6+0=10のように複数の正解があります。前者はあらかじめ決められた答えを導き出す「線形思考」で「要素還元論」ではこの思考法が必要になります。後者は何通りもある答えの関係性を導き出す「非線形思考」で「システム思考論」ではこの思考法が必要になります。

PCRTの施術のアプローチは、症状改善というゴール(答え)のために、非線形的に何通りものアプローチの仕方があります。そのアプローチの仕方は複数に複合しています。一つの症状を改善させるために複数のEB(エネルギーブロック)を一つ一つ開放していく場合もあれば、関係し合う一つのEBを解放させることで、他のEBが解放されることもあります。

それはあたかも積木崩しのように、症状の背後にある「感情」や「信念」、「価値観」に関係する複雑な「心の構造」を明確にすることで、長年、慢性的に苦しんでいた症状から解放されることもあります。これは、要素還元論的な単一な要因ではなく、様々なシステムや感情、思考パターンなどが複合的に関係し、要因も様々に関係し合った結果であります。

PCRT中級2では、「非線形思考」、「システム思考論」に基づく概念を基本として、そのアプローチの仕方をできるだけわかりやすくご説明していく予定です。今回の研究会では、「脳神経系刺激調整法」、「PCRTソフト面調整法の全体像」、「ハード面からソフト面への施術以降の仕方」、「選択優先チャートの使い方」、「ベイシック感情チャートの使い方」、「五感パターンチャートの使い方」、「信念、思い込み、意味づけ〔意味記憶〕に対するアプローチの仕方」、「セルフイメージ〔映像記憶〕に対するアプローチの仕方」などをご紹介する予定です。
それでは先生方と学びを深め、さらに進化し、成長できることを楽しみにしております。

2014年8月16日土曜日

膝関節痛の背後にある脳機能のバランス異常!

膝関節痛の背後にある脳機能のバランス異常!

【初回所見】
62歳女性が膝関節痛の症状を訴えて来院。約1か月半まえから発症。走ることや階段を降りる際に不自由を感じるとのこと。バトミントンは以前から時々行い、最近ソフトバレーを始めて、その練習ができない状態。3週間ほど前に整形外科を受診して、右膝に水が溜まっていたので抜いてもらったとのこと。電気治療と飲み薬を服用したが変化がなく、知人のご紹介で来院。

【初回検査施術】
最初に片足立ちをしてもらうと、特に右足立ちでは、膝に震えが生じバランスが不安定な状態。眼球運動、対光反射、舌の動き、嗅覚刺激による機能検査で、主に左側からの脳神経系への刺激で陽性反応が示された。AM(アクティベータメソッド)で主に右側の足関節部、膝、股関節部、骨盤、脊柱部の調整を行い、PCRTにて嗅覚刺激による脳神経のバランス調整、並びに「喜び」に関係する誤作動を調節した。

【考察】
まだ、一回目の施術ではあるが、施術前と施術後では、特に右足立ちの検査では顕著な変化が見られた。本症例は、膝関節周辺の機能異常反応も示されてはいるが、特に三半規管や脳機能のバランス異常が顕著で、次回の施術から特に脳バランスの機能異常を目安に施術を進めなくてはならない症例であると感じた。一回の施術で完治したわけではないので、しばらく通院していただき、早期回復に努めたい。


2014年8月8日金曜日

隠れた『ホルモンバランス』の異常

隠れた・・・???

「なぜ、『隠れた』というのかな?」と思われるかもしれません。

施術前に改善されたい症状をお聞きした後、どの領域の『働き』の異常に関係しているのかを検査をします。するとホルモン系の臓器反応点で陽性反応を示される患者さんがいます。そのような患者さんは、よくお聞きするとある特定の症状というよりも複合した症状でつらい思いをされているようです。

そして、そのような患者さんたちを継続治療させていただき経過観察してみると、ホルモン系に関連する陽性反応が消失するにつれて、それらの症状も改善される方が多く見受けられます。

そのような患者さんは病院でも病気の診断を受けられたという方もいますが、病院の検査では異常が見つからず、当院での神経反射検査では陽性反応が示されるという患者さんも少なくありません。いずれにしろ、当院で示される陽性反応がだんだんと消えていくにともなって自覚症状も改善される方が多いようです。

ホルモン系の症状といえば、女性に多い「更年期障害」として知られています。しかしながら、いまでは女性だけに限らず「男性更年期障害」も広く知られてきております。また、40歳以降の更年期障害以外にも20代、30代の若い方にもホルモン系の機能異常に関連した症状が見受けられます。

このように病院の検査では診断がつかないけれども、ホルモン系の『働き』に異常がある状態、すなわち「未病」の段階で早期に改善されることが望まれます。

『内分泌系は身体の状態を一定に保つ(恒常性維持)のために神経系や免疫系と密接に関係しあっています。内分泌系の情報伝達物質(メッセンジャー)がホルモンです。ホルモンは全身のいたるところでつくられ、身体の健康維持のために様々な『働き』の調整をしています。特に生命の活動維持と成長や成熟および生殖機能を担います。』

我慢できないほどではないけれども

疲れやすくなった、身体がだるい、重い、朝起きるのがきつい、眠気がする、手足がむくむ、汗をかきやすい、動悸がする、吹き出物がでる、腰痛、肩こり、頭痛、ゆううつになる、イライラする、睡眠障害、生理不順、性機能障害、不妊、残尿感、頻尿など。

上記のような症状がありましたらお気軽にご相談ください。