2015年5月7日木曜日

関節リウマチ症状の改善 !!

来院時所見

年齢65歳、男性、17~8年前より発症し、常にどこかの部位に痛みを感じるとのこと。病院にて検査を受け、関節リウマチの診断を受ける。痛み止め、湿布で症状の緩和に努めているとのこと。

両中手指節関節の腫脹、やや発赤、関節変形を認める。痛みのため拳を握れない状態。特に左手が顕著で運動制限あり。両膝関節痛、特に左膝関節の屈曲時に疼痛が顕著で運動制限あり。

経過

施術法は、アクティベータ療法(AM)とPCRTを併用。初回からAMの後に、メンタル系と抑制系の施術を行う。3週間後の3回目の来院時、特に手指の関節痛が明らかに改善されたとのご報告をいただいた。実際の所見でも、初回に見られた腫れもほぼ消失し、疼痛による運動制限もかなり改善されていた。

9回目の施術から、左膝の症状のぶり返しが生じていたが、症状をぶり返す『誤作動記憶』のパターンを消去することで、徐々に改善され、症状のぶり返しはほぼ消失した。13回目の治療を終えた時点、ご本人も症状の改善を自覚されており、完全ではないにしろご自分の身体に自信が持てている様子だった。今後は、施術の間隔を少しずつ開けながら、メンテナンス的に継続治療が望まれるだろう。

考察

関節リウマチは膠原病の一つで、一般的に完治することは困難だとされる自己免疫疾患である。確かに薬物療法だけに頼ればそうかもしれないが、肉体だけの問題ではなく、心身相関的に心と身体の関係性を含めた検査と施術を行えば、決してそうとは言えないだろう。原因が、神経と筋肉との関係性、心と脳の関係性というように、『関係性』という視点と、『誤作動』は記憶されているという視点をもてば、自己免疫疾患も改善することが普通といっても言い過ぎではないかもしれない。別の言い方をすれば、「関係性」や「誤作動記憶」という視点を持たないがゆえに、治せる病気も治せないと考えたほうが本質的だろう。

本症例の患者様をご紹介して下ったのはその方の息子さんで、その息子は、遠方でアクティベータ療法とPCRTの施術を行っている治療院で改善された経験があり、その信頼のつながりで来院して下さった。治療効果の裏には「信頼」というベースが必ず存在している。「信頼」という強固なベースがあれば、難病とわれる様々な自己免疫疾患も改善される可能性は十分にある。

2015年4月23日木曜日

心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)のホームページのリニューアル !

10年間継続してきた心身条件反射療法(PCRT)のホームページが、4月15日よりリニューアルされました。まだまだ、修正点や追加内容が多々ありますが、協力スタッフのお蔭で、理想に近いホームページに仕上がったと感じています。また、本研究会に熱心にご参加していただいた先生方、ならびに症例報告や論文を提出していただいた先生方のお蔭で、内容豊富なホームページになっていると思います。

過去10年を振り返り、活動を継続する原動力は何だったのか?それは、「同じような症状でも、すぐに改善する患者さんがいる一方で、同じ症状を繰り返す患者さんがいるのはなぜか?」という探求心からきています。そして、今日までの臨床研究を支えてきた基本は「生体反応検査法」です。PCRT研究会の発展は、患者の身体を使って行う、この「生体反応検査法」に基づいており、この基準がなければ、何もなしえなかったといっても言い過ぎではないでしょう。

この「生体反応検査法」と患者さんの自覚症状改善とが一致することで、私たちはこの治療法に確信を得てきました。逆にいうと、一致しない場合、さらなる探求心に火がつき、その矛盾点をさらに追及しつづけてきました。その結果、「その患者さんは、なぜ改善しないのか?」の隠れた本質が少しずつ見えてきました。そして、その本質を改善するための治療法が新たに開発され、治療家の先生方に臨床現場で活用していただき、同じような成果を得ることで、さらなる確信を得るという繰り返しの旅を続けてきました。

この10年の旅の途中で、治療家として様々な発見や多くの深い学びを得ることができました。その中でも変わらないいくつかの「テーマ」があります。その中でも最も大切なキーワードは「記憶」です。本研究会の名称に関係する「条件付け」「パターン」という言葉には、「記憶」という意味が含まれています。症状を創り出す原因が「記憶」されているから、それを上書きして、症状のない「記憶」に書き換えることができるのです。

そして、この「記憶」は、「反射」という神経学的な機能に関係します。「生体反応検査法」では脳幹と大脳基底核を中枢とする反射系を利用しています。反射系に学習記憶された筋骨格系の症状などは、様々な徒手療法によって効果が期待できます。アクティベータ・メソッドもその一つで、主に関節系に関係する神経学的な誤作動の記憶を、「反射系」レベルで改善するためにはとても効果的です。

治療直後には症状が改善されるが、症状がぶり返してしまう場合は、症状を引き起こす「記憶」が「反射系」だけにはとどまりません。情動に関係する「大脳辺縁系」や潜在的な思い込みなどに関係する「大脳皮質系」への記憶にも関係性が及びます。

そのような症例では、症状に関連する「潜在感情」や「信念」、「価値観」、あるいは「意味記憶」や「エピソード記憶」に関係する誤作動の記憶を反射的に引き出して検査を行い、施術を行う必要があります。創造性豊かな人間は、様々な学習記憶をして様々な症状を創り出す生き物です。だからこそ、簡単に改善する患者さんがいる一方で、なかなか改善しない患者さんもいるわけです。

だからこそ、治療は楽しい!と感じる今日この頃です。本研究会10年の活動を振り返り、微力ながら地域社会の健康に貢献できているという実感が沸いてきております。

それでは、今年も研究熱心な先生方とともに、治療の本質を追究し続けて、多くの患者様に貢献できることを願っております。

みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

2015年4月15日水曜日

「記憶」からみた痛みの発生源


末梢(患部)に傷害や炎症がある場合、警告信号として知覚神経、脊髄神経を経由し、脳で「痛み」として感じます。通常、傷害部位の炎症などが修復されれば、それに伴って痛みも修復します。しかしながら、「痛み信号」にともなう神経回路が、「誤作動」として脊髄や脳に記憶化されている場合、その苦痛は慢性化します。長期記憶は非陳述記憶と陳述記憶に分類されます。身体で覚える非陳述記憶は、「手続き記憶」ともいわれ、頭(脳)で覚える陳述記憶は、「出来事記憶(エピソード記憶)」と「意味記憶」に分類されます。


PCRTの臨床研究で得られた、「記憶」と「脳の三層構造」との関係性は以下の通りです。



「ケガ」による「急性痛」

通常、腰痛がある場合、急性期の腰痛では、腰を強く捻るなどの捻挫のような「ケガ」で痛みを感じさせる発痛物質が末梢(患部)で体内に放出され、自律神経終末から「痛み信号」が発生することがあります。その場合、「痛み信号」は「脊髄」を経由して、感覚経路の中継点である「視床」を介して、「体性感覚野」で痛みとして感じます。痛み信号が身体や脳に記憶化されなければ、患部の傷害や炎症が消失するとともに痛みも消失します。

「体」に記憶された「慢性痛」

患部の傷害や炎症が消失しても痛みが慢性的に継続する場合があります。それはなぜでしょうか?それは、体に痛み信号が記憶されているからです。そのような記憶を「過誤記憶」といい、「痛み信号」が、身体と脳に「誤作動」として記憶されているのです。慢性化された、神経系の過誤記憶を脳の可塑的変化ともいいます。痛みの苦痛に関わる脳内の神経回路が痛みの慢性化(学習記憶)に伴って可塑的に変化し、苦痛を持続的に生じやすくなるという本質的な原因も脳科学的に明らかになってきました。長期記憶には、身体で覚える非陳述記憶(手続き記憶)と頭(脳)で覚える陳述記憶(エピソード記憶と意味記憶)がありますが、慢性化するということは、「手続き記憶」として、末梢からの「痛み信号」のパターンが記憶化された結果であるといえます。

「脳」に記憶された「慢性痛」

通常の「痛み信号」は、患部(末梢)から脊椎を経由して脳に伝えられる訳ですが、人間は創造性豊かな生き物であるため、脳で様々な学習をし、それを出来事(エピソード)として記憶します。例えば、過去につらい腰痛の経験をした場合、その出来事は、「エピソード記憶」や「意味記憶」として脳に保存され、「私は腰痛持ちです。」というように、過去の記憶を現在でも継続しているかのように自分の脳にレッテル貼りをしてしまいます。すると、脳では、「末梢」からの痛み信号ではなく、脳内で創られるフォールスメモリー(過誤記憶)の痛み信号として、痛みを生じさせる訳です。これは、「陳述記憶」に関係し、大脳新皮質、すなわち理性脳に関係すると考えられます。
このような「記憶」に関係する「痛み信号」から生じる誤作動の記憶は、PCRTの施術によって神経回路の記憶を上書きすることで、誤作動の記憶が書き換えられ、慢性痛の症状が改善されます。

2015年4月3日金曜日

コア・マッスル強化トレーニングで腰痛? (コーチング手法を取り入れた症例)

高校2年生。進学校に通い勉強も熱心で、水泳の練習もまじめ、将来がとても楽しみな優秀な青年である。

最近、本屋さんで水泳選手のための体力強化が解説された本を購入したとのこと。書かれている練習方法が納得のいく内容だったので、それを参考にして腰部のコアトレーニングを始めたらしい。なぜか、そのトレーニングを始めると腰痛を感じ、泳いでいても腰に違和感があり、スムーズな泳ぎができなくなっているとのこと。

腰部に関連する全体的な検査では、個々の筋肉バランス異常はあまり見られない。そこで、コアトレーニングのイメージをしてもらうと、明らかに誤作動の陽性反応が示される。また、泳ぐイメージをしてもらったところ、それもまた陽性反応が示される。

コアトレーニングを始める数か月前に来院された際にも、水泳のイメージで反応が示され、その誤作動の治療をしていたので、直感的に、これは、新しく始めたコアトレーニングが関係しているのではないかと思った。

恐らく無意識的に、身体のバランスがコアトレーニングの方に傾きすぎて、何のために泳いでいるか脳が混乱している状態なのかもしれない。

脳の身体の関係性を探索するために、コーチング手法を取りいれながら、生体反応検査を行い、関係性による誤作動の陽性反応を観察。

「泳ぐ目的は何ですか?」

「えっ、早く泳ぐことです・・・」

「早く泳ぐというと、明確なタイムのゴールがあるということですね。そのタイムに達するとどうなるのですか?」

「九州大会・・・インターハイ・・・」いろいろなキーワードが出てきて、「インカレ???」でも大学では競技というよりも楽しんで泳ぎたいかもしれない・・?」

このような質問しながら、同時に生体反応検査をしていると、段階的な複数の目標のイメージに対して、陽性反応が示されていたので、「その数値的なゴールが得られたときと、あるいは、そこに向かっている途中のプロセスで得られる『モノ』はなんですか?」という深い質問を投げかけた。

「?????得られるモノ???」

「すぐに答えられるような質問ではないかもしれませんので、ホットパックの間に考えてみてください。」

10分後

「どうですか?」

「難しいですね・・・」

「この質問は、人の行動の背後にある価値観、分かりやすくいうと心のエネルギー源のような『モノ』を尋ねた質問です。」

「その価値観の例として、このようなキーワードがあります。」

「安心・安定」「刺激・変化・挑戦」「存在感・重要感・特別感」「つながり・愛情」「成長」「貢献」

「これらの言葉で、心に響くキーワードはなんですか?」

「挑戦」ですね。

「そうでしょうね。○○君は、例え目の前にあるゴールを達成したとしても、次を目指して挑戦し続けるでしょうね・・・」

「ゴールに挑戦することが心の栄養素になっている感じですか?」

「はい(笑)」

「では、そのことを十分に感じながら泳ぐイメージをしてみてください。」

「そのイメージで検査をすると、誤作動の陽性反応はでていませんね。」

「それでは、その挑戦というご自分が大切にしている価値観を意識しながら、先ほどのコアトレーニングのイメージもしてみてください。」

「それも陽性反応はでていませんね。」

「それでは、目の前のゴール、あるいはコアトレーニングに意識が向き過ぎて誤作動を起こしていたパターンから、ご自分の大切な価値観を意識してゴールに向かっている健全なパターンに切り替える治療をしましょう。」

治療後、

「あっ、はっきり見えるようになった・・・」

いきなり、何かと思ったら、天井に貼っている視力検査の記号が、治療前はぼやけていたのに、治療後にはっきり見えるようになって驚いたそうだ。

直接的に心因性視力障害の治療をしたわけではないが、間接的に視力が改善されたようだ。

コアトレーニングも大切だが、ゴールに向けた自分の価値観や信念などのメンタル面を統合させてトレーニングすることがもっと大切だという学びがあった。

施術にコーチングを取り入れて、総合的な視点で診て、効果を発揮した症例である。

2015年3月28日土曜日

膝関節痛 (外側半月板損傷)

「今回はかなり悪いですね。」「今は、痛くて足に体重がかけられないです。」

長時間、椅子に座って仕事をしていて、立ち上がった時に、左ひざに「バキッ」と音がして、それから足がつけない状態になったとのこと。

病院のMRIの検査では外側半月板がだいぶんすり減っているとのこと。手術は必要ないとの診断を受けた。

左膝関節は45度程度ぐらいまでしか痛くて曲げられない状態。アクティベータ療法(AM)で全体のバランスを調整した後、膝関節の動きを細かく検査、特に外側半月板周辺には多くの陽性反応が示された。

直感的に小脳系の機能異常が疑われたので、小脳の検査をしてみると、指⁻耳検査や手の回内、回外検査をすると陽性反応を示す。

AMで基本的な調整を行い、膝関節部の検査を行い陽性反応が示すように調整を行う。アクティベータ器は手では届かない細部まで振動が伝わる。AMの治療後には膝関節の可動域も改善。PCRTで抑制系の検査をすると、左脚全体に陽性反応がしめされるので、メンタル系に関係する誤作動も調整。

施術は膝関節の可動域もかなり改善され、

「痛めてからこんなに膝関節が曲がるのは初めて・・・」

と喜んでいただいた。

また、杖を必要な状況だったが、杖も必要な普通に体重を加えて歩くことが可能になり、大変喜んでいただいた。

いつもはつらつとした方なので、しっかりと治療を継続され、もとに戻らないクセを身体に記憶させ、以前のようなはつらつさを取り戻してご活躍していただきたいと願う。

2015年3月27日金曜日

難治性の蓄膿症

30年以上も前から慢性的な蓄膿症の症状で悩まれているとのことで来院。5回目の来院でしたが、蓄膿症だけでなく、他の症状も改善されたとことで、大変喜んでいただきました。施術を受ける前に、拙著「体の不調は脳がつくり、脳が治す」を読んでいただいていたとのこと。PCRT療法に対する理解と信頼関係もうまく構築されたように思います。メンタル面だけではく、様々なアレルギー情報も関係していました。

長年抱えた慢性症状にも長年抱えるだけの「学習記憶」があり、その誤作動の記憶をひも解いていくことで症状も徐々に改善されました。心の奥に隠れている潜在的な感情や心の構造をご自分で認識することで、様々なメンタルブロックが解除され、本来の自然治癒力が引き出されたようです。このような治療効果も「信頼関係」があってのことです。患者様と術者間の信頼関係、ならびに自分自身の治る力を信じるということはとても大切なことだと改めて感じさせていただきました。


2015年3月26日木曜日

からだの「慣れる力」

「慣れる力」は、「健康」と密接に関係します。

「慣れる力」は「適応力」に言い換えることができます。慣れる力、あるいは適応する力が強い人と弱い人では、どちらが健康的になれるでしょうか?

「5月病」といって、新入生や新入社員が新しい環境の変化に適応できずに、メンタル面や身体面に様々な症状を引き起こすことは良く知られています。また、「空の巣症候群」といって、50代の女性によくみられ、子育てが終わり、子供が家を巣立っていったあたりから、空虚感的な変化に適応できないことでメンタル面や身体的な症状を伴います。

このように、メンタル面的な要因が明確な場合だけに「適応力」が関係するとは限りません。例えば、「花粉症」などの症状も、身体が花粉にいかに慣れるかで、症状が良くなるかどうかが決まります。多くの人は、なるべく花粉を吸引しないようにマスクをするなどの対策を取ります。すると花粉の時期には、毎年マスクをするのが当たり前になります。

ファミリーカイロでは、マスクから解放された患者さんがたくさんいらっしゃいます。4年前から花粉の時期にはマスクが欠かせなかったという患者さんが、当院の治療で根治して、「何年もマスクをしていた時期は何だったのだろう?」といわれていました。現在の一般的な医学情報では花粉症の治療は、対症療法しかなく、治らないのが当たり前の感覚です。なぜ、花粉症が当院の治療で治るのでしょうか?

それは、人間が本来持ち備えている「適応力」を利用して、身体を花粉に慣れさせる治療を行っているからです。人間は本来、様々な環境の変化に適応できる力を備え持っています。その「慣れる力」、「適応する力」をいかに発揮するかが、健康を維持する上でとても大切です。

日本では3月~5月にかけては、多くの人が様々な「変化」を経験する時期です。昔から「郷に入れば郷に従え」と、その土地やその環境に入ったならば、そこでの習慣や、やり方に従うのが賢い生き方であるといわれています。

「慣れる力」にブレーキをかけるものは何でしょうか?その本質の多くが、「○○であるべき」「○○のはず」「○○が当たり前」という心の奥で信じている信念体系に関係しています。このルール規制が厳しければ厳しいほど「脳の柔軟性」は失われ、「慣れる力」は低下していきます。

つまり、「~べき」によるルール規制が低下すると、「脳の柔軟性」が高まり、より健康的になれます。もちろん、「~べき」が低下しすぎるのも問題です。ご自分の「慣れる力」を信じて、様々な変化に適応できるように学習し、新しい環境に身体を慣らして健康を維持していきましょう。