2015年9月10日木曜日

ベストなPCRTアプローチの仕方

ベストなPCRTの治療を行うために、

本質的EB(エネルギーブロック)を診ることを優先すべきか?
それとも、患者のペースに合わせたEBを診ることを優先すべきか?

早期に症状を改善させるために、本質的EBを探索することはとても大切ですが、その前提条件として、患者が望むペースに合わせながら、その患者が望むレベルに応じてEBを診ていくことは、さらに大切で優先すべきテーマです。

PCRTの根幹となる主な治療目的は、本質的な原因を探索して症状を改善することです。それ故に、PCRTの治療者が熟練すればするほど、症状の本質的因果関係が見えやすくなり、早くその本質的EBを改善しようとする傾向があります。

患者との信頼関係がしっかりと構築され、患者自身も本質的な原因を探索することを心の奥から望んでいるのであれば問題はありません。しかしながら、すべての患者がそのような深い信頼関係で治療を受けると限りません。

もしも、患者が無意識の心の状態を探索することに抵抗感がある場合、術者が患者のために良かれと考えてその治療法提案して牽引しても、患者が心からそのような治療法を望まない限り、いい結果はでません。

多くの患者にとって、施術者からの提案を断ることに抵抗感をいだくものです。一時的に術者からの提案を受け入れたとしても、患者が本当に心の奥から望んでいる施術でなければ、単なる一時的な押し売りになる傾向が生じてしまいます。

よって、たとえPCRTの熟練者であったとしても、すべての患者に対して、本質的な施術ができるとは限りません。本質的な施術ができる前提条件として、患者との深い信頼関係、ならびに、患者自身が、無意識の心の状態を探索する本質的な施術を心から望んでいるかどうかがとても重要な要因になります。

本質的治療法で結果を出すための信頼関係をまとめると以下の3つの項目になります。

1. 患者と施術者間の信頼【人の波長】
2. 治療法に対する信頼【治療法】
3. 自分自身の治る力に対する信頼【治癒力】

この3つの信頼関係を保つために、術者は患者よりも前に進み過ぎないことが大切です。患者が期待していること、心から望んでいる治療法は何かをしっかりと把握することが大切です。患者は症状を改善したいがために来院されるのですが、術者の提案に従えば早く治るということを頭で理解しても、どのように治したいかというシナリオは潜在的に譲れない方が多いようです。

この潜在的に譲れないというのは、無意識の心が生じさせるので、その判断は経過を見ていかなくては分かりにくいところです。結論的に、患者が無意識的に抱いている治し方、いつまでにどのようなペースで治したいのかという治るためのシナリオは、術者が注目しなければならない最優先課題です。術者が本質的な治療法を提案する場合、その患者の無意識的に抱いているシナリオを尊重したうえで、患者との関係性やタイミングを図りながら行うべきでしょう。

術者からの提案をすぐに受け入れてくれる患者さんもいますが、本質的な症状改善のために必要な施術であると頭では理解しても、心の奥では抵抗を感じている患者も少なくはないということを冷静に認識することが大切です。

PCRTの治療法は、まだまだ、一般常識とは異なる治療法ですので、理解してもらうには時間が必要です。

基本は患者の無意識の心よりも先に進み過ぎずに、あくまでも患者の横に寄り添って伴走するか、患者のペースに合わせて後ろからサポートすることです。

2015年9月9日水曜日

自己ベストの更新!! 未来への挑戦者

前回ご紹介させていただいた、水泳選手が大会で自己ベストを更新して、個人種目とリレーで九州大会に参加できるとの報告をいただいた。

試合前での検査でも安定した状態だったので、おそらくいい結果がでるだろうと期待はしていたが、実際の競技では何が起きるか分からない。

実際の競技でのパフォーマンスを何度もシュミレーションして、誤作動の緊張を取り除き、ベストな状態が維持できた様子。想定以上の結果がでたことにとても自信が持てたようだ。

興味深かったのは、ある程度、九州大会に参加できるタイムが出せるようになると、本場で、そのタイムが、維持できるようにと、「守り」に入る潜在意識がブレーキをかけていたことだった。

この「守り」に入るパターンは、潜在意識が生じさせる誤作動なのだが、スポーツ選手がある程度の成績を掴んだ時に陥りやすいワナでもある。

この「守り」に入るワナは、スポーツ選手に限らず、様々な分野でも生じるワナで、知らず知らずのうちに自分の能力を制限してしまうようだ。

例えば、組織の中である地位に就いたとき、その地位や立場を守ろうとする意識が潜在的に働いて、周りの人の動向ばかりが気になって、自分の更なる成長にブレーキをかけてしまうこともあるだろう。

長年、このような本質的な治療やパフォーマンス向上のお手伝いをさせていただいて感じることは、人は常に「挑戦者」としての立場を忘れないようにしなければ、自分で自分の能力にブレーキを掛けてしまうということだ。

何かにチャレンジし続ける心は、人を成長させ、心を豊かにさせてくれる原動力になると思う。

挑戦者であり続ける人は、さらに未来に向かって羽ばたき、輝き続けるだろう!

2015年8月27日木曜日

全体(脳)と部分(身体)のシステム調和に基づくパフォーマンスの向上

「タイムが順調に伸びてきているので、今度の九州大会には参加できそうです!」

と、報告してくれたのは、水泳部に所属する高校男子生徒。中学の時からファミリーカイロを利用していただいている。勉強もスポーツもまじめに取り組むスマートで素直な好青年という感じ。

中学ではバスケット、高校では水泳部に所属して、当初は、水泳部専属のコーチがいないため、どのようにトレーニングすればいいのか迷いもあった様子。本を読んだり、ビデオを観たりしながら、いろいろと研究されていた。

関節の痛みや筋肉の張りなどを訴えて来院され、その都度、原因を特定して施術をおこなってきた。また、理想のパフォーマンスを特定して実践で試すということを繰り返し、水泳のタイムもだんだんと伸びてきたとの報告をいただいた。

その中でも特に効果的だったのは、メンタル的なサポート。メンタル面といっても、心を強くするなどというような精神論的なことではない。ベストなタイムを得るためのマインド設定やベストな泳ぎを実現させるための全体的なイメージ設定など、ご本人にとってのベストなパフォーマンス達成を心身条件反射療法でサポートさせていただいた。

まず、泳ぎのフォームで問題になったのは、泳ぎ方の教本や雑誌などに影響する技術的なこだわり。この部分的な技術面へのこだわりは、脳に誤作動を生じさせやすく、関節の動きが全体的に調和されずに、痛みなどの症状を生じさせやすい。

これは、水泳に限らずあらゆるスポーツ選手に共通することで、部分にフォーカスした技術面のこだわりは、指導者によっても生じやすい。部分的な技術指導が悪いというのではない。技術を修得する上で時には部分的な指導が必要なこともあるだろう。ただし、「全体」と「部分」との調和が伴うということが重要である。

「全体」と「部分」の調和を言い換えれば、「脳」と「身体」との調和といえるだろう。よくあるパターンは、「全体」よりも「部分」が先行してしまう誤作動である。バランスの良いパターンは、まずは、理想的な全体的なパフォーマンスのイメージが先行して、次に部分的なパフォーマンスが、後から自然についてくるという心と身体の状態である。

例えば、股関節や膝の角度を何度位で動かすなどの部分的なイメージ先行して、全体的な理想の動きのイメージが不明瞭な場合は、脳と身体が調和できずに、関節に傷害を生じやすくなる。人間は、ロボットとは異なり、システム的に統合された生命体である。部分を修正すれば良くなるというものではない。

人間がベストなパフォーマンスを実現するためには「全体」と「部分」を切り離すのではなく、統合的なシステム思考で調和させることが大切であろう。


2015年8月12日水曜日

送球イップスの改善

最近、イップスで来院された患者さんがいます。野球を辞めようかと悩んでいた高校生は、レギュラー競争で、無意識的に現在のポジションを守りたいという心が一つの原因になっていました。もう一人、現在、高校野球部の指導をされている先生は、大学時代のバント処理がきっかけで、自分自身に対して、「チームのために役立つべき」という信念などが関係していました。他にも様々な信念などが心の背後に関係しています。お二人とも経過は良好で、問題なく改善されるでしょう。今までにも多くのイップスの患者さんを診させていただきましたが、まじめな方が多いようです。

送球イップスにも様々なケースがあります。よくあるケースは、遠投は問題ないが、塁間での送球や至近距離でのキャッチボールがうまく投げられなくなるケースです。イップスの患者さんは、数年間悩んだあげく、来院される方が多いようです。また、イップスを改善する専門の指導者もいるようですが、指導を受けても改善されなかったという患者さんもいらっしゃいます。

イップスの改善で大切なことは、肉体だけの問題ではなく、心理的な要因が関係しているということの理解です。心理面の要因とは、一般的に思われている心が弱いと強いとかの問題ではありません。広義的には「こころとからだの関係性」による問題です。狭義的には「誤作動の学習記憶」による問題です。心理学的には「意識と無意識の関係性による誤作動記憶」の問題です。

イップスの患者さんの多くは、発症のきっかけがあります。それを境にして、悪循環を繰り返し、様々な誤作動記憶を積み重ねている方が多いようです。きっかけとは、所属しているチームメンバーとの人間関係だったり、指導者との関係だったり、あるいは、自分自身だけの問題だったりします。また、そのきっかけが、スポーツとは関係のないプライベートなことに関係することもあります。

イップスを改善するためには、心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)のように、心身相関に関連する誤作動記憶に目を向けた治療法であれば本質的な改善が望まれるでしょう。投球フォームや肉体面のバランスばかりに目を向ける指導者や治療者もいますが、そのような表面的なアプローチでは恐らく効果が望めないのではないでしょうか。

また、カウンセリング、あるいはコーチングでメンタル面ばかりに目を向けても時間がかかりすぎるかもしれませんし、イップスとは関係のないメンタル面のケアになっているかもしれません。イップスの改善に大切なのは誤作動を生じさせている潜在的な心の状態をピンポイントで認識することです。

イップスは、無意識的な誤作動記憶の積み重ねによって引き起こされる症状なので、その誤作動記憶を明確にして、施術によってその誤作動記憶を健全な記憶へと段階的に上書きするだけです。イップスは改善が難しい症状ではありません。必要なのは適切な治療法と治療期間です。後は、施術者との信頼関係が、しっかりと構築されていれば徐々に改善されていくはずです。

2015年8月11日火曜日

2015年PCRT中級1のご案内

PCRT研究会代表の保井です。PCRTの中級1が9月6日(日)と7日(月)に開催されます。LCAの講師陣の協力で、充実したプログラム内容がほぼ準備できました。今年から、プロトコルチャートを使ったアプローチの手順を強調しているため、施術の進め方も以前に比べると数段使いやすくなっています。

今回の中級1では、経絡を中心にして、チャクラや肉体内外に関係するアプローチの仕方などをご紹介させていただきます。PCRTのコンピテンシーの一つである「身体をエネルギー体として診る」ということを実践的に学んでいいただける内容です。

医療、健康関係に従事する治療者を大きく分けると、「病理の目」と「感性の目」に大きく分けることができます。人を機械的な目、もしくは病理の知識を備えた目で診るのか、それとも、有機的な目、もしくはエネルギー的な感性を生かした目で診るのか?

私たちの感性には、本来、エネルギー的なバランス異常を感知するセンサーが備えられているはずです。昔の宗教画や仏像などの背景にはオーラのような「エネルギー」が描かれています。昔の人々は、研ぎ澄まされた感性を生かして、そのようなエネルギーを普通に感じながら生活を営んでいたのかもしれません。

現代のようなに知識、情報がありふれた生活の中では、大切な感性を軽視し、退化させて、知識、情報ばかりを頼りにしているようにも感じます。病理学的、あるいは神経生理学的な知識の多くは、科学的、あるいは客観的に証明された結果です。それはとても素晴らしい成果であり、多くの人に支持され高く評価されています。

しかしながら、小宇宙と呼ばれている人間を取り巻く様々な関係性からすると、それらはほんの一部の知識、情報でしかありません。「人はなぜ、病気になり、病気にならないのか?」「昨日まで元気だったのが、なぜ、理由もなく突然体調不良になるのか?」など、本質的に解明されていない課題がたくさんあります。

科学的に証明された知識、情報は、ネットを開けば取り出せる時代です。しかしながら、目には見えないエネルギー的な情報は、ご自身の感性を高めなければ診ることはできません。PCRTの研究会はそのような感性を磨く場でもあります。PCRTの研究会を通じて、エネルギー的な感性に磨きをかけて、さらに多くの人々に貢献できる力を身に着けていきましょう。

それでは、研究会でお会いできることを楽しみにしています。

2015年8月6日木曜日

2015年度ライフコンパスアカデミーパワーアップ研修

 先日、ライフコンパスアカデミーでは、ファミリーカイロプラクティックセンターと志賀島において、AMセミナー、ならびにPCRT研究会などでご協力いただいているインストラクターの先生方と2日間のパワーアップ研修を行いました。

AMやPCRTの実技試験と指導法の統一を確認し合いました。PCRTでは新しく開発した簡便な小脳機能検査法、軽擦法加算振動法、生体反応検査法を使った認知検査などを学びました。生体反応検査法を使ったタイプ別の検査において、それぞれのタイプでチームが支えられているということを確認することができました。

特にコーチング手法を取り入れた、いくつかのトレーニングにおいて、それぞれに深い気づきを得ることができたようです。チームメンバーひとりひとりの信念や価値観を尊重し認め合いながら、チームのゴールと個人のゴールをすり合わせて、LCAが目指す方向性を確認し合うことができました。

長年ご協力いただいている菊地先生が、今年、還暦を迎え、チームでお祝いをすることができました。赤いちゃんちゃんこが良く似合っていました。60歳で赤ちゃんに戻るという意味もあるそうです。研修で遭遇した「素直」というキーワードは、菊地先生の琴線にも触れた様子で、60歳から素直に生きるという気づきを得たのでしょうか? 菊地先生のこれからが楽しみですね。

LCAは今後も、自然の法則に調和した健康と幸せに貢献するために、治療者をサポートし、多くの患者様に貢献できればと願っております。

2015年7月29日水曜日

一般論に基づく、症状を創り出す信念

「骨が変形しているから痛い」「軟骨がすり減っているから痛い」これは、多くの人々が信じている関節痛に関する一般論です。どこまで深く信じているかは人によって様々です。もしも、レントゲン検査、あるいはMRIなどの画像検査で骨や軟骨の変形が発見された場合、その変形が修正されない限り、関節痛が持病になると信じてしまいがちです。言い方を変えると、「画像診断の結果、関節痛が常にあるのが当たり前」という信念体系を持つことになります。

また、「関節の変形は使い過ぎによる」という一般論から関節を使わないようにする一方で、「関節の筋肉を鍛えなければならない」という一般論から運動するという相矛盾した信念によって脳が混乱し、何を信じていいのか分からないとう方も少なくはないようです。

「関節の骨や軟骨がすり減って痛くなる」一般の人にはとても分かりやすい機械論的な理論です。しかし、それをまともに信じてしまうと、誤作動を生じさせる意味づけの「記憶」として脳に定着し、痛み信号を脳で創ることになります。実際に関節変形が直接痛みの原因になっている場合もありますが、それがすべての原因ではありません。関節痛で特に注意が必要なのは「変形」ではなく「バランス」の問題です。

関節痛で特に注目しなければならないのは、筋肉の「オン」と「オフ」のバランスです。関節を支えている一つ一つの筋肉がちゃんと働いているかどうかも大切な要因ですが、その前に全体的に力を入れる筋肉(興奮系=オン)と力を抜く筋肉(抑制系=オフ)のバランスが取れているかどうかはとても重要です。

例えば、膝を伸ばす筋肉は太ももの前にある大腿四頭筋という筋肉、膝を曲げる筋肉は太ももの後ろにある大腿二頭筋という筋肉です。膝を伸ばすときは大腿四頭筋が「オン」になり、膝を曲げるときは大腿二頭筋が「オフ」になります。その逆で膝を曲げるときは大腿二頭筋が「オン」になり、大腿四頭筋が「オフ」になります。この「オン」と「オフ」の絶妙なバランスが崩れると、痛みや関節変形の原因になります。関節痛の多くは、「オフ」ができないこと、すなわち、「力が抜けない」ことが主な原因なります。

ファミリーカイロでは、関節痛の患者さんの多くが、「オフ」(力を抜く)の検査で反応が示され、この検査で反応が示されなくなると、たとえ関節に変形が存在しても症状が改善される方がほとんどです。しかしながら、「関節変形=痛み」という信念体系があると、関節部位からの痛み信号が消えても、脳で創られる痛み信号が存在し続けて、実際に痛みを感じます。その場合、痛みを創る信念体系から痛みを生じさせない健全な信念体系に上書きする治療を行うと、脳で創られる痛み信号が消えていきます。

もしも、無意識的に構築されやすい症状を創り出す信念体系があれば、自分の体や脳の柔軟性を信じられる健全な信念体系へと上書きしていきましょう。