2017年1月20日金曜日

車に乗ると必ず腰が痛くなる。→その原因は「意味記憶」にあった。

車に乗ると必ず腰が痛くなる。→その原因は「意味記憶」にあった。

ある患者さんが、仕事で使う車に乗ると腰が必ず痛くなるという。来院された際に、腰痛に関係する理学的な検査をしても陽性反応が示されない。しかし、その車に乗って腰痛がある状況を想像してみると、生体反応検査では陽性反応が示される。

ということは、腰痛を引き起こす「誤作動記憶」があるということが疑われる。PCRTの検査チャートを使って検査を進めていくと、大脳皮質系の「意味記憶」で反応が示された。

患者さんに、
「この反応は、思い込みによる影響なのですが、ご自分なりに考えている腰痛を引き起こす原因や理由で、何か思い当たることはありませんか?」と、質問させていただいところ、 
  •   「その車のシートが傾いているから、骨盤が歪む・・・」
  •  「オートマチック車は、右足しか使わないから、骨盤が歪む・・・」
  •   「車の運転で腰を動かさないから、腰に良くない・・・」


というような腰痛につながる「意味記憶」が陽性反応として示された。

それらの意味づけを、

  •  「人間の身体はそもそも左右不均等が自然で、多少の傾きや偏りには対応できる能力が備わっている」


という新たな意味づけで調整を行うと。それ以来、車に乗った際の腰痛はすっかり改善された。

車のシートが傾いている、あるいは片方の足しか使わないからなどの偏りは、多くの医療従事者でさえもが腰痛の原因にしそうな意味づけであろう。その前提として、人間の身体は左右均等でなければならないという根拠のない理由がある。

私は、これを機械論の弊害だと常々語り続けてきた。機械論的な理由づけはあたかも正論かのように聞こえるので、厄介な面が多々ある。本症例のような機械論による健康被害はほんの一部であるが、このように本質を伝え続けることが大切だと思う。


2017年1月19日木曜日

後鼻漏症候群の改善


経過と考察

腰痛で通院されていた患者さんが、以前から悩まされていた後鼻漏の治療も始めて、5回ほどの施術でほぼ改善された。後鼻漏の症状は数年前から発症し、鼻炎の薬も対症療法的に常用していたらしい。後鼻漏の治療は、腰痛治療のついでにという感じだったが、最初の後鼻漏の治療で「治るかも・・・」と思えたのだろう。その後、後鼻漏の施術を継続するごとに症状が段階的に改善されていった。
様々な「誤作動記憶」が関係していたが、改善されている過程で印象に残ったのは「意味記憶」による影響だった。「意味記憶」とは一般的にいわれている「思い込み」のことである。いわゆる信念体系=ビリーフのことなのであるが、「原因と結果」に基づくビリーフが多く関係していた。
改善につながったいくつかの「意味記憶」のパターンを紹介してみよう。
例えば、

  • 「ビールを飲んだら身体が冷えるから、鼻水がでる・・・・」
  • 「寒くなった身体が冷えるから、鼻水がでる・・・・」

これらの意味付けは、飲み物や外からの影響を受けて、自動的に身体が冷えるという思い込みである。
この意味づけで問題なのは、自分の身体の自動調整機能(ホメオスタシス)を信じられていないことにある。
これを

  • 「冷たい飲みものを飲んでも自分自身の身体が自動的に温めてくれる・・・」
という新たな意味づけ(思い込み)で切り替える調整を行なった。
  • 「今年は花粉の量が多いから・・・」
というニュースからの情報にも意味記憶の反応が示されていた。
これを

  • 「今年は治療で花粉症の薬を飲んでいないし、自分の体質が変わったので・・・」
という症状とは切り離した意味づけで調整を行なった。

これらの「意味記憶」以外にも大脳辺縁系レベルでのいくつかの「信念」が関係していたが、「治らないのが当たり前」から「治るのが当たり前」と患者さん自身が自覚されていた様子が印象的だった。


後鼻漏症候群に限らず、様々なアレルギー症状が長引くと、多くの患者に「意味記憶」の反応が関係していることが多い。そのような症状が改善されない思い込みを紐解くことで、本来の自然治癒力が発揮される。

2017年1月18日水曜日

動悸、息切れ、むくみの症状(肺動脈性高血圧症【病院診断】)の改善

動悸、息切れ、むくみの症状(肺動脈性高血圧症【病院診断】)の改善

経過

当院来院の7ヶ月前に動悸、息切れ、むくみの症状で病院を受診。エコー検査、レントゲン、CT、心電図、心臓カテーテルなどの検査を受けて、肺動脈性高血圧症、貧血の診断を受ける。また、検査入院を4泊ほどしてから咳が出だしたとのこと。一年ほど前にも心肥大の診断を受けているとのこと。だんだんと歩行も困難になっており、連続の動作で症状が悪化し、動かなければ症状が軽減するらしい。病院以外にホメオパシーやサイマティックスセラピーも受けているとのこと。このような症状は初めてで、かなり疲弊していると深刻に話されていた。

肺動脈生高血圧症とは、国で難病指定されている病気である。西洋医学では原因が不明とされている。初回の来院時には、とても息苦しそうで、咳の症状に加えて、胸部周辺に様々な陽性反応が示されていた。病院では肺動脈性高血圧症を改善させるための薬が処方されていたがむくみが強く、薬の効果があるのかどうか不安になっていた。しかし、病院で処方された薬を勝手に止めることもできずに悩まれていた。

5回ほど当院に通院されたのち、思い切って薬の中止を医師に相談、副作用のある薬を中止された。その後、6回目から10回目までどんどんと回復され、PCRTでの陽性反応も最初に比べて随分と少なくなった。10回目の施術ではかなり回復されているにもかかわらず、病院の検査で難病と診断されたが故に治らない「意味記憶」が陽性反応として示されたので、意味づけを書き換える施術を行った。

最初の疲弊された様子から比べると随分と回復された様子。「今後は病気を治すという意識よりも、健康を作るという意識で、以前行なっていたヨガやウォーキングなども始めて、無理のない体力作りのゴールを決めてはどうですか?」と提案させていただいた。


考察

今回の場合、肺動脈性高血圧症の症状が機能の改善、心身相関の調整を基本にした施術法で改善されるということは、「器質的な問題」というよりも「機能的な問題」であったといえるだろう。そして、その「機能的な問題」が単に肉体内だけの問題ではなく、無意識の誤作動にも及んでいたということである。当院では他にも難病指定された改善例があるが、病院での診断は、患者に強烈に意味付けされるようだ。

「難病=治らない」というような自然治癒力を制限する自己暗示は、健康にかなり影響を及ぼすと感じる。病気の種類にもよるが、今回のようなケースでは、普通の人のような活動的な動きは一生できないかのような思い込みができていた。「ほんとうにそうなのだろうか?」という疑いの余地もないほど、意識的にも無意識的にも信じ込んでいる。

自分自身が「治る」という確信が持てなければ、なかなか自然治癒力は発揮されない。病院で治らないかのように意味づけされた患者さんには、「病院では心(無意識)と身体の関係性による「誤作動記憶」を調整する治療はしていないからこそ治る可能性があるのですよ・・・」と伝えることが多い。

私たちは専門医とは異なる目で患者を診ているので、治りにくい患者が治るのだと私は思う。


2017年1月17日火曜日

痙性斜頸(頸部ジストニア)の改善 (無意識の理解)

痙性斜頸(頸部ジストニア)の改善


経過

2ヶ月ほど前から意識とは裏腹に、自然に首が片方に傾くようになった。同時に肩こりの症状が出始めた。仕事中にパソコンを使用している時、家事をしている時、バレーボールをしている時、人と会話をしている時など、常に首が傾く症状があり、特に緊張している時は悪化し、一人でぼっーとしている時には軽減するとのこと。


病院では痙性斜頸(頸部ジストニア)と診断され、最初の病院では投薬治療、次の病院でボトックス注射を一度だけ受けた。それ以外にも整骨院でマッサージや鍼灸治療を受けている。病院でのボトックス注射で少しよくなっているように感じているとのことだが、何度もボトックス注射を受けるのは不安もあり、当院を受診。

初回の身体への生体反応検査では、頸部や上部胸椎周辺、両肩周辺の筋緊張反応や関節部に陽性反応が示された。さらに無意識の「誤作動記憶」への生体反応検査では、職場でのパソコン業務の場面、バレーボールの練習の場面に陽性反応が示され、「探究心」に関係する信念も関係していた。

2回目の施術では、大勢の人前にいる場面、人と会話する場面で陽性反応が示され、その背後に「慈悲心」や「警戒心」などの信念が関係していた。3回目、4回目と消去法のようにだんだんと症状が発現する場面が少なくなってきた様子。

5回目では、以前示されていた人に対する陽性反応は改善されていた。狭い空間や集まりで気を使って会話している時に症状が生じているとのことで、その場面に関係する「誤作動記憶」の施術を行った。「執着心」や「利己心」の背後にある「存在感」という価値観を大切にされているということが自分自身でも理解できたようで、自分が無意識に行っていた「意味づけ」を客観的に把握できた様子だった。

6回目では、前に示されていた複数の陽性反応も改善され、以前の会話の際のジストニア症状も改善されたとのこと。ある特定の人だけ症状が発現したというので、その場面で施術を進めた。前回とは少し意味合いが異なるが、「利己心」の背後にある「重要感」という価値観が一連の検査で浮かび上がった。他の人に対してはこれまでの施術で陽性反応が示されなくなっており、その特定の人だけに反応が示されるので、「その人だけに身体(無意識)が反応するということを自分なりに理解できますか?」と質問しところ、自分なりにその反応の意味が納得できた様子で、施術後にはその陽性反応はすぐに陰性反応に切り替わった。

考察


最初に来院された際、症状が発現する場面が多くて、常に斜頸が生じているような感じだったが、施術の回数を重ねるごとに、消去法のように陽性反応が消され、それに伴って症状も改善された様子だった。

ジストニアの症状の本質は、意識と無意識の「不一致」にあるので、「無意識」の領域を無視して、身体だけの治療や調整で良くなるというのは甚だ疑問である。ジストニアに限らず、意識と無意識の「不一致」で様々な症状が引き起こされるが、改善するために大切なのは、患者自身が普段意識していない「無意識」をできるだけ理解できるように、施術を通じて改善のお手伝いをすること。

医学の世界では、原因不明で難しい症状の一種であるかのように捉えられがちだが、意識と無意識が一致できるようにサポートすれば、段階的に改善される症状である。6回の施術を終えて、完全に良くなっているという訳ではないが、患者さん自身も施術を重ねるごとに段階的に良くなっていることを実感されている。

本症例では様々な「誤作動記憶」が関係していた。その「誤作動」の背後には「存在感」や「重要感」という普段意識していない価値観に関係する無意識的な意味づけが大きく関係していたようだ。PCRTの一連の施術を通して、無意識の心の構造を客観的にマッピングすることで、患者自身が自分の無意識を素直に理解し、そのことで、新たな神経回路の構築に変化が自然に促されたのだろう。つまり、自分自身(無意識)を深く理解することで、新たな思考の選択肢が自然に増えた結果だといえよう。



2016年12月10日土曜日

症例報告:首から左腕にかけての疼痛(頚椎椎間板ヘルニアによる神経根症状?)

症例報告

主訴:
首から左腕にかけての疼痛

病院診断:
頚椎椎間板ヘルニアによる神経根症状

患者情報:
年齢54歳、男性、会社員(事務職)

施術前の経過:
9ヶ月前に頭を強打して、3日後に首や腕の痛みが生じたとので、整形外科を受診。むち打ち症のようになったのかもしれないとのことで、1ヶ月ほど通院。吐き気も催したりしたが吐き気はすぐに改善。その6ヶ月後ぐらいに、同じような頚部痛と左腕の疼痛を再発する。
レントゲン検査とMRI検査の結果、頚椎5番と6番の間の椎間板ヘルニアで神経を圧迫しているという診断を受ける。ヘルニアによる神経根症状であるとのことで、頚椎の牽引と電気治療、ホットパックの施術を二週間ほど毎日受けているとのこと。常に痛みはあるが、特に夜寝るときに痛みが強くなり、夜中に痛みで目が覚めて寝れないという。
また、痛みのため仕事にも集中できない状態とのこと。首から腕にかけての痛みを一番改善したいが、以前からかかえている慢性腰痛と左右のアキレス腱痛とその周辺の腫れも改善したいとの要望。

施術経過:
初診時からアクティベータ療法とPCRTを併用。施術3回目で両方のアキレス腱痛関連の神経学的機能障害の陽性反応は消失。それに伴ってアキレス腱痛も改善される。施術の経過ではPCRTにて仕事や家族関係に関連する「信念」の誤作動記憶を主に調整。その他、飛行機、高速バス、車の運転の際の痛みなどの症状を引き起こす「意味記憶」を調整。

結果:
初回来院から20日の間に10回の通院治療でほぼ症状が改善される。先日、不安を抱えつつもゴルフを行なったが調子が良かったとの報告を受けた。また、慢性腰痛と左右のアキレス腱炎の症状も通院治療前半の施術で、ほぼ改善しておりその後も良好である。

考察:
一般的に椎間板ヘルニアによる神経根症状は、痛みが強く治りにくいとされる。そのような症状が10回ほどの治療でなぜ改善されたのだろうか?その理由を紐解いてみよう。
  • 一つ目は、患者と施術者との信頼関係である。患者にはいとこに柔道整復師の先生がおり、その先生からの間接的な紹介ではあったが、信頼のある人(いとこ)からの紹介であったことが一つの要因となる。
  • 二つ目は、1回目の治療直後にある程度の治療効果を体験されたこと。最初から毎回、アクティベータ療法とPCRTを併用しており、治療の目的やコンセプトをある程度理解していただけたように感じた。
  • 三つ目は、PCRTの検査で示されたキーワードに対する質問に対してスムーズに認識されている様子が伺えたこと。
  • 四つ目は、PCRTの検査でも示されていた、精神的に重荷になっていた出張を無事終える事ができたこと。

これらの要因がうまく重なって、本来の自然治癒力が最大限に発揮されて改善されたのだろう。腕の痛みは椎間板ヘルニアによるものだといわれると、多くの人は首を動かさないように、あるいは重いものを持たないようにという機械論的な思考が先行して、治療効果にブレーキをかけてしまいがちになる。
しかしながら、本患者は柔軟に治療者の説明を理解していただけたようだ。毎度のことではあるが、治療者が信頼して使っている治療法を、いかに患者目線で自分がわかりやすく説明し、それに対してどれだけ患者が信頼を寄せてくれるかが改善の鍵となるということを改めて感じさせてくれた症例である。


2016年12月5日月曜日

人生の健康習慣

人生の健康習慣といえば、「寿命」のことや「健康」のことが頭に浮かぶかもしれません。最近の書籍『ライフシフト 100年時代の人生戦略』では、過去200年間のデータを振り返ると、人間の寿命が10年に2~3年のペースで伸びている事が示されています。1914年生まれの人が100歳まで生きる確率は1%だったそうです。しかし、2007年生まれになると、その半数が104歳まで生きるそうです。そして、2050年の日本は、100歳以上の人口が100万人を超えているというから驚きです。著者のリンダ・グラットン教授曰く、もし自分が100歳近くまで生きるとしたら、人生設計もそれにあわせて変えるべきではないかと主張しいます。

寿命だけが伸びても実際の「生活の質」が低いと、人生全体は不健康になります。人生の健康を保つためには「生活の質」は高めていかなくてなりません。健康を維持する上で、ご自分の「習慣」を振り返ることはとても大切な事です。「習慣」といえば、まずは「食習慣」や「運動習慣」などをよく耳にするのではないでしょうか?これらの表在的な習慣の背後には「思考習慣」があります。人によっては「前向きの思考習慣」の人もいれば、「後ろ向きの思考習慣」の人もいます。別の言い方をすると、「内向きの思考習慣」と「外向きの思考習慣」という言い方もできます。さて、あなたはどちらの傾向があるでしょうか?

健康面でいうと、どちらの思考習慣の方が、精神的にも肉体的にも健康的に過ごせるでしょうか?このことに関係する興味深い研究があります。ハーバード大学教授のエレン・レンガーは、ある介護施設で実験を行いました。入居者全員に鉢植え植物を配り、半数にはみずからその世話をしてもらい、別の半数には植物の世話は施設の職員がしました。ちょっとした仕事もさせてもらえなかった人は、植物の世話をした人にくらべて健康、幸福感、活力が大幅に減少したという結果が出ました。

さらに悲しいことに、その間の死亡率を比べると、植物の世話をした人たちの死亡率は15%だったのに対し、世話をしなかった人たちの場合は30%だったという事です。そして教育、仕事、人間関係、ダイエットなど多くの分野でも、同様な結果がでているということです。この研究結果から何が読み取れるでしょうか?

外向きに何かのお世話をしよう、あるいは何かの役に立とうと、「前向き思考」の人は心も体も健康的な方向へ進みますが、内向きに誰かからの世話を待つ人、あるいは、何かの役に立ちたいという気力のない人は、心も体も不健康な方向へと進む傾向があるということです。私も長い臨床経験の中で、家族でも、会社でも、地域でも何かの役に立とうと外向きの人は、高齢になっても健康的な人生を送っていると感じます。

世間一般では高齢化社会が深刻な問題になっていますが、高齢になったら人の手助けを受けるのが当たり前にならないように、いくつになっても外向きに何かの役に立とうという姿勢は、自分自身の健康を守る上でとても大切な思考習慣だと言えそうです。何かの世話をする、あるいは役に立つということは、一見、アウトプット(出すこと)ばかりで、損をしているかのように思われがちですが、誰かの手助けを受けるインプット(入れること)ばかりしていると、得をしているかのようで、長い目で見ると心身のバランスが悪くなり、心も体も不健康になるということのようです。

多くの人は、ご自分の人生を振り返り、若い頃は一生懸命働いてきたので、老後はゆっくりとして、誰かの世話になろうと思いがちです。しかし、今回ご紹介させていただいた研究からも伺えるように、老後の無力感は、その人の健康や幸福感、さらには命にまで影響しかねないといえそうです。人は歳を重ねると何かとインプット(世話になること)に頼る傾向にありますが、「人生の健康」を保つためにもアウトプット(世話をすること)を優先させる心がけは大切だといえます。


さて、あなたはインプット優先の人生を選びますが、それともアウトプット優先の人生を選びますか?