2019年5月17日金曜日

「がんが自然に治る生き方」ケリー・ターナー著を読んで


現代医学では「ガン」のはっきりした原因は分かっていませんが、対症療法として外科手術、抗ガン剤や放射線療法などが推奨されて、根本的に治すというよりも少しでも症状を軽減、あるいは延命のための処置が施されます。

現代医学だけを信じている人たちにとってはそれ以外の選択肢は考えられないでしょうが、代替療法でガンを治したという人は確かに存在しています。そのことに関連する本は、私の知る限りでは2〜30年以前から医師や代替医療の治療者によって著述されています。

今回ご紹介させていただくガン関連の本で興味深いところは、医師や治療者という立場ではなく、研究者という立場で客観的な調査をした観点からガンが自然に寛解した患者を対象にリサーチしているところです。

研究者であるターナー氏は、「治った」人についての1000件以上の医学論文を精査した後、劇的な寛解を遂げた20人にインタビューし、「あなたはなぜ自分が治癒したと思うか」を直接聞いたといいます。また、世界中を旅して回り、代替医療の治療者50人にインタビューをしました。

劇的な寛解について記した医学論文を1000本以上分析して、博士論文の研究を終えてからもさらにインタビューを続け、その対象者は100人を超えました。ターナー氏は質的分析の手法で症例を詳細に分析し、劇的な寛解において重要な役割を果たしたと推測される要素が75項目浮かび上がりました。さらに調べると、上位9項目は、ほぼ全てのインタビューに登場していることに気づいたといいます。

その9項目とは以下の通りです。

1.     抜本的に食事を変える
2.     治療法は自分で決める
3.     直感に従う
4.     ハーブとサプリメントの力を借りる
5.     抑圧された感情を解き放つ
6.     より前向きに生きる
7.     周囲の人の支えを受け入れる
8.     自分の魂と深くつながる
9.     「どうしても生きたい理由」を持つ

この9つの項目には順位はなく、ターナー氏が話を聞いた劇的寛解の経験者のほぼ全員が、程度の差はあれ9項目ほぼ全てを実践していたといいます。私は「ガン患者」を専門に施術を行っている治療者ではありませんが、多くの慢性症状を抱えた患者さんの施術をさせていただき、慢性症状が改善される人たちの多くが上記の9項目に一致しているように思います。そして、これらの9項目すべては、食習慣をかえる覚悟をすることも含めて「心」が関係しています。

私の臨床経験を振り返ると、自分の感覚を重視して治療法を選択するよりも頭で治療法を選択する人達、すなわち自分の直感を信じるというよりも、知識やデータ重視、つまり科学重視になったり、権威者重視になったりする人たちはこの項目には当てはまらないと思います。おそらくご自分の「内なる心」と向き合ったり、心から生活習慣を変革したりするといったことはせずに、科学重視の現代医学の医師にお任せすることになると思います。

「どうしても生きたい理由」を持つというのは、ガンが完治した後、どのように生きたいかという心のそこから湧き上がってくる明確な理由がある人たちです。ややもすると、ガンと闘うことが人生の目的かのようになってしまったり、ガンであるが故に心地よい人間関係ができたりすると、ガンが完治した後の心の空白を無意識的に避けるようにして、負のサイクルから抜け出すことが難しくなることもあるようです。

「抑圧された感情を解き放つ」、「より前向きに生きる」ということは自然治癒力を引き出す上で大切なことですが、この項目も、本当に心の底から意識的にも潜在意識的にもそのような前向きな心になっていればその力が発揮されるのですが、頭(理性)ではそのように考えていても潜在意識(感性)で抑圧している方もいます。その場合は本来の自然治癒力は発揮できないようです。

厄介なのは、頭で考えている自分と心の奥底にある魂とが離れすぎ自己矛盾が生じることです。頭で前向きに考えようとすればするほど、心と身体が離れて自然治癒力が抑圧される状態になるようです。

ターナー氏が掲げた9項目を参考にして、ガンに限らず慢性症状を改善するために大切な項目として私は以下の4項目を挙げます。

1.     本気で治したいという「主体性」を持つこと
2.     無意識的な誤作動に関連する感情、信念、価値観を認知すること
3.     意識と潜在意識(心と身体)のつながりを意識すること
4.     健全な生活習慣(食習慣を含む)に変える覚悟を持つこと

ガンと診断されると多くの人たちは、現代医学に頼るものです。この本の趣旨は、現代医学を否定するものではありません。ターナー氏は現代医学以外の方法で完治したガン患者に関心を持って、幅広く、客観的に調査し、代替医療でも完治した人がいるという事実を多くの人々に知ってもらい、「自然治癒力」という本質的な意味を伝えたかったのだと思います。

手術、抗ガン剤、放射線の「三大医療」でガンを完治した人も多く存在しています。大切なことは、現代医学が全ての医療ではないということと、本当に治す力は自分の内なる治癒力にあるということを確信することだと思います。

本書の中で、ガン回復者と代替治療者が共通して持っている考えで、「病気とは、私たちの人間の身体・心・魂のどこかのレベルで詰まっているものである」と述べられています。そして、健康とは、この3つのレベルが滞りなく、自由な状態にあって初めて得られるものであると、彼らは考えているといいます。

この考え方は私の長年の臨床経験でも一致する考え方です。私は詰まっているものをエネルギーブロック(EBと読んで、そのEBを指標に検査と調整を行います。よって健康状態とはそのEBがない状態をいかに維持できるかによると考えています。

そして、私はそのEBが様々な関係性による記憶によってもたらされていると考え、そのような病気を引き起こすようなEBの記憶を「誤作動記憶」と呼んでいます。そして、過去から未来に渡る様々な関係性による「誤作動記憶」の調整を行うことが、慢性症状に対する本質的な治療だと考えています。

本書の中に以下のプラトンの言葉が引用されています。

「医療が犯した最大の過ちは、身体を診る医者と心を見る医者を分けてしまったことだ。身体と心は、分けられないのに」

私は20年ほど前から「心と身体の関係性」を診て調整を行う施術法を研究しています。様々な慢性症状や原因が分からずに急に症状が出てきた場合なども含めて、多くの原因不明の症状や病気の原因は「心と身体の関係性」が多大な影響を及ぼしていると考えています。治療者の多くは、身体に問題が生じると、身体の構造的な部位だけに注目してその部位の機能的、構造的異常症状の原因だと決めつけたり、あるいは飲食の問題だけが病気の問題だと考えたりする傾向があります。

その部位の施術を行うと症状は改善されますが、「なぜその部位に機能異常や構造異常が生じたのか」という本質を追求することは少ないようです。例えば腰痛の症状で筋肉の問題、関節の問題があると判明しても、その原因は使いすぎ、姿勢が悪いなどという機械構造論的な因果関係を結びつける傾向があり、心と身体の関係性による因果関係にまでは及びません。

「心が関係している」というと様々な誤解を受けやすいようです。一般的に心が関係していると聞くと、心が弱いとか、ネガティブ思考だとか精神面のいい悪いにフォーカスされがちですが、ネガティブな心だけが身体に影響を及ぼしているわけではありません。ポジティブな心でさえも身体に影響を及ぼします。大切なのは機械仕掛けのロボットのように心と身体を切り離して症状や病気の因果関係を考えないことだと思います。


外傷や感染症などの症状は別にして、自然発生的に生じている症状は何らかの心のサインだと考えても失うものはありません。むしろ、本書で掲げている「自分の魂と深くつながる」チャンスでもあり、病気を予防する秘訣になると思います。

2019年5月3日金曜日

治療院での「めまい」のアプローチ

めまい、ふらつき、フワフワ感、天井が回るなどの症状を抱えた患者さんが私たちの治療院に来院されます。「めまい」の原因は様々で、病院での治療が必要な「めまい」もありますので、病理的な疑いのある患者さんは病院への受診をお勧めしたほうが良いでしょう。特に腫瘍や感染症が伴う場合は病院での治療が必要です。耳が原因の場合は耳鼻科、脳が原因の場合は脳外科や神経内科などで検査が必要です。

「めまい」の治療のために来院される患者さんの多くが、腰痛や肩こりで受診された経験があり、信頼関係が築けている患者さんです。また、すでに病院での検査を受けて、改善が見られずにご紹介で来院される患者さんもいます。私たちが診る患者さんは、基本的には病理的な構造的異常を伴う「めまい」ではなく、機能的な異常による「めまい」症状です。

患者さんが訴える「めまい」の症状にも様々な種類があります。長年、「めまい」の患者さんを施術させていただいた経験で、自然療法で効果が出せる機能異常による主な「めまい」の発生源は「前庭器官」、「小脳」、「頸動脈洞」だと考えています。最も多く遭遇してきたのは「前庭器官」で、次いで多いのは「小脳」。そして、3つ目が起立性調節障害に関係する「頸動脈洞」です。「めまい」といっても、患者さんによって様々な表現の仕方があります。この3つの発生源は問診からもある程度推測することができます。前庭器官に機能異常がある場合は自分が回るというよりは天井や周りが回るという表現をされます。小脳性の機能障害の場合はまっすぐに歩けず平衡感覚がおかしいというような表現をされます。そして、頸動脈洞の機能障害は立ち上がった時にふらつくと訴えます。これらの3つの発生源が複合した症状もありますので、それを明確にするためには目安検査が必要になります。

それぞれの機能障害をプロトコルに基づいて施術を行うと、施術前に示された目安検査の陽性反応が陰性化され、ほとんどの患者さんがその場で症状の改善を体験されます。めまいを引き起こす発生源は異なっていても、基本的には身体を調節するコントロール系に異常をきたしているわけです。コントロール系統の調整だけでも症状の改善が促されますが、症状がぶり返す場合には、さらにそのコントロール系を乱す原因を調整する必要があります。私の臨床経験によるとその多くが無意識的な誤作動記憶で、いわゆる心と身体の関係性による誤作動です。ほぼ9割以上の「めまい」の患者さんがその誤作動記憶の調整で改善されるので、その因果関係には確信を得ています。構造異常の診断が得意な西洋医学の文献でも「めまい」の原因の約3分の1は心因性という報告もあります。

「めまい」だけの症状ではなく、パニック障害や不安障害などでも「めまい」を伴うことがしばしば見られます。私たちの臨床現場では心因性といっても本人も自覚していないような無意識的な内容が原因となっていることがほとんどです。「めまい」の施術直後には9割以上の方が症状の消失、あるいは軽減を体感されますが、次の来院時にはぶり返している方も少なくはありません。その場合は、原因となる誤作動記憶を掘り下げて消去法のように原因パターンを消していくことで症状が改善されていきます。これも私の経験ですが、機能的な「めまい」の症状は、筋骨格系の症状と同様に比較的改善されやすい症状であると言えるでしょう。

次回のPCRT基礎2では「めまい」の発生源を特定する目安検査とハード面調整法だけでも効果があるという手法をご紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。

2019年4月24日水曜日

PCRT基礎2へのご案内

いよいよ5月より「平成」から「令和」へと元号が改元され新時代を迎えることになりました。今思うと、私が米国のカイロプラクティック大学へ留学した年が、昭和天皇が崩御され「昭和」から「平成」へと改元される1989年でした。あれから30年の歳月が流れ、「手技療法を極めたい!」という志から随分と進化したものだと我ながら思います。今では「手技」とは何かという本質的な意味は自分なりに理解していますが、当初は関節を機械の歯車のように微妙に合わせるような巧みな技術があるものだと思っていました。

そして、帰国後、AMを本格的に臨床に取り入れて数年で「手技」とは究極的には「刺激」であり、その刺激は「情報伝達」、さらには「エネルギー伝達」であるということがだんだんと明らかになってきました。この本質が分かるまで、遠くアメリカまで留学して帰国後に開業、それから臨床現場では試行錯誤の連続でした。留学当初から様々なセミナーに参加して、様々な理論に触れることができました。マニュアル通りに結果が出せるかどうかが私の最大の臨床現場での関心ごとでした。まずは「結果」が伴うことで、その背景にある理論を帰納法的に検証してきました。私が一番こだわってきた「結果」というのは、調整後にその場で症状が改善されるかどうか、あるいは陽性反応が消失するかどうかという「結果」です。

慢性症状であれば、前の「クセ」に引き戻されて戻ることもしばしばですが、調整直後に結果の判断ができずに数週間後に改善されたというようなその「結果」は調整で良くなったのか、調整しなくても自然に良くなったのかの判断ができないために、私の中では調整直後に結果が伴わなければ、その調整法で効果があるかどうかが分からないと判断していました。開業してから約25年は毎日そのように臨床現場で検証して、治療効果を追求してきました。現在ではハード面調整法からソフト面調整法まで幅広く調整法の研究を継続しており、基礎1でご紹介した「言語加算調整法」もその一つです。

今回、「言語加算調整法」からさらに進化して「意念調整法」という名称でご紹介させていただきます。ハード面調整法からソフト面調整法への橋渡しとしてのみならず、幅広い症状の改善に使えることが明らかになりました。おそらくこの「意念調整法」を入れることで、PCRT全体がさらに使いやすくなると思います。また、手順もシンプルなのでPRTが安定している施術者にとっては臨床現場でかなり役立つ調整法になると思います。それ以外に、今回の基礎2では主に四肢関連の症例別のアプローチの仕方、めまいやふらつきに関係する前庭器官、小脳機能検査、ブレインマップ脳領域調整法、チャートを使ったソフト面調整法のアプローチの仕方をご紹介します。

皆様にお会いできるのを楽しみにしております。よろしくお願いします。

2019年4月18日木曜日

平成最後のAM東京セミナー2019年4月14-15日

先日は平成最後のAMセミナーが東京で開催されました。2001年度から始まったAMI社公認のセミナーが今年で19年目に入りました。日本で開催される以前から私は米国で開催されるインスタラクターセミナーに毎年のように参加させていただき、その最新のAMプレゼンテーション内容を日本のセミナーでご紹介させていただきました。そして、その成果は、受講されている先生方の臨床現場でも発揮されて、ANJのネットワークの和が着実に広がっているのを感じています。

開催当初からAMIのプログラムをそのまま紹介しながら、その背景にある治療哲学も伝え続けてきました。AMI社公認セミナーが長きに渡って日本に広まり続けているのは、単にハウツウ的なノウハウを教えるのではなく治療哲学がブレンドされているからだとコメントしてくださる先生もいます。確かにハウツウだけでも効果はあります。そこから一歩進んで幅広く患者さんの症状に対応するには「なぜ」効果があるのか?「なぜ」痛みが瞬時に消失するのかを理解する必要があります。

ミクロな神経生理学の理屈は必要ありません。もっとマクロ的に「なぜ効果があるのか」のメカニズムさえ分かれば、それで十分に患者さんに納得していただける本質的な説明ができます。また、効果を引き出すためには、神経学的な生体反応を読み取る技術が必要になります。その検査の領域でもハウツウ的な技法のみならず、「なぜ」反応が出るのかが分かればさらに反応を読み取る検査技術も高まるはずです。

そのような感性的な技法を高めるには、繰り返しの訓練が必要です。セミナーで気づかれたご自分の問題点を修正してそれをご自分の臨床現場でアウトプットして下さい。感性的な技法を高めるためには理屈ではなく繰り返しの訓練が必要不可欠です。ANJの体験型のAMセミナーに参加されると、教科書やビデオでは学ぶことができない「オーダーメイドの体験」を学ぶことができます。それを持ち帰って臨床現場で実践する。その繰り返しの訓練によって本物の実力が身についてくると思います。

初めて参加された先生には、まずはご自分が治療を受けてその効果を実感する。そして、ご自分の患者さんに施術を行ってその効果を体験する。その繰り返しによってAMの効果を確信し、筋骨格系領域の問題に自信を持って対応できるようになると思います。私たちインストラクターチームは、自信をもってそのことを伝えたいと思い、現状に慢心せず、さらなる高みを目指してライフコンパスアカデミーとしての活動も継続し続けています。

次回6月の大阪セミナーは令和元年最初のセミナーになります。皆様とお会いできるのを楽しみにしております。よろしくお願い申し上げます。

AMI社公認日本地区ディレクター・ANJ代表:保井志之DC

2019年4月1日月曜日

花粉症が治るしくみ  FCCニュースレター2019-04-05


この時期に鼻水や目のかゆみなど症状がでると、「花粉症」だと思われる方が多いようです。花粉症はスギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって起きるアレルギー症状ですが、当院で生体反応検査をしてみると、単に花粉のアレルゲンだけでなく、PM2.5などの大気汚染、繊維、寒暖差などが関係していたり、メンタル面が関係していたりすることも少なくはありません。アレルギー症状の原因となるアレルゲンなどを明確に特定して施術を行うと、施術後にはすっきりした感覚になる方が多く、継続治療していくことで完治していきます。

花粉症の根本的な原因とはなんでしょうか?普通に考えると、アレルギー症状を引き起こす原因は花粉などの「アレルゲン」となります。「アレルゲン」が犯人なので原因は自分の肉体内にあるのではなく、肉体外にあると考えます。しかし、根本的な原因は何かと考えると、肉体内にあると考える方が本質でしょう。なぜならば、同じ花粉などのアレルゲンに触れてもアレルギー症状を引き起こす人といない人がいるので、その違いは何かと考えることで本質的な原因につながると思います。

では、本質的な「花粉症」の原因はなんでしょうか?「体質?」と思い浮かんだ人が多いのではないでしょうか?ではアレルゲンに過敏な体質はどこから生じたのでしょうか?体質となれば「遺伝」ということが連想され、「遺伝」であれば治らないという考え方になると思いますが、当院の施術で多くのアレルギー症状の患者さんが改善されていることから、「遺伝」以外の原因があります。その原因とは何でしょうか?当院ではその原因を「誤作動記憶」にあると考えています。

「誤作動記憶」とは無意識的にアレルギー症状を引き起こすように学習記憶された誤作動の記憶という意味です。毎年、花粉が飛散する時期になると、症状が出るということは、「記憶」が関係しています。身体が症状を記憶している、すなわち脳のプログラムによって自動的に症状が引き起こされるのです。慢性症状はこの「記憶」があるがゆえに繰り返され、逆にいうと「記憶」がなければ症状は繰り返されないのです。そのような脳のプログラム化を「条件付け」という言い方もできます。

では、アレルギー症状を引き起こしている誤作動の「記憶」は消せるのでしょうか?「記憶」を消すというよりも、施術によって新しい神経回路を創ることで「上書き」され、アレルゲンに触れてもアレルギー症状を引き起こさない神経回路が創られて過敏症状が生じなくなります。脳は様々な刺激を受けることで新しい神経回路を創ることが脳科学でも証明されています。そのことを脳の可塑性と言いますが、そのような脳の柔軟性があるがゆえに、様々な慢性症状は治るのです。
 
コロンビア大学生化学教授のエリック・カンデル氏が2000年に神経系の情報伝達と記憶に関する発見の功績によりノーベル生理学・医学賞を受賞しました。この写真はその発見に関係する実験結果を示した動画から撮った写真です。神経細胞を刺激した後、神経回路のニューロン(枝)が伸びているところが示されています。神経細胞を刺激すると、新しい神経回路のニューロンが伸びるということを世界で初めて実験で映像的に示したことはともても画期的なことでした。ニューロンが伸びて神経回路ができるということは、新たな刺激による学習記憶によって、不健康な症状を引き起こす神経回路(誤作動記憶)を創る一方で、健康的な神経回路(健全な記憶)も創るということでもあります。

慢性症状の一つである花粉症の原因も「誤作動記憶」にあり、当院の施術で花粉症が治るのは、誤作動記憶を書き換える施術を行なっているからです。花粉症は治療すれば治る症状です。人それぞれに治り方は様々ですが、花粉症でお困りの方は、ご自分の脳の柔軟性を信じて施術を受けてみてはどうでしょうか? 花粉症でお困りの方はお気軽にご相談ください。

2019年3月16日土曜日

2019年度AMセミナー開催に向けて

いよいよ本年度最初のAMセミナーが414−15日に開催されます。2001年、私が最初に日本のカイロプラクティック大学で、AMI社公認のAMセミナーをさせていただいた際に、特にカイロプラクターやカイロプラクティックの学生に強調したのは、カイロプラクティックのアジャストメントは、構造学的な「ズレ(位置移動)の調整」ではなく、「振動刺激による調整」、すなわち神経学的な調整であるということです。当時、カイロプラクティックがだんだんと日本にも知られてきており、「ボキッ」といわせる手技が、カイロプラクティックの代名詞であるかのように思われていた時代でした。

そんな風潮な中で、アクティベータ器のような軽い振動刺激で神経エネルギーを調整するだけで、十分な施術ができるということを、実技を踏まえて実践的にご紹介させていただきました。アクティベータ療法で効果があるとういことをお見せすることは簡単でしたが、その根底にあるカイロプラクティックに対する考え方、いわゆる哲学を伝えるのは苦労しました。多くの受講者は西洋医学の流れで機械論的な思考で手技療法を考えています。私は、その考えでは代替医療のような自然治癒力を引き出すことを主な目的とする治療者には矛盾が生じるということを語り続けてきました。

機械論的思考から有機論的思考へのパラダイムシフトがなければ、アクティベータ療法の本質は伝わりにくいという信念は現在でも変わりません。ハウツウ的な手法で結果を出すこともできますが、さらに一歩踏み込んで、私達が毎日の臨床で行なっている施術の本質が有機論的思考、すなわち生命エネルギー的な思考に基づいているということを、安全で効果が引き出しやすいアクティベータ療法を通じて、多くの治療者に知っていただければと願っています。

今年も、皆様と共に結果を出せる治療家を目指して参りたいと思います。

ANJ代表 AMI公認日本地区ディレクター 保井志之D.C.

2019年3月13日水曜日

2019年度PCRT基礎1を終えて

先日、熱心な臨床家の先生方にお集まりいただき、本年度初めてのPCRT基礎1のセミナーを開催させていただきました。今年は症状別をテーマにしてプログラムが構成されているので、さらに実践的な手法をご紹介できたと思います。それぞれの臨床現場ですぐに応用できるのではないでしょうか。また、今回初めてバージョンアップした「言語加算振動法」をご紹介いたしました。ハード面からソフト面への橋渡しの施術法としても幅広く応用できますので、是非マスターしてご自分の患者さんに活用していただければと願っています。

症例報告では、ここ数年で飛躍的に成長された先生にジストニアの症例を二例ご報告していただきました。PCRTのプロトコルに沿った成果を明確に示していただき、動画で施術前と施術後の変化が明らかに分かる症例報告でした。神経学的な質問もありましが、PCRTでは神経学的な機能評価はあくまでも目安検査であり、調整のための検査ではないということも明確に示していただけたという点においては、心と体の関係性を直接的にアプローチした実践的な症例報告だったと思います。

ジストニアの原因を神経機能障害だけに留めて語る臨床家が多い中で、私たちのような治療家に期待されるのは、心と身体が関係した心因性のジストニアです。脳のどこどこの機能が低下している、あるいは興奮しているということが神経学的な検査で分かったとしてもそれはあくまでも結果であり原因ではないのです。肉体の機能的メカニズムだけで言えば、その領域の機能異常が原因だと言えるかもしれませんが、その機能異常を引き起こす原因があるというところに目を向けなければ本質的な治療は難しいのではないかと私は考えていいます。

今後も本格的にPCRTを臨床に取り入れて、多くの患者さんの症状改善に貢献する治療家がさらに成長してくれることを願っています。昨年から組織全体としての技術技能のレベルアップを目指して、実技試験制度を設けましたが、その成果も着実に現れているようです。今回のセミナーでは継続参加されている先生方の技術の向上を確認することができました。恐らくそのような熱心な先生方は患者さんに貢献されているだろうというのが予測できますのでたいへん嬉しく思います。

また、懇親会でもいい話が出ました。私たちは往々にして結果を出せない原因を患者のせいにしがちですが、ある先生は、「結果が出せないのは患者に原因があるのではなく、施術者にある」ということを話されていました。それは机上の空論ではなく、自分の経験で心から話されているのが感じ取れたので、飲み会でこのような深い話ができたことを嬉しく思いました。PCRTでは治療効果を引き出す「大前提」として、施術者と患者との信頼関係、患者の主体性(コミットメント)というのがありますが、患者との信頼関係や主体性も「患者次第と考える」のか、それともそれらは「施術者によって信頼関係が作られ、施術者によって患者の主体性が引き出される」と考えるのとは随分と患者への思いや接し方は異なるはずです。

たまたま読んでいた四月号の致知の雑誌は、「運と徳」についての特集でした。「徳を修める上での大事な心得として「易経」の一文が紹介されていました。「身を反りて徳を修む」、すなわち、「困難に遭遇したり、失敗した時は、自分に原因がないかを反省する。それが徳を修めることになる」ということを説いています。松下幸之助氏もこの言葉を生涯実践した人だといいます。松下氏は「ぼくは物事がうまくいった時は皆のおかげ、うまくいかなかった時はすべて自分の責任と思っていた」といって、この言葉の実践反復から氏の徳が生まれ、高まっていたといいます。

「徳」についてのお話は、開業当初から様々な書籍で学ばせていただいていますが、日々実践するという難しさは常々感じているところであり、折に触れて反省する毎日です。でも、このような文章に触れさせていただく度に、生き方の基本はここにあると思うことができます。たまたま臨床家の先生にご指導させていただける立場になった身ではありますが、治療法に関する知識や技能以前にこのような人としての在り方をコツコツと学んで自分自身を磨いていくことが組織の発展になり、患者への貢献になるということを忘れないように努めて前進していきたいと考えています。

次回のPCRT基礎2のセミナーでは肩関節痛、膝関節痛の調整法、スポーツ障害の調整法、頭痛、顎関節の調整法、めまいの調整法をテーマに前庭器官、小脳機能検査、ブレインマップ脳領域調整法、経絡を活用した調整法(臓器反応点)、メンタル系施術の導入、メンタル系領域のゴールデンルール、選択のマインド設定(メジャー・4つ)、ソフト面検査チャートの使い方、「基本感情チャート」の使い方、「詳細感情チャート」の使い方、「時系列・分野・立場」の使い方をご紹介いたします。

会場で皆様とお会いできることを楽しみにしています。