2012年4月14日土曜日

メンバーの有機的なつながりが組織を強くする

メンバーの有機的なつながりとは何か?

人と人とのつながりにおいて、大切な関係性の一つに「本音」と「建て前」があります。

メンバー同士が「本音」が主で有機的につながっている組織の多くは、組織に勢いがあり強くなっていく傾向があります。その一方で、弱い組織というのは、人と人とのつながりは「建て前」が主で機械的につながっていく傾向があります。分かりやすくその違いを言えば、「本音」の有機的なつながりとは、単に仕事のことだけでなくプライベート的なことでも親身にメンバー同士が相談し合う関係であったり、たわいないコミュニケーションを気軽にかわす関係であったりします。

「建て前」の機械的なつながりとは、仕事は仕事、プライベートはプライベートと線を引いて、仕事のことは義務的に話すが、プライベートのことはほとんど会話をしないという関係性です。もしも、このような機械的なつながりでメンバーが仕事をしていると、いざという時にメンバー間の連携が発揮できなくなります。「建て前」の関係性では、「隙間の関係性」をすり合わせることができずに創意工夫やアイディアがでにくくなります。生産性のある価値あるチームとしての仕事には、普段から「仕事」や「プライベート」の垣根を越えて気軽に話し合ったり、親身に相談し合える有機的な関係性が背後にあるはずです。

日ごろから建て前だけで「仕事」のときだけの会話しか交わさないメンバーは、いざとなった時にお互いの空気が読めないために、有機的な連携が発揮できずに、組織としては生産性のある価値を生み出すことができなばかりか、マイナスのエネルギーを生みだすことにもなりかねません。「組織は人なり」といわれていますが、「組織」というものは、単に個人的に能力のある人が集まれば強くなるというわけではありません。個人的な能力以上に求められるのはメンバー間の有機的な本音のつながりです。組織は人と人との本音のつながりの中で有機的な化学反応を起こしながら新たな「気づき」や「学び」を得ながら成長の道を歩みます。単に、規則やルール、マニュアルといった機械的な人とのつながり、すなわち建て前的な人とのつながりだけでは、組織としての求心力は発揮できません。

関わりたくない人と「建て前」で関わって仕事をしたり、関わりたくない仕事を「やらされ感」で仕事をしたりするメンバーと、普段から「本音」でメンバーと関わり、「やりたい感」で仕事をするメンバーでは、仕事の価値を生み出す力や生産性に大きな差が生まれます。組織のリーダーは、メンバー同士が本音で関わっているのか、それとも建て前的に関わっているのかを見極めて、できるだけメンバー同士が有機的に本音で関われる雰囲気づくりをする工夫が求められます。メンバー同士が損得勘定抜きにかかわりあえる信頼関係のネットワークは、有機的に本音で関われる組織にしかありえないでしょう。

人間同士ですからぶつかり合うこともあるでしょう。しかし、そのプロセスを経て有機的なつながりが生まれ、個人同士が互いに学びを得て、居心地のよい空間、成長性のある関係性を想像し組織を強くしていきます。それはあたかも自然界の法則のようなものです。自然は時には厳しく、時には暖かく私たちを包み込んでくれます。自然の恵みは厳しい環境や様々な刺激の中から生まれてくるように、人間も同様に、厳しい刺激を受けながらたくましく成長し、喜びと豊かさをはぐくんでいきます。有機的なつながりや、本音で刺激をし合うことなしに本物の成長や豊かさは得られません。機械的で表面的な豊かさを選ぶのか、有機的で奥深い豊かさを選ぶのかはその人次第です。

2012年4月12日木曜日

オシュマン博士の講演に参加して

「エネルギー医学のDr.オシュマンが久留米市で講演するそうです」と、出版社の方から驚きの一報をいただいた。「あのオシュマン博士が!? 久留米に…」心がソワソワした。

7年ほど前になるが、エンタプライズ社から翻訳出版された『エネルギー医学の原理』、それに続く『エネルギー療法と潜在能力』という本を読んだ時の感動は今でも覚えている。当時、このような奥深い研究をされているオシュマン博士という人はどのような人物なのだろうかとネットで検索した。何かセミナーを行っているのであれば、海外でも出向いて行こうかと考えたくらいだった。

そのオシュマン博士が、東京ではなく私のオフィスがある福岡市に隣接する久留米市に来られるという。縁のある人が久留米市に在住するとの理由のようだが、私は何かの引き寄せだろうと勝手に思い込む。その日はすでに予定が入っていたが、なんとか調整してオシュマン博士の講演だけを拝聴させていただくことができた。講演の冒頭から、生体エネルギーを体感できるワークから入り、そのワークと講演の内容とが結びつくようにプレゼンテーションが構成されていた。生体エネルギーという目には見えない存在を、できるだけ一般の方々に分かるようにという工夫がなされていた様子が伺えた。

講演内容は、上述の2冊の著書に書かれていることが主な内容で、その内容は私たちが主催している心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)研究会の講義などに引用していたのでよく理解できた。私は開業当初から臨床の現場で施術効果の本質を研究している治療家である。カイロプラクティックや鍼灸、その他各種療法で「なぜ、効果があるのか?」「その背景には何があるのか?」その本質を臨床現場で何度も検証に検証を重ねてきている。そして、様々な施術法の効果の本質を洞察していると『振動』=『エネルギー』というキーワードの共通概念が浮かび上がってきた。我々が引き出す施術効果というものは、『生体エネルギーの変化』によってもたらされているという事実が見えてきた。

以来、セミナーや研究会の講演では、『身体はエネルギー的に見なければならない』と治療家に指導しつづけている。カイロプラクティックのアジャストメント(矯正)で特に誤解されているのが関節の「ズレ」の矯正である。アジャストメントによる「ボキッ」という関節音とともに、あたかも関節の「ズレ」が整復されたかのような錯覚に陥る傾向にある。しかし、カイロプラクティックのアジャストメントは、脱臼の整復とは異なる。「ボキッ」というアジャストメントの後に症状が軽減、あるいは消失した場合、「ズレ」が矯正されたから症状が改善されたのだと思い込んでしまう。

しかし、それは本質的な原因と結果ではない。本質的な効果は、「ズレ」の矯正によるものではなく、振動刺激によってもたらされた生体のエネルギー的変化によるものである。そのことを『どのように科学的に証明されるのですか』と尋ねられると、『臨床的には証明ができるが、科学的なデータはありません……』と答えるしかない。生体エネルギーによる治療効果は、カイロプラクティックに限らず各種療法の施術効果に共通していて、目には見えない生体エネルギーによるため、そのことを科学的に証明できる検査手法やデータによる検証が乏しいのが現状である。しかしオシュマン博士の著書は、幅広い情報で我々の臨床的効果を科学的にバックアップしてくれていると私は思う。

大げさに聞こえるかもしれないが、私はオシュマン博士の本に触れて救われた気がした。なぜならば、オシュマン博士の本が出版される前から治療哲学として機械構造論から有機生命論へのパラダイムシフトの必要性を感じ、どのようにしてその概念を分かりやすく伝えることができるのかと案じていた時だったのである。まさに絶妙なタイミングでオシュマン博士の著書に出会うことができたと感謝している。そして、今回も絶妙なタイミングでオシュマン博士の講演を拝聴することができ、自分が目指す方向性を新たに再確認させていただくことができた。

現代医学の機械構造論に慣れ親しんでいる人々にとっては、この目には見えないエネルギー医学の分野は眉唾もののように受け止められかねない。しかし、オシュマン博士が書かれた著書は、本質的な施術法を追い求めている我々臨床家にとっては心強い情報であり、理論と臨床とが螺旋のごとくかみ合いながら我々の方向性を勇気づけてくれる。自然治癒力を引き出すことを目的に施術を行う治療者にはぜひオシュマン博士の著書を熟読していただき、臨床と理論を矛盾なく結びつけて、多くの患者さんに幅広く貢献していただければと願う。

2012年4月6日金曜日

2012年度PCRT Basic1研究会を終えて

本年度最初のPCRTBasic1の研究会を開催することができました。今回も満席で熱心な治療家の先生方にお集まりいただきました。

本研究会も毎年進化を積み重ね、今年は、「エネルギー」「パターン」「学習記憶」の3つのコンセプトを基本とし、その概論を説明しました。臨床各論では「術前後評価法」から始まってハード面の施術法を主にご紹介させていただきました。今回初めてご紹介させていただいた二日目の「松果体の施術法」は、多くの先生方にとって、治療概念が大きくパラダイムシフトしたのではないでしょうか。

まさに目には見えないエネルギー的な施術法なので、一般の方々にその効果の理屈を説明するのは難しいところがあります。しかし、理屈抜きに施術効果はその場で体感することができます。患部への直接的な施術ではないため、何か特別なパワーで施術をしているかのように思われがちですが、私が特別なヒーリングパワーや超能力を使っているわけではありません。一日目のワークショップで、まだ「松果体の施術法」の説明を受けていない先生に簡単に指導して「松果体の施術」を行ってもらうとほとんどの事例で施術効果が現れました。超能力的な何かを伝授したわけではありません。

もしかすると、場のエネルギーや目には見えない何かを伝授しているのかもしれませんが、ある程度の訓練を積めば誰にでもできる施術法であることを改めて確信できました。特に筋肉のこり感などの緊張やバランスは短時間に調整することが可能です。まだまだ、臨床研究を繰り返しながら検証する必要がありますが、もしかすると、簡単でしかも効果的な手当法として一般の方々に活用していただける可能性を秘めているのではないかと思ったりもします。

今回参加された先生方は、すでに臨床現場で活用されていることでしょう。先日もご自分の患者さんに「松果体の施術法」を試された先生から、「ほとんどの患者さんで効果があった」とのご報告もいただいています。症状の種類にもよりますが、筋肉のアンバランスによる筋骨格系の症状に対しては9割以上で効果があるので、逆に効果が出ないときはどのような原因が背後にあるのか興味が深まります。効果が出ない場合は、恐らくアドバンスクラスで紹介予定の「五感パターン」や「感情パターン」が潜在的に関連しているのではないかと思われます。

今回参加された受講者の方々が、研究会の二日目から後半にかけてだんだんと生き生きしてこられるように感じられたのが印象的でした。一年間継続して参加された先生方は着実に上達されています。それに甘んじることなく2年目、3年目とさらなる上達を継続的に目指されて、さらに多くの患者さんに喜んでいただければと願います。この研究会で紹介している手順は比較的簡単ではありますが、その施術法のツールの応用や背後にある治療哲学を理解していただくためには繰り返し受講されることが求められます。次回の研究会は6月30日と7月1日です。また、充実した研究会になることでしょう。