2013年12月28日土曜日

仮性近視は、筋肉系‐神経系―脳(潜在意識)の関係性による誤作動

高校受験を控えた受験生が、急に視力が落ちたとのことで、お母様の奨めで来院されました。最初は天井に貼られている張り紙がぼけて見えにくいとのことでしたが、治療後にはその文字がはっきりと見えやすくなったとのことで「えっ、見えやすくなった!!」「何でよくなったのですか??」と喜ばれていました。

近視には、仮性近視、屈折性近視、軸性近視があります。視力回復の治療で比較的に効果が出やすいのは初期段階の仮性近視、もしくは軽い屈折性近視です。仮性近視が始まる原因は様々ですが、今回の患者さんは今、受験勉強の真っただ中。毎日、集中して本やノートを見ているのでしょう。近視の原因の多くは目のレンズ(水晶体)調整に関わる筋肉の機能障害です。

視力調整はレンズ(水晶体)の両端に着いている網様体筋で調整されています。この網様体筋が緊張したり弛緩したりして、レンズを厚くしたり、薄くしたりして遠近を調整しています。もしも、この網様体筋がうまく働かなくなるとレンズの調整ができなくなり、視力が悪くなります。

この視力障害も腰痛や肩こりなどの症状と同様に筋肉系が関わっていますので、他の関節障害と同じように筋肉系‐神経系―脳(潜在意識)の関係性をニューロパターンセラピーで検査して調整を行います。

検査では主に網様体筋の機能障害を検査します。今回の症例では、「意欲」、「義務感」、「期待」、「不安」などの感情が、網様体筋の誤作動に関係していました。二回目の治療では、最初の治療後は良かったけれども、その後、勉強した後に症状が戻った感じになったとのことでした。しかしながら、二回目の治療前と治療後の視力検査では視力検査表で3段階の改善が見られました。

三回目の治療では、あまり勉強していなかったとのことでしたが、3段階の改善が維持されたままでした。さらに遠近の動きによる検査では、陽性反応が示されたので誤作動の原因パターンを検査してみると、「恐れ」の感情が奥に隠れているようでした。仮性近視の多くは心因性で単にメンタル面がいいとか悪いとかではなく、肯定的な感情も含めて筋肉調整の誤作動に影響を及ぼしています。

このように仮性近視の多くは、筋肉系‐神経系―脳(潜在意識)の関係性による誤作動で
生じることが多く、その誤作動を調整することで改善されます。しかしながら、原因があっての結果です。同じようなパターンを繰り返さないように、長時間近くを見過ぎないようにすることも大切です。近くと遠くを見る網様体筋の運動を繰り返しながら柔軟性をつけるリハビリも必要になります。

今回の症例では、見えにくくなって早めに来院されたこと、本人が眼鏡をかけたくないという本人の強い思い、そして、この治療を信頼して下さっているお母様が勧めてくださったことが良い結果につながりました。特に、小中学生の時期に眼鏡で矯正する前の段階で調整すると効果的です。

仮性近視の原因は、単に近くを長時間見続けるというだけでなくメンタル(感情)面も関わることが多いので、その関係性による誤作動を調整することで早期に改善されます。DSなどのゲームやスマホなどの利用が増えていくに伴って近視の子供も年々増えてきているようです。

近視を手術で治す方法も増えてきているようですが、危険が伴いますし、できれば眼鏡も必要のない自然の状態を維持していくことができればと願います。眼鏡が当たり前にならないように、子供の時期から視力の健康にも気を付けていきましょう。

2013年12月17日火曜日

科学的研究へのチャレンジ


先日は、PCRT上級1の研究会を開催しました。講義の冒頭では、PCRTの特徴でもある神経系レベルと刺激レベルの関係性の全体像を「単一刺激から複合刺激」、ならびそれらの刺激に関係する「ハード面調整法とソフト面調整法」との関係性をご紹介させていただきました。

代替医療の多くの施術は反射系の単一刺激によるハード面の施術がほとんどですが、本質的な治療を目指す場合、単に反射系だけでは治療効果が引き出せない場合も多々あります。症状の程度や種類、患者のタイプによって、ハード面の単一刺激で治療効果が引き出せる場合と信念(思い込み)などによって治癒力が引き出せない場合もあります。その場合はソフト面の複合的な検査刺激、ならびに治療刺激が求められます。

PCRTで定義しているハード面調整法とは、主に脊髄、脳幹部への単一刺激によるもので、反射系の作用を利用して施術効果を引き出しています。そして、PCRTが得意とするソフト面調整法は、主に大脳辺縁系と反射系への複合的な刺激によって治療効果を引き出します。さらに、信念や思い込みが関係してくると主に大脳新皮質、ならびに大脳辺縁系や反射系を含めた複合的な刺激によって治療効果を引き出します。

あくまでも仮説ですが、脳科学的な理論と一致しているのでないかと考えています。前回の中級2の研究会では、陽春堂さんとエムピージャパン㈱さんにご協力いただいて、筋電計と脳波計による計測を行わせていただき、PCRTによるMind-Bodyに関係する検査法の客観的評価の可能性を探ってみました。

私たちが検査指標としている様々な生体エネルギーブロック(EB)に対する検査法が表面筋電系や脳波計で客観的に読み取ることができるのかという試験を行ってみました。初めての試験なので色々と試行錯誤しながらの試みでした。短時間での試験ということもあり、EBの存在を証明する客観的なデータを読み取ることが困難だったものの、私たちが行っている身体の神経反射を使った検査法は、とても微細な神経学的な変化であり、さらに脳の深層部の電気的変化、あるいはエネルギー的な変化を客観的に示す必要があるのではないかと感じました。

今回の試験において、意識的に運動するなどのイメージでは脳波の波形が明らかに変化していることが読み取れましたが、我々が検査指標としているEB反応を示す潜在的感情のイメージでは明らかな波形の変化は読み取ることは少し困難に感じました。しかしながら、抑制系の誤作動のイメージでは脳波の波形が、正常部位と異常部位では明らかな変化が見られました。はじめての試みなので検査のやり方にも色々な問題があったとは感じますが、検査法のデザインをもっと工夫すれば、様々な検査法のデータを読み取る可能性は十分あるとも感じました。

今後も私たちが施術のターゲットにしている目には見えない生体エネルギーブロックや誤作動反応などの科学的研究は、社会にとっても意義深い研究だと考えています。21世紀はエネルギーの時代だともいわれているように、生体エネルギーを科学する時代でもあると思いますので、科学者のご協力を得ながら、科学的な研究にも目を向けてチャレンジしていきたいと考えています。

2013年12月11日水曜日

「恐れ」が「恐れ」でなくなるとき!


以前からメンテナンス的に利用して下さっている患者さんで、最近、重要な役職に就かれたようで、挨拶回りやスピーチでの緊張感を改善したいとのことで来院されました。スピーチでの具体的な症状を尋ねると、震えや言葉を詰まらせる、あるいはスピーチの途中で真っ白になるなどでした。「優越感」や「喜び」「意欲」などの肯定的な感情がある一方で「恐れ」の感情も関係していました。

恐れや不安などの否定的な感情が、身体面や精神面に影響を及ぼすということはよく知られています。メンタル面に限らず、自律神経系や筋肉系にも幅広く影響を及ぼします。そして、その感情治療をニューロパターンセラピー(心身条件反射療法)で施すと多くの症状が改善されます。このような「恐れ」に関係する感情の施術を終えた後にいつも患者さんにアドバイスするのは「恐れの内容を明らかにする!」ということです。

恐れを明らかにする??「えっ」・・さらに怖くなるのでは??・・と思われた方がほとんどではないでしょうか?あるいは、怖いことは考えないようにしたほうがいいのではないの??と、考えるかもしれません。しかし、ニューロパターンセラピーの臨床現場では、恐れの内容が明らかになればなるほど、治療効果が高くなり、「恐れ」に関係した身体的、ならびに精神的症状がほとんど改善されていきます。

恐れを克服するには、心を強くして、怖いことは考えないようにする!忘れるようにする!と考えている人も少なくはないでしょう。しかし、脳科学的にいうと、「恐れ」の内容を認知すればするほどその全体像が見えてきて、その情報に脳が慣れてくるのです。例えば、美味しい物を食べ続けると慣れて飽きてくる、あるいは、最初の部屋の臭いや衣服の臭いも慣れてくれば、感じなくなってくるという経験はないでしょうか?

嗅覚に関係する脳の神経細胞は、情動(感情)や記憶をつかさどる神経細胞の近くにあり密接に関係していると考えられており、嗅覚に「慣れ」の習性があるように、感情にも「慣れ」の習性があると考えられます。ただ、「恐れ」などの否定的な感情に対しては、何を本当に恐れているのかを明確にせずに、それを見ないようにすればするほど脳の中では無意識に空想して怖さが増幅することが予測されます。

「怖い」ということは、暗闇を歩いているようなもので、「先が見えない」から怖いのです。その暗闇にスポットライトを当てるとどうでしょうか?見える部分に関しては怖さがなくなってきます。さらにスポットライトを当てると全体像が見えてきて、「なんだ~こんな状態だったのか~」となるかもしれませんし、スポットライトが当たったことで、何が危険なのかも明確になり、それを避けるすべを学ぶかもしれません。

このように「怖さ」というモノは明確になればなるほど軽減してくる性質があるということを知っておくと、未来が明るくなるのではないでしょうか?未来を考えるのはあまり好きではないという人もいます。何か隠れた未来のへの怖さが潜んでいるかもしれませんし、何かを避けようとしているのかもしれません。でも、その何かを明らかにすると、何だ、それはただの錯覚、あるいは思い込みに過ぎないということになるかもしれません。なぜなら、未来というものは、基本的に不確実なものだからです。

自分の中にある「恐れ」は、明らかになればなるほど自分で支配することが可能になってくるのです。