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2021年5月17日月曜日

山あれば谷あり

512日から福岡も緊急事態宣言の対象区域に加えられました。コロナ感染が第1波から第3波、第4波、そして秋に「第5波」となる急速な感染拡大が起こりうるという専門家の計算結果が報告されています。期待されるのはワクチン接種のスピードですが、ワクチンの接種スピードが追いつかないと第5波を抑え込むことができない可能性もあるとのことです。しかし、感染力が強い「N501Y変異」のウイルスがまん延した状況でも、ワクチンが発症を防ぐ有効性は94%という予測もあります。

 

日本国内でも確認されている、「感染力が強いN501Y変異」と「ワクチンの効き目が弱くなる可能性のあるE484K変異」を合わせ持つ変異ウイルスは、じつにやっかいなウイルスとして警戒されています。もしも、41日の時点で「2つの変異を合わせ持つ」ウイルスの感染者が都内に10人いたと仮定すると、この秋には第4波を超える勢いで第5波の急速な感染拡大が予測されています。感染率、重症化率が共に高くなるということです。

 

このような危機的な状況の中で、私たち個人がいかに感染対策を今まで以上に徹底するかが重要課題になります。感染経路の中心は飛沫感染及び接触感染ですが、感染力の強い変異ウイルスが広がっているとのことですので、今まで以上にマスクの着用と手洗い、換気には十分に気をつけなくてはなりません。そして、さらに大切なのは自己の免疫力を低下させないために健康管理をしっかりと保つことです。

 

健康管理は「身体の健康管理」だけでなく、「心の健康管理」も大切です。個人個人でできる身体の健康管理はバランスの良い食事と運動です。人が何日も部屋に閉じこもるということは、かなりのストレスだと思います。人との接触を避けながら様々な工夫を凝らして歩くことは可能です。できるだけ自然の景色に触れながら、日光を浴びて散歩を心がけましょう。そして、肝心なのは「心の健康管理」です。このような状況下で楽観視は禁物ですが、あまりにも深刻になりすぎると、ストレスになってかえって免疫力が低下しかねません。

 

いつかはこの状況も収まる時を迎えます。これほどの長いパンデミックは想定外だとは思いますが、「明けない夜はない」(シェイクスピア 「マクベス」より)と言われている様に、いつかは収束を迎えます。肝心なのはこの状況をいかに受け止めて自分の心を豊かに保つかです。「物事によいも悪いもない。考え方によって良くも悪くもなる」(シェイクスピア 「ハムレット」より)つまり、「解釈力」が問われているのだと思います。

 

「人生山あり谷あり」、これは誰もが経験していることで、人としての自然の在り方だと思います。晴れの日もあれば雨の日もあり、時には台風の時もある。「ピンチはチャンス」といわれているように、大切なのはこの状況をご自分の未来につながる学びや成長へといかに変換できるのかということなのかもしれません。


 2012.05.12 

2020年5月21日木曜日

環境に適応できる健康体質

令和2514

新型コロナウイルス感染症の影響で、外出制限や世界中の人々がマスクを毎日着用するなど、私たちにとっては初めての経験です。心も身体も閉鎖的にならざるを得ない状況です。人に限らず動物や植物などの生物が閉鎖的になると、内部の秩序(バランス調整)が乱れるということは様々な実験でも明らかです。生物は外部環境との調和の中で生かされています。そのような健康維持のための基本条件に制限がある状況ですので、いかにして、この様な状況でも健康を維持していくことができるかを考えなくてはなりません。

まずは、感染予防に関してですが、このことは連日の様にニュースで情報が入ってきますので語るまでもありません。心構えとしては、人と人との関わりの中で、「自分自身も無症状感染者かもしれない」という自覚をもって、人との接触には十分に注意を払うことです。今回のウイルスに関しては謎めいた情報が錯綜しています。分かっているのは通常のインフルエンザよりも感染力が強く、急変して死亡する人がいること、また、無症状の人もたくさん存在しているということです。

長年健康に関して研究している一人の治療者として、興味深いのは急変する様な重症患者と無症状患者や軽症患者の違いです。免疫系の違いと言えばそれまでなのですが、免疫系の何がどの様に違うのか?重傷者の多くはサイトカインストームという免疫系の暴走によって、正常な細胞まで攻撃されてしまい、容態が突然悪化するとのことです。これが起こる人と起こらない人の違いは何か、どういう人に起こりやすいのか、どうすれば防げるのか、残念ながらまだ分かっていません。

最近、欧米や日本国内での抗体保有率に関する情報が少しずつ明らかになってきており、無症状の感染者が思いのほか多い可能性が示されています。その一方、抗体ができてからもウイルス感染が持続するケースも結構あるようで、集団免疫ができればウイルスが収束するということでもないのではないかという見解もあります。であるならば、人類はインフルエンザと同じようにこのウイルスと上手に「共存」あるいは「共生」する必要性が高いということになります。恐らくそれを可能にしてくれるのはワクチンや命を守ってくれる新薬の開発です。それと大切なのは私たち自身の免疫力や適応力を上げなくてはなりません。

「ウイルスと共生するなんて、滅相もない・・・」と思う方もいるかもしれませが、命に影響のない通常の風邪ウイルスなどは、むしろ過剰に避けない人の方が適応力が高まり、無症状患者の体質のなるのかもしれません。ウイルスに自然感染することで、免疫系が自然調整の仕方を学習記憶し、自然免疫が身につきやすい体質に変化する可能性もあります。今までの歴史をみてもウイルスは変異し続けているようです。もしかすると、その変化に人間が追いついていないのかもしれません。人間もその流れに適応して、感染しても自然免疫を獲得しやすい体質になるように学習記憶し進化し続ける必要があるのではないでしょうか。

世界中で命に関わる感染症に注目が集まっています。世論に歩調を合わせた捉え方も大切ですが、人類、生命、共生という広い視点で捉えることも大切だと思います。「ローマは一日にして成らず」の言葉のように、健康は長年の習慣の積み重ねです。健康は与えられると言うよりも自らが創り出すものです。刻々と変化する環境に適応できる健康体質をコツコツと創っていきましょう。

2020年4月24日金曜日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で思うこと

連日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の問題で、今までにない未知の経験に直面しています。長らく患者さんの健康のサポートをさせていただいている私にとって、今回のウイルスは通常の風邪やインフルエンザなどとはちょっと性質が異なる様で複雑な心境です。自然治癒力を高めることを主にしている治療家にとって、感染症は適応外の症状です。抵抗力、免疫力を高める手助けはできても、ウイルスを撲滅するような治療はできません。

今回のウイルスで厄介なのは、重症化して早期に亡くなってしまう人がいるということです。病院でも最善を尽くされていると思うのですが、助けることができないのです。亡くなる方やその家族が気の毒なのはもちろんですが、全力を尽くして力及ばなかった医療従事者の気持ちを察すると心が痛みます。この感染症に効く薬は、そのうちに開発されるとは思いますが、なぜ、このようなウイルスが突然現れるのかわかりませんし、今回の新型コロナウイルスは突然変異を繰り返しているともいわれています。

私は治療家として機械論と有機論を対比して、主に筋骨格系に関する治療哲学を語ってきました。今回の恐ろしい新型コロナウイルスに関しは、治療の対象外ではありますが、機械論と有機論の観点で捉えると、ウイルスとの闘い(機械論)と共生(有機論)の視点が生まれます。今回の感染症は私にとっては今までにない未知の感染症ですが、人類の歴史を振り返れば、人類は様々なウイルスと闘い、共生してきた事実があります。

感染力の強いウイルスに対しては、「避ける」、「闘う」という機械論的な捉え方も必要ですが、その一方で、「共存」「共生」するという有機論的な捉え方も必要だと私は考えています。数週間前にはなりますが、たまたま観ていたテレビ番組で、感染症の専門家の方が、新型コロナ感染症に関するインタビューを受けていました。その方は、感染防止策は推奨しつつも、「最終的にはコロナウイルス との共生・共存を目指すべきだ・・・」「致死率を下げながらコロナと共存するしかない・・・」という趣旨のことを語っていました。

その時、私は「あっ、同じことを考えている・・・」と思わず呟きました。このような時期に、「ウイルスと共生する・・・」とは心の中で思っていても言いづらい状況です。限られた患者さんにコロナのことを質問されたときだけ、私の意見として、「ウイルスと闘うことも必要だと思いますが、ウイルスと仲良くすることも必要だと思いますよ・・・」などと細々としか話していませんでした。だからこの専門家の意見は共感できる専門家がいるという意味で心強く感じました。

後で、この教授のことをネットで検索すると、感染症と人類史の専門家であることが分かりました。この教授は「過去20年でSARSMERS、新型コロナウイルスと3種の新型ウイルスが発生していることを挙げ、これは人類が無秩序に生態系に進出したことで野生動物のウイルスが人間に感染するようになったことやグローバル化が大きな理由だ」と述べています。

さらに、同じ様に考えている人は他にいないのかと検索してみると、感染症の専門家の医師が、『「ヒトとウイルス」共生と闘いの物語』というタイトルで論文を書いていました。その論文の中で、『「きれい好き」が感染症を増加させる』という一つの原因論を述べていました。事例としてA型肝炎を挙げ、子供の頃にかかると無症状か非常に軽症に終わるとのことで、現在70歳以上の人たちは、当時の衛生状態が悪い状況で、小児期に知らず知らずのうちにA型肝炎に感染して免疫を持つようになったのだろう』と述べています。現在のように衛生状態が良くなると、抗体をもたなくなり、ヒトの感受性がどんどん高くなってきて感染症が増加する原因の一つと考えられるといいます。

また、「ウイルスにせよ細菌にせよ、ヒトと共に生きているのだから、人間の生活様式が変化すれば、それに従って変化するはずで、今はそれが顕著に起きている状況だ・・」と述べています。論文の最後に、「ヒト自身も大量の微生物を持っているはずですし、やはりウイルスにしろ、細菌にしろ、ずっとヒトと一緒に生きてきたものであって、人間の行動の変化によって、共に変化してきました。結局は、どのように感染症とつきあっていくのか、そのつきあい方を間違いない様にすべきだと考えます。」と述べています。

スウェーデンは多くのヨーロッパの国と異なって外出禁止措置は取らず、レストランなどの営業も続けるなど独自の路線でウイルス対策をとっているとのことです。そのためか、スウェーデンの保健当局が首都ストックホルムでは市民が新型コロナウイルスに対する集団免疫を来月には獲得する可能性があるという見解を示したとメディアが伝えているようです。ウイルスとの共存ともみられる有機的な方向性が見えてきます。

さらに、イギリスの新聞「テレグラフ」はスウェーデンの保健当局の疫学者、アンダース・テグネル博士が「ストックホルムには免疫を持った人が多く現れ始めている」と発言したと伝えました。さらに、来月にも集団免疫を獲得するだろうという見通しを示したということです。人と人との接触を極端に制限するロックダウンのような措置が長期的にみて本当に効果があるのかどうかは定かではありませんが、日本に住んでいる以上は、政府の方針通りにできるだけ不要不急の外出は控え、人との接触は避けるべきなのだと思います。

今回のウイルスは、分からないことが多々ありますが、命を脅かす感染症なので、自分や他者を守るためにマスクの着用や手洗いは必要ですが、同時に抵抗力や免疫力を高めることも必要です。部屋に篭りすぎて閉鎖的になると、体や心の秩序が乱れて不健康になりやすく免疫力も低下しやすくなる恐れがあります。心や身体をできるだけ解放させて免疫力を上げましょう。天気の良い日には日光の光を浴びて、適度な運動、散歩することなどを心がけましょう。

この様な時期だからこそ、明るい未来に向けてできることがあると思います。闇雲に恐れるのではなくできるだけウイルスの性質を理解して恐れ、行動を柔軟に変化させてこの難局を乗り越えていきましょう。