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2021年7月20日火曜日

健康に及ぼす「暗示効果」


「プラシーボ効果」
(暗示効果)という心理的要因が身体に影響を及ぼすということは多くの人が知っていると思います。40年近く治療、施術という業界に携わっていますが、「プラシーボ効果」の健康への影響は大きいと常々感じています。当院の患者さんにも、体調不良が生じて予約の電話をしてから症状が緩和されてきたなど、冗談の様に言われる方がいますが、これもプラシーボ効果だと思います。これは一度、当院で治療効果を体験すると、そのポジティブな条件付け、すなわち痛みを軽減する神経回路が作用して、症状の緩和につながるのだと予測されます。

 

西洋医学においても、薬の飲み過ぎを考慮して、ニセの薬を患者さんに処方することがあり、実際に効果があるということは知られている話です。また、以前、ブログでもご紹介しましたが、国際的な医学雑誌に掲載された重度の膝痛の研究で、ニセの手術をした患者さんと実際の手術をした患者さんとの治療効果を比較すると、両グループとも効果が実証されたという研究結果があります。施術を行う治療者にとって、このプラシーボ効果はとても大切で、患者さんとの信頼関係、治療に対する信頼や期待感は治療効果に密接に関係していると思います。

 

「プラシーボ効果」の反対の「ノーシーボ効果」があります。この効果も同様に心理的な暗示効果ですが、「ノーシーボ効果」に対する臨床事例はいくつもあります。例えば、腰痛や膝関節痛の病院での画像診断で、椎間板や変形した関節などの構造的異常が指摘された画像を見ながら医師から説明を受けた場合、「構造異常=痛み」という思い込み(暗示効果)が入って症状の改善を悪くする事例があります。最近ではNHKやインターネットの情報で、「構造異常=痛み」の原因ではないということが多くの人に知られる様になりましたが、まだまだそのようなネガティブなノーシーボ効果の影響で症状の改善を悪くしている方も少なくはありません。

 

アレルギー症状のノーシーボ効果の事例として、花粉症の人が、造花を見て、鼻水が出てきた、あるいは花粉情報のニュースを聞いてから花粉症状がでてきたなど。また、ある実験で、「うるしの葉」と「栗の葉」を触らせる2つのグループ分けて、うるしを触らせたグループには「栗の葉」だと説明、栗の葉を触らせたグループには「うるしの葉」だと逆の説明しておいたのです。すると驚くことに、栗の葉を触ったグループに発疹が出て、うるしの葉を触ったグループには何もなかったという結果になったといいます。少し乱暴な研究ですが、アレルギー症状の多くの方が心理的要因に関係しているので、あり得る話だと思います。

 

ノーシーボ効果は、いわゆる「思い込み」に関係しますが、意識的に思い込むというよりも知らず知らずに入ってきた情報をネガティブに解釈して受け止めて、それが本当に体調不良に作用してしまうのです。例えば、今回の新型コロナのワクチンでも多かれ少なかれノーシーボ効果の影響を受けて副反応が生じている方も少なくはないと思います。今回のワクチンに関して、最初は情報が少なく、様々な不安情報が入ってきましたが、最近では段々と全体的な効果や副反応の割合なども見えてきているのではないでしょうか。

 

ワクチンの種類、全体的な情報を総合すると、予防効果は高く、変異ウイルスには予防効果が低くなる傾向があるようですが、重症化や死亡率はインフルエンザ程度には押さえ込むことができるということです。このワクチン効果もネガティブに解釈するか、ポジティブに解釈するのかはその人次第です。その解釈の仕方によってはノーシーボ効果によるネガティブな影響を受けるかもしれません。おそらく、ワクチンを恐れる解釈をするよりも、自分の身体の柔軟性を信じてワクチンを受け入れる方が健康に対するメリットが大きいのではないかと感じています。皆さんはどの様に解釈しているでしょうか?

2021年5月17日月曜日

山あれば谷あり

512日から福岡も緊急事態宣言の対象区域に加えられました。コロナ感染が第1波から第3波、第4波、そして秋に「第5波」となる急速な感染拡大が起こりうるという専門家の計算結果が報告されています。期待されるのはワクチン接種のスピードですが、ワクチンの接種スピードが追いつかないと第5波を抑え込むことができない可能性もあるとのことです。しかし、感染力が強い「N501Y変異」のウイルスがまん延した状況でも、ワクチンが発症を防ぐ有効性は94%という予測もあります。

 

日本国内でも確認されている、「感染力が強いN501Y変異」と「ワクチンの効き目が弱くなる可能性のあるE484K変異」を合わせ持つ変異ウイルスは、じつにやっかいなウイルスとして警戒されています。もしも、41日の時点で「2つの変異を合わせ持つ」ウイルスの感染者が都内に10人いたと仮定すると、この秋には第4波を超える勢いで第5波の急速な感染拡大が予測されています。感染率、重症化率が共に高くなるということです。

 

このような危機的な状況の中で、私たち個人がいかに感染対策を今まで以上に徹底するかが重要課題になります。感染経路の中心は飛沫感染及び接触感染ですが、感染力の強い変異ウイルスが広がっているとのことですので、今まで以上にマスクの着用と手洗い、換気には十分に気をつけなくてはなりません。そして、さらに大切なのは自己の免疫力を低下させないために健康管理をしっかりと保つことです。

 

健康管理は「身体の健康管理」だけでなく、「心の健康管理」も大切です。個人個人でできる身体の健康管理はバランスの良い食事と運動です。人が何日も部屋に閉じこもるということは、かなりのストレスだと思います。人との接触を避けながら様々な工夫を凝らして歩くことは可能です。できるだけ自然の景色に触れながら、日光を浴びて散歩を心がけましょう。そして、肝心なのは「心の健康管理」です。このような状況下で楽観視は禁物ですが、あまりにも深刻になりすぎると、ストレスになってかえって免疫力が低下しかねません。

 

いつかはこの状況も収まる時を迎えます。これほどの長いパンデミックは想定外だとは思いますが、「明けない夜はない」(シェイクスピア 「マクベス」より)と言われている様に、いつかは収束を迎えます。肝心なのはこの状況をいかに受け止めて自分の心を豊かに保つかです。「物事によいも悪いもない。考え方によって良くも悪くもなる」(シェイクスピア 「ハムレット」より)つまり、「解釈力」が問われているのだと思います。

 

「人生山あり谷あり」、これは誰もが経験していることで、人としての自然の在り方だと思います。晴れの日もあれば雨の日もあり、時には台風の時もある。「ピンチはチャンス」といわれているように、大切なのはこの状況をご自分の未来につながる学びや成長へといかに変換できるのかということなのかもしれません。


 2012.05.12 

2021年4月2日金曜日

脳」と「Wi-Fi」

Wi-Fiを使っている人であれば、経験していると思いますが、大雨の時や、多くの人が通信している時などはWi-Fiの通信が悪くなるのではないでしょうか?確かなことは分かりませんが、恐らく同じ周波数帯で多くの電波が混雑して電波干渉を起こしているのでしょう。その時に行う対処法は、「Wi-Fi」の電源を一旦切って、再起動することです。すると大抵の場合は通信が正常に改善します。このような現象で思うのは、長年、臨床研究し続けている「脳の誤作動記憶」の調整です。


「脳」と「Wi-Fi」を同類にするのは、いささか無理があるかもしれませんが、目には見えない誤作動の現象は、脳や生体エネルギーの誤作動現象と類似しています。「Wi-Fi」の通信異常の原因の一つに電波干渉が考えられます。これは脳の誤作動記憶の原因の一つと類似していると思います。「脳」は見た目では柔らかい神経細胞組織の塊ですが、目には見えない電気信号の神経回路が密集しています。


何らかの体調不良がある場合、脳の電気信号や生体エネルギーの電波が混雑して電波干渉による誤作動記憶を生じさせ、生体機能に不具合を生じさせている現象であると言えます。施術では不具合を生じさせている電波干渉を引き出して、その信号を再起動させて誤作動記憶を調整しているのですが、「脳」の調整で厄介なのは、その電波信号が「無意識的な思い」の信号であるということです。無意識なので普段は意識していないような「思い」が混線して誤作動を生じさせます。


長年の臨床経験から一般的に言われているような分かりやすいストレスは混線することは少ないと言えます。混線しやすい思考信号とは、何かモヤモヤするけれども言葉では言い表し難い「思い」が多いようです。このような電波干渉による誤作動記憶の異常を調整するためには、その誤作動に関係する「思い」を明確に意識化して、一旦、表に引き出します。そして、明確にした「思い」を意識化したままで振動刺激を加えて生体エネルギーを再起動させて調整しています。この調整は、「Wi-Fi」の電波干渉を改善させるために電源を再起動させる作業ととても似ています。


体の不調が生じると、多くの方は肉体的な構造異常があるのではないかと疑います。もちろんそのような構造異常による体調不良もありますが、脳や生体内を流れる生体エネルギーの電波信号の混線による異常が体調不良の原因になることが比較的多いようです。当院では主にそのような目には見えない電波信号を再起動させいるということをご理解いただくと施術がさらに効果を増してくるのではないかと思います。


2021年1月30日土曜日

生命力を高める「心の行」

コロナ感染が拡大し、重症患者数も増加傾向にあり、ウイルスの変異も確認されています。多くのニュース番組で報道されている様に、如何にして人と人との接触に細心の注意を払うことができるかが、感染予防のためにとても大切なポイントになります。人との接触を避ける一方で、健康維持に大切なのは、生活のリズム、心身の習慣です。人との接触や外出を避けるようになると、行動が制限され、心も身体も内側にこもり、心と身体の秩序が乱れがちになります。これは多くの人が経験していると思いますが、狭い空間に長時間閉じこもると肉体的にも精神的にも不調が生じます。このようなコロナ禍において、感染予防を行いながら日々の生活をどのように過ごせば良いのでしょうか。

 

まずは、「身体の健康」を維持するためにバランスの良い食習慣と適度な運動習慣を身に着けることです。コロナ禍だから外出は避けたいという人もいるかと思いますが、人を避けて散歩や運動することは可能だと思います。肝心なのは「心の健康」です。「どうすれば心を健康に保つことができるのか」、これは永遠のテーマでもあり、明確な答えはありません。一般的にはストレス発散をするために、娯楽やスポーツ、友人との交流などがありますが、特にこのコロナ禍では「ソーシャルディスタンス」という人と人との交流をできるだけ制限することが求められています。「密」はできるだけ避けるということが求められているのです。

 

心身の健康を維持するためには、本来であれば、人と人との健全な関係性、すなわち「密」が求められるわけですが、このコロナ禍ではその真逆で「蜜」が制限されます。しかしながら、身体の行動が制限されても、心の動きが制限されるわけではありません。心は本来「自由」です。遠く離れた人に対しても「想い」を寄せることができます。不思議な話ですが、心の電波、信号は無制限に伝わります。このことは、とても非科学的なことのようですが一部の科学者達は真剣に研究しているようです。心の健康を高めるために、心の交流、関係性を保つことは大切です。コロナ禍ではとても厳しい状況ではありますが、直接会えない人や遠く離れた人への純粋な想い、「真心」を伝えることはできます。

 

直接的に話さなくても、ただ無心に「ありがとう」という感謝の気持ちを思うだけで、プラスの生命力が心を浄化してくれるでしょう。これは大切に想う人だけでなく、特に嫌いな人に対して何らかの意味づけ、肯定的な解釈を加えて唱え続けることで不思議な感覚や現象が生じるでしょう。眉唾的な話だと思われるかもしれませんが、ただただ理屈抜きに「ありがとう」の心の信号を伝えるだけで、心の生命力が高まるわけですから、たとえ効果を感じなくても失うものはありません。

 

適度な運動を行う様に、心の修行として習慣づけてみてはどうでしょうか?特にこのコロナ禍ではそのような「心の行」が求められているように思います。


2021.01.19 保井志之

2020年12月1日火曜日

身体を害する “ストレス”の正体

“ストレス”が身体を害するというのは、多くの人たちが知っています。胃の不快感や胃痛などで病院を受診すると、通常は対症療法的に薬を処方されます。「胃痛の原因は胃粘膜の炎症、あるいは潰瘍から生じているようです・・・」ということで胃酸を抑える薬を処方されるかもしれません。ここで、「なるほど」と思う人と、「胃の炎症や潰瘍の原因はなんですか?」と質問する人に大きく分かれます。

 

多くの人は身体に不調があると、「内臓から生じているのではないか?」と考える傾向があります。確かに内臓の問題が体表の症状として現れることがあります。しかし、その内臓が傷つく原因は何でしょうか?恐らく多くの方がご存知の様に“ストレス”です。ガン、血管障害、心疾患、糖尿病などの慢性疾患の多くが“ストレス”が関係していると言われており、怪我や事故などと異なって、自覚がないまま徐々に病気が進行していくのが特徴です。

 

病院の検査で構造的な異常、数値的な異常が発見された場合、構造的な異常を修復するか、あるいは、数値的な改善を図るため薬が処方されます。多くの人が早期に発見され、このような身体の構造や機能を調整することで症状が改善方向に向かい安心されます。しかしながら、慢性症状の元の原因となる“ストレス”が影響しないように本質的な予防のための治療にまでは考えが及びませんし、そのような“ストレス”の治療があるということすら知らない方がほとんどです。

 

当院ではストレス”と身体の機能異常の関係性ついて、臨床現場で長年研究してきました。そこで分かった身体を害する“ストレス”の正体は何かということです。特徴としては以下の内容が含まれます。

 

1.      身体の機能(働き)に誤作動を生じさせる目には見えない信号

2.      意識している明らかな内容ではなく、無意識的で曖昧な内容

3.      意識と無意識が葛藤するような内容

 

つまり、身体を害する“ストレス”とは、自覚し難い内容で、当院で行っている様な、“身体に聴く検査”でないと分からないということです。

 

上記の様な慢性病になっていなくても、身体が発する症状は、何らかの身体の訴えであり、慢性症状へ向かうシグナルかもしれません。“身体に聴いて”検査することで、“ストレス”の正体を知り、慢性病の予防につなげていくことが肝心です。当院では患者さんの要望に応じて、身体に聴いてストレスの内容を明らかにして、ストレス信号が身体を害さない様に調整させていただいております。ご要望がありましたらお気軽にご相談ください。




2020年10月1日木曜日

ピンチをチャンスに変える調和

最近ではコロナウイルス感染者数の数が段々と減少傾向にあるものの、まだまだ油断ができない状況が続いています。緊急事態宣言が発令されてから、ほとんどの人がマスクを着用しています。マスクをするのが当たり前で、していない人の方が目立つというような状況は以前では考えられないことでした。特に人との接触をできるだけ避ける様にするということ自体が大きな変化です。この様な変化の時にこそ、ピンチをどのようにチャンスに変えていくのか、その心構えが問われているのかもしれません。

今回の危機を乗り越えるために今何をすべきなのか?今までにない大きな変化の中で何を考えどのように行動すべきなのかが問われているのかもしれません。この様な厄介なウイルスも大自然の中の一部であり私たち人間が共存していくべきモノと言えます。しかしながら、このような状況になると、できるだけ“悪いモノ”を避け、攻撃するという思考が働きやすくなります。その思考は人間関係においても知らず知らずのうちに、“悪いモノ探し”のように「対立」を生じさせる傾向があります。「対立」・「避ける」よりも「共存」・「受け入れ」の方が大自然との調和という観点から言うと健康的だといえます。

 

人間も含めて、“生き物”は閉鎖的になると不健康になります。心も身体も開放的な健康を維持するためには適度な心と身体の“動き”が必要です。それは身体や脳への適度な刺激です。特に人間は刺激を必要とする生き物です。“刺激”は生命体のエネルギー源でもあります。もしも、何もない閉鎖空間で動きや刺激がなくなると生命体は不健康になります。身体の健康を維持するためには適度な運動が必要です。人は往々にして“楽をしようとする”傾向が誰にでもありますので、今回のコロナ禍は、活動をしない言い訳になっているかもしれません。活動しないことが習慣になると結果的に不健康の道へと進む恐れがあります。“しんどいな〜”と思っても少し頑張る習慣を身につけると、身体は自然に鍛えられ強化されていきます。よく、“無理をしないように”と相手をいたわる気持ちを込めて言いますが、少しは無理をした方が、身体には程よい刺激になり、強くしてくれる刺激として捉える方が健康的と言えるでしょう。

 

活動を止めてしまうと、精神的にチャレンジすることもあきらめてしまいがちです。人は生きていく上で、心の成長は必要不可欠です。心の成長のためには、自分の心にチャレンジすることも必要です。チャレンジすることでネガティブな感情も湧き上がってきますが、ネガティブな課題も成長の種になります。その種は目を逸らしたくなる様な課題かもしれません。でもその課題に向き合うことで成長の種は確実に育っていくことでしょう。誰の心にも自分では認めたくないネガティブな心が潜んでいるモノです。それが自然の姿です。大自然はすべてポジティブとネガティブで調和されています。昼があれば夜があり、晴れの日があれば、雨の日もあります。


私たちは人生を通じてネガティブな心と共存しながら心の調和を図り、成長し続けていく生き物です。心の健康を維持すためには、誰の心にもあるネガティブな心を受け入れて、その上でそのネガティブな心を、自分にとって意味あるものに書き換えること。すなわちその「解釈力」が問われているのです。そして、このような時期だからこそどのように解釈するのか、その究極的なポジティブ思考が問われているのかもしれません。


2020年1月27日月曜日

「無意識の脳の信号」と「健康」

「意識」と「無意識」を理解することは心と身体の健康を維持するためにとても大切です。私たちの脳は、意識的な脳と、無意識的な脳に分けられます。私たちの身体の働きは、脳の信号によってコントロールされ、その90%以上が「無意識の脳の信号」によるとされています。私たちは、普段の生活の中で「無意識の心」を意識することはほとんどないと思います。例えば、ある目的地まで歩く場合、その目的地のことは意識しますが、歩く際に、「右足から踏み込んで・・・」とか、「次は左足を前にだして・・・」などのように身体の各部位をどのように動かすかなどは意識せずに無意識的に身体を動かして歩いています。

また、胃腸や心臓などの内臓の動きは無意識の脳に関係する自律神経系にコントロールされ、ほとんど意識ではコントロールできません。その自律神経系に誤作動が生じると、筋肉、内臓などの働きが悪くなり、体調不良が生じます。昔から「心身一如」という言葉があります。心と身体が一体となって調和していることの大切さを示した言葉です。ここで言う心身一如の「心」とは頭で考える意識ではなく、心の奥にある無意識のことを言っています。「頭ではなく身体で感じることが大切である」というように言われていますが、それはすなわち無意識の脳から発する心の信号のことを言っているのです。

「身体の働き」をコントロールしているのは脳ですが、私たちの健康の多くは「無意識の脳の信号」によってコントロールされていると言っても過言ではありません。「無意識の脳の信号」を理解することは大切ですし、健康への「カギ」になります。当院での「身体を使った検査」(生体反応検査法)は、「無意識」の脳の反応です。例えば、チャートを使った検査を行い、「警戒心」の反応が示された場合、普段、ほとんど意識していない内容なので、そのようなキーワードが示された場合は、「???」となる傾向にあります。「無意識」の心の奥にある事柄なので、すぐにはピンとこないことが多いのですが、様々な角度から質問をさせていただくと、「もしかすると、〇〇に考えている自分がいるかもしれない」、「いや、確かにそのようなことを感じている自分がいる」などのように、自分の心の奥を内観し、意識と無意識をつなぎます。

そして、その無意識の心の内容が腑に落ちると脳に新たな神経回路が構築され、症状も改善されやすくなります。症状に関係する誤作動記憶の反応は、明らかに意識できる“ストレス”よりも、何かモヤモヤした心の奥にある無意識的な内容がほとんどです。逆説的にいうと、「無意識の心の信号」が明確化されていないから誤作動が生じ、症状がパターン的に繰り返されると言ってもいいかもしれません。無意識の心の信号が意識化され、しっかりと認識できて意識と無意識が調和されると様々な症状が改善され、心のモヤモヤも晴れていく傾向があります。

氷山の一角である「無意識の脳の信号」を理解することは、心と身体を健康に保つためにとても大切です。原因不明の症状が生じたり、心の奥にモヤモヤ感が生じたりするときには「無意識の脳の信号」が関係しています。自分の心の奥を内観し探索してみて下さい。たとえそれが否定的な心であっても、それを認めて受け入れることが症状を改善することのみならず、豊かな心を育むことにつながるようです。まずは、ご自分の「無意識の心」を理解することを意識してみましょう。

FCCニュースレター2020.2-3

2019年11月28日木曜日

「健康」と「運気」の安定

先日、田坂広志氏の最新の著書、「運気を磨く 心を浄化する三つの技法」という本を読みました。当院で行っている心身条件反射療法(PCRT)という施術法の根底にある「考え方」が如実に表された内容だったのでとても感銘を受けました。『なぜ、ポジティブ思考が、逆効果になるのか』、並びに『「良い運気」を引き寄せられない本当の理由』が説明されていました。田坂氏によると、いくらポジティブ思考でポジティブなことを表面的に考えていても、無意識的にネガティブな想念がある以上「良い運気」を引き寄せることはできない・・・そして、本当に「良い運気」を引き寄せたいと思うならば、心の中をポジティブな想念で満たす前に、何よりも、心の中に数多く存在するネガティブな想念を消していかなければならない・・・と述べています。

つまり、心の奥にある無意識的なネガティブな想念を消してからポジティブ思考をしなければ逆効果になってしまうということです。このことは、当院で長年研究してきた本質的な施術法の原理原則に通じるものがあり、慢性症状の多くが、心の奥に隠れている無意識的な想念に関係しており、その想念を認識し、書き換えることで症状が改善し、さらには健康を取り戻すことで「運気」も改善している様子がうかがえる実例を数多く経験させていただいているので、田坂氏が伝えたいことはよく分かります。また、田坂氏は科学研究者としての立場から「運気」というものを明らかにしたいと考えており、そうした視点からの「科学的仮説」についても紹介しています。

私は「健康」を研究する臨床家として、長年多くの患者様の健康をサポートさせていただき、「健康」=「安定した運気」というような感覚を持っています。「不健康」=「不安定な運気」のときで、その原因は田坂氏が述べているように、無意識の世界が「ネガティブな想念」で満たされていることが多いようです。「幸せになりたいと願いながら、不幸を引き寄せる人」というテーマでは、心理学者の仮説を引用して、その原因は自分でも気づいていない無意識の世界が自分の行動を支配してしまい、人生の選択を誤らせてしまうことがあると述べています。

多くの人々は何事も「意識」でコントロールしていると思いがちですが、実は意識する以前に「無意識」にコントロールされているのです。このことは、近年、科学研究者によっても述べられています。有名な心理学者が共通して語っている無意識の世界を要約すると以下の通りです。

第一 「無意識」は「意識」の世界からは明確に自覚できない。
第二 「無意識」の世界は力強く、「意識」の世界に大きな影響を与えてしまう。
第三 「無意識」の世界に働きかけて、それを意識的に変えることは容易ではない。

当院ではこの「無意識の世界」を十分に踏まえて、生体反応を利用した「体に聴く検査」を行って、「無意識の世界」を探索します。そして、健康を阻害している「無意識の想念」を認知してもらい、それを書き換える調整を行っています。その結果として症状が改善し、健康を取り戻すことができます。心と身体の関係性、「心身一如」という観点から、慢性症状が心の奥にある「無意識」と関係するということは、頭で理解しても体験しないと信じられないということもあるかもしれません。当院では「無意識の気づき」によって、症状が改善される患者様が多いので、無意識の世界の影響は理解しやすいと思いますし、さらには、その気づきによって「運気」も上向きに向かっているということも合わせてご理解いただければと思います。「無意識の世界」を明確にして「健康」と「運気」の安定を維持していきましょう。

2019年10月1日火曜日

FCCニュースレター2019.10-11 心理社会的要因がもたらす病気

2016年の総務省のデータによると55歳から79歳までの主な死亡原因は1)ガン2)心疾患(心臓の病気)3)脳血管疾患の順になっております。ガンと心疾患は統計的に見ると年々増加傾向にあります。その一方で、脳血管疾患による死亡率は減少傾向にあります。医学が進歩しているにも関わらずガンや心疾患はなぜ増え続けるのでしょうか?それは、ガンや心疾患が心理社会的要因、すなわちメンタル面が関係している可能性があるからです。医学は肉体構造を修復する技術において素晴らしい成果を上げてきましたが、心理社会的要因と病気との関係性を対象にした研究はほとんど進んでいません。恐らくその領域の研究が進んでないが故にガンと心疾患の死亡率は年々増加傾向にあるように思います。

心臓病学は過去100年の歴史でステント、ペースメーカー、冠動脈バイパス手術、心臓移植など科学的な進歩と共に多くの心血管系死亡率の低下に寄与してきました。しかしながら、その進歩を続けるには限界に近づいていると、Dr. Sandeep Jauhar心臓外科医が警鐘を鳴らしています。彼は心臓外科医として20年の経験を持つ医師で、心臓病の問題に対して新しいパラダイムに移行する必要があると述べていました。そのパラダイムとは、医師の間で心理社会的要因を最前線の問題として考えるべきであるということです。

医学雑誌「サイエンス」に掲載された1980年の研究で、研究者らはケージに入れたウサギに高コレステロール食を与えて、心血管疾患への影響を研究しました。彼らはあるウサギが他のウサギよりもはるかに多くの病気を発症したことを発見しましたが、その理由を説明できませんでした。彼らは恐らくウサギとどのくらいの頻度で接触したかに関係があるのではないかと考えました。そこで彼らは同様の研究を繰り返し、1つのグループでは、ウサギをケージから取り出し、かわいがり、話をし、遊んでおり、もう1つのグループでは、ウサギをケージに入れたままにしておきました。その後、彼らは人間の相互作用を受けた最初のグループのウサギは、コレステロールレベル、血圧、心拍数が類似しているにもかかわらず、他のグループのウサギよりも大動脈疾患が60%少ないことを発見しました。

また、1990年にイギリスの医学雑誌「ランセット」に掲載された研究論文では、一つのグループを食事療法や適度な有酸素運動だけ、もう一つのグループを食事と運動にプラスして心理社会的サポートやストレス管理のアドバイスを行なったグループに分けて長期に調査しました。すると食事療法や運動だけでは心臓疾患の予防には至らず、心理社会的サポートやストレス管理の必要性が明らかになったそうです。つまり、運動や栄養バランスだけではなく、人と関わる心理社会的要因が心臓病の予防に大きな影響をおよぼしているということです。このような心理社会的要因は通常の健康診断では分かりません。たとえ健康診断で問題がなくても、もしかするとストレスの影響を受けているかもしれません。大したことがないと思われる症状でも、何らかの不調を身体が訴えているかもしれません。

当院では「心と身体の関係性」=「心理社会的要因」を長年研究しております。様々な心理社会的要因が健康に悪影響を及ぼさないように予防的サポートをさせていただければと願っております。お気軽にご相談ください。

2019年7月24日水曜日

「機能性身体症状」を調整する


ファミリーカイロをご利用いただいている患者さんの多くが病院での検査や治療を受けて来院されます。時折、「この症状は病院で治療した方がいいのか」、「ファミリーカイロで治療した方がいいのか」、相談を受けることもあります。基本的には患者さんご自身で判断していただきますが、ファミリーカイロを利用する際に参考となる病気や健康に対する全体的な考え方をご紹介させていただきます。骨折などの外傷、脳梗塞、強い感染症などはすぐに病院を受診した方がいいのはもちろんですが、分かりにくいのは慢性症状や構造異常が関係していない痛みなどの症状です。

健康と病気を考える上で大切なことは、Body(身体)Mind(心)は密接につながっており関係しあっているということです。西洋医学の思想では、身体と心を分けて病気の原因を考える傾向があります。そのように「細分化」して考える医療も大切ですが、「木を見て森を見ず」ということわざのように「全体論」で健康と病気を考える必要があります。実際に人間の身体は機械仕掛けのロボットのように部品の集まりでできているわけではなく、それぞれの組織や臓器が強すぎず、弱すぎず、早すぎず、遅すぎることなく調和して働いています。さらには、「人間」という文字が表すように、身体の内界と外界との間の関係性を上手に調和させて適応して生かされています。

「平均寿命」と「健康寿命」という言葉があります。平成28年度の厚生労働省の調査によると女性の平均寿命は87.14歳、男性の平均寿命は80.98歳です。そして、女性の健康寿命は74.79歳、男性の健康寿命は72.14歳です。年々、平均寿命は伸びている傾向にありますが、大切なのは健康寿命を延ばして豊かな人生を送ることです。ではどのように健康を維持していけばいいのでしょうか?多くの人は何らかの病気で死を迎えるのですが、どのようにして健康状態から病気へと進行するのでしょうか?そのプロセスを考えてみましょう。

健康な人がいきなり病院の検査でも分かるような「器質的な病気」になることはありません。最初は、身体の「働き」が悪くなります。その結果、「機能的異常の症状」が現れます。身体の痛みや不快感は機能的異常のサインとして教えてくれます。その機能的異常が慢性化すると、今度は器質的異常を引き起こして病気になります。そして、最終的にそれが致命的になるとその病気で亡くなるというプロセスを経ます。では、そのような病気にならないためにはどのように予防すればよいのでしょうか?
 
病気の原因は何なのでしょうか?前述したように慢性症状の多くは、まずは機能的異常から引き起こされます。その機能的異常の原因は、体質(遺伝)、生活習慣、感染、環境問題という素因に、様々な要因のストレスが加わり、適応力が低下して身体の働きに異常(機能的異常)をきたします。そして、その機能的異常が誤作動記憶として脳にクセがついてしまい、慢性化へと移行してしまうのです。これが、健康から病気へと進行する大まかなプロセスです。

病院では主に「器質的な問題」や「精神的な問題」を対象にしますが、ファミリーカイロでは、身体面の機能異常と心(脳)と身体の関係性による機能異常を調整させていただきます。病院では見つけることが難しい微妙な神経や筋肉の「働き」の異常や脳の「誤作動記憶」を整えることが可能です。身体の不調を感じたら、まずは身体の「働き」に注目して調整をしてみましょう。

2019年6月2日日曜日

運動や仕事などにおける「パフォーマンス低下」

あなたの人生で、こんな経験はありませんか?「今まで上手くできていた〇〇が、なぜか今まで通りにできなくなった・・」、「今まで〇〇がスムーズに進んでいたのに、なぜかやる気が起きなくなった・・」「練習のときには問題ないが、いざ本番になるといつものような力が発揮できない・・」など。身体の不調に連動して運動や仕事などのパフォーマンスが低下するという場合も少なくはありませんが、身体の不調は感じていないのになぜか運動や仕事のパフォーマンスが低下していたことがあるという経験は多くの人にあるようです。このような原因不明の「パフォーマンス低下」は、単に精神面が弱いといった精神論の問題ではないことが多いようです。

運動や仕事などのパフォーマンス低下で相談を受けて施術を行うと、ほとんどの患者さんは本来のパフォーマンスを取り戻すことができているようです。一体何が原因なのでしょうか?それは、個人によって様々ですが、一括りにいうと「脳の誤作動記憶」です。私たちの脳は約千億もの神経細胞からなる複雑で巨大なネットワークでプログラム化され、運動や仕事のための様々な情報を入力して学習と記憶を繰り返し、様々なパフォーマンスが自動的に出力できるよう機能しています。もしも、本来機能するはずのパフォーマンスを制限するような誤作動記憶が脳で無意識的に構築されると、脳の機能が制限されてパフォーマンス低下につながります。

身体の痛みやコリ、違和感などの身体的不調は、身体が訴えているサインです。施術経験のある方であれば、調整すればすぐに改善されると思っていただける方が多いかと思いますが、パフォーマンス低下の場合、それが施術の対象になるのか否かは分かりにくいところかもしれません。一つの目安として、「今まで当たり前の様に出来ていたことができなくなった・・」ということを感じましたらご相談ください。「身体に聞く検査」をすれば、それが「脳の誤作動記憶」によるパフォーマンス低下なのかどうかがすぐに分かります。

「脳の誤作動記憶」が過去のトラウマや無意識的なストレス、人間関係などに関係しているかもしれません。特徴として意識的にはほとんど気にしていないが、よくよく考えると関係しているかもしれないというような内容の記憶が多いようです。施術によってパフォーマンス低下が改善された患者さんの多くが、単にそのことだけでなく他のことにも波及してプラスの効果を感じてくださる方が多いようです。簡単に「年のせい・・」などと諦めないで、思い当たることがありましたらお気軽にご相談ください。


2019年4月1日月曜日

花粉症が治るしくみ  FCCニュースレター2019-04-05


この時期に鼻水や目のかゆみなど症状がでると、「花粉症」だと思われる方が多いようです。花粉症はスギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって起きるアレルギー症状ですが、当院で生体反応検査をしてみると、単に花粉のアレルゲンだけでなく、PM2.5などの大気汚染、繊維、寒暖差などが関係していたり、メンタル面が関係していたりすることも少なくはありません。アレルギー症状の原因となるアレルゲンなどを明確に特定して施術を行うと、施術後にはすっきりした感覚になる方が多く、継続治療していくことで完治していきます。

花粉症の根本的な原因とはなんでしょうか?普通に考えると、アレルギー症状を引き起こす原因は花粉などの「アレルゲン」となります。「アレルゲン」が犯人なので原因は自分の肉体内にあるのではなく、肉体外にあると考えます。しかし、根本的な原因は何かと考えると、肉体内にあると考える方が本質でしょう。なぜならば、同じ花粉などのアレルゲンに触れてもアレルギー症状を引き起こす人といない人がいるので、その違いは何かと考えることで本質的な原因につながると思います。

では、本質的な「花粉症」の原因はなんでしょうか?「体質?」と思い浮かんだ人が多いのではないでしょうか?ではアレルゲンに過敏な体質はどこから生じたのでしょうか?体質となれば「遺伝」ということが連想され、「遺伝」であれば治らないという考え方になると思いますが、当院の施術で多くのアレルギー症状の患者さんが改善されていることから、「遺伝」以外の原因があります。その原因とは何でしょうか?当院ではその原因を「誤作動記憶」にあると考えています。

「誤作動記憶」とは無意識的にアレルギー症状を引き起こすように学習記憶された誤作動の記憶という意味です。毎年、花粉が飛散する時期になると、症状が出るということは、「記憶」が関係しています。身体が症状を記憶している、すなわち脳のプログラムによって自動的に症状が引き起こされるのです。慢性症状はこの「記憶」があるがゆえに繰り返され、逆にいうと「記憶」がなければ症状は繰り返されないのです。そのような脳のプログラム化を「条件付け」という言い方もできます。

では、アレルギー症状を引き起こしている誤作動の「記憶」は消せるのでしょうか?「記憶」を消すというよりも、施術によって新しい神経回路を創ることで「上書き」され、アレルゲンに触れてもアレルギー症状を引き起こさない神経回路が創られて過敏症状が生じなくなります。脳は様々な刺激を受けることで新しい神経回路を創ることが脳科学でも証明されています。そのことを脳の可塑性と言いますが、そのような脳の柔軟性があるがゆえに、様々な慢性症状は治るのです。
 
コロンビア大学生化学教授のエリック・カンデル氏が2000年に神経系の情報伝達と記憶に関する発見の功績によりノーベル生理学・医学賞を受賞しました。この写真はその発見に関係する実験結果を示した動画から撮った写真です。神経細胞を刺激した後、神経回路のニューロン(枝)が伸びているところが示されています。神経細胞を刺激すると、新しい神経回路のニューロンが伸びるということを世界で初めて実験で映像的に示したことはともても画期的なことでした。ニューロンが伸びて神経回路ができるということは、新たな刺激による学習記憶によって、不健康な症状を引き起こす神経回路(誤作動記憶)を創る一方で、健康的な神経回路(健全な記憶)も創るということでもあります。

慢性症状の一つである花粉症の原因も「誤作動記憶」にあり、当院の施術で花粉症が治るのは、誤作動記憶を書き換える施術を行なっているからです。花粉症は治療すれば治る症状です。人それぞれに治り方は様々ですが、花粉症でお困りの方は、ご自分の脳の柔軟性を信じて施術を受けてみてはどうでしょうか? 花粉症でお困りの方はお気軽にご相談ください。

2018年12月4日火曜日

自然な顔の美しさ

ニュースレター2018.12-2019.01

人の顔は変わる?長年の臨床経験の中で、毎日患者さんに接していると、顔の表情を伺う観察力も自然に鋭くなってきます。それは経験を積んだ治療者の脳に蓄積された数十年間のデータに基づくもので、数字では表せない感覚的な能力です。最初に来院される患者さんの多くは、肉体的にも精神的にも問題を抱えています。その問題が徐々に改善されるごとに、患者さんの表情が変化していく場面に遭遇します。

「あっ、あの方の顔が変わってきた・・」あるいは「あの人の人相が変わってきた・・」中には、「本当はこんな顔をしていたのか?」と、気づかされる場面があります。肉体的にも精神的にも様々な症状が改善されると、暗いイメージの表情から明るいイメージに変化してくる患者さん、何か不満をかかえている表情から感謝が見え隠れする表情へと変化してくる患者さんなど、本来の美しい顔に遭遇する瞬間があります。

継続的に来院して下さっている患者さんの表情の変化は、サポートさせていただいている治療者にとっては醍醐味でもあり、喜びでもあります。「心と身体の関係性」、あるいは「意識と無意識の関係性」を調整させていただいている患者さんの多くは、自分でも認識し難い心の奥に隠れた自分に遭遇することもあります。その時、ありのままの自分を優しく包み込んであげることで、何かが変わるようです。

特に顔の表情に変化が現れてくるのは、「意識」と「無意識」が調和してくる時です。自分の心の「建前」と「本音」が調和してくるときといってもいいでしょう。もしかすると、あまり見たくない自分の内面を認めてあげたときかもしれません。あるいは、「そんな自分がいてもいいのだ・・」「嫌な自分にも何か意味があるのだ・・」などと、無意識の自分の存在を認めてあげた時に、未来に繋がる心の成長が育まれているように感じられます。

美しく見せたいという願望は年齢や性別を問わず多くの人にあると思います。女性であれば、お化粧や美顔マッサージなどを施すかもしれませんし、表情筋のトレーニングをされている方もおられるかもしれません。どの手法もその方に合っていれば有効な手段になると思います。このような美しさを保つ方法には大きく分けて「外から働きかける方法」と「内から働きかける方法」があります。

内面に働きかける方法とは、前述した「意識」と「無意識」を調和させる方法です。当院で行なっている「身体に聞く検査」を繰り返し受けていると、だんだんと自分の無意識の心の点と点が繋がって、線となり、さらには面となって全体像が見えてくるようです。複数の表情筋は、意識でコントロールできる部分もありますが、多くは無意識で作り出され、瞬間、瞬間にその表情が印象付けられます。意識と無意識がつながることで、自然の笑顔、自然の仕草が表現され、それが美しい顔として私たちの記憶に残っていくのだと思います。

この自然体の顔の美しさは、年齢や性別を問わず、善悪を超えた調和の美しさといってもいいのではないでしょうか?その美しさは言葉では言い表し難いものがあるように思います。脳の神経回路が常に変化しているように、いつからでも顔の表情は変化します。自分らしい自然な美しさを育んでいきましょう。

2018年10月2日火曜日

過去の記憶(プチ・トラウマ)が、現在の症状につながる

トラウマ(心的外傷)というと、命が脅かされるような出来事(戦争、事故、虐待など)によって、強い精神的衝撃を受けることが原因とされます。当院で慢性症状の本質的な原因を探求していると、一般的に知られているようなトラウマ(心的外傷)と言わないまでも、「プチ・トラウマ」とも言える慢性症状に関係する過去の「誤作動記憶」の影響が多く存在していることが分かります。「プチ・トラウマ」の特徴として、理性的に処理して意識的にはほとんど気にしていなくても、無意識的に心の奥に保存されている記憶と言えるケースがほとんどです。

過去に起こった記憶が無意識に思い出されて、それが現実に起こっているかのような感覚があるときに、「フラッシュバック」という心理用語で表現されます。フラッシュバックは「恐怖」や「怒り」などの感情や身体的症状など、感覚の記憶として再現されます。そして、その記憶はまともに意識に上らないため、フラッシュバック性の記憶は鮮明に再現されますが、言語化するのが困難な場合が多いようです。

この「フラッシュバック」は、強いトラウマ体験(心的外傷)を受けた場合の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の特徴的な症状の一つとして知られていますが、冒頭で述べたように長年の心身条件反射療法の臨床研究では、強いトラウマ体験でなくても、過去の記憶がフラッシュバックされて、身体的症状を引き起こすケースに多く遭遇します。検査で示された過去の記憶を引き出して調整を行うと、施術直後にその患者さんが訴えていた症状が消失することから、過去の記憶が関係していたことが分かります。

施術後に、「そういえば、そのこと(過去の記憶)をふと思い出しました」とフォードバックしてくれる患者さんも少なくはありません。症例によっては、10年〜20年以上も前の記憶でも、検査を進めるとほとんどのケースで、症状に関係する誤作動記憶にたどり着き、調整を行うと症状の改善につながります。時系列の検査をLPRT(言語生体反応検査法)で進めると、ピンポイントでその誤作動記憶にたどり着き、患者さんはもちろん、術者もその検査の正確性に驚かされます。その検査の結果も慣れてくると当たり前になりますが、それでも、抱えている患者さんの問題はそれぞれに異なるので、その症状が改善されるときの喜びはいつも新鮮です。

もしも、「プチ・トラウマ」が慢性症状の原因になっている場合、タイムカプセルのように保存されていた内容を引き出して、その過去の記憶に戻って調整を行います。その内容が明確に表現できる場合もありますが、場面だけで言葉に表現できない場合もあります。内容が明確に言語化されなければ調整ができないわけではないので、誤作動反応を示している場面だけで調整を行います。慢性症状に関係する誤作動記憶は複数存在することが多いのですが、調整後には多くの症例で症状の改善を確認することできます。隠れた「プチ・トラウマ」を見つけて慢性症状を解消していきましょう。

2018年8月2日木曜日

身体は「症状」を記憶する

 今回のテーマを見て、「えっ?身体が『症状』を記憶する?それってどういうこと・・・?」と思った方がいるかもしれません。でも、当院をしばらくご利用いただいている方なら何のことなのかある程度お分かりいただけるでしょう。筋肉や内臓の働きを司る脳や脊髄の神経系には、コンピューターのメモリのように高性能の記憶装置が備えられています。私たちはその記憶装置のお陰で充実した健康生活を営んでいます。でもその一方で、記憶装置があるがゆえに慢性症状を繰り返して不健康な症状に悩まされる場合もあります。

例えば、梅雨の時期になると調子が悪くなる。台風が近づいてくると頭痛がする。このようにある条件付け(学習記憶)で症状が繰り返されるパターンがあります。このパターンはご本人が自覚している場合と自覚していない場合があります。最初は、「気のせいかな?」と思うのですが、毎回、その条件付けが再現されると、これは気のせいではなく確かにそのようにパターン化されていると確信します。しかし、通常の医療ではこのような場合、薬で症状を抑えるしかなく、当院に来院されて初めて症状につながる原因である誤作動記憶のパターンにアプローチできることが分かります。

複雑な原因が関係している慢性症状は、何が条件付け(記憶)されて症状を引き起こしているのか、自覚できないことがほとんどですが、当院で身体の反応を診る生体反応検査をすると、何が記憶されているのかすぐに分かります。長く放置された慢性症状ほど複雑化する傾向にあり、治療回数もそれなりに必要になります。しかしながら、回数を重ねるごとに、誤作動につながっている記憶が正常なパターンに上書され、消去法のように複数の誤作動がだんだんと消えていきます。

誤作動は主に脳と脊髄に記憶されており、当院では症状の原因となる『誤作動の記憶』を脳の三層構造に照らし合わせて検査していきます。脳の第一層目は、「脳幹脊髄系」、あるいは「反射系」と呼ばれており、この領域はメンタル面が関係しない「身体面だけの誤作動の記憶」が関係します。脳の第二層目は、「大脳辺縁系」と呼ばれており、この領域は感情や信念、価値観などの情動を司るメンタル系領域の記憶に関係しています。無意識の情動脳の領域です。脳の第三層目は、「大脳皮質系」と呼ばれる領域で、経験や様々な情報から得た理性的な知識によって条件付けされた理性脳の記憶に関係します。いわゆる「思い込み」によって生じる症状に関係する脳の領域になります。

症状に関係する脳の記憶は、私たちが普段ほとんど意識していない無意識的な内容ですが、当院の検査でその件に関連することを質問されると、ほとんどの患者さんがそのことを認識されます。症状に関係している誤作動の記憶を認識することができれば、パソコンやスマホを再起動するように誤作動を消去します。症状の程度や抱えている期間によって、誤作動の記憶の深さや数は人それぞれですが、治療回数を重ねるごとに誤作動は調整され、それに伴う症状もだんだんと改善されていきます。

誤作動を調整した後で大切なことは、何が症状の原因に関係していたかをしっかりと認識して記憶しておくことです。「慢性症状=記憶」です。脳の可塑性といって脳の神経回路は常に変化する機能を備えています。新たな学習と記憶の繰り返しで、新たな神経回路のネットワークが構築されます。施術によって原因パターンに気づいて学習し、記憶すれば神経回路が強化され変化が促されますが、記憶しなければ、元の症状を引き起こす神経回路に戻ってしまうわけです。

「全ての慢性症状=記憶」とは言い切れないにしても、多くの慢性症状には「記憶」が関係しているということを忘れないでください。「記憶」が慢性症状に深く関係しているということをもっと多くの人に知っていただけることで、たくさんの人々の健康レベルが向上すると思います。現代ではこのことを知らない方がほとんどです。慢性症状で悩んでいるご家族や知人の方がいましたら、症状の原因が「記憶」に関係しているかもしれないということをお伝えください。慢性症状から解放される可能性は十分にあると思います。

2018年3月30日金曜日

花粉症の改善 

花粉症の改善      201845FCCニュースレター

この時期になると、花粉症の話題があちらこちらで目につくようになります。当院でも花粉症の症状を訴える患者さんも増えていますが、その一方で、「今年は花粉症がいいみたいです・・・」と改善の報告をしてくださる患者さんもいます。この時期に鼻水や目のかゆみなどの症状が現れると、それをひっくるめて「花粉症」と呼ぶことが一般的に定着しているようです。しかしながら、当院で症状の原因を検査してみると、単に花粉だけではなく、PM2.5などの大気汚染物質や繊維類などにも条件付けされて、症状を引き起こしている方も少なくはありません。

花粉症の原因は患者さんによって様々です。花粉症を改善する上で、大切なのは「無意識」との関係性です。無意識的に条件付けされた感情や信念(思い込み)などが、アレルゲンと共に組み合わさって脳に記憶され、自動的に症状が引き起こされている場合もあります。花粉の時期と関係する3月や4月は、卒業、入学、あるいは転勤、転職などが多く、そのような環境の変化に伴って心も動きやすい傾向があります。人との出会いや別れ、あるいは喜びや悲しみなどで涙が関係する時期でもあるでしょう。

そのような感情が関係する際、涙と同時に鼻水が出てきます。今にも泣きそうな感情に加えて、花粉などのアレルゲンに刺激されるとさらに涙や鼻水が出やすくなります。もしも、そのような潜在的な悲しみの涙が花粉のアレルゲンと組み合わさって条件付けされて脳に記憶されると、花粉のアレルゲンによって刺激されることで、悲しくなくても悲しみ状態のスイッチが入り、涙や鼻水が出やすい症状が再現されるというわけです。

これは、長年の臨床経験に基づく独自の仮説ですが、全ての花粉症が悲しみの潜在感情に関係しているわけではありません。隠れた信念などの「心の枠組み」が関係している場合もありますし、単に花粉やほこりなどのアレルゲンが条件付けされている症例もあります。また、何年も花粉症状が継続していると、アレルギー症状を起こすのが当たり前かのように脳が学習してしまっている方も少なくはありません。それは、経験や情報によって意味づけされた結果による症状なので、その原因に対する治療が必要になります。

このような治療法はまだまだ知られていませんし、半信半疑の方も少なくはないと思いますが、治療法を理解していただいている方はほとんど治療効果が示されています。最近の風潮では、「治る」という情報は無く、「花粉を避けましょう」という情報ばかりが飛び交っており、あたかも誰もが花粉症になるかのような報道が目立ちます。外に出る際にはマスクするのが当たり前という人も少なくはないと思います。しかし、数年来花粉症に悩まされていた患者さんが、当院のアレルギー治療で改善され、「花粉症が治るということを知らなかったあの数年の花粉対策(マスクなど)は何だったのだろうか」ということも話されていました。

花粉症などのアレルギー症状は、人それぞれに原因が異なり、治り方もそれぞれですが、当院の治療で多くの方が改善しています。お悩みの方はぜひご相談ください。

2017年12月12日火曜日

「脳の疲れ」を取る大切なポイント

 ここ数年前から「マインドフルネス」というタイトルの書籍が日本でも増えてきました。マインドフルネスの定義は語る人によって多少異なりますが、「今この瞬間」の自分の体験に注意を向けて、現実をあるがままに受け入れることです。昔からある「瞑想」と似ていますが、マインドフルネスで特徴的なのは、宗教性を排除し誰にでもシンプルに実践できるようにしているところです。しかも、脳科学的に効果が実証されているところに注目が集まっています。

特に注目されているのは、マインドフルネスを習慣的に継続していれば、脳の働きのみならず、脳の構造そのものが大きく変わっていくということです。そのような脳の変化を「可塑性」といいますが、十数年前より、人間の脳は何歳になっても使い方次第で変化が生じるということが明らかになってきています。

「瞑想」と聞くと、多くの人は「無心になる」「雑念を取り払う」といったことが思い浮かぶのではないでしょうか?マインドフルネスというのは、「意識を無にする」「何も考えないようにする」のとは真逆のことになります。つまり、意識を無にするのではなく、最大限に意識を向けることで脳が休まるのです。脳の休め方にはコツがあります。

コツ1:今、ここに意識を向ける
「今、ここに意識を向ける」ということは、過去でもなく、未来でもなく、今そのものに意識を向けるということです。もしも、過去や未来に関する雑念が浮かんできた場合、その事実に「気づき」、「今の呼吸」に意識を戻します。
コツ2:いい悪いの判断はしない
もしも、過去や未来に関する雑念が浮かんできた場合、そこにいい悪いの判断は入れないで、ただ、その事実を認識して、ゆっくりと「今の呼吸」に意識を戻します。

脳科学の研究では、脳の疲れは「過去や未来」に関する雑念や妄想から生じてくることがわかっています。身体や心を休めるために、多くの人は仕事のストレスから解放されて、自宅でゆっくりと過ごした方が肉体的にも精神的にも健康的だと考えがちです。しかし、休んだはずなのに逆に疲れを感じたり、体調不良を起こしてしまったという経験はないでしょうか?それは、休んでいるつもりでも脳は過去のことを引きずったり、未来の雑念を考えて判断し、脳が疲れてしまうからです。

マインドフルネスの目的は過去や未来から生じるストレスから解放されることです。「今ここ」に意識を向けるということが大切で、こうでなければならないという細かな「ルール」に縛られることはありません。マインドフルネスには認知行動療法を応用して心の不調を改善する手法もあります。それは当院で行なっている心身条件反射療法のアプローチにとても似ています。そのポイントは以下の項目です。

1.       ストレスに関係する善し悪しの判断を保留する
2.       ストレスに関係する「信念」や「価値観」の由来を探る
3.       ストレスに関係する「異なる前提」を考える
4.       ストレスに関係する事実に慣れる
5.       ストレスを広い領域や長い時系列で考える


これらの脳を休息させる手法は、脳科学的にも最先端のアプローチとして紹介されています。脳の疲れは「過去や未来」に関する妄想や、善し悪しの「判断グセ」が多大な影響を及ぼしているという事実をしっかりと理解していただければ、さらに心と身体の健康が維持できると思います。

追記:12月17日 日曜日 午前10より健康教室にてさらに詳しく説明します。マインドフルネス瞑想法もご紹介する予定です。