2015年12月7日月曜日

治癒効果に欠かせない「信頼」と「コミットメント」

「慢性症状が改善する人と、改善しない人の違いは何か」ということを長年探求している治療家の立場で考えると、治療効果を引き出す前提条件として、「信頼」と「コミットメント」が最重要課題であるとつくづく感じます。これは、行動心理学を取り入れたコーチング手法を臨床に取り入れるようになってからさらに明確になってきました。

私たちが患者に施す治療、あるいは施術というものは、外科医や歯科医が行う治療とは大きく異なります。例えば、外科医が骨折の手術をする場合、何回も治療を繰り返すということはありません。1回、あるいは2回ほどの手術で完了する。治療が成功するかどうかは、外科医の技量が90%以上影響を及ぼすのではないでしょうか?

患者が外科医自身の「人間性」を信頼しているか、外科医が施す「治療法」を信頼しているか、あるいは、完治するまで治療を継続し続けるという患者の「コミットメント」がどれだけ高いかということはあまり関係しないでしょう。外科医が有資格者である以上、その技術技能を疑うことも少ないでしょうし、何度も手術を繰り返すわけでもありません。

外科医と患者との信頼関係や、患者の治療に対するコミットメントは、構造的な問題を修復する限り、あまり問題にはなりません。その場合の治療が成功するかどうかは、ほとんどドクターの専門の技術技能に委ねられるのです。

さて、患者自身が持つ自然治癒力を引き出すことを目的とする治療の場合の「信頼」と「コミットメント」の影響はどうでしょうか?構造的な修復を目的とした治療とは性質が異なります。自然治癒力を引き出すことを目的とする治療者と患者との関係において、それは重要課題であり、治療を成功させるためには必須条件になるでしょう。

目には見えない「自然治癒力」というものは、「無意識」の心との関係性が深く、深層心理に深く影響されます。例えば、2年以上も腰痛の慢性症状を抱えている患者さんの場合、一回目の治療で効果が実感できたので、治療計画通りに通院され、徐々に症状が改善されて完治する。これは、慢性症状改善の通常の道のりです。

その一方で、通常の道のりから外れる患者さんもいます。同じような症状で、継続すれば基本的には治る可能性のある慢性症状なのですが、そこにブレーキをかける4つの要因があります。

一つ目は、「患者と術者」との信頼関係
二つ目は、患者と術者が選択する「治療法」に対する信頼
三つめは、自分自身の「自然治癒力」に対する信頼
四つ目は、患者の治療継続に対する「コミットメント」

一つ目の患者と術者の信頼関係は、簡単に言えば、人と人との相性です。言葉では表すことができないけれどもお互いに、あるいはどちらか一方で、合う合わないなどの違和感がある場合です。

二つ目は、術者が施す治療法に対して、患者が期待している治療法と食い違っている場合、あるいは、治療法の意図や目的が理解しがたい場合などです。

三つ目は、患者自身は治すつもりで来院しているのですが、無意識的に自分の症状が改善されることが信じられない、すなわち自分の治癒力が信じられない場合です。この場合、過去の治らない記憶が潜在的に学習記憶されている場合や医学情報による制限された信念、あるいは治ること、健康になることで重い負担がかかったり、責任が生じたりすることを潜在的に避けている場合があります。

四つ目は、患者が症状を継続的に治そうとする覚悟(コミットメント)が本当にあるかどうかです。コミットメントがある場合、患者は、完治するまで粘り強く治療を継続されます。そこまでの時間とお金を費やしてまで、治そうと思わない場合もあります。コミットメントは言葉だけでは分からない傾向があります。

「藁をもすがる気持ちで・・・治したい!」という患者さんが、完治していないのに一回、あるいは数回の治療で来院されなくなるという場合もあれば、言葉少なく、あまり信頼されていないのかなと感じる患者さんや「なかなか治らない」と不満をいいつつも、継続的に治療を受けるなど、その人がどのように行動するのかを確認するまでは言葉だけでは「信頼」と「コミットメント」の質や程度は分からないものです。

一言に「信頼している」といってもその種類は程度、質など様々な関係性があります。言葉で信頼しているというのは簡単ですが、その信頼というものは、結果的には行動で表されるということだと思います。

患者に信頼される側の治療者自身も、どの程度、あるいはどのような性質で信頼関係を維持しようとしているのか、また、治療者として患者に貢献するために生涯を掛ける覚悟、コミットメントがあるのか、自分自身に問いかけることは大切なことだと思います。

2015年12月1日火曜日

「身体に聞く検査法」とは?「無意識への問診」


当院で治療を受けていただいた方はすでにご存じの方も多いかと思いますが、調整を行うか否かの判断は、「通常医療」とは異なる「身体に聞く検査法」に基づいています。そして、その検査結果に基づいて「身体の働き」や「生体エネルギー」の調整を行っています。

「身体に聞く検査法」は、目で確認できるような西洋医学的検査だけしか信じられないという方にとっては「不可思議な検査法」になるかもしれません。この「身体に聞く検査法」には、当院で行っている「下肢長比較」と「筋肉テスト」による検査法があります。これは、米国のカイロプラクティックという療法から始まりました。

下肢長比較による検査法は1920年代、筋肉テストは1940年代から体系化され、多くのカイロプラクティックドクターによって治療の判断基準として使われてきました。このような検査法は、信頼性のある科学的論文で、一部客観性が証明されていますが、心‐脳‐身体の関係性は複雑で、研究のための「客観性」を再現するのはとても困難とされています。

しかしながら、このような検査法を信じていただける患者さんには、的確で再現性のある検査ができますので、その検査結果による治療効果は高くなります。逆にいうと、このような検査法が信じられない患者さんの場合は、検査法が不安定になり、それに伴って治療効果がうまく引き出せないこともあります。

この「身体に聞く検査法」のすごいところは、無意識の誤作動記憶にアクセスできるところです。私たちの心‐脳‐身体はほとんど無意識の世界で活動しています。内臓系での消化やホルモン系の代謝、あるいは、筋肉の緊張やリラックスもほとんど無意識的(約95%)にコントロールされています。

この無意識のコントロール系が誤作動を起こして、その誤作動が脳や身体に記憶化されると、様々な慢性症状が生じてしまいます。この慢性症状を引き起こす誤作動の記憶を検査するためには、無意識の心‐脳‐身体に聞くのが早いのです。「意識の心」ではなく「無意識の心」へのアプローチがポイントです。

「意識への問診」も大切ですが、身体に聞く「無意識への問診」の方が数段価値が高く、信頼できると考えており、それゆえに、ほとんどの検査法は「身体に聞く検査法」に委ねられています。このような検査法は非科学的だと揶揄されがちですが、信頼関係が保てる限り、脳は高性能の検査結果を出してくれるといつも感じています。これからも「身体に聞く検査法」に磨きをかけて、皆様の健康にお役に立つことができればと願っています。

2015年11月18日水曜日

中級2研究会を終えて・・・

先日、PCRT研究会では、システム思考のPCRTなどの総論から始まり患者教育のポイント、アレルギー治療、五感チャートの応用、信念や価値観に関する説明の仕方や上級の意味記憶とエピソード記憶に関連する誤作動の調整法などを学びました。

今年の基礎1から連続して参加され、臨床現場で活用されている先生方は、段階を踏みながら明らかに上達されている様子が伺えました。生体反応検査法も着実に安定してきており、PCRTの本質的な概念もしっかりと把握していただいているように感じました。

症例報告では、受講されている先生方からは、慢性の肩こりが「金属アレルギー」に関係していたという症例報告と、「2か月間続いている胃痛の症状改善」の症例報告をプレゼンテーションしていただきました。2例とも今回の講義内容と関係した内容で、興味深い症例報告でした。

症状改善が有効的だった要因の一つに、施術前のオリエンテーションを強調されていたのが印象的でした。患者さんにPCRT検査法の意図や意味を上手に説明され、患者さんとのラポールをしっかりと築きながら慢性症状の改善に努められた様子がよく分かりました。

PCRTは通常の医療はもちろん、通常の代替医療とも異なる治療法ですので、患者さんにPCRTの施術内容を理解していただくことは、治療効果を引き出すための必須条件になります。

今回の研究会でも、患者教育としてのPCRTで治療効果を引き出すための5つのポイントの説明の仕方をご紹介しました。

1. 生体反応検査法
2. 心身相関
3. 意識と無意識
4. 誤作動記憶
5. 脳(無意識)の言語反応の検査

この5つのポイントを患者さんに理解してもらうと、施術がスムーズに進行し、多くの患者さんが積極的に治療に関わってくれます。心理学や心身相関に興味のある患者さんは喜んで治療を受けてもらえることが多いのですが、そのような患者さんばかりではないので、今後も患者教育に関して研究を深めて工夫していきたいと考えています。

2015年11月6日金曜日

「記憶と情動の脳科学」を読んで

PCRT研究会を開催する前から、慢性症状には「メンタル系」との関わりが非常に強いということと、慢性症状に関係する生体のバランス異常は、構造面ではなく生体エネルギー面に目を向けなくてはならないということが分かっていました。

其の後、心身相関と生体エネルギーの知識を取り入れながら、その視点で臨床研究を積み重ねていきました。すると、「記憶」という脳科学の分野にも密接に関係があることが分かり、脳科学の分野にも目を向けて知識の領域を広げていきました。

脳科学分野の本にはかなり目を向けてきたつもりでしたが、最近、まだ読んでいない脳科学系の本に偶然出会いました。それは、PCRTに密接に関係する『記憶と情動の脳科学』「忘れにくい記憶」の作られ方という題の本で、内容もとても興味深く、PCRTで臨床研究してきたことを裏付けてくれるような内容でもありました。

慢性症状の原因が、「誤作動記憶」にあるということに触れてはいませんが、「記憶」と「情動」(感情)が密接に関係しており、長期記憶には「情動」が深くかかわっているということを分かりやすく説明しています。PCRTの視点でいえば、慢性症状を引き起こしている脳の誤作動が、長期に記憶されているから症状が長引いているとう説明の裏付けとなります。

この本では「情動」という一般的には聞き慣れない言葉と使っています。英語では、情動はEmotion、感情はFeelingsです。PCRTでは、一般の人にも理解しやすいように、EmotionもFeelingsもまとめて「感情」という用語を使っています。とくにPCRTで扱う感情は、潜在的、あるいは無意識的な感情であるということが、「ミソ」です。

この本で興味深いところは、長期の記憶には、「情動」が深く関係しているというところのほかに、「捏造される記憶」、『「思い出すこと」=「創り出すこと」』、「蓄積してきた記憶が組み合わされる」『「予測」は過去の記憶があってこそ』などで、PCRTの理論背景と通じることが多く見受けられます。

著者のジェームズ・マッガウ氏は、「学習」と「記憶」の分野で研究を継続しているアメリカの神経性物学者で、半世紀にわたって記憶に関する神経生物学的プロセスを研究してきました。このようなPCRTと密接に関連する著書に出会えるということは、臨床研究を積み重ねている臨床家にとっては多大な喜びです。

パブロフから始まった「古典的条件付づけ(条件反射)、「道具的条件付け」「学習」、「行動」、「習慣」、そして「記憶」に関するこのような研究成果には、「慢性症状」を改善させるヒントがたくさん含まれていると私は考えています。

今後も、このような研究者の著書に遭遇できるようにアンテナを張りながら、臨床と勉強を継続していきたいと思います。

2015年11月3日火曜日

「部分」と「全体」との調和

先日は、偶然にも同じような原因パターンを抱えた患者さんお二人が来院された。主な症状は関節痛。原因となる本質な無意識的な思考パターン、すなわち「誤作動記憶」の性質が同じだった。

症状の原因から結果の大まかな流れをまとめると、無意識的な思考パターン⇒神経系への誤作動記憶⇒筋肉・関節の機能障害⇒症状

一人目の患者さんは、股関節と腰の痛みを訴えて来院。趣味でダンスをされている患者さん。以前はラテンを熱心に練習されていたが、最近になってモダンバレエを練習されているとのこと。

「練習の際にはどこを意識していますか?」と尋ねてみると、背筋を意識されているとのこと。PCRTの検査をしてみると、神経系に誤作動があることを示す陽性反応が示される。

今度は、「ご自分が理想となる全体的なイメージはできますか?」と尋ねると、最初は「???、あ~プロの人が踊っているイメージならできます・・」

「では、ご自分がプロの人のように踊っているかのようなイメージをしてみましょうか」

PCRTの検査をしてみると、誤作動反応は示されない。

「部分だけ意識し過ぎると、パフォーマンスが悪くなるので、全体的な理想のイメージをされたほうがいいですね」

二人目の患者さんは、肘関節の痛みを訴えて来院。高校の水泳部に所属しており、最近、本で腕の使い方や腕の働きに関係する筋肉の使い方の情報を独学で学んだとのこと。

「泳ぐときはどこを意識していますか?」と尋ねると、水をかく際の腕の使い方だという。

そのイメージで、PCRTの検査をしてみると誤作動反応が示される。

「部分的な技術ではなく、理想的な泳ぎになる全体的なパフォーマンスを意識して泳ぐイメージではどうですか」

そのイメージで、PCRTの検査をしてみると誤作動反応が示されない。

ということは、運動の種目は異なっても、共通する点は、部分的な技術改善を試みて練習すると、かえってパフォーマンスも偏り、神経や筋肉の働きが不調和になって、関節痛や筋肉痛などの症状を生じやすくなるということになる。

これは多くのスポーツ障害に共通する原因の一つである。パフォーマンスを向上させるために、指導者や教本など様々な技術論を指導されたり、学んだりすることで、いつの間にか、意識が身体の「部分」ばかりに偏って、「全体」との調和が保てなくなる。そして、かえってパフォーマンスが悪くなったり、故障しやすくなったりする事例は少なくはないようだ。

スポーツの技術を向上させるための部分的な指導を受けることも大切だが、「部分」と「全体」との調和は必須条件。むしろ、理想の全体的なパフォーマンスを先にイメージして、後から身体の部分がそのイメージについてくるという考え方の方が、自然にバランスが取れて技術も向上できていくようだ。

これは、人生におけるパフォーマンスという大きなゴールにおいても、同じようなことがいえるのではなかろうか?

例えば、人生において、仕事、家族、お金、家や車、健康、人間関係など様々な課題がある。どれも大切な課題であるが、もしも、お金や物質面だけの豊かさばかりに目を向け、健康面や人間関係をおろそかにしてしまうと、人生全体のバランスはどうなるだろうか?

大切なのは、自分にとっての人生をどのように過ごしていきたいのかという「全体」と、それを可能にさせる「部分」との調和ということになるだろう。「部分」と「全体」との調和は、スポーツに限らず、人生全体にも影響を及ぼすということを、常に意識しておく必要があるようだ。

2015年10月28日水曜日

治療効果を引き出す「エネルギー医学の目」「心身相関医療の目」「脳科学の目」

最近、「患者教育手法」が治療効果を引き出すうえで必修条件になるということをつくづく感じる。特に心身条件反射療法(PCRT)のように、通常医療とは異なる考え方で治療を提供する場合、多くの患者さんが一般常識的な「西洋医学の目」で診てもらうことを期待しており、最初は不思議な治療と思われる傾向が強い。また、施術者も「西洋医学の目」で診る知識や検査技術を訓練することで、患者さんからの信頼を得ようとする傾向があるだろう。それも大切な信頼関係になるかもしれない。

その一方で、西洋医学的に基づく一般常識的な知識が、自然治癒力を妨げていることも少なくはない。例えば、身体の構造面や機能面ばかりに目を向けて、「心と身体の関係性」には目を向けようとしない。あるいは身体の不調は、身体の構造や機能異常だけにあるという思い込みが強い場合、その「信念体系」は自然治癒力の妨げになることがある。

例えば、先日来院された中学生女子の場合、病院で腰椎分離症と診断を受け、3か月間ほどコルセットを着用していたそうだ。腰痛は約一年半前から、肩関節の痛みは5か月前からあり、頻繁に痛みを繰り返しているとのこと。週に5日バトミントンの練習を行っており、特定の動きができなくなっているらしい。

初回の施術では、肉体面の機能異常障害を脊柱中心にAMで調整した後、さらにメンタル面との関係性による誤作動記憶の調整を行った。特に「恐れ」に関するキーワードは、肉体面に影響を及ぼしていた様子。症状が改善されないことによって、バトミントンの試合に負け、さらには練習が楽しくなくなり、最終的にはバトミントンを辞めることになるのではないかという未来へのネガティブな空想が関係していた。

2回目、8日後の来院日、初診時の症状はかなり改善されていたが、腰に違和感があるとのこと。PCRTの検査をしてみると、「意味記憶」の誤作動が関係していた。脊椎分離症との診断を受け、無意識的に動きを制限していたようだ。「意味記憶」とはどのような影響を及ぼすのかという本質を分かりやすく説明して調整を行った。

その後、二回ほど来院され、腰痛や関節痛はほとんど良好とのことで喜んでいただいている。もしも、このような「意味記憶」による誤作動記憶の調整をしていなければ、恐らく腰痛の慢性化は継続していただろう。施術によって肉体面のバランスをしっかりと調整しても、無意識の脳は、繰り返し慢性症状を引き起こさせていただろう。

このように、慢性症状を本質的に改善させるためには「意味記憶」や「エピソード記憶」に関係する誤作動記憶の調整はとてもパワフルだと感じる。ただし、このような治療法はほとんど一般には知られていないので、「西洋医学の目」で診てもらうことを期待している患者さんにはあまり効果が引き出されないかもしれない。

PCRTの「誤作動記憶を調整する」という治療法の意図や理屈をある程度納得していただけているかどうかは、治療効果を引き出すための前提条件になるだろう。PCRTの治療法の説明、いわゆる「患者教育」は、患者さんとの信頼関係を築いて治療効果を引き出すためにはとても大切な要因になるだろう。PCRTを希望される患者さんには「エネルギー医学の目」「心身相関医療の目」「脳科学の目」で診ているということをしっかりと理解していただけるように努めたい。

次回のPCRT研究会では、PCRTの患者教育手法や「意味記憶」や「エピソード記憶」の上級編もご紹介させていただく。

2015年10月23日金曜日

2015年度PCRT中級2

11月15日と16日にPCRT中級2を開催します。
今回は以下の内容を予定しています。


  • アレルギー治療の基本ステップ
  • 花粉症・慢性鼻炎の治療
  • 食物アレルギーの治療
  • 皮膚症状の治療
  • サプリ・化粧品・薬剤など適合検査法と調整
  • 五感チャートの応用
  • 分野・立場・時系列チャートの応用
  • 潜在感情・価値観・信念について
  • 信念と価値観に関わるワーク
  • 信念チャート①&②の質問の仕方
  • 価値観チャートの質問の仕方
  • 意味記憶とエピソード記憶の上級治療


今年から新しいPCRTプロコルチャートに沿った手順をご紹介しています。以前よりもかなりマニュアル化され、PCRTが導入しやすくなりました。また、アレルギー治療の検査でもアレルゲンチャートを使うことで、よりスピーディーに、的確に検査を進めることができるようになりました。

アレルギー症状を本質的に改善させるためには、特に潜在感情や信念、価値観などの大脳辺縁系との組み合わせがとても重要になります。次回の研究会ではそのあたりのプロトコルを詳しくご紹介させていただく予定です。

PCRT治療法が進化するにつれて、治療者の検査領域の幅が広がり、信念と価値観に関係するチャートを使う頻度も多くなる傾向があります。潜在的な信念に関わる誤作動記憶の治療はパワフルです。パワフルであるがゆえに、信念と価値観のチャートの使い方を誤ると患者さんに誤解を招いて信頼関係に影響を及ぼすこともあるかもしれません。

このような潜在意識に関わる誤作動記憶の治療を行うためには適切なトレーニングが必要です。奥深い治療法をマスターされたい先生方には喜んでいただけるトレーニングになると思います。

先生方のご参加を楽しみにしております。

2015年10月21日水曜日

今年最後のAMセミナーを終えて


先週末、東京都内でAMセミナーを開催した。多くの臨床家に参加していただき、活気にあふれた二日間だった。

今回は基礎編、中級編、上級編と3クラスが同時進行したセミナーだった。AMセミナーでは、毎回、初心者、中級レベル、上級レベルと経験の浅い先生から経験豊富な先生方が混同して参加されている。経験豊富な先生でも、初心にかえる、基礎編を謙虚に学び、偏った我流がないかどうかを確かめて修正点を学ぶ。

常に新しい情報を期待している先生方もいるだろう。もしかすると、そこには、すでに『知っている』、『できている』という慢心が潜んでいるかもしれない。臨床現場では、多くの先生方が一人で自分のペースで施術を行い、だれも評価してくれない。だから何ができていて、何ができていないのか、分からないことも多いのではないだろうか。

AMが熟練されると、5分ぐらいで基本的な施術は完了することが多い。しかしながら、一人の患者さんに20~30分も掛けて施術を行うことが当たり前になっている先生も少なくはない様だ。施術時間が短ければよいというものではないが、本質的に必要な部位だけ調整すれば、時間は短縮するだろう。

もしも、AMの施術に20分以上も費やしているAM治療者であれば、改善点はたくさんあるはずだ。新しい情報を取り入れることも大切だが、もっと基本を重視して、無駄な矯正や無駄な動きがないか自分自身を振り返り、本質的なAMのスキルに磨きをかけたほうが賢明かもしれない。

施術のテクニックを学ぶには、セミナーに参加する以外に、教科書やDVDなどから学ぶこともできる。それらも必要な学びの手段であることは言うまでもない。だが、さらに大事なことは、『体験すること』『感じとること』ではないかと、つくづく感じる。

体験して感じるから、頭で学んだことが腑に落ちて、さらに盲点が見えてくることもある。頭と身体の両方を使いながら学びを深めなければ、実践で使える血肉とならないだろう。新しい情報を得ると脳は喜ぶが、そのような情報に振り回されて、地に足がつかない状態も危険がはらんでいるかもしれない。

今後も本質的な施術を目指す治療者の教育に関わり、多くの患者さんに貢献できればと願う。

2015年10月17日土曜日

イップスを予防するための治療

先日、送球イップスで通院していた高校一年生の男子生徒が約1か月半ぶりの来院。その後は、イップスの症状も改善されて調子は良好とのこと。2年ほど前から生じていたイップスが、4回の施術でほぼ改善されていた。

今回は、数日前の試合で、初回のセカンドからファーストへの送球でボールが引っかかり、送球がそれたとのこと。その後、3回までは違和感があり、それ以降、問題がなかったという。

PCRTの検査を行ってみると、最初にひっかけた際の送球イメージでは反応が示されなかったが、その後の送球イメージでは陽性反応が示された。感情チャートで検査をしてみると、イップスが再発するのではないかという不安と先輩に申し訳ないという感情が関係していた。

最初のボールを引っ掛けた送球では反応が示されなかったが、念のために、その送球をする前の状況を尋ね、場面をイメージしてもらうと陽性反応が示された。初回のセカンドの守備で、ツーアウトの場面、感情チャートで潜在意識に関係するキーワードを調べてみると、意欲的に頑張ろうという潜在感情が関係していた。

「頑張ろう」という意欲は、肯定的でその意識自体には問題はないが、身体を緊張させる誤作動記憶を生じさせる人が多い、特にこの傾向はスポーツ選手に良くあるパターンだ。その場合は「試合だからといって張り切ると身体が緊張しやすくなるので、いつもの練習通り(平常心)を意識してみてはどうか」ということを提案する。

患者さんによるとバッティングでも調子が悪くなっているとのことで、尋ねてみると練習でのバッティングには問題がないという。検査をしてみると、同じような試合での意欲に関係する誤作動記憶が絡んでいた。この誤作動記憶も施術によって正常に切り替えた。

高校一年生ではあるが、PCRTによるイップスの治療を良く理解してくれている。今回、調子はとてもよかったらしいが、送球やバッティングでの違和感を感じたため放置せずにすぐに来院してくれた。もしも、このような目には見えない誤作動記憶を放置してしまうと、恐らく脳のプログラムは自動的に症状を引き起こすことが多いだろう。

これからもイップスを予防するために、自分の身体と心の状態を把握して、必要に応じて利用していただければと願う。

2015年10月14日水曜日

アレルギー症状の改善

【はじめに】
食物アレルギーや花粉症など症状を抱えている患者さんが来院。アレルギーが原因で、頭痛、不眠、胃腸障害などを生じる。食物アレルギーは20年ほど前からあったが、特に4年前ぐらいからひどくなり、食べるものにはかなり制限がでているとのこと。ほとんど限られたものしか食べられない様子で日常生活に様々な支障を期待しているようだった。病院でのアレルギー検査でも様々は反応がでていたとのこと。信頼関係のある当院の患者さんを通じてご紹介していただいた。

【初診時】
アレルギー検査は、患者さんの希望とPCRTプロトコルに照らし合わせながら、食物に関係する検査から始めた。PCRTの検査にて、卵、乳製品、サバ、アジ、イワシ、カニ、エビなどに加えて、人間関係に関係する複数の信念が関係していたことが判明した。PCRTの施術にて陽性反応を陰性化させる。

【二回目】
約一か月後、患者さんの希望により、遠方からの来院でもあることから2枠をご予約いただき通常施術よりも時間を掛けて施術を行う。今回は、以前から摂取している健康食品の検査も合わせて行う。6種類ほどの健康食品の中で、3種類は陽性反応を示し、PCRTの施術にて2種類は陰性化したが、一種類は陰性化されなかった。
前回行ったサバ、アジ、イワシ、カニ、エビは陰性化。アレルギー症状が長期化している患者さんの多くで、大脳皮質系の誤作動記憶、すなわち意味記憶やエピソード記憶が関係している場合が多い。本症例の患者さんも、経験に基づくいくつかの意味記憶が関係していたので、信念に関係する施術と合わせて行う。

【3回目】
約一か月後に来院。2枠での施術。前回と同様に、以前から摂取している健康食品を検査。一種類の健康食品以外は、すべて陰性反応を示す。化粧品も検査し、陽性反応を切り替える。果物全体、小麦、ピーナッツ、卵、青魚なども意味記憶の誤作動で反応が示されたので、潜在感情や信念と合わせて調整を行う。

【4回目】
約一か月後に来院。2枠での施術。前回と同様に、以前から摂取している健康食品や化粧品を検査。一種類の健康食品だけが数回施術を試みても合わないので、必要なければ控えたほうがよいとのアドバイスを行う。以前は食べられなかった卵も食べられるようになり、今まで制限してきた食品もかなり食べられるようになったと喜ばれていた。香辛料なども食べられるようになりたいとのことで、香辛料を検査。カレー粉と唐辛子に陽性反応。このように長期にわたってアレルギー症状を抱えていると、アレルギー体質が当たり前の自分になってしまうことが多い。これは「エピソード記憶」として脳に定着しており、適切な治療をしなければ、治ること自体に脳が抵抗を示すことになる。

【考察】
まだ、治療途中ではあるが、アレルギー治療を施すごとに、症状を引き起こす誤作動記憶の反応が消去され、患者さん自身も本来の食生活を取り戻している。患者さんの年齢は60代、20年ほど前にアレルギー症状を発症。それ以前はそのような症状には悩まされなかったことから考えて、後天的にアレルギーを生じさせるように学習記憶した結果によってアレルギー体質になったことが推測できる。言い換えると、再学習すれば、元の体質に戻すことが可能であるとうこと。そのようなアレルギー症状に関する捉え方やPCRTによるアレルギー治療のポイントを説明させていただいた。本来は「治る力」を備えていることと、治療法に関する理解を得られたことが、良好な結果を生み出してくれたと感じる。

アレルギー症状を改善するためには、様々なアレルゲンを身体に合わせていくことが必要である。単一のアレルゲン情報だけで症状が改善される場合もあるが、そのアレルギー情報と一緒に条件付けされた背後にある潜在感情、信念、意味記憶やエピソード記憶に関連する治療と組み合わせて治療をすることが大切である。PCRTではそのような誤作動記憶を特定して本質的な施術を行い、様々なアレルギー症状の改善に努めている。

2015年10月9日金曜日

『成長』は自分への「問いかけ」から始まる

先日のコーチング・セッションで、たまたまでてきた大切な「気づき」がある。小学校の教師であるクライアントさんは、チームコーチングを使った学級経営を行っている。担当のクラスの小学生に対して価値観を問うアンケートを試みている。

そのアンケートの問いが、自らに問いかける内容が多かったためなのか、最初に比べるとクラスが、全体的にとてもよい風土になってきたとのこと。クラスを受け持ってからチームコーチングを取り入れ、価値観を問うアンケート以外にも、ゴールや人間関係に関するアンケートなども行ってきた影響もあるだろう。

アンケートで自らのことを問うことで、知らず知らずのうちに「他者批判」ではなく、「自己反省」をする子供が増えてきたのではないかとのこと。そして、セッションでは、「問う」ということがいかに大切かという話題になった。

とても大切なことなので、改めて整理してシェアさせていただく。「問いかける」ということは「成長」のために欠かせない。能力的な成長には他者への問いかけが必要であるが、人間的な自己成長には特に自らに「問う」ということ大切になる。つまり、「問いかけること」は成長の源になる。逆にいえば、「問いかけること」を辞めてしまうと、そこから成長が止まることになるだろう。

「問う」ということを内向き」と「外向き」に分けてみよう。

  • 「内向きの問い」とは自分自身の思考、言動、行動、習慣などについて問うということ。
  • 「外向きの問い」とは相手の言動や行動、あるいは会社、組織、社会などついて問うということ。
  • 内向きの問いをすることで、「自責、自己反省」という傾向が生じるだろう。
  • 外向きの問いをすることで、「他責、他者批判」という傾向が生じるだろう。
教師は、子供の能力的な成長を支援する一方で、人間的な成長も重視している。人間的な成長が伴わなければ、学級経営もうまくいかなくなり、能力教育にもマイナスの影響が出てくるということを経験的にも学んでいるとのこと。

受け持った当初のクラスと比べると、かなり雰囲気が良くなっているとのこと。「他責、他者批判」の傾向より、「自責、自己反省」の傾向の方がクラスの風土が良くなることは明らかだろう。

この自分自身への「問い」は、生徒に限らず、教師に対しても大切なことであり、教育現場に関わらず、あらゆる分野で「問いかける」の大切さを忘れないようにしなければならないだろう。

『昨日から学び、今日を懸命に生き、明日への希望を持て。
大切なことは問うことを辞めないことだ。』
アインシュタイン

2015年9月28日月曜日

4年間継続していた身体の至る所が「つる」症状から解放される!

 【はじめに】

年齢54歳、性別男性、2年前に腰部脊柱管狭窄症の手術を行う。4年ほど前に、船上での過酷な仕事に就いて以来、身体の至る所が「つる」症状に毎日のように悩まされているとのこと。

一般的には「足がつる」という「こむら返り」の症状を訴える患者さんは多いが、両足に加えて、肩から腕、背中などもつるというケースは珍しい。「足がつる」原因は、一般的には筋肉疲労、運動不足、カリウムやナトリウムなどの電解質不足などによると云われる。

また、一過性ではなく、頻繁に繰り返し起こる場合には椎間板ヘルニア、糖尿病、動脈硬化、甲状腺異常などの疾病、降圧剤、抗高脂血症剤、ホルモン剤などによる副作用などが原因とされる。

病院でも検査を受けており、身体全体が「つる」症状につながるような異常は見当たらず、症状緩和のために当帰芍薬散という漢方薬を処方される。ひどい時には、多めにその漢方薬を服用するが、根本的な改善には至らないとのこと。

痛みで我慢できない時には、青あざができるほど筋肉を叩くようにほぐしているとのこと。当帰芍薬散を毎日服用し、マッサージも定期的に受けてはいるが改善が見られないとのこと。

さて、このような慢性症状を抱えている患者さんをどのように見立てて、どのようにアプローチするのがベストなのか?足がつるという現象は、筋肉に異常収縮が生じる現象で、自分の意識では、筋肉を緩めることはできない。

器質的な病気がないとすれば、筋肉の異常収縮を生じさせるように学習記憶された脳の誤作動によると、PCRTの治療者は考えるだろう。筋肉をほぐしたり、神経系の調整を目的とした反射系の施術でも効果はあるだろうが、慢性的に繰り返すということは、もっと上位の脳の学習記憶が関係していると考えるのが妥当だろう。

【経過】

この症状が発症した経過から考えても、単に神経系、並びに関節系や筋肉系だけの問題ではないことが伺える。PCRTの検査を行ってみると、関節系の誤作動反応よりも筋肉の抑制系の反応、すなわち筋肉調整を行っている神経系の抑制系異常が示された。分かりやすくいうと、力がうまく抜けない異常反応が両上肢、両下肢に示された。

初回の治療からAM+PCRTの施術を併用する。潜在感情や信念に関係する誤作動記憶の調整も行う。2回目の施術もAM+PCRTで潜在感情と信念に関係する誤作動の調整を行う。3回目の施術では、患者さんの希望で2枠の予約を取っていただき、施術時間は通常の2倍の20分間で治療を行った。

その分、奥深い誤作動の調整ができたようだ。4回目も2枠治療で、身体がつる症状はかなり軽減、以前からあった右坐骨部の症状を訴えられたので、その部位の治療を行った。

5回目の2枠治療では、かなり症状が改善されたとのこと。6回目(一枠治療)ではほとんど症状が改善されたとの報告をいただいた。4年間抱えていた症状が改善されてから、約3週間継続しているので、患者さん自身もかなり自分の身体に自信が持てた様子が伺えた。

【考察】

この患者さんの治療経過を振り返ると、自分の治癒力を制限していた、「意味記憶」や「エピソード記憶」の調整を行ったことが、改善の転機になったようだ。もしも、この大脳皮質系領域の調整を行わなければ、何度も症状をぶり返すことになっていただろう。

このような自分の治癒力を制限する信念(思考パターン)の検査や施術法を修得しているPCRTの治療者はまだまだ少数ではあるが、このような慢性症状にはとてもパワフルだと感じる。慢性症状の多くは、このように知らず知らずに学習された脳の「誤作動記憶」によるものであるということを多くの人に知ってほしいと願う。

2015年9月24日木曜日

「治る力」それは「目には見えない力」です!

「あなたの腰痛の常識は、いまや非常識!」というフレーズで、NHKの「ためしてガッテン」で紹介されていた腰痛に関係するクイズです。

ℚ1:ギックリ腰は痛みが取れるまで安静にする
ℚ2:ヘルニアがあるので腰痛とは一生の付き合いだ
ℚ3:腰が痛い時は常にコルセットをした方が良い
ℚ4:腰痛はすべて腰の異常(構造異常)が原因で起こる

この文章はすべて「誤り×」です。

これは日本整形外科学会がまとめた「腰痛診療ガイドライン2012」に基づいて作成された問題です。恐らく多くの人が不正解だったのではないでしょうか?一般の人に限らず、多くの医療者でさえもこの4つ問題の回答に首をかしげる人がいまだに多いと思います。それ故に、昔からの腰痛の常識は、いまや非常識といわれているのです。

科学的なデータ(JAMA268:760-765,1992)によると約85%の腰痛は医学的(構造学的)には原因不明です。つまり、ほとんどの腰痛は骨や軟骨など構造異常が原因ではないということが世界的な研究で証明されているのです。このことは20数年前より専門家の間で知られ、ここ数年の間に、日本でも一般の新聞や雑誌などでも多く取り上げられるようになっています。

先日、数人の患者さんに「先生が以前から言われていたことが、テレビでも紹介されていましたよ・・・」「腰痛の原因は腰ではなく脳にあるとか・・・」と教えていただきました。私流にいうと脳の「学習記憶」、すなわち「誤作動記憶」に原因があるということ。後で調べてみると、NHKスペシャル「腰痛・治療革命~見えてきた痛みのメカニズム~」というタイトルの番組でした。番組では3か月以上長引く腰痛を対象にしており、腰痛に関する最新の研究による知見が紹介されていました。

その番組で強調している治療革命の大切なポイントは、今まで常識とされていた腰痛の構造異常、すなわち、骨や軟骨などの変形があっても、それは直接的な腰痛の原因ではないということです。しかしながら、医療従事者も含めまだまだ多くの人達が、「腰痛の原因は構造異常にある」と思い込んでいるのではないのでしょうか。なぜ、いまだにそのような誤った常識が変えられないのでしょうか?

それは、目に見えるモノをだけを異常としてきた現代医学が基本とする科学至上主義の慣習にあるかもしれません。『目に見えるモノだけを基準にして、目に見えないものは切り捨てる』そのような医療が主流になっている限りは、「腰の構造異常がないのになぜ腰が痛いのか?それは不思議だ・・・」ということになるのではないでしょうか?

私たちの身体は、ほとんど目には見えないモノでコントロールされているのです。特に心の動きは目には見えませんが、心と身体は密接に関係し合っています。そのような目には見えないモノと肉体との関係性を診ることは、健康を保つうえでとても大切なことだと私たちは考えています。

目に見えるモノだけを基準にする医学的常識にとらわれずに、目には目みえないモノを感じとることも大切しながら健康を維持していきましょう。本当の「治る力」は、目に見えるモノの力ではなく、目には見えないモノによる力であるということをしっかりと認識するこが、心と身体を豊かにするうえでとても大切なことだと思います。

2015年9月18日金曜日

ライフコンパス創業17年の誕生日 9月18日

本日、9月18日は弊社ライフコンパス創業17年の誕生日です。ファミリーカイロは開業して21年目になります。今日まで本当に多くの人に支えられて成長させていただきました。また、今日はスタッフの計らいで、お祝いの花束とケーキをいただきました。ありがとうございます。これからも、多くの人に喜んでいいただける治療院、会社を目指して、コツコツと歩んでいきたいと思います。

今から120年前の1895年9月18日は、私の母校があるアイオワ州ダベンポートの治療院でカイロプラクティックが誕生した日でもあります。つまり、今日は、カイロプラクティック発祥120周年の記念日でもあります。私にとってカイロプラクティックは、職業のみならず、人生にとってもかけがえのないモノを与えてくれました。今後もカイロプラクティックに感謝しながら、多くの患者さんに喜んでいただければと願っています。


2015年9月11日金曜日

患者に合わせたベストなアプローチ




自然治癒力を妨げる原因は様々です。PCRTではそれをEB(エネルギーブロック)=誤作動記憶と定め、その原因を突き止め解放させる治療を行います。

症状が慢性であればあるほど、脳に記憶されている誤作動記憶のEBは複数存在する傾向があります。そして、慢性症状の多くは、その大元にあるEBを特定できればできるほど早期に改善が促されます。

その原因にも「メジャー」と「マイナー」という捉え方があり、PCRTでは症状の原因となる大元のEBを「メジャー」、それに関連する枝葉のEBを「マイナー」と定義しています。

このメジャーとマイナーのEBは検査を行う術者と患者で多様に変化します。患者が同じでも施術を行う術者が変われば、そのメジャーのEBは変化し、一つの症状にいくつかのメジャーが存在し、一つのメジャーが開放されると、別のメジャーが浮かび上がってくることも珍しくはありません。

理論的には深いメジャーが引き出されるほど、施術効果が引き出されるということになりますが、患者がそのような本質的な施術を求めていない場合は、治療効果が引き出されにくくなります。

まずは、患者が何を求めているのか、どのような施術を求めているかを見極めることが大切になります。施術が経験豊富な熟練者であったとしても、患者自身が心から本質的な施術を求めなければ、治療効果が得られません。

本質的な治療法だからといって、信頼関係がしっかりと構築されていない段階で、その治療を提供しても逆効果になりうることもあります。特に患者は治療者からの提案は断りにくい傾向がありますので、術者は、患者の建前に惑わされないように注意し慎重に判断しなければなりません。

PCRTは反射系、大脳辺縁系、大脳皮質系に対して幅広い本質的な治療を提供することが可能です。患者が肉体だけの刺激を受ける反射系の施術を望んでいるのであれば、その治療法が患者とってはベストな治療法になるはずです。もしも、幅広い技量のPCRT熟練者が、その患者に大脳辺縁系や大脳皮質系の治療を押し付けると、それは過剰施術になりかねません。

もしも、患者が反射系の施術だけでは症状が改善されないと感じ始め、大脳辺縁系領域や大脳皮質系にまで及んだ本質的な施術を心から望んだ場合は大きな治療効果をもたらすはずです。もちろん、その場合は術者の技量が伴わないと治療不足となり治療効果が引き出されません。

時代の流れとともに、患者のニーズも多様化しています。単に反射系を主にしたハウツー的な施術では患者のニーズに答えられない時代になりつつあります。術者は幅広く自然療法の本質とは何かを問いながら、目の前の患者に合わせたベストなアプローチが求められるでしょう。



2015年9月10日木曜日

ベストなPCRTアプローチの仕方

ベストなPCRTの治療を行うために、

本質的EB(エネルギーブロック)を診ることを優先すべきか?
それとも、患者のペースに合わせたEBを診ることを優先すべきか?

早期に症状を改善させるために、本質的EBを探索することはとても大切ですが、その前提条件として、患者が望むペースに合わせながら、その患者が望むレベルに応じてEBを診ていくことは、さらに大切で優先すべきテーマです。

PCRTの根幹となる主な治療目的は、本質的な原因を探索して症状を改善することです。それ故に、PCRTの治療者が熟練すればするほど、症状の本質的因果関係が見えやすくなり、早くその本質的EBを改善しようとする傾向があります。

患者との信頼関係がしっかりと構築され、患者自身も本質的な原因を探索することを心の奥から望んでいるのであれば問題はありません。しかしながら、すべての患者がそのような深い信頼関係で治療を受けると限りません。

もしも、患者が無意識の心の状態を探索することに抵抗感がある場合、術者が患者のために良かれと考えてその治療法提案して牽引しても、患者が心からそのような治療法を望まない限り、いい結果はでません。

多くの患者にとって、施術者からの提案を断ることに抵抗感をいだくものです。一時的に術者からの提案を受け入れたとしても、患者が本当に心の奥から望んでいる施術でなければ、単なる一時的な押し売りになる傾向が生じてしまいます。

よって、たとえPCRTの熟練者であったとしても、すべての患者に対して、本質的な施術ができるとは限りません。本質的な施術ができる前提条件として、患者との深い信頼関係、ならびに、患者自身が、無意識の心の状態を探索する本質的な施術を心から望んでいるかどうかがとても重要な要因になります。

本質的治療法で結果を出すための信頼関係をまとめると以下の3つの項目になります。

1. 患者と施術者間の信頼【人の波長】
2. 治療法に対する信頼【治療法】
3. 自分自身の治る力に対する信頼【治癒力】

この3つの信頼関係を保つために、術者は患者よりも前に進み過ぎないことが大切です。患者が期待していること、心から望んでいる治療法は何かをしっかりと把握することが大切です。患者は症状を改善したいがために来院されるのですが、術者の提案に従えば早く治るということを頭で理解しても、どのように治したいかというシナリオは潜在的に譲れない方が多いようです。

この潜在的に譲れないというのは、無意識の心が生じさせるので、その判断は経過を見ていかなくては分かりにくいところです。結論的に、患者が無意識的に抱いている治し方、いつまでにどのようなペースで治したいのかという治るためのシナリオは、術者が注目しなければならない最優先課題です。術者が本質的な治療法を提案する場合、その患者の無意識的に抱いているシナリオを尊重したうえで、患者との関係性やタイミングを図りながら行うべきでしょう。

術者からの提案をすぐに受け入れてくれる患者さんもいますが、本質的な症状改善のために必要な施術であると頭では理解しても、心の奥では抵抗を感じている患者も少なくはないということを冷静に認識することが大切です。

PCRTの治療法は、まだまだ、一般常識とは異なる治療法ですので、理解してもらうには時間が必要です。

基本は患者の無意識の心よりも先に進み過ぎずに、あくまでも患者の横に寄り添って伴走するか、患者のペースに合わせて後ろからサポートすることです。

2015年9月9日水曜日

自己ベストの更新!! 未来への挑戦者

前回ご紹介させていただいた、水泳選手が大会で自己ベストを更新して、個人種目とリレーで九州大会に参加できるとの報告をいただいた。

試合前での検査でも安定した状態だったので、おそらくいい結果がでるだろうと期待はしていたが、実際の競技では何が起きるか分からない。

実際の競技でのパフォーマンスを何度もシュミレーションして、誤作動の緊張を取り除き、ベストな状態が維持できた様子。想定以上の結果がでたことにとても自信が持てたようだ。

興味深かったのは、ある程度、九州大会に参加できるタイムが出せるようになると、本場で、そのタイムが、維持できるようにと、「守り」に入る潜在意識がブレーキをかけていたことだった。

この「守り」に入るパターンは、潜在意識が生じさせる誤作動なのだが、スポーツ選手がある程度の成績を掴んだ時に陥りやすいワナでもある。

この「守り」に入るワナは、スポーツ選手に限らず、様々な分野でも生じるワナで、知らず知らずのうちに自分の能力を制限してしまうようだ。

例えば、組織の中である地位に就いたとき、その地位や立場を守ろうとする意識が潜在的に働いて、周りの人の動向ばかりが気になって、自分の更なる成長にブレーキをかけてしまうこともあるだろう。

長年、このような本質的な治療やパフォーマンス向上のお手伝いをさせていただいて感じることは、人は常に「挑戦者」としての立場を忘れないようにしなければ、自分で自分の能力にブレーキを掛けてしまうということだ。

何かにチャレンジし続ける心は、人を成長させ、心を豊かにさせてくれる原動力になると思う。

挑戦者であり続ける人は、さらに未来に向かって羽ばたき、輝き続けるだろう!

2015年8月27日木曜日

全体(脳)と部分(身体)のシステム調和に基づくパフォーマンスの向上

「タイムが順調に伸びてきているので、今度の九州大会には参加できそうです!」

と、報告してくれたのは、水泳部に所属する高校男子生徒。中学の時からファミリーカイロを利用していただいている。勉強もスポーツもまじめに取り組むスマートで素直な好青年という感じ。

中学ではバスケット、高校では水泳部に所属して、当初は、水泳部専属のコーチがいないため、どのようにトレーニングすればいいのか迷いもあった様子。本を読んだり、ビデオを観たりしながら、いろいろと研究されていた。

関節の痛みや筋肉の張りなどを訴えて来院され、その都度、原因を特定して施術をおこなってきた。また、理想のパフォーマンスを特定して実践で試すということを繰り返し、水泳のタイムもだんだんと伸びてきたとの報告をいただいた。

その中でも特に効果的だったのは、メンタル的なサポート。メンタル面といっても、心を強くするなどというような精神論的なことではない。ベストなタイムを得るためのマインド設定やベストな泳ぎを実現させるための全体的なイメージ設定など、ご本人にとってのベストなパフォーマンス達成を心身条件反射療法でサポートさせていただいた。

まず、泳ぎのフォームで問題になったのは、泳ぎ方の教本や雑誌などに影響する技術的なこだわり。この部分的な技術面へのこだわりは、脳に誤作動を生じさせやすく、関節の動きが全体的に調和されずに、痛みなどの症状を生じさせやすい。

これは、水泳に限らずあらゆるスポーツ選手に共通することで、部分にフォーカスした技術面のこだわりは、指導者によっても生じやすい。部分的な技術指導が悪いというのではない。技術を修得する上で時には部分的な指導が必要なこともあるだろう。ただし、「全体」と「部分」との調和が伴うということが重要である。

「全体」と「部分」の調和を言い換えれば、「脳」と「身体」との調和といえるだろう。よくあるパターンは、「全体」よりも「部分」が先行してしまう誤作動である。バランスの良いパターンは、まずは、理想的な全体的なパフォーマンスのイメージが先行して、次に部分的なパフォーマンスが、後から自然についてくるという心と身体の状態である。

例えば、股関節や膝の角度を何度位で動かすなどの部分的なイメージ先行して、全体的な理想の動きのイメージが不明瞭な場合は、脳と身体が調和できずに、関節に傷害を生じやすくなる。人間は、ロボットとは異なり、システム的に統合された生命体である。部分を修正すれば良くなるというものではない。

人間がベストなパフォーマンスを実現するためには「全体」と「部分」を切り離すのではなく、統合的なシステム思考で調和させることが大切であろう。


2015年8月12日水曜日

送球イップスの改善

最近、イップスで来院された患者さんがいます。野球を辞めようかと悩んでいた高校生は、レギュラー競争で、無意識的に現在のポジションを守りたいという心が一つの原因になっていました。もう一人、現在、高校野球部の指導をされている先生は、大学時代のバント処理がきっかけで、自分自身に対して、「チームのために役立つべき」という信念などが関係していました。他にも様々な信念などが心の背後に関係しています。お二人とも経過は良好で、問題なく改善されるでしょう。今までにも多くのイップスの患者さんを診させていただきましたが、まじめな方が多いようです。

送球イップスにも様々なケースがあります。よくあるケースは、遠投は問題ないが、塁間での送球や至近距離でのキャッチボールがうまく投げられなくなるケースです。イップスの患者さんは、数年間悩んだあげく、来院される方が多いようです。また、イップスを改善する専門の指導者もいるようですが、指導を受けても改善されなかったという患者さんもいらっしゃいます。

イップスの改善で大切なことは、肉体だけの問題ではなく、心理的な要因が関係しているということの理解です。心理面の要因とは、一般的に思われている心が弱いと強いとかの問題ではありません。広義的には「こころとからだの関係性」による問題です。狭義的には「誤作動の学習記憶」による問題です。心理学的には「意識と無意識の関係性による誤作動記憶」の問題です。

イップスの患者さんの多くは、発症のきっかけがあります。それを境にして、悪循環を繰り返し、様々な誤作動記憶を積み重ねている方が多いようです。きっかけとは、所属しているチームメンバーとの人間関係だったり、指導者との関係だったり、あるいは、自分自身だけの問題だったりします。また、そのきっかけが、スポーツとは関係のないプライベートなことに関係することもあります。

イップスを改善するためには、心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)のように、心身相関に関連する誤作動記憶に目を向けた治療法であれば本質的な改善が望まれるでしょう。投球フォームや肉体面のバランスばかりに目を向ける指導者や治療者もいますが、そのような表面的なアプローチでは恐らく効果が望めないのではないでしょうか。

また、カウンセリング、あるいはコーチングでメンタル面ばかりに目を向けても時間がかかりすぎるかもしれませんし、イップスとは関係のないメンタル面のケアになっているかもしれません。イップスの改善に大切なのは誤作動を生じさせている潜在的な心の状態をピンポイントで認識することです。

イップスは、無意識的な誤作動記憶の積み重ねによって引き起こされる症状なので、その誤作動記憶を明確にして、施術によってその誤作動記憶を健全な記憶へと段階的に上書きするだけです。イップスは改善が難しい症状ではありません。必要なのは適切な治療法と治療期間です。後は、施術者との信頼関係が、しっかりと構築されていれば徐々に改善されていくはずです。

2015年8月11日火曜日

2015年PCRT中級1のご案内

PCRT研究会代表の保井です。PCRTの中級1が9月6日(日)と7日(月)に開催されます。LCAの講師陣の協力で、充実したプログラム内容がほぼ準備できました。今年から、プロトコルチャートを使ったアプローチの手順を強調しているため、施術の進め方も以前に比べると数段使いやすくなっています。

今回の中級1では、経絡を中心にして、チャクラや肉体内外に関係するアプローチの仕方などをご紹介させていただきます。PCRTのコンピテンシーの一つである「身体をエネルギー体として診る」ということを実践的に学んでいいただける内容です。

医療、健康関係に従事する治療者を大きく分けると、「病理の目」と「感性の目」に大きく分けることができます。人を機械的な目、もしくは病理の知識を備えた目で診るのか、それとも、有機的な目、もしくはエネルギー的な感性を生かした目で診るのか?

私たちの感性には、本来、エネルギー的なバランス異常を感知するセンサーが備えられているはずです。昔の宗教画や仏像などの背景にはオーラのような「エネルギー」が描かれています。昔の人々は、研ぎ澄まされた感性を生かして、そのようなエネルギーを普通に感じながら生活を営んでいたのかもしれません。

現代のようなに知識、情報がありふれた生活の中では、大切な感性を軽視し、退化させて、知識、情報ばかりを頼りにしているようにも感じます。病理学的、あるいは神経生理学的な知識の多くは、科学的、あるいは客観的に証明された結果です。それはとても素晴らしい成果であり、多くの人に支持され高く評価されています。

しかしながら、小宇宙と呼ばれている人間を取り巻く様々な関係性からすると、それらはほんの一部の知識、情報でしかありません。「人はなぜ、病気になり、病気にならないのか?」「昨日まで元気だったのが、なぜ、理由もなく突然体調不良になるのか?」など、本質的に解明されていない課題がたくさんあります。

科学的に証明された知識、情報は、ネットを開けば取り出せる時代です。しかしながら、目には見えないエネルギー的な情報は、ご自身の感性を高めなければ診ることはできません。PCRTの研究会はそのような感性を磨く場でもあります。PCRTの研究会を通じて、エネルギー的な感性に磨きをかけて、さらに多くの人々に貢献できる力を身に着けていきましょう。

それでは、研究会でお会いできることを楽しみにしています。

2015年8月6日木曜日

2015年度ライフコンパスアカデミーパワーアップ研修

 先日、ライフコンパスアカデミーでは、ファミリーカイロプラクティックセンターと志賀島において、AMセミナー、ならびにPCRT研究会などでご協力いただいているインストラクターの先生方と2日間のパワーアップ研修を行いました。

AMやPCRTの実技試験と指導法の統一を確認し合いました。PCRTでは新しく開発した簡便な小脳機能検査法、軽擦法加算振動法、生体反応検査法を使った認知検査などを学びました。生体反応検査法を使ったタイプ別の検査において、それぞれのタイプでチームが支えられているということを確認することができました。

特にコーチング手法を取り入れた、いくつかのトレーニングにおいて、それぞれに深い気づきを得ることができたようです。チームメンバーひとりひとりの信念や価値観を尊重し認め合いながら、チームのゴールと個人のゴールをすり合わせて、LCAが目指す方向性を確認し合うことができました。

長年ご協力いただいている菊地先生が、今年、還暦を迎え、チームでお祝いをすることができました。赤いちゃんちゃんこが良く似合っていました。60歳で赤ちゃんに戻るという意味もあるそうです。研修で遭遇した「素直」というキーワードは、菊地先生の琴線にも触れた様子で、60歳から素直に生きるという気づきを得たのでしょうか? 菊地先生のこれからが楽しみですね。

LCAは今後も、自然の法則に調和した健康と幸せに貢献するために、治療者をサポートし、多くの患者様に貢献できればと願っております。

2015年7月29日水曜日

一般論に基づく、症状を創り出す信念

「骨が変形しているから痛い」「軟骨がすり減っているから痛い」これは、多くの人々が信じている関節痛に関する一般論です。どこまで深く信じているかは人によって様々です。もしも、レントゲン検査、あるいはMRIなどの画像検査で骨や軟骨の変形が発見された場合、その変形が修正されない限り、関節痛が持病になると信じてしまいがちです。言い方を変えると、「画像診断の結果、関節痛が常にあるのが当たり前」という信念体系を持つことになります。

また、「関節の変形は使い過ぎによる」という一般論から関節を使わないようにする一方で、「関節の筋肉を鍛えなければならない」という一般論から運動するという相矛盾した信念によって脳が混乱し、何を信じていいのか分からないとう方も少なくはないようです。

「関節の骨や軟骨がすり減って痛くなる」一般の人にはとても分かりやすい機械論的な理論です。しかし、それをまともに信じてしまうと、誤作動を生じさせる意味づけの「記憶」として脳に定着し、痛み信号を脳で創ることになります。実際に関節変形が直接痛みの原因になっている場合もありますが、それがすべての原因ではありません。関節痛で特に注意が必要なのは「変形」ではなく「バランス」の問題です。

関節痛で特に注目しなければならないのは、筋肉の「オン」と「オフ」のバランスです。関節を支えている一つ一つの筋肉がちゃんと働いているかどうかも大切な要因ですが、その前に全体的に力を入れる筋肉(興奮系=オン)と力を抜く筋肉(抑制系=オフ)のバランスが取れているかどうかはとても重要です。

例えば、膝を伸ばす筋肉は太ももの前にある大腿四頭筋という筋肉、膝を曲げる筋肉は太ももの後ろにある大腿二頭筋という筋肉です。膝を伸ばすときは大腿四頭筋が「オン」になり、膝を曲げるときは大腿二頭筋が「オフ」になります。その逆で膝を曲げるときは大腿二頭筋が「オン」になり、大腿四頭筋が「オフ」になります。この「オン」と「オフ」の絶妙なバランスが崩れると、痛みや関節変形の原因になります。関節痛の多くは、「オフ」ができないこと、すなわち、「力が抜けない」ことが主な原因なります。

ファミリーカイロでは、関節痛の患者さんの多くが、「オフ」(力を抜く)の検査で反応が示され、この検査で反応が示されなくなると、たとえ関節に変形が存在しても症状が改善される方がほとんどです。しかしながら、「関節変形=痛み」という信念体系があると、関節部位からの痛み信号が消えても、脳で創られる痛み信号が存在し続けて、実際に痛みを感じます。その場合、痛みを創る信念体系から痛みを生じさせない健全な信念体系に上書きする治療を行うと、脳で創られる痛み信号が消えていきます。

もしも、無意識的に構築されやすい症状を創り出す信念体系があれば、自分の体や脳の柔軟性を信じられる健全な信念体系へと上書きしていきましょう。





2015年6月23日火曜日

PCRT基礎2の案内

前回の基礎1での懇親会の席で、初めて参加されていた先生方が、「PCRTはすごいですね!」と言ってくださいました。何がすごいのかをお尋ねすると、「いくら神経学的な機能異常を突き止めたとしても、それはあくまでも「結果」であって、その機能異常を引き起こす「原因」があるので、その原因をさらに追究しようとしているところがすごいと思う。」などいろいろなコメントをいただきました。お話を聞いてみると、カイロプラクティックを始め、治療関係の勉強はかなり深くされている様子。そのような本質的な内容を理解してくださることをとても心強く感じました。

前回のPCRTの基礎1では、PCRT検査法の基本となる生体反応検査法や言語神経反射検査法、並びにハード面の主な治療法として、体幹軸や四肢軸、ならびに、脊椎部や四肢部の基本となる部位の加算振動法をご紹介しました。さらに、PCRTハード面調整法の特徴的な概念でもある抑制性イメージ調整法、ソフト面の導入編として、サイクルパターン調整法や基礎感情の導入編、ならびにエネルギー系の施術法としてカラー調整法もご紹介しました。

基礎2では加算振動法の概念を応用した抑制系分野の、体軸、四肢軸の上級編、多岐にわたる関節系の上級編をご紹介します。興奮系分野では、各部位のマッスルテストを使った様々な検査法、筋膜系の調整法。さらに、前庭器官、小脳、脳神経系の調整法。エネルギー系ではブレインマップ調整法、大脳辺縁系領域では、基礎感情の使い方の詳細、大脳皮質系では、意味記憶やエピソード記憶の調整法をご紹介する予定です。

基礎1と基礎2をしっかりとマスターすれば、様々な筋骨格系の症状において、幅広く治療効果を引き出すことができると思います。基礎2では、基礎1に引き続き、チャートの手順に沿って進めることで手法をシンプルにする工夫をしています。それに伴って治療効果が高まるのはもちろん、楽しんで治療を受けてくださる患者さんが増えてきているようです。

先日、マスター認定を修得した先生も、患者さんの数が以前より増えてきたとのことで、大変喜ばれていました。PCRTの基本を着実にマスターすることで、患者さんのニーズに幅広く答えられるという先生方がだんだんと増えてきているようです。

それでは、皆様の研究会へのご参加をお待ちしております。

2015年6月22日月曜日

AMI社主催リーダーシップカンファレンスレポート

2015年6月12日‐13日にAMI社主催のリーダーシップ研修がアリゾナ州のフェニックス市のホテルで開催された。2013年7月にAMI社主催プラットフォーム(プレゼンター)インストラクター特別研修会が開催されて以来、2年ぶりのAMI社主催の研修会。

今回はリーダシップ・カンファレンスと題して、日本を含め、イギリス、オーストラリア、ブラジルからもリーダー達が招待された。日本の代表として招待された私は、ドクター・ファーの許可を得て、国内でご協力いただいている菊地先生、国井先生、土子先生をお誘いして、本研修会に同行していただいた。

初めて招待された1997年のAMI社30周年記念カンファレンスから18年目になる。インストラクターの中では、私もだんだんと古いメンバーの一人になってきた。変わらない古いメンバーがいる一方で、新しいメンバーも入ってくる。毎回、招待を受けるたびに、古いメンバーとの再会と、新しいメンバーとの出会いも楽しみの一つになっている。今回の研修会開催の理由の一つは、ドクター・ジーグラ―という方が新しくAMI社の社長に就任したことである。

ドクター・ジーグラ―は、ノースウエスタン健康科学大学(元ノースウェスタンカイロプラクティック大学)の学長やフットレベラー社の副社長を歴任。20年以上の臨床経験を持ち、その間、サウスダコタ州、スタージス市の市長も務めている。AMI社は、グローバルな発展を目指して、ドクター・ジグラーには大いに期待を寄せているようだ。まだ、社長に就任して5か月足らずではあるが、メンバー全員に気配りしていたのは印象的だった。

初日は、診療記録の取り方やリスクマネジメントなど、保険診療を対象にしたマネジメントに関する講演が行われた。米国以外のドクターにとっては関係の薄い内容だった。二日目は、治療院やセミナーなどに役立つコミュニケーションに関する講義が、カイロ大学で教鞭をとっている二人のドクターによって行われた。私は、以前からコーチングの勉強も継続してきていたので再学習ができ、今後もさらに学習を深めていきたいと感じた。

二日目の後半には、7月ごろより新しく改定されるAMI社のサイト情報が、ITの専門家から報告され、最後に新社長のドクター・ジーグラーからAMのグローバルな広がりや今後のアクティベータの展望が語られた。ドイツでは、整形外科医が斜頸の治療にアクティベータ器を使うことで効果が得られ、AMに関心を寄せているとのこと。また、今後のAMI社は、マッサージセラピーや指圧、ナチュロパス(自然療法士)にも市場を拡大していくとのこと。

病んでいる患者のために、ドクターやセラピストが求めれば、それに応じて臨機応変に市場の流れに沿って行く戦略だ。

日本国内でも10年ほど前から、カイロプラクターのみならず、柔道整復師、鍼灸師、理学療法士など幅広く市場を拡大し、治療院や病院でを多くの患者に貢献していただいている。カイロプラクター以外の治療者を受け入れたAMセミナー開催経験は、ある意味で、日本チームの方が先を進んでいる。当初は他業種拡大に向けて、いろいろと試行錯誤したが、その判断は時代のニーズにマッチしていたということだろう。厳しい認定試験に合格し臨床現場で活躍してくれているカイロプラクターや有資格者の先生方を誇りに思う。

ここしばらくの間、AMI社での研修は、一人で参加することが多かったが、今回、協力スタッフに同行していただだき、とても有意義な二日間の研修を共有することができた。このようにドクター・ファーを初め、AMI社と長きにわたって交流ができるのはとても有難いことであり、不思議なご縁を感じる。この場をお借りして、ANJ、並びにライフコンパスアカデミーのコアメンバー、そして、それを陰で支えてくれている協力スタッフや受講されている先生方には心より感謝の意を表したい。



2015年5月14日木曜日

薬物依存の治療

50代前半の女性の患者さんが、薬物依存の傾向があるので、改善したいとの希望。薬物はデパスという抗不安薬である。不安感に襲われるとその薬物でその場をしのいでいた経験が長く続いているとのこと。最近、その頻度が多くなり、薬物から解放されたいとこのことだった。

検査を行ってみると、隠れた原因パターンは過去のお母さまとの関係性が絡んでいた。その背後にある信念などの「心の構造」を明確にしながら、脳に学習されていた「誤作動記憶」の陽性反応を施術した。

その後の来院で、薬物依存の治療の後、すごく気分が楽になり、週末も心地よく過ごせたのとのご報告をいただいたが、トイレなどの狭い空間や、高速道路の運転などで、気持ちは大丈夫だが、何かいつもとは違う妙な感覚があるとのこと。

検査をしてみると、感情や信念、価値観などの大脳辺縁系関連の誤作動反応はでない。その代わりに、エピソード記憶(大脳皮質系関連)の誤作動反応がでた。つまり、脳の中で記憶された症状、すなわち、脳で創り出される違和感の「誤作動記憶」だった。

依存症の治療は、ご本人のコミットメント(本当にやめたいという覚悟)が50%以上なければ、治療効果を引き出すのが難しくなる。言葉では止めたいといっても、心の奥では止めたくない自分がいたりする場合が大半を占める。止めたいと思いつつも、止めたくない自分もどこかにいるということを認めながら、止めたい自分が50%以上優っている場合は、治療効果がすぐに引き出せる。

今回ご紹介させていただいた患者さんは、別の症状で治療を受けており、信頼関係のレベルが高かったので、治療効果がすぐに引き出せたようだ。本症例は、「大脳辺縁系」と「大脳皮質系の両方に絡んだ症例だった。

2015年5月8日金曜日

生理不順の改善! (PCRTのコーチング手法を導入)

「今まで生理が遅れるということはなかったのですが、予定より2週間ほど遅れているのですよ・・・・」

筋骨格系の症状で通院されていた患者さんが、今回は、今までにない心配そうな面持ちで相談されてきた。

PCRTで検査をしてみると、女性ホルモン系に反応を示す。

原因を検査すると、「信念」に関連するパターン。

キーワードでは「執着心」に反応を示す。

何か心当たりはありますか?と尋ねると、笑いながら「恋愛でしょうね」とのこと。

さらに、深い関係性がある反応が示されるので検査を進めてみると、「成長」というキーワードが示される。

「恋愛」と「成長」というキーワードで何かひらめくことはありますか?と尋ねると・・・

精神的なモノ・・・スピリチュアル的なものかな・・・

恋愛を通じて、スピリチュアル的なものが得られたとして、その時にさらに何が得られるのでしょうか?

彼との幸せ??

もう少し、突っ込んだ質問をさせてもらいますね。その幸せが得られたと感じた後に何が得られるのでしょうか?

愛??

さらに、その愛を得られたと感じた時に何か得られるのでしょうか?

?????
患者さんにとっては、そのよう質問は初めてだったようで、混乱の様子もうかがえた。

恐らく「愛」というキーワードは、その患者さんとってとても大切な価値観につながる言葉であることは明らかだった。

もしも、愛に3つのレベルがあるとすれば、どのような愛についてか考えているのでしょうか?

1. 受け取るだけの愛
2. 自分も与えて、相手からももらう愛
3. 無償の愛

患者さん曰く、「自分も与えて、相手からももらう愛かな???」と答えられていたが、生体反応検査では、「無償の愛」で反応を示す。

そのことをお伝えして、施術を終えた。

その後、10分程度のホットパックを終えると、「何か分からないけれど、涙が出てくるのですよね・・」と話されていた。

意味が分からなくても、何か心に響いたのでしょうね。そのようなときは、だいたい効果があると思いますよ・・・と、お答えした。

数日後、受付にその患者さんからお電話をいただいた。施術の翌々日に生理が来て、感動してお電話をしてくださったとのことだった。

生理不順などの婦人科系の症状は、病院に相談されることが一般的だが、当院での治療経験もあり、おそらくここの治療で治るだろうと信頼していただいたのだろう。患者さんにとって良い結果が得られ幸いだったと思う。

2015年5月7日木曜日

関節リウマチ症状の改善 !!

来院時所見

年齢65歳、男性、17~8年前より発症し、常にどこかの部位に痛みを感じるとのこと。病院にて検査を受け、関節リウマチの診断を受ける。痛み止め、湿布で症状の緩和に努めているとのこと。

両中手指節関節の腫脹、やや発赤、関節変形を認める。痛みのため拳を握れない状態。特に左手が顕著で運動制限あり。両膝関節痛、特に左膝関節の屈曲時に疼痛が顕著で運動制限あり。

経過

施術法は、アクティベータ療法(AM)とPCRTを併用。初回からAMの後に、メンタル系と抑制系の施術を行う。3週間後の3回目の来院時、特に手指の関節痛が明らかに改善されたとのご報告をいただいた。実際の所見でも、初回に見られた腫れもほぼ消失し、疼痛による運動制限もかなり改善されていた。

9回目の施術から、左膝の症状のぶり返しが生じていたが、症状をぶり返す『誤作動記憶』のパターンを消去することで、徐々に改善され、症状のぶり返しはほぼ消失した。13回目の治療を終えた時点、ご本人も症状の改善を自覚されており、完全ではないにしろご自分の身体に自信が持てている様子だった。今後は、施術の間隔を少しずつ開けながら、メンテナンス的に継続治療が望まれるだろう。

考察

関節リウマチは膠原病の一つで、一般的に完治することは困難だとされる自己免疫疾患である。確かに薬物療法だけに頼ればそうかもしれないが、肉体だけの問題ではなく、心身相関的に心と身体の関係性を含めた検査と施術を行えば、決してそうとは言えないだろう。原因が、神経と筋肉との関係性、心と脳の関係性というように、『関係性』という視点と、『誤作動』は記憶されているという視点をもてば、自己免疫疾患も改善することが普通といっても言い過ぎではないかもしれない。別の言い方をすれば、「関係性」や「誤作動記憶」という視点を持たないがゆえに、治せる病気も治せないと考えたほうが本質的だろう。

本症例の患者様をご紹介して下ったのはその方の息子さんで、その息子は、遠方でアクティベータ療法とPCRTの施術を行っている治療院で改善された経験があり、その信頼のつながりで来院して下さった。治療効果の裏には「信頼」というベースが必ず存在している。「信頼」という強固なベースがあれば、難病とわれる様々な自己免疫疾患も改善される可能性は十分にある。

2015年4月23日木曜日

心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)のホームページのリニューアル !

10年間継続してきた心身条件反射療法(PCRT)のホームページが、4月15日よりリニューアルされました。まだまだ、修正点や追加内容が多々ありますが、協力スタッフのお蔭で、理想に近いホームページに仕上がったと感じています。また、本研究会に熱心にご参加していただいた先生方、ならびに症例報告や論文を提出していただいた先生方のお蔭で、内容豊富なホームページになっていると思います。

過去10年を振り返り、活動を継続する原動力は何だったのか?それは、「同じような症状でも、すぐに改善する患者さんがいる一方で、同じ症状を繰り返す患者さんがいるのはなぜか?」という探求心からきています。そして、今日までの臨床研究を支えてきた基本は「生体反応検査法」です。PCRT研究会の発展は、患者の身体を使って行う、この「生体反応検査法」に基づいており、この基準がなければ、何もなしえなかったといっても言い過ぎではないでしょう。

この「生体反応検査法」と患者さんの自覚症状改善とが一致することで、私たちはこの治療法に確信を得てきました。逆にいうと、一致しない場合、さらなる探求心に火がつき、その矛盾点をさらに追及しつづけてきました。その結果、「その患者さんは、なぜ改善しないのか?」の隠れた本質が少しずつ見えてきました。そして、その本質を改善するための治療法が新たに開発され、治療家の先生方に臨床現場で活用していただき、同じような成果を得ることで、さらなる確信を得るという繰り返しの旅を続けてきました。

この10年の旅の途中で、治療家として様々な発見や多くの深い学びを得ることができました。その中でも変わらないいくつかの「テーマ」があります。その中でも最も大切なキーワードは「記憶」です。本研究会の名称に関係する「条件付け」「パターン」という言葉には、「記憶」という意味が含まれています。症状を創り出す原因が「記憶」されているから、それを上書きして、症状のない「記憶」に書き換えることができるのです。

そして、この「記憶」は、「反射」という神経学的な機能に関係します。「生体反応検査法」では脳幹と大脳基底核を中枢とする反射系を利用しています。反射系に学習記憶された筋骨格系の症状などは、様々な徒手療法によって効果が期待できます。アクティベータ・メソッドもその一つで、主に関節系に関係する神経学的な誤作動の記憶を、「反射系」レベルで改善するためにはとても効果的です。

治療直後には症状が改善されるが、症状がぶり返してしまう場合は、症状を引き起こす「記憶」が「反射系」だけにはとどまりません。情動に関係する「大脳辺縁系」や潜在的な思い込みなどに関係する「大脳皮質系」への記憶にも関係性が及びます。

そのような症例では、症状に関連する「潜在感情」や「信念」、「価値観」、あるいは「意味記憶」や「エピソード記憶」に関係する誤作動の記憶を反射的に引き出して検査を行い、施術を行う必要があります。創造性豊かな人間は、様々な学習記憶をして様々な症状を創り出す生き物です。だからこそ、簡単に改善する患者さんがいる一方で、なかなか改善しない患者さんもいるわけです。

だからこそ、治療は楽しい!と感じる今日この頃です。本研究会10年の活動を振り返り、微力ながら地域社会の健康に貢献できているという実感が沸いてきております。

それでは、今年も研究熱心な先生方とともに、治療の本質を追究し続けて、多くの患者様に貢献できることを願っております。

みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

2015年4月15日水曜日

「記憶」からみた痛みの発生源


末梢(患部)に傷害や炎症がある場合、警告信号として知覚神経、脊髄神経を経由し、脳で「痛み」として感じます。通常、傷害部位の炎症などが修復されれば、それに伴って痛みも修復します。しかしながら、「痛み信号」にともなう神経回路が、「誤作動」として脊髄や脳に記憶化されている場合、その苦痛は慢性化します。長期記憶は非陳述記憶と陳述記憶に分類されます。身体で覚える非陳述記憶は、「手続き記憶」ともいわれ、頭(脳)で覚える陳述記憶は、「出来事記憶(エピソード記憶)」と「意味記憶」に分類されます。


PCRTの臨床研究で得られた、「記憶」と「脳の三層構造」との関係性は以下の通りです。



「ケガ」による「急性痛」

通常、腰痛がある場合、急性期の腰痛では、腰を強く捻るなどの捻挫のような「ケガ」で痛みを感じさせる発痛物質が末梢(患部)で体内に放出され、自律神経終末から「痛み信号」が発生することがあります。その場合、「痛み信号」は「脊髄」を経由して、感覚経路の中継点である「視床」を介して、「体性感覚野」で痛みとして感じます。痛み信号が身体や脳に記憶化されなければ、患部の傷害や炎症が消失するとともに痛みも消失します。

「体」に記憶された「慢性痛」

患部の傷害や炎症が消失しても痛みが慢性的に継続する場合があります。それはなぜでしょうか?それは、体に痛み信号が記憶されているからです。そのような記憶を「過誤記憶」といい、「痛み信号」が、身体と脳に「誤作動」として記憶されているのです。慢性化された、神経系の過誤記憶を脳の可塑的変化ともいいます。痛みの苦痛に関わる脳内の神経回路が痛みの慢性化(学習記憶)に伴って可塑的に変化し、苦痛を持続的に生じやすくなるという本質的な原因も脳科学的に明らかになってきました。長期記憶には、身体で覚える非陳述記憶(手続き記憶)と頭(脳)で覚える陳述記憶(エピソード記憶と意味記憶)がありますが、慢性化するということは、「手続き記憶」として、末梢からの「痛み信号」のパターンが記憶化された結果であるといえます。

「脳」に記憶された「慢性痛」

通常の「痛み信号」は、患部(末梢)から脊椎を経由して脳に伝えられる訳ですが、人間は創造性豊かな生き物であるため、脳で様々な学習をし、それを出来事(エピソード)として記憶します。例えば、過去につらい腰痛の経験をした場合、その出来事は、「エピソード記憶」や「意味記憶」として脳に保存され、「私は腰痛持ちです。」というように、過去の記憶を現在でも継続しているかのように自分の脳にレッテル貼りをしてしまいます。すると、脳では、「末梢」からの痛み信号ではなく、脳内で創られるフォールスメモリー(過誤記憶)の痛み信号として、痛みを生じさせる訳です。これは、「陳述記憶」に関係し、大脳新皮質、すなわち理性脳に関係すると考えられます。
このような「記憶」に関係する「痛み信号」から生じる誤作動の記憶は、PCRTの施術によって神経回路の記憶を上書きすることで、誤作動の記憶が書き換えられ、慢性痛の症状が改善されます。

2015年4月3日金曜日

コア・マッスル強化トレーニングで腰痛? (コーチング手法を取り入れた症例)

高校2年生。進学校に通い勉強も熱心で、水泳の練習もまじめ、将来がとても楽しみな優秀な青年である。

最近、本屋さんで水泳選手のための体力強化が解説された本を購入したとのこと。書かれている練習方法が納得のいく内容だったので、それを参考にして腰部のコアトレーニングを始めたらしい。なぜか、そのトレーニングを始めると腰痛を感じ、泳いでいても腰に違和感があり、スムーズな泳ぎができなくなっているとのこと。

腰部に関連する全体的な検査では、個々の筋肉バランス異常はあまり見られない。そこで、コアトレーニングのイメージをしてもらうと、明らかに誤作動の陽性反応が示される。また、泳ぐイメージをしてもらったところ、それもまた陽性反応が示される。

コアトレーニングを始める数か月前に来院された際にも、水泳のイメージで反応が示され、その誤作動の治療をしていたので、直感的に、これは、新しく始めたコアトレーニングが関係しているのではないかと思った。

恐らく無意識的に、身体のバランスがコアトレーニングの方に傾きすぎて、何のために泳いでいるか脳が混乱している状態なのかもしれない。

脳の身体の関係性を探索するために、コーチング手法を取りいれながら、生体反応検査を行い、関係性による誤作動の陽性反応を観察。

「泳ぐ目的は何ですか?」

「えっ、早く泳ぐことです・・・」

「早く泳ぐというと、明確なタイムのゴールがあるということですね。そのタイムに達するとどうなるのですか?」

「九州大会・・・インターハイ・・・」いろいろなキーワードが出てきて、「インカレ???」でも大学では競技というよりも楽しんで泳ぎたいかもしれない・・?」

このような質問しながら、同時に生体反応検査をしていると、段階的な複数の目標のイメージに対して、陽性反応が示されていたので、「その数値的なゴールが得られたときと、あるいは、そこに向かっている途中のプロセスで得られる『モノ』はなんですか?」という深い質問を投げかけた。

「?????得られるモノ???」

「すぐに答えられるような質問ではないかもしれませんので、ホットパックの間に考えてみてください。」

10分後

「どうですか?」

「難しいですね・・・」

「この質問は、人の行動の背後にある価値観、分かりやすくいうと心のエネルギー源のような『モノ』を尋ねた質問です。」

「その価値観の例として、このようなキーワードがあります。」

「安心・安定」「刺激・変化・挑戦」「存在感・重要感・特別感」「つながり・愛情」「成長」「貢献」

「これらの言葉で、心に響くキーワードはなんですか?」

「挑戦」ですね。

「そうでしょうね。○○君は、例え目の前にあるゴールを達成したとしても、次を目指して挑戦し続けるでしょうね・・・」

「ゴールに挑戦することが心の栄養素になっている感じですか?」

「はい(笑)」

「では、そのことを十分に感じながら泳ぐイメージをしてみてください。」

「そのイメージで検査をすると、誤作動の陽性反応はでていませんね。」

「それでは、その挑戦というご自分が大切にしている価値観を意識しながら、先ほどのコアトレーニングのイメージもしてみてください。」

「それも陽性反応はでていませんね。」

「それでは、目の前のゴール、あるいはコアトレーニングに意識が向き過ぎて誤作動を起こしていたパターンから、ご自分の大切な価値観を意識してゴールに向かっている健全なパターンに切り替える治療をしましょう。」

治療後、

「あっ、はっきり見えるようになった・・・」

いきなり、何かと思ったら、天井に貼っている視力検査の記号が、治療前はぼやけていたのに、治療後にはっきり見えるようになって驚いたそうだ。

直接的に心因性視力障害の治療をしたわけではないが、間接的に視力が改善されたようだ。

コアトレーニングも大切だが、ゴールに向けた自分の価値観や信念などのメンタル面を統合させてトレーニングすることがもっと大切だという学びがあった。

施術にコーチングを取り入れて、総合的な視点で診て、効果を発揮した症例である。

2015年3月28日土曜日

膝関節痛 (外側半月板損傷)

「今回はかなり悪いですね。」「今は、痛くて足に体重がかけられないです。」

長時間、椅子に座って仕事をしていて、立ち上がった時に、左ひざに「バキッ」と音がして、それから足がつけない状態になったとのこと。

病院のMRIの検査では外側半月板がだいぶんすり減っているとのこと。手術は必要ないとの診断を受けた。

左膝関節は45度程度ぐらいまでしか痛くて曲げられない状態。アクティベータ療法(AM)で全体のバランスを調整した後、膝関節の動きを細かく検査、特に外側半月板周辺には多くの陽性反応が示された。

直感的に小脳系の機能異常が疑われたので、小脳の検査をしてみると、指⁻耳検査や手の回内、回外検査をすると陽性反応を示す。

AMで基本的な調整を行い、膝関節部の検査を行い陽性反応が示すように調整を行う。アクティベータ器は手では届かない細部まで振動が伝わる。AMの治療後には膝関節の可動域も改善。PCRTで抑制系の検査をすると、左脚全体に陽性反応がしめされるので、メンタル系に関係する誤作動も調整。

施術は膝関節の可動域もかなり改善され、

「痛めてからこんなに膝関節が曲がるのは初めて・・・」

と喜んでいただいた。

また、杖を必要な状況だったが、杖も必要な普通に体重を加えて歩くことが可能になり、大変喜んでいただいた。

いつもはつらつとした方なので、しっかりと治療を継続され、もとに戻らないクセを身体に記憶させ、以前のようなはつらつさを取り戻してご活躍していただきたいと願う。

2015年3月27日金曜日

難治性の蓄膿症

30年以上も前から慢性的な蓄膿症の症状で悩まれているとのことで来院。5回目の来院でしたが、蓄膿症だけでなく、他の症状も改善されたとことで、大変喜んでいただきました。施術を受ける前に、拙著「体の不調は脳がつくり、脳が治す」を読んでいただいていたとのこと。PCRT療法に対する理解と信頼関係もうまく構築されたように思います。メンタル面だけではく、様々なアレルギー情報も関係していました。

長年抱えた慢性症状にも長年抱えるだけの「学習記憶」があり、その誤作動の記憶をひも解いていくことで症状も徐々に改善されました。心の奥に隠れている潜在的な感情や心の構造をご自分で認識することで、様々なメンタルブロックが解除され、本来の自然治癒力が引き出されたようです。このような治療効果も「信頼関係」があってのことです。患者様と術者間の信頼関係、ならびに自分自身の治る力を信じるということはとても大切なことだと改めて感じさせていただきました。


2015年3月26日木曜日

からだの「慣れる力」

「慣れる力」は、「健康」と密接に関係します。

「慣れる力」は「適応力」に言い換えることができます。慣れる力、あるいは適応する力が強い人と弱い人では、どちらが健康的になれるでしょうか?

「5月病」といって、新入生や新入社員が新しい環境の変化に適応できずに、メンタル面や身体面に様々な症状を引き起こすことは良く知られています。また、「空の巣症候群」といって、50代の女性によくみられ、子育てが終わり、子供が家を巣立っていったあたりから、空虚感的な変化に適応できないことでメンタル面や身体的な症状を伴います。

このように、メンタル面的な要因が明確な場合だけに「適応力」が関係するとは限りません。例えば、「花粉症」などの症状も、身体が花粉にいかに慣れるかで、症状が良くなるかどうかが決まります。多くの人は、なるべく花粉を吸引しないようにマスクをするなどの対策を取ります。すると花粉の時期には、毎年マスクをするのが当たり前になります。

ファミリーカイロでは、マスクから解放された患者さんがたくさんいらっしゃいます。4年前から花粉の時期にはマスクが欠かせなかったという患者さんが、当院の治療で根治して、「何年もマスクをしていた時期は何だったのだろう?」といわれていました。現在の一般的な医学情報では花粉症の治療は、対症療法しかなく、治らないのが当たり前の感覚です。なぜ、花粉症が当院の治療で治るのでしょうか?

それは、人間が本来持ち備えている「適応力」を利用して、身体を花粉に慣れさせる治療を行っているからです。人間は本来、様々な環境の変化に適応できる力を備え持っています。その「慣れる力」、「適応する力」をいかに発揮するかが、健康を維持する上でとても大切です。

日本では3月~5月にかけては、多くの人が様々な「変化」を経験する時期です。昔から「郷に入れば郷に従え」と、その土地やその環境に入ったならば、そこでの習慣や、やり方に従うのが賢い生き方であるといわれています。

「慣れる力」にブレーキをかけるものは何でしょうか?その本質の多くが、「○○であるべき」「○○のはず」「○○が当たり前」という心の奥で信じている信念体系に関係しています。このルール規制が厳しければ厳しいほど「脳の柔軟性」は失われ、「慣れる力」は低下していきます。

つまり、「~べき」によるルール規制が低下すると、「脳の柔軟性」が高まり、より健康的になれます。もちろん、「~べき」が低下しすぎるのも問題です。ご自分の「慣れる力」を信じて、様々な変化に適応できるように学習し、新しい環境に身体を慣らして健康を維持していきましょう。

2015年2月13日金曜日

PCRT上級2ご案内2015

PCRT研究会では感情チャートや価値観、信念のキーワードが記載された言語チャートを使った検査法と施術法がマニュアル化され、患者様にもスムーズに治療を受けていただくことができるようになりました。

メンタル系の言語チャートを使った検査法の流れで、アレルギー検査のチャートも作成し、アレルギー症状の患者さんに応用しています。患者さんにも好評で治療効果も良好です。次回のPCRT上級2の研究会では、そのアレルゲンチャートを使った検査法と施術法もご紹介します。

患者さんにとって、視覚的な言語情報は脳に伝わりやすいのかもしれませんし、どのようなアレルゲンに身体が反応を示すのかの認識もしやすいのか、以前よりも治療効果を明確に感じていただけるようです。

恐らく「生体反応検査」によって患者さん自身がどのアレルゲンに反応し、反応を示さないかを分かりやすく体感できることも信頼につながり、そのような信頼関係も含めて治療効果につながっているのだと感じます。

これから花粉症の症状を訴える患者さんも増えてくると思われますので、さらに多くの患者さんに喜んでいただけると思います。

信念のチャートも、信念1のチャートと信念2のチャートにバージョンアップされました。感情チャート、価値観チャートと合わせて検査をすることで誤作動パターンがスムーズに特定されます。

何よりも患者さんたちが楽しんで検査を受けてくださるので、この検査法の未来がとても明るいと感じています。

PCRT上級2は、参加資格がシルバー認定者以上となりますが、今回も先生方とともにさらに学習を深めてまいりたいと思います。ご参加をお待ちしております。

さらに深い原因を追究すると・・・

『「痛み」はどこかきているのか?』のコラムで、身体内部の関係性の問題をご紹介しました。関節の痛みの信号は、関節系、筋肉系、神経系の関係性のバランス異常から生じる「働き」の悪さから生じているということを説明しました。

では、身体内部の関係性を悪くする原因は何でしょうか?その結果として身体の働きを悪くする原因はなんでしょうか?

 例えば、人間が真っ暗な空間で、音も臭いも何も感じない場所に居ることを想像してみてください。

それは、外からの情報刺激がない空間なのですが、人間として生きている以上はあり得ない空間です。

私たちは五感というセンサーを通じて様々な情報刺激を受けて生活しています。

情報刺激はいわゆる「ストレス」といわれるものですが、人間にとって心地よいストレスと、心地よくないストレス、あるいは過剰なストレスと過少なストレスがあります。

私たちはこのようなストレスと呼ばれる情報刺激によって健康に生かされる一方で病気や痛みなどの症状も引き起こしているのです。人間はそのような外部刺激がないと生きていけませんが、情報刺激がその人にとって不適応であると肉体内部の関係性が悪くなってきます。

身体内部の関係性を悪くする原因を考える際、このような外部から情報刺激との関係性を考える必要があります。私たちは常に様々な外部からの情報刺激にさらされて、無意識的に緊張したり、リラックスしたりしています。

例えば、人前に出て緊張するという経験は多くの人がしているのではないでしょうか。その緊張にも程度があり、過ぎると汗をかいたり、顔が赤くなったり、手が震えたり、ひどくなると、自分の意識とは関係なく首が自動的に動いたりします。

このような現象は、ある外部からの情報刺激に対して、自分の意識とは関係なく緊張させる脳・神経系の誤作動の仕業です。つまり、内部の関係性、内部の働きを悪くする原因は外部との関係性によるのです。

では、このような誤作動を調整するためにはどうすればよいのでしょうか?

人間の健康を考える際、肉体内の「働き」が正常に作動しているかどうかの「内部の関係性」を考えることはとても大切です。しかしながら、人間は常に外部環境に触れながら外部からの「刺激情報」を受けて生活を営んでいるということを忘れてはいけません。

PCRTによる施術では、様々な外部環境の変化に身体が適応できているかどうか、調和できているかどうかを特に「外部との関係性」に注目して「生体反応検査」を行います。

例えば、入学や就職で新しい環境への適応が困難な場合、主に自律神経系に誤作動が生じ、身体の働きが悪くなって様々な症状が現れます。

これらの症状はメンタル系と深く関係しており、身体の深い部分が環境にうまく適応できないことによる結果です。

PCRTの生体反応検査では「どのような五感情報(入力)が関係しているのか」「どのような潜在感情が関係しているのか」さらには「どのような価値観や信念が関係しているのか」を特定します。そして、施術では、それぞれの関係性による誤作動を調整します。誤作動が調整できると、身体がその環境にうまく適応できるような体質改善が促されます。

「適応できない」から「適応できる」ようにするということを脳科学的にいうと、脳・神経系が環境に対して新しく学習し、神経回路を構築してそのパターンを記憶するということです。それは、ロボット工学の技術が進化した最近のパソコンのように、使う人のクセを学習し、その人に合った使いやすさを記憶させる学習機能に似ています。

慢性的な痛みなどの症状が繰り返される原因は、身体がある「刺激情報」に適応できずに、身体がうまく働かないようになり、その働きが悪くなる誤作動を脳・神経系が学習記憶した結果です。

PCRTでは「働き」を悪くしている誤作動を特定して、その「情報刺激」にうまく適応できるように誤作動を調整し、再学習記憶を促すように治療を施すのです。

そうすることで、脳・神経系は特定の「情報刺激」に対する適応力が増し、誤作動が生じにくくなる体質へと変化していきます。人間は本来「慣れる力」を持っています。PCRTはその「慣れる力」=「適応力」を最大限に引き出す治療法でもあります。

2015年2月12日木曜日

「痛み」はどこからきているのか?

患者さんの中には、「痛み」はどこからきているのだろう?という関心は多いようです。

例えば、急性腰痛では、「重いものを持ったから」「急に腰を捻ったから」
慢性腰痛だと「姿勢が悪いから」「座り過ぎ」「内臓から悪いから」
首の痛みだと「目からきているのか」「枕が合わなかったから」「寝方が悪かったから」
肩関節痛、肘関節痛、手関節痛、股関節痛、膝関節痛、足関節痛などの手足の関節痛では「使い過ぎ」「運動のし過ぎ」などです。

事故などで肉体的な損傷を受けた場合、その損傷部分が原因で痛みを感じているというのは分かりやすい因果関係ですが、痛みの原因が曖昧な場合も少なくはありません。

原因があるから、その結果として症状がでる。

これは痛みの改善のためにはとても大切な関心事です。

私たち治療者も、患者さんの痛みを早く改善させるために、このテーマについて長年に亘って追究し、検証してきました。

それは、本質的な原理原則的なコンセプトで、単に「内臓が悪い」とか「使い過ぎ」、「姿勢が悪い」、あるいは「背骨がゆがんでいるから」といった一元的なものではありません。

それは「関係性」の問題です。

「関係性??」、「原因が関係性にある??」と原因と関係性がどのように結びつくのという疑問が生じるかもしれません。

人間の身体は、とても複雑で、あらゆる臓器や器官、組織、細胞が互いに関係し合いながら生かされています。それぞれの役割を担って働きながら、それらすべての部分と部分がつながり関係性をもって全体の働きを構成しているのです。

人間は生きている限りすべての部分が、何らかの役割をもっています。例えば関節の動きには複数の筋肉が関係し、それぞれの役割を担って、スムーズな動きを創り出しています。つまり、腰痛や膝関節痛などの関節系の痛みに関係するのは主に筋肉の問題です。

例えば背骨の関節で一部の筋肉がサボってしまったり、過剰に働き過ぎたりすると、関節系と筋肉系の関係性が悪くなり、背骨にゆがみや痛みを生じさせたりします。

では、一部の筋肉がサボったり、過剰に働き過ぎたりする原因は何でしょうか?筋肉は神経によってコントロールされていますので、脳・神経系との関係性で引き起こされているのです。

脳・神経系は身体全体の司令塔です。この司令塔である脳・神経系と筋肉系との関係性が良くなれば、関節は落ち着くべきところに落ち着いて、動きもスムーズになり、バランスのとれた姿勢を保つことができます。

脳・神経系の働きが正常であれば、筋肉系も、関節系も正常に働き、その結果として無理のないスムーズな動きを保つことができます。このように、関節の痛みの信号は、関節系、筋肉系、神経系の関係性の悪さだといえるのです。

また、この司令塔である脳・神経系は、関節系や筋肉系からなる筋骨格系だけでなく自律神経系、内分泌系、免疫系、循環器系、リンパ系などとも関係し合いながら健全な働きを維持しています。

どうでしょうか?痛みの「原因」が一元的でなく、「関係性」によって引き起こされているということをご理解いただけたでしょうか?

2015年2月9日月曜日

PCRTの原因療法

昔、何かコマーシャルで「臭い匂いは元からたたなきゃダメ!」というキャッチフレーズがありました。

症状や病気の改善も同じ理屈で、本質的に症状を改善させるためには「元」から改善することが必要だと私たちは考えています。

つらい痛みなどの症状を軽減するために、痛み止めなどの対症療法も必要ですが、痛みを引き起こしている元の原因を追究する原因療法がさらに重要です。

元の原因は何か?ということはそれぞれの学説によって異なります。

例えば、椎間板ヘルニアと診断を受けた腰痛の患者さんの場合、腰痛の原因はヘルニアの構造異常が原因だと考える傾向があります。

しかし、腰痛のない人たちを対象にした研究では、8割近くの人たちに椎間板の構造異常が認められました。つまり、構造異常が直接的な腰痛の原因ではないことが多いのです。

痛みの発生源の多くは筋肉や関節で、そのバランス異常の信号が脳に伝達され痛いと感じます。筋肉や関節のバランスを調節することで多くの腰痛が改善されます。

では、筋肉や関節のバランスに異常をきたす元の原因は何でしょうか?

それは、脳・神経系のバランス異常です。

脳・神経系は、筋肉の働きなどをコントロールする司令塔で、この司令塔に異常が生じると神経伝達に誤作動を生じさせます。そして、その誤作動が生じると筋肉や関節のバランスが悪くなり痛みなどの症状を引き起こします。




では、司令塔である脳・神経系のバランスに異常をきたす元の原因は何でしょうか?

それは、様々な「刺激情報」に関係する誤作動です。

人間は常に外界と接しながら生活をしております。ゆえに人間関係や食生活、環境汚染やウイルス、最近などと関係し合いながら様々な「刺激情報」(ストレス)を受け生かされています。

脳・神経系のバランス異常は、そのような外界からの「刺激情報」との関係性による誤作動によって引き起こされます。つまり、身体の中の内界と外部環境の外界とがうまく適応できずに脳・神経系にバランス異常が引き起こされているのです。

症状が慢性的に繰り返される場合は、脳がその誤作動を「学習記憶」した結果です。身体に誤作動が引き起こされるように「クセ」がついてしまったということです。

このように症状を引き起こす原因にはレベルがあり、そのレベルに応じて治療することで本質的な原因療法が期待できます。