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2020年5月21日木曜日

環境に適応できる健康体質

令和2514

新型コロナウイルス感染症の影響で、外出制限や世界中の人々がマスクを毎日着用するなど、私たちにとっては初めての経験です。心も身体も閉鎖的にならざるを得ない状況です。人に限らず動物や植物などの生物が閉鎖的になると、内部の秩序(バランス調整)が乱れるということは様々な実験でも明らかです。生物は外部環境との調和の中で生かされています。そのような健康維持のための基本条件に制限がある状況ですので、いかにして、この様な状況でも健康を維持していくことができるかを考えなくてはなりません。

まずは、感染予防に関してですが、このことは連日の様にニュースで情報が入ってきますので語るまでもありません。心構えとしては、人と人との関わりの中で、「自分自身も無症状感染者かもしれない」という自覚をもって、人との接触には十分に注意を払うことです。今回のウイルスに関しては謎めいた情報が錯綜しています。分かっているのは通常のインフルエンザよりも感染力が強く、急変して死亡する人がいること、また、無症状の人もたくさん存在しているということです。

長年健康に関して研究している一人の治療者として、興味深いのは急変する様な重症患者と無症状患者や軽症患者の違いです。免疫系の違いと言えばそれまでなのですが、免疫系の何がどの様に違うのか?重傷者の多くはサイトカインストームという免疫系の暴走によって、正常な細胞まで攻撃されてしまい、容態が突然悪化するとのことです。これが起こる人と起こらない人の違いは何か、どういう人に起こりやすいのか、どうすれば防げるのか、残念ながらまだ分かっていません。

最近、欧米や日本国内での抗体保有率に関する情報が少しずつ明らかになってきており、無症状の感染者が思いのほか多い可能性が示されています。その一方、抗体ができてからもウイルス感染が持続するケースも結構あるようで、集団免疫ができればウイルスが収束するということでもないのではないかという見解もあります。であるならば、人類はインフルエンザと同じようにこのウイルスと上手に「共存」あるいは「共生」する必要性が高いということになります。恐らくそれを可能にしてくれるのはワクチンや命を守ってくれる新薬の開発です。それと大切なのは私たち自身の免疫力や適応力を上げなくてはなりません。

「ウイルスと共生するなんて、滅相もない・・・」と思う方もいるかもしれませが、命に影響のない通常の風邪ウイルスなどは、むしろ過剰に避けない人の方が適応力が高まり、無症状患者の体質のなるのかもしれません。ウイルスに自然感染することで、免疫系が自然調整の仕方を学習記憶し、自然免疫が身につきやすい体質に変化する可能性もあります。今までの歴史をみてもウイルスは変異し続けているようです。もしかすると、その変化に人間が追いついていないのかもしれません。人間もその流れに適応して、感染しても自然免疫を獲得しやすい体質になるように学習記憶し進化し続ける必要があるのではないでしょうか。

世界中で命に関わる感染症に注目が集まっています。世論に歩調を合わせた捉え方も大切ですが、人類、生命、共生という広い視点で捉えることも大切だと思います。「ローマは一日にして成らず」の言葉のように、健康は長年の習慣の積み重ねです。健康は与えられると言うよりも自らが創り出すものです。刻々と変化する環境に適応できる健康体質をコツコツと創っていきましょう。

2020年2月16日日曜日

ウイルスに対する「免疫力」と「適応力」

最近(20202月中旬)、連日のように新型コロナウイルスのニュースが飛び交い、感染者の数や死亡者の数が報告されています。感染者数や死亡者数以外に気になるのは、このウイルスの感染力や潜伏期間ですが、特に知りたいのは感染しても発病しない方や軽い患者がいるという報告の詳細です。人から人への感染も起こることが分かってきました。多くの情報が得られつつある一方、濃厚接触から飛沫感染などの感染のしやすさや感染源、感染経路、重症度など十分に分かっていません。また、この新型コロナウイルス感染症に対しては、有効性が証明された治療法はなく、ワクチンも存在しません。
私たちはどのように予防すれば良いのでしょうか?多くの人が行っている予防対策はウイルスを「避ける」という方法です。ウイルスが体内に入らない様にマスクや手洗いが必要だということは周知の通りですが、どこまで予防できるのかという科学的な有効性は曖昧な部分もある様です。「避ける」ということが過剰になり過ぎても精神的なストレスが心身のバランスに影響を及ぼしてしまうことにもなりかねません。今回の新型コロナウイルス は前回のSARSコロナウイルスよりも毒性が弱いという報告もあるようです。この流行がいつまで継続するのかは定かではありませんが、いつかは落ち着いてくることは前回の経過記録から見ても明らかです。
予防のために次に必要なのは「免疫力」を高めるということです。基礎疾患を持っている人は免疫力も低下しているので、重篤な状態になりやすくなります。逆に言えば健康で免疫力が高いと感染しても症状が悪化することが少ないかもしれません。しかしながら、基礎疾患のない成人の死亡例も出ているという報告もあります。基礎疾患のない成人が急激に症状を悪化させてしまう現象の1つに、「サイトカインストーム」があります。
免疫系はウイルスなど外敵が体内に侵入してきた際に、白血球が攻撃し始めます。この調整にはサイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っており、体は白血球をさらに動員し、体温を上げてウイルスの増殖を抑えたり、咳や鼻水を生じさせたりと、さまざまな反応を起こします。このとき、一部の人では、その反応が強く出すぎて身体に大きなダメージを与えることがあります。それがサイトカインストームです。はしかやおたふくは子どものうちにかかると軽く済むが、大人になってかかるとダメージが大きくなりがちだというのはよく知られた現象です。
私が長年自然施術療法の研究をしてきた観点から感染症に対する予防対策は、「適応力」が鍵ではないかと考えています。これは「免疫力」と類似した考え方です。ウイルスが変異して進化して続けている今日において、人間も進化して適応していく必要に迫られているのだと思います。私たちは長い人生において、風邪などの感染症には何度か罹患しており、その都度、自然治癒力が働いて治してきた経験は誰もが持っているでしょう。インフルエンザで高熱がでるのも、自然治癒力が働いてくれている現象で、高熱を出してウイルスを死滅させる役目があるとされています。だから、熱が出たからといって簡単に熱を下げてはダメだと言われています。
私たちは子供から成人になる過程で様々な感染症に罹患して、自然に治す力を学習してきているのです。その経験が多いほど病気を治す力が身についていると言ってもいいかもしれません。例えば、子供には大変だからといって、親がいろいろなことをサポートし過ぎると、子供は自分で考えて行動する力が損なわれるので、いざという時に知恵が働かなくなるということもあるでしょう。また、高齢者だからといって、過剰に介護してしまうと、人はそれに頼ってしまい自分では何もできない頭、身体になりかねません。それと同様に風邪などの軽い感染症などは、できれば薬は少なくして、「体内にある薬」によって自力で治す方が、病気の治し方が訓練され、ウイルスに対する適応力も高まってくるのではないでしょうか?
私は長年アレルギー治療の研究を行ってきました。アレルゲンという目には見えないアレルゲン情報を身体に適合させる施術を行なっています。身体を使った検査で陽性反応か陰性反応かを判断し、調整後に陽性反応から陰性反応へと転じると、ほとんどの患者さんでアレルギー症状が改善されます。この施術法は、ヒトが本来持っている「適応力」を引き出す施術法であり、原因となるアレルゲンを避けるというより、「免疫記憶」を書き換える施術になります。
これは、「人間は外界との関係性で生かされている」というPCRT(心身条件反射療法)の哲学的概念の一つにも関係しており、免疫系とウイルスとの関係性を調和させようとする施術です。ウイルスが進化し変異し続けているとはいえ、ウイルスも自然界の一部であり、人間もその進化に適応し順応していく必要があるのではないでしょうか?人は本来進化するもので、「適応力」を高める力も進化させる能力を持ち備えているということを意識することも大切だと思います。
「避ける」という予防以外に、PCRTでできる施術があるとすれば、身体のバランスを整えて「抵抗力」を高めること。そして、ウイルス情報の過敏度を検査して、もしも、陽性反応が示されたら、その「免疫記憶」を書き換える施術、身体をウイルス情報に適応させる施術を行なって免疫系が過剰になりすぎない様に調整することができると思います。「抵抗力」と「適応力」を高めて、進化するウイルスと共存できる体質を創っていきましょう。