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2020年1月27日月曜日

「無意識の脳の信号」と「健康」

「意識」と「無意識」を理解することは心と身体の健康を維持するためにとても大切です。私たちの脳は、意識的な脳と、無意識的な脳に分けられます。私たちの身体の働きは、脳の信号によってコントロールされ、その90%以上が「無意識の脳の信号」によるとされています。私たちは、普段の生活の中で「無意識の心」を意識することはほとんどないと思います。例えば、ある目的地まで歩く場合、その目的地のことは意識しますが、歩く際に、「右足から踏み込んで・・・」とか、「次は左足を前にだして・・・」などのように身体の各部位をどのように動かすかなどは意識せずに無意識的に身体を動かして歩いています。

また、胃腸や心臓などの内臓の動きは無意識の脳に関係する自律神経系にコントロールされ、ほとんど意識ではコントロールできません。その自律神経系に誤作動が生じると、筋肉、内臓などの働きが悪くなり、体調不良が生じます。昔から「心身一如」という言葉があります。心と身体が一体となって調和していることの大切さを示した言葉です。ここで言う心身一如の「心」とは頭で考える意識ではなく、心の奥にある無意識のことを言っています。「頭ではなく身体で感じることが大切である」というように言われていますが、それはすなわち無意識の脳から発する心の信号のことを言っているのです。

「身体の働き」をコントロールしているのは脳ですが、私たちの健康の多くは「無意識の脳の信号」によってコントロールされていると言っても過言ではありません。「無意識の脳の信号」を理解することは大切ですし、健康への「カギ」になります。当院での「身体を使った検査」(生体反応検査法)は、「無意識」の脳の反応です。例えば、チャートを使った検査を行い、「警戒心」の反応が示された場合、普段、ほとんど意識していない内容なので、そのようなキーワードが示された場合は、「???」となる傾向にあります。「無意識」の心の奥にある事柄なので、すぐにはピンとこないことが多いのですが、様々な角度から質問をさせていただくと、「もしかすると、〇〇に考えている自分がいるかもしれない」、「いや、確かにそのようなことを感じている自分がいる」などのように、自分の心の奥を内観し、意識と無意識をつなぎます。

そして、その無意識の心の内容が腑に落ちると脳に新たな神経回路が構築され、症状も改善されやすくなります。症状に関係する誤作動記憶の反応は、明らかに意識できる“ストレス”よりも、何かモヤモヤした心の奥にある無意識的な内容がほとんどです。逆説的にいうと、「無意識の心の信号」が明確化されていないから誤作動が生じ、症状がパターン的に繰り返されると言ってもいいかもしれません。無意識の心の信号が意識化され、しっかりと認識できて意識と無意識が調和されると様々な症状が改善され、心のモヤモヤも晴れていく傾向があります。

氷山の一角である「無意識の脳の信号」を理解することは、心と身体を健康に保つためにとても大切です。原因不明の症状が生じたり、心の奥にモヤモヤ感が生じたりするときには「無意識の脳の信号」が関係しています。自分の心の奥を内観し探索してみて下さい。たとえそれが否定的な心であっても、それを認めて受け入れることが症状を改善することのみならず、豊かな心を育むことにつながるようです。まずは、ご自分の「無意識の心」を理解することを意識してみましょう。

FCCニュースレター2020.2-3

2019年10月1日火曜日

FCCニュースレター2019.10-11 心理社会的要因がもたらす病気

2016年の総務省のデータによると55歳から79歳までの主な死亡原因は1)ガン2)心疾患(心臓の病気)3)脳血管疾患の順になっております。ガンと心疾患は統計的に見ると年々増加傾向にあります。その一方で、脳血管疾患による死亡率は減少傾向にあります。医学が進歩しているにも関わらずガンや心疾患はなぜ増え続けるのでしょうか?それは、ガンや心疾患が心理社会的要因、すなわちメンタル面が関係している可能性があるからです。医学は肉体構造を修復する技術において素晴らしい成果を上げてきましたが、心理社会的要因と病気との関係性を対象にした研究はほとんど進んでいません。恐らくその領域の研究が進んでないが故にガンと心疾患の死亡率は年々増加傾向にあるように思います。

心臓病学は過去100年の歴史でステント、ペースメーカー、冠動脈バイパス手術、心臓移植など科学的な進歩と共に多くの心血管系死亡率の低下に寄与してきました。しかしながら、その進歩を続けるには限界に近づいていると、Dr. Sandeep Jauhar心臓外科医が警鐘を鳴らしています。彼は心臓外科医として20年の経験を持つ医師で、心臓病の問題に対して新しいパラダイムに移行する必要があると述べていました。そのパラダイムとは、医師の間で心理社会的要因を最前線の問題として考えるべきであるということです。

医学雑誌「サイエンス」に掲載された1980年の研究で、研究者らはケージに入れたウサギに高コレステロール食を与えて、心血管疾患への影響を研究しました。彼らはあるウサギが他のウサギよりもはるかに多くの病気を発症したことを発見しましたが、その理由を説明できませんでした。彼らは恐らくウサギとどのくらいの頻度で接触したかに関係があるのではないかと考えました。そこで彼らは同様の研究を繰り返し、1つのグループでは、ウサギをケージから取り出し、かわいがり、話をし、遊んでおり、もう1つのグループでは、ウサギをケージに入れたままにしておきました。その後、彼らは人間の相互作用を受けた最初のグループのウサギは、コレステロールレベル、血圧、心拍数が類似しているにもかかわらず、他のグループのウサギよりも大動脈疾患が60%少ないことを発見しました。

また、1990年にイギリスの医学雑誌「ランセット」に掲載された研究論文では、一つのグループを食事療法や適度な有酸素運動だけ、もう一つのグループを食事と運動にプラスして心理社会的サポートやストレス管理のアドバイスを行なったグループに分けて長期に調査しました。すると食事療法や運動だけでは心臓疾患の予防には至らず、心理社会的サポートやストレス管理の必要性が明らかになったそうです。つまり、運動や栄養バランスだけではなく、人と関わる心理社会的要因が心臓病の予防に大きな影響をおよぼしているということです。このような心理社会的要因は通常の健康診断では分かりません。たとえ健康診断で問題がなくても、もしかするとストレスの影響を受けているかもしれません。大したことがないと思われる症状でも、何らかの不調を身体が訴えているかもしれません。

当院では「心と身体の関係性」=「心理社会的要因」を長年研究しております。様々な心理社会的要因が健康に悪影響を及ぼさないように予防的サポートをさせていただければと願っております。お気軽にご相談ください。

2019年2月5日火曜日

吃音(どもり)の原因

吃音の施術で小学4年生(9歳)の女の子が来院。5歳の頃から症状が出始めたとのこと。日常生活では話しづらいことが多いという。当院に来院する2年前からリハビリテーション病院で言語療法を受け、喋り方の訓練をしているとのこと。症状の経過としては波があり、軽くなったり、ひどくなったりしているらしい。

通院して9回目の時から、本人は「もう、つまったりしていない・・・」というので、以前からあった乗り物酔いの施術を行なった。お母さん曰く、「以前は、他人から見ても明らかに吃音があることが分かったが、今ではそれが分からなくなっている・・」とのこと。しかしながら、時折、つまっていることがあるらしい。以前は、治療院で話を聞いていると明らかに吃音の症状が現れたが、それは確かに無くなっている。でも、どこかの場面で誤作動記憶のスイッチが入るのだろう。次回からはお母さんの記憶を頼りに検査を進めていく予定。

「吃音の原因は何か」という問いに対して、ネットで検索するとその分野に関係する専門家らしき人たちがそれぞれに見解を述べているようだ。西洋医学的な考えに基づいて原因論を捉えている方が多いようだが、シンプルに分けると、身体の構造面、身体の機能面、そして心理面に分けられる。我々のような治療院に来院する吃音の症状を抱えている患者さんのほとんどは、構造的な問題ではないことが多い。

多くの治療者は、心理的な要因が関係しているだろうということは察していても、どのように治していいのか分からないので、発声法などの機能的な改善に目を向けて喋り方などの指導をする。それは原因療法ではなく対症療法なので、なかなか本質的な改善は望めないと思う。では、本質的な原因は何か。原因メカニズムは「身体の機能と心との関係性」による誤作動記憶であると私は確信している。基本的にはゴルフや他のスポーツ競技で知られているイップスと同様のメカニズムで生じると考えているので同じようにアプローチすると結果が伴う。

イップスは、「身体の働き」と「無意識」との関係性で生じる誤作動なので、その誤作動記憶をピンポイントで検査をして調整することが必要になる。症状を抱えている期間が長いほど、誤作動記憶が複雑で複数関係していることが多いが、継続的に調整していけば消去法のように少なくなっていき、それに伴って症状も改善していく。

イップスを改善する際に、「フォームの矯正」や「前向きな心の持ち方」など小手先のテクニックを指導される方もいるようだが、そのような表面的な対症療法でほんとうに効果があるのか疑わしい。治療対象となる相手は「身体機能」と「無意識」の「関係性」である。よって、吃音や発声障害の治し方もイップスやジストニアと同様のアプローチで進めていけば改善される。と、私は信じて治療させていただいている。

2019年1月16日水曜日

精神薬が抗がん作用を持つ・・・

2019/01/07付 西日本新聞朝刊に興味深い記事が掲載されていた。九州工業大の山西芳裕教授が既存の薬で他の病気への効果をAIで解析し、既存薬が別の病気に効くかどうかを予測する「AI創薬」システムを開発した。これまでに、抗精神病薬「フェノチアジン」が前立腺がんに有効。統合失調症の治療薬「ペンフルリドール」が抗がん作用を持つ。腹痛に効く漢方薬「大建中湯」が炎症性大腸がんに有効などと予測した。

私が興味深かったのは、「精神薬が抗がん作用を持つ」ということだ。当院では筋骨格系の症状を主訴とする患者さんが多いが、がんの診断を受けた患者さんも、病院の治療と併用して代替医療の一つの選択として当院を利用されることもある。心身相関の臨床的な探求を続けて20年以上になるが、がんのような自然発生的に生じる病気には無意識的なメンタル面が原因の一つとして関係しているというこということは常々感じていたことではあるし、心と身体が関係し合っている以上関係しないはずはない。

人の主観を排除した、AIによる膨大なビックデータに解析をふまえた研究成果によって、「精神薬が抗がん作用を持つ」ということが分かったということは、長い臨床経験から鑑みても納得のいく成果だと思う。現代医療の多くが身体面と精神面を切り離して治療を進める中で、「身体と心の関係性」を調整する医療の価値がますます高まってくる時代へと進んでいっているのではなかろうか?いや、本質的な原因療法を追求している一人の治療家にとっては、ぜひ、そのような方向性で医療が進んでいくことを願いたい。

2019年1月14日月曜日

毎朝の腰痛の原因は何か?

2ヶ月ほど前から腰痛を発症、特に朝起きた時に腰が痛くて、日常生活での行動に支障があるとのこと。年齢は60代後半。約10ヶ月前から以前行なっていた卓球を再開されたとのこと。来院の前日には病院でレントゲン診断を受け、ギックリ腰の診断。湿布の処方を受けたという。どのように当院を知ったのかお尋ねすると、当院と同じビル内にあるヘルストロンに通っており、そこで偶然に知り合った当院の患者さんに、「とてもひどかった腰の痛みが良くなって・・・腕のいい先生よ・・」などと聞いて来院されたという。

初めて受ける施術なので、最初に検査の手法や目的、施術法などを分かりやすく説明させていただいた。施術前の検査では、腰部や股関節部、さらには膝関節部にも誤作動、機能異常に関連する陽性反応が示された。最初の主訴には記載されていなかったが、「膝のバランスもよくないのではないか?」と質問すると、卓球の練習の際には痛みを伴うという。

初回の施術後には全ての陽性反応が陰性へと転じた。3回目の施術日には朝の腰痛や膝の痛みもないとのこと。4回目の施術日には腰と膝の陽性反応が示されていないので、症状がぶり返した際には早めに来院していただくようにお伝えした。患者さんは、朝の腰痛から解放されて、「毎朝、あんなに悪かったのに良くなって・・・」と、とても喜んでいただいた。

今回の患者さんの主訴は朝起きる際の腰痛であったが、朝起きて首や肩が痛くなったりする人もいる。その際、枕やベットの硬さや柔らかさを痛みの犯人にしてしまう傾向が多くの人にある。先日、たまたま目にした新聞の記事にもそのようなことが当たり前のように記載されていた。その内容は、枕やベットが身体の骨格にフィットするように隙間がない状態が良いというようなことが説明されていた。その解説者の肩書は整形外科医で大学病院の教授。

もっともらしい説明ではあるが、おそらく科学的な根拠はないだろう。私も開業したての頃は、朝の寝違え、あるいは朝の腰痛などの患者さんには、枕やマットが原因ではないかと疑いを持っていたが、よくよく聞いてみると、いつもの枕やマットを使っており、寝具を換えたから痛みが生じたという人はほとんどいなかった。

そうすると「寝る姿勢が悪かったのか・・」となるが、寝ているときは無意識であり、ほとんどの人は無意識的に寝返りをうったり、自然に態勢を変えて、心地よい姿勢になっているだろう。そのような現状を考えると、単純に枕やマットを痛みの犯人にはできないことが分かる。では、何が原因なのか?それは睡眠中に生じている無意識の筋緊張から生じていると私は考えている。これはあくまでも私の臨床経験による推測に過ぎないが、施術効果と照らし合わせても間違いないと確信している。

睡眠中の無意識の筋緊張が影響しているかどうかを検査するのは簡単である。朝起きた際に首の寝違えや腰痛を訴える患者さんが来院された場合、睡眠時の状態を想像してもらい、生体反応検査法を行う。もしも、睡眠時の筋緊張が誤作動として記憶されている場合、陽性反応を示すだろう。

私はこの原因を発見して以来、寝違えや朝の腰痛などの患者さんの治療効果が格段に上がり、改善度も数段早くなった。機械論的に考えると枕やマットが犯人にされやすいが、有機論的に考えると、人間は様々な環境に適応できる柔軟性を備えているということを基本に考えることが大切だろう。また、肉体面だけでなく、身体と心の両面を診ないと部分的な施術になり、症状を長引かせてしまうことにもつながるだろう。

これは、機械論から派生した医療の誤謬のほんの一部ではあるが、少しでも多くの人にそのことを伝えたいと思う。

2018年12月10日月曜日

痛みの記憶と情動

以前、腰痛や肩の痛みで来院された患者さんが、2ヶ月半ぶりに来院。今回は左肩から腕にかけての痛みがあるとのこと。二週間ほど前に寝違えたようで、その後、痛みが改善しないらしい。前回はアクティベータ療法のみで調整を行い、その後の調子は大分良かったとのこと。

今回もアクティベータ療法で、関節系や筋肉系の陽性反応は改善されたが、首から腕にかけての痛みが改善されないらしい。頚椎部に持続圧を加えて検査を行うと陽性反応が示される。そこで情動関連の文字情報を使ったPCRTの言語加算振動法を行う。4つのキーワードで調整を行なった後、持続圧の陽性反応は消失。患者さんも「あっ痛みが楽になった・・」とその場で症状の改善を自覚していただいた。

今回の施術で痛みに関係していた情動に関係する4つのキーワードを患者さん自身には認識してもらうことはしなかった。痛みの記憶に情動が関連している場合、このように情動の文字情報だけで症状が改善するケースと、陽性反応が示されたキーワードに関係する情動の内容を認識した方がさらに改善度が高まる場合がある。

痛みの記憶に関係する情動の内容を患者さんに認識してもらう場合、質問力のスキルが必要になる。もしも、患者さんにあまり質問されたくない傾向がみられたり、術者が質問力に自信がない場合は、文字情報だけの調整で十分に効果は引き出せる。「情動」が絡むと記憶が長期化されるということは科学的な研究でも証明されている。慢性症状の多くが記憶と情動との関係性で条件付けされており、そのための直接的な調整が根本的な改善につながるだろう。

2017年5月8日月曜日

痛みの「記憶」で痛みが再現する患者さん シリーズ1

「記憶」で痛みが再現する患者さん シリーズ1

90歳、女性、趣味で能の舞台にでていて、長年お稽古をされているとのこと。今は痛みのために休んでいる。痛みは七週間前に発症。発症から三週間後に病院を受診。腰部脊柱管狭窄症ではないかということで、痛み止めの薬を処方される。当院を利用していただい方から紹介される。20年ほど前には右膝の手術で入院された経験があり、それ以来、カートを引いて歩いているとのこと。バスに乗っていて、突然痛くなり、思い当たる原因はわからないという。痛みは常に有り、軽減するときはない。症状の経過はだんだんと悪くなってきているとのこと。

早く痛みから解放されたいという思いは伝わってくるが、その手助けをさせてもらう施術者にとって、本当の原因はどこにあるのかを患者さんとともに考えていく必要がある。問診でのやり取りの中で、腰部脊柱管狭窄症の診断は、レントゲン検査だけなので、まだ確定している訳ではなく、MRIなどの検査もした方が良いと言われたらしい。患者さんが「腰部脊柱管狭窄症でなければいいのだけれども・・」と繰り返し訴えるのが気にかかった。

施術テーブルに横になってもらい、常に痛いと訴える痛みの状態を聞いてみると、今はそんなに痛くないという。最も痛い状態が10としたら4ぐらいだという。左股関節の可動域を検査しながら、どんな時に痛みが強くなるのですかと痛みの状態を具体的に尋ねてみると、「・・・アイタタタタ・・・」と急に痛みが強くなった様子。この痛みは通常の性質ではないと感じ、椅子に座ってもらうことを提案。患者さんは我慢できるといわれたが施術テーブルを起こして、椅子に座ってもらった。「痛みが強くなる時は、いつもこんな感じですか・・・」と尋ねると、「そうです・・・」という。では、「どんなときに痛みが軽減するのですか?」と尋ねると、「何か楽しいことをしているときには痛みを忘れている」という。「例えば・・・・のときです。」、患者さんが話をされている途中から「あら、いま痛くなくなった」という。

痛くなくなるときのことを患者さんがしばらく話され、私が「この痛みは患部(痛みの部位)から痛み信号がでるのではなく、脳で痛みを感じている可能性がありますね。もしも、身体の構造的な異常が原因であれば、痛くない時を意識しただけでは痛みが軽減しないですよね・・・」と話すと、患者さんも半信半疑ながらもそのことを理解された様子。それでは、「もう一度、痛みの部位を意識して痛くなってもらえますか?・・・」と痛みの根源を探るためにあえて質問した。すると、「え〜、ちょっと難しいですね(笑)・・・」と言いながらも、「・・・あ、また、痛くなった・・・」と顔をしかめた。

「身体を動かしていないのに痛みがでたり、軽減したりするのは、身体の構造の問題ではないということをある程度理解していただいたでしょうか・・・」と尋ねると、患者さんはしきりに「腰部脊柱管狭窄症でなければいいのだけれども・・」と心配そうにいう。病院の診断に執われているのだと感じ、「高齢であれば、だんだんと骨が変形して、病院で脊柱管狭窄症と診断される人も多いのですが、その骨の変形と痛みとが無関係であることがたくさんの研究で分かっているから心配ないですよ・・」などと、できるだけわかりやすく説明すると、ようやく納得された様子だった。

このようなストーリーを聞くと、意識を変えれば治るのではないかと思われがちだが、そんな単純なことではない。いわゆる「暗示」も関係している可能性もある訳だが「痛いの痛いの飛んでいけ!」とおまじないのように意識を変えるだけでこの痛みが消える訳ではない。この痛みの発生の仕方から明らかなのは、痛みを引き起こすプログラム(神経回路)が脳に記憶されていて、何らかの条件付けで痛み信号が発生するということである。そして、この痛みを引き起こすプログラムには、無意識的な心理面が条件付けされているということ。このようなプログラムをPCRTでは「誤作動記憶」として施術を行う。

どのような条件付けが背後にあるのかを検査するためには、患者さんがその意図を理解し信頼してくださるかが大きなカギとなるだろう。まずは、通常の医療とは異なる「脳の記憶を上書きする治療法」の考え方を理解してもらうことが必要である。患者さんにどの程度理解してもらえるかは定かではないが、今回初めての施術で、痛みの原因の一つが、脳の「記憶」によって引き出されているということは理解していただいた様子だった。


(次号に続く)

2016年10月6日木曜日

痛みで椅子に座れない!

痛みで椅子に座れない!

経緯:

50代女性、3年ほど前に腰椎椎間板ヘルニアを発症して以来、ほとんど寝たきり状態で3年間、良くなったり悪くなったりの状態を繰り返している。痛みは座るたびに発生し、仕事を辞めざるをえなくなった。外食などで外で座ることができない状態。
最初は整形外科を受診し、レントゲン、MRICTなどの検査を受ける。病院での診断は腰椎椎間板ヘルニア。ブロック注射、投薬、漢方などの治療を受ける。その後、整骨院や整体での施術を受けるが改善は見られなかったとこのこと。
娘さんの結婚式が数ヶ月後に控えているので、それまでにぜひ治したいとのことで遠方からの来院であった来院。

初回検査:

神経学的エラー(誤作動)や生体エネルギーブロックを判断する生体反応検査法では、腰椎関節の前後、回旋運動に陽性反応、両股関節の回旋運動に陽性反応。腰臀部周辺の筋膜に陽性反応。子宮の臓器反応点、頭部の臓器反応点に陽性反応を示す。

初回施術:

アクティベータメソッド(AM)にて、ベイシックスキャンプロトコールの陽性反応部位を調整。PCRTにて、幾つかの「信念」に関するキーワードが示されたので、それを認知してもらいながら調整を施す。
初回の施術を終えた時点で、今後の治療計画を提案する。遠方であるため自宅からの通院は不可能なので、当院近くのホテルに宿泊し、一週間集中治療を計画。ご本人自身もおそらくメンタル面も関係しているだろうとのことで、通常の施術を二枠予約していただき、施術とコーチングを織り交ぜて進めていくことにした。

2回目から7回目までの施術:

AMの施術後、心身条件反射療法(PCRT)の施術を併用し、コーチング手法も取り入れながら、誤作動記憶のパターンを調整していった。過去の複雑な人間関係などが施術によって引き出された。チャートを使った言語神経反射検査法で示されるキーワードを参考に質問させていただくことで、奥に隠れていた誤作動記憶が紐解かれていった様子。ご本人自身も陽性反応が示された誤作動記憶の内容が腑に落ちることが多く、誤作動記憶が消去法のように消されていった。施術を重ねるごとに表情も明るくなり、ご自身の治る可能性を信じられてきている様子が伺えた。

1ヶ月後、8回目と9回目の施術:

ある程度座ることはできるが、長時間座ると痛みが生じるとのこと、左股関節や左の踵部分に痛みを訴える。ご自身の潜在感情や信念に対する認識も深まり、自分自身に向き合われている様子が伺えた。長年症状を抱えていたために、現在も、未来も症状があること自体が当たり前のようになっているというエピソード記憶や経験による意味記憶も陽性反応として示されていたので、書き換え可能な意味づけを探して、上書きさせる施術を行った。

考察:

このような慢性症状を改善するためにはいくつかの条件がある。まずは、意識的にも無意識的にも心から治したいという心が一致しているか?わざわざ遠方から来院されるので、治したいのが当然でしょ!と、考えるのが普通だろう。しかし、人間の脳はそれほど単純ではない。頭では強く治したいと思っていても、心の奥では治ること自体が信じられない人や治らないことが正当な理由になっていたり、精神的な利得になっていたりしている人もいる。

次に身体的な問題が、無意識の心にも関係しているということが、心から理解できるということ。最後に自分の心に向き合おうとする覚悟があるかどうか。もしも、無意識の心が症状に関係しているということが分かった場合、自分自身の心に向き合う必要がある。本症例が段階的に改善していった理由の背景には、患者さん自身が自分と向き合う力、すなわち「自己認識力」が施術を通じて徐々に高まっていった要因が伺える。本症例での改善への一つの要因は、数ヶ月後に控えていた娘さんの結婚式に出席したいという「ゴール」があったことだろう。

今回のような腰痛症状に限らず、何年も症状を抱えて辛い思いをされている患者さんは、病気を克服すること自体が「人生の生きがい」かのようになり、病気が治った後の空白の状態をどのように埋めていくのかが見えずに、闘病生活という人生の生きがいに逆戻りしてしまう人も少なくはないようだ。

一般的には、このような本質的な因果関係まで語られることはないだろうが、人間には本来、自然に治る力が平等に与えられているという前提にたてば、それを制限する複雑な無意識の心との関係性は無視できないだろう。

患者さんからは結婚式の後、以下の感想とお礼のメールをいただいた。初めての治療体験で、最初は戸惑いもあったかと思われるが、最終的には当院での治療の意図をしっかりと理解していただいたことで、ご自身に向き合う力が引き出され、良い結果につながったのだろう。

術後の患者様からのメール :

 3年前に腰椎ヘルニアを発症し、以後何度も再発を繰り返すうちに、ヘルニアは完治しても痛みだけが残る慢性疼痛へと変わっていきました。四六時中、身体にガラスが刺さっている感じで5分と座ることもできませんでした。あらゆるドクターショッピングを繰り返し、ネットで先生のところにたどり着きました。

2カ月後に控えた娘の結婚式に出席したい一心で先生を訪ねました。先生はどんな感情が痛みにつながっているか身体を検査しながら、私の潜在意識をあぶり出して下さいました。私は幸せになってはいけない、自分への怒りなど、普通では決して気づかない感情に向き合うことになりました。治療後の身体はもう何年も味わったことのない軽やかそのものでした。

遠方でしたので1週間滞在し、帰るころには短時間ですがカフェでコーヒーを飲めるまでになりました。翌月も滞在して治療し、自宅ではいつも自分の感情に向き合う癖をつけるようにしました。おかげさまで見事、娘の結婚式に出席できたうえに、途中横になることなく最後まで見届けることができました!大変嬉しかったです。


以来、自分というものを常に意識しながらできるだけ感情と行動を近づけていく努力をしています。先生やスタッフの方には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。』

2016年8月22日月曜日

オリンピック選手のコメントに変化が・・・


今日でリオのオリンピック閉会式を迎えました。今回のオリンピックは単に競技だけでなく、選手のメンタル面に興味が注がれました。先日、たまたま目にしたオリンピックのテレビ番組で、重量挙げの競技で銅メダルを獲得した三宅宏実選手が試合後のインタビューを受けていました。インタビュアーが、「最後は、どのような心境で競技に臨んだのですか?」と質問すると三宅選手が「2回目は失敗しているので、後は、天に任せるだけで・・・」というようなコメントしていたのが印象的でした。大会前に腰痛が悪化したとのことで、恐らく最後は開き直って「無心」で挑戦したのでしょう。

最近、スポーツのメンタルトレーニングやコーチングなどの手法がだんだんと広く浸透してきているのか、スポーツ選手のコメントに変化が表れているように感じます。オリンピック選手ともなれば、国レベルの期待や世界からの注目度から生じるプレッシャーは、計り知れないものがあるとオリンピックを経験した多くの選手は語っているようです。「オリンピックには魔物がいる」と、体操で金メダルを獲得した内村航平選手が話していたそうですが、後に「魔物は自分自身で創りだしている」ということが分かったらしく、後輩の白井健三選手にアドバイスしていたといいます。

通常、ミスするはずのない場面でミスをしてしまうと、「何かにやられた!」と思いがちになり、「魔物」などのせいにしたくなりますが、実は自分の無意識が引き起こしているのです。「魔物」というのは、私なりに表現すると「無意識の誤作動」なのですが、この誤作動が生じる傾向は、深い心理面に関係するようです。私の心身相関に関連する臨床経験でも多くのスポーツ選手が、本来の実力が発揮できなくなるような誤作動記憶のパターンが浮き彫りにされることがあります。

選手それぞれに異なる誤作動記憶の背景がありますが、多くの傾向として、優勝して自分がチャンピオンの立場になると、「守り」に入ってしまう傾向があるようです。「守り」と対照的になるのが「挑戦者」の精神です。試合のパフォーマンスをサポートさせていただいている選手には、次の対戦相手やパフォーマンスを想像してもらい、心身相関的に「誤作動記憶」がないかどうかを検査します。自分の置かれた立場や地位を守るような気持ちで試合に臨むイメージをすると誤作動反応が示され、挑戦者の気持ちで試合に臨むイメージをすると、誤作動反応はなくなる傾向があります。

多くの選手は勝つために試合をしているので、「絶対に勝つ!」という意気込みで試合に臨むわけですが、「絶対に勝つ」という意識は身体機能に誤作動を生じさせやすくなる傾向があります。それよりも、「普段の練習通り」という思いで試合に臨むと、本来の実力が発揮され、理想的なパフォーマンスができる選手が多いようです。

今回、惜しくも4連覇を逃した吉田沙保里選手の試合直後のコメントから察するに、「・・・で申し訳ないです」あるいは、「日本選手の主将として、金メダルを取らないといけないところだったのに、ごめんなさい」というようなコメントは、多くのプレッシャーを背負って臨んだことが伺えます。もしも、「普段の練習通りに・・・」という思いだけで戦っていたら本来の実力が発揮できていたのかもしれません。それは単なる勝手な予測にしか過ぎないですし、相手がいる競技ですので、相手の実力が上回っていたのかもしれません。

「勝っても負けても、今まで練習してきた通りに全力が出せる」と、心の底から思えることができればいいのかもしれませんが、無意識の心はそれほど簡単ではないようです。

選手によっては、「周りからの声援が大きいほど、実力がだせる」という傾向の人もいますが、本番での無意識の誤作動記憶のパターンがあるかどうかは、事前に検査をすれば分かります。孫子の兵法に、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」とあります。敵の実力やメンタル面も含めた現状をしっかりと把握し、自分自身の実力や深いメンタル面も良くわきまえて戦えば、勝ち続けることができるということです。

昔から武道においても「無心」になることが重要視されています。スポーツ選手が勝利したとき、「無心で走りました!」「何も考えていなかったです!」などという「無心」であったであろうコメントを聴くことがあります。恐らく、それは「ゾーン」か「フロー」といった状態の時のことで、そのときに多くの選手はピークパフォーマンス、すなわち最高のパフォーマンスが発揮できるとだといわれています。

スポーツ選手をサポートする治療者として、単に肉体面だけでなく、このような隠れたメンタル面のケアができるかどうかはとても重要な役割になると思います。多くの治療者がもっと本質的なところに興味をもっていただき、活躍する選手の縁の下の力持ちになってくれればと願います


2016年7月29日金曜日

再学習記憶による「治る力」を信じて健康を保ちましょう

もしも、多くの慢性疾患や難病が、「脳の誤作動記憶」から生じているとしたらどうでしょうか?「脳の誤作動記憶」とは、心と脳と身体の関係性で創られる誤作動記憶の事です。病気の原因が「記憶」にあるとすれば、「記憶」を書き換えれば新しい脳の神経回路が創られて症状や病気が改善されるということになります。脳には可塑性といって、脳梗塞などで一部の脳が損傷されても、リハビリ運動などの機能回復訓練でその機能を補う新たな神経回路が創られいるとうことが医学的にも知られています。

脳梗塞などによって受けた機能障害は目で見ても分かるような症状ですが、医学的な検査では原因が分かりにくい慢性症状もたくさんあります。その多くの慢性症状が、無意識的な脳の誤作動記憶によって生じます。原因が「記憶」という脳の神経回路にある場合、肉体内の構造異常を見つける医学的検査では判断することはできません。また、症状や病気の原因を探索する際、多くの医療では、肉体内だけの構造異常や機能異常を探そうとして、身体と心の関係性にまで目を向けることはほとんどありません。

「心が関係する?」と聞くと、多くの人は心がいいとか悪いとかに意識が向けられます。しかし、心がいいとか悪いとかで病気や慢性症状を引き起こすわけではありません。症状に関係する心のほとんどが無意識的な心です。つまり慢性症状のほとんどは無意識的な様々な誤作動記憶によって生じると考えられます。さらに広い視座に立てば、意識と無意識との心がうまくつながらないことによって不調和が生じてしまうということです。

誤作動記憶とは、知らない間に身につけてしまった間違った身体の働きの『クセ』といういい方もできます。『クセ』とは、脳と身体に習慣的に学習された記憶の結果もたらされる自動的な働きです。その『クセ』は自分の意志とは無関係に作動してしまい、意識的にはどうすることもできません。このような病気や症状を引き起こす『クセ』を改善させるためには、意識ではなく、無意識に働きかける必要があります。

無意識的に生じている身体の働きの異常を改善させるためには、まずは無意識の誤作動に対する検査が必要です。その検査をするためには、「身体を使った検査」、すなわち、身体に『刺激』を加えて、身体がどのように『反応』するかを診る「生体反応検査法」がとても大切になります。この検査法がスムーズに進められると、治療効果も高まり、症状も段階的に改善されていきます。慢性症状はこのような無意識的な心身の学習記憶によってもたらされた結果であるという前提に立てば、再学習し、記憶すれば治るのが当たり前ということになります。

本来、治る力は平等に与えられています。ご自分自身の「治る力」、再学習記憶できる力を信じて健康を保ちましょう。

2016年6月22日水曜日

「キラーストレス」によるこころと身体の関係性

NHKのスペシャル番組で「キラーストレス」について紹介されていた。ここ数年、心と身体の関係性による健康問題に関する番組も増えているが、今回のNHKの番組では、命にも関わるストレスということで、さらに一歩踏み込んだ内容で番組が構成されていた。世界の最前線で研究をしている研究論文と、一般の人にもなるほどと思わせる仮説を題材にして分かりやすく説明され、バランス良く番組が構成されており、さすがHNKだなと感心させられた。

例えば、「数万年前、狩猟をして暮らしていた私達の祖先は、猛獣などに襲われる危険があるため、危険を感じたり怪我をすることを想定して体が一足先に反応、血を固まらせたり、血圧を上昇させて全身の血の巡りを良くし瞬時に反応できるようにしている。」という仮説もなかなか説得力があった。

自然治癒力を引き出す治療家としての立場で本質的な原因療法を追究し続けていると、がんや心筋梗塞、脳梗塞の患者さんに遭遇することも度々で、ほとんどのケースが何らかのストレスが関係していることは明らかである。健康問題を単に肉体への物理的刺激にだけにとどまるのではなく、運動面や栄養面など生活習慣全般を幅広く追究していると、根幹となる慢性病の原因はやはり、心身相関というこころと身体の関係性にあると今でもその効果的な治療法を研究し続けている。

しかしながら、心と身体を切り離して考える機械論的な医療が主流となっている現代社会においては、まだまだ、「がんや心筋梗塞が身体の問題だけでなく、こころとの関係性が大きく影響を及ぼしている」ということが当たり前には語れないのが現状である。多くの人が、肉体だけの問題、あるいは、食生活や運動不足などの生活習慣病にとどまり、心の習慣=無意識の心の習慣というところまでには関心が及ばない。

数年前に、HHKの番組内容が裏付けとなるような脳梗塞の患者さんに遭遇したことがある。頭ではストレスの対象となる人を受け入れているつもりでも、無意識はかなり強い抵抗があったようだ。恐らく、本能的に自分の身を守るため、血を固まらせるようなシステムが働いたのだろう。PCRTの検査ではある人に対するストレス反応が毎回繰り返されていた。意識と無意識との調和の治療が追い付かずに脳梗塞を引き起こして病院での治療を受けた。その後、病院での治療と並行しながら、本質的なストレスの原因治療も継続し、数か月後には後遺症も残らず元気に回復した。危うく命も失いかねない状況で、ストレスという目には見えないエネルギーの強さを改めて感じた。

そのような病的なエネルギーのアンバランスはエネルギーブロック(EB)として、PCRTの検査で陽性反応が示される。心筋梗塞やがんの手術で悪いところを外科的に取り除いたとしても、本質的な原因が脳に記憶されていれば、生体反応検査法では陽性反応として示される。対症療法で改善されたとしても原因療法から診た観点では本質的には改善されていないということになる。対症療法でその場はしのげても、再発するかもしれないし、他の病気へと変容するかもしれない。今回のような番組を見て、視聴者はどのような感想を持ったのだろうか?多くの視聴者が、心と身体の関係性に興味を持ち、本質的な原因療法に関心をもってくれることを願う。

ちなみに、下の写真は、キャロル・シャイブリ博士がマカクザルでストレスと階層間の相関関係を調査した結果を証明する動脈の組織標本。 左は従属者のマカク動脈(ストレスを感じている)、右は支配者のマカク動脈。支配者のボスザルには動脈硬化の徴候は見られず、ストレスを感じている下階級層の従属サルに動脈硬化の徴候が見られたという。


2016年6月18日土曜日

霊的な影響に受ける患者さんにはどのようにアプローチするのか?

長年、治療者の先生方を対象にセミナーを行っていると、様々な質問を受けます。その中でも多くはないにしても繰り返し受ける質問があります。それは、「病的に気の重い患者、霊的に何かを感じる患者などを施術した後は、毎回その人の悪い気を受けて具合が悪くなることがあるのですが、何かいい対処法はないでしょうか?」というものです。この質問は、「悪い気(邪気)」や「霊的な気」が存在し、その気を受けるとウイルス感染を受けるかのように病気になってしまうと信じている方です。この霊的な影響を受けるという信念は、治療者だけでなく患者さんにも時々遭遇します。

もしも、そのような信念を持っている治療者や患者さんに相談を受けた場合、まずは邪気を受けないようにしたいのかどうかを尋ねます。そうすると多くの人は「受けないようにしたい」という意思を示しますが、受けなくするという意味は、今まで信じてきた信念を書き換えいるということでもあります。詳しく質問をすると、今まで信じてきた信念や感覚を無くすることに抵抗を感じている場合もあります。

例えば、霊的な邪気のようなものを視覚的に見える人、あるいは体感覚的に感じる人や嗅覚的に感じる人など感じ方は様々です。そのような感覚は何か特別な能力として持っておきたいという人も少なくはありません。つまり、「邪気を受けなくする」ということは、霊的な感覚もなくなるという意味にもつながるので、そのような能力は持っておきながら邪気を受けないようにしたいという人もいるでしょう。このような相談を受けた時、まずは、その人が信じている霊的な影響に関してお尋ねし、そのうえで今まで信じた信念体系を書き換えたいという前提で、邪気を受けないための施術を行います。

霊的な存在、すなわち非科学的なモノを真っ向から否定する人にとってはこのような悩みは起こりえません。それは、その人の信念によるものだからです。邪気を感じることが科学的に証明できないから正しくないとかの問題ではありません。「真実」と「事実」の解釈に違いがあるように、どちらも正しいのです。「真実」とは人間の頭の中で起こった出来事で、「事実」は現実に起こった出来事で、どちらもうそいつわりでない本当のことなのですが、「事実」は客観的に誰もが同じように感じているという意味合いを持ち、「真実」は主観的に見た人、触れた人によって感じかたが異なるという意味合いを含んでいます。

邪気を感じるか否か、あるいは邪気に影響を受けるか否かは、その人の培ってきた信念体系に関係するので、邪気を受けないようにするためには、その人が信じている霊的な情報に対して質問することから始めます。信じている人の多くは、幼いころからスピリチュアル的な環境の中で育ってこられた方が多いようです。中には人生の指針となる大切な教義を大事にしておられる方もいます。大切な教義は持ちながらも、健康に影響を及ぼすような邪気からは切り離したいという人もおられます。基本的には患者さん自身が現状を把握して、どのように信じていきたいかということです。特殊な感覚がなくなることで、大切な教義や信仰がなくなることではないので、誤解のないように説明しなければなりません。

このような霊的な邪気によって健康を害している人に限らず、その人が知らず知らずに信じてきた信念体系が健康を損なう原因の一つになっていることは少なくはありません。目に見えるモノだけが病気の原因に関係しているわけではありません。むしろ目には見えない無意識的なモノの方が大きく健康に影響を及ぼしているということを多くの治療者や患者に知っていただきたいと願います。

2016年4月25日月曜日

疾病利得」にも対応できる治療者を目指して!


有名なフロイト博士やユング博士と並ぶ精神医学・心理学界の巨人の1人、アルフレッド・アドラー博士は以下のようにコメントを述べています。

『敗北を避けるために、時に人は自ら病気になる。
「病気でなければできたのに・・・・」
そう言い訳して安全地帯へ逃げ込み、ラクをするのだ。』

さらに、「人は人生の敗北を避けるために、あらゆるものを利用する」とも述べています。

これを心理学では「疾病利得」といいます。

病気で苦しんでいるのになんてことを言うんだ!そんな話は聞きたくもない!と憤慨する人がいるかもしれません。特に保険診療ではなく、自分のお金と時間を使ってくる自由診療の患者さんにとっては、あり得ないテーマだと思われがちです。しかし、一般的に心理的要因が影響を及ぼすことが知られている「うつ病」、「パニック障害」、「機能性胃腸症」以外にも様々な慢性症状の背後には「疾病利得」が関係していることがあります。

当の患者さん自身は、そのようなことは意識する由もなく、病気を治すことに一生懸命で、「病気さえ治れば・・・ができる」という思いの人がほとんどです。「その病気には「疾病利得」が関係しているかもしれません・・・。」などと治療者にいわれたりすると、信頼関係が悪くなることが予測されます。なぜならば、「疾病利得」に関する一般的な印象が、「ずるい」、「甘えている」などのネガティブな要素を含んでいるからです。

この「疾病利得」が関係する症状で厄介なのは、本人が偽っているわけでもなく、実際に身体に障害を引き起こしているというところです。「疾病利得」が関係していなければ治る症状も、この「疾病利得」が背後にあるから症状がぶり返してしまうのです。この「疾病利得」は、緊急事態でない症状も多々ありますが、時には命さえも脅かす症状を引き起こしてしまうのです。

「疾病利得」が関係する慢性症状の傾向として、ある程度の通院期間の間に共通する傾向が見えてきます。


  • 肉体的な原因や治らない医学的な理由(身体の異常)には興味を示し、本質的な心理的な原因や理由(心の関係性)には興味を示さない傾向。
  • 複数の症状を抱えて、改善している症状があるにも関わらず、改善されていな症状に注意を払う傾向。
  • しばらく通院されて改善されてきた徴候が増えてきたときに症状がぶり返す傾向。


「疾病利得」が単にいいとか悪いとではなく、その背後にはそれなりの意味や「成長の種」が隠されているのだと私は思います。また、人間であれば、多かれ少なかれ誰もが無意識的に経験している心身相関のプロセスだと思います。

「疾病利得」を客観的に判断できる治療者はごく僅かかもしれません。また、「疾病利得」の背後にある潜在的な感情や信念に関してアプローチできる治療者もごく少数でしょう。PCRTの治療者の場合、熟練してくると、「疾病利得」の関係性が見えてくるようになり、患者にそのことを知ってもらうべきか否かに悩まされることもあるかもしれません。

PCRTでは「無意識」という慢性症状の本質を対象に検査をしているため、「疾病利得」をある程度の客観性をもって判断できる検査手法があります。その検査をするか否かは、術者の判断と患者さんの同意によります。この検査をする前提条件として、治療者と患者との強い信頼関係、それに加えて、患者自身がそのことを認識し、その「疾病利得」サイクルから抜け出すことで、将来的にそれを超える利益を得られるということが求められます。

その利益とは、表面的な利益、すなわち頭だけで求めている利益ではうまくいきません。意識的にも無意識的にも心の底から求めているということが必須条件になります。つまり、「疾病利得」とは症状や病気を繰り返す負のサイクルパターンの中で、何か得られるものが潜在的にあるということです。よって、そのパターンから抜け出すためには、負のパターンにとどまる以上に得られる利益が必要になってくるということです。

「疾病利得」に対する患者さんへのアプローチは、治療者にとっても、患者との信頼関係を無くすかもしれないというリスクを伴うものです。この分野へのアプローチを試みる場合、ある程度のPCRTの熟練と経験が必要です。単に、患者さんにそのような傾向があるからと言って、すぐにアプローチできるようなテーマではありません。

上記のような情報のお膳立てができていて、しかも、患者さんがそのパターンから心の底から抜け出したいという意向がある場合に限って、PCRTではコーチング手法を織り交ぜながら患者さんをサポートすることができます。

PCRTという治療法は、本質的なアプローチを行うために、熟練すればするほど、無意識が引き起こす症状や病気につながる生体反応や行動パターンが見えてきます。見えるからと言って、すぐにアプローチできるとは限りません。負のサイクルから抜け出す準備と条件が患者に満たされているということが前提として必要になるということです。

「疾病利得」という厄介な問題に触れなければ、悩む必要もないかもしれません。しかしながら、本質を見ようとする治療者であれば、避けて通れない課題だと思いますし、「疾病利得」へのアプローチに挑戦する価値は大いにあると思います。

全ては患者が選択する事なのですが、単に心の問題として切り離すのではなく、患者に寄り添いながら、負のサイクルから抜け出す選択肢を提供できる治療者であるのかが重要な課題だと思います。自然治癒力の関係する慢性症状を対象とする治療者にとって、心と身体の関係性を検査し、治療できる知識と技量の研究は生涯のテーマだと私は思います。

2016年4月5日火曜日

PCRT症例報告【チック症状の改善】(ジストニア)

【はじめに】

3歳9か月の男の子とその母親が、チックと吃音障害(どもり)を改善したいとのことで来院。母親によると、3歳4か月の時からチックの症状が顕著になりはじめたとのこと。目をパチパチしたり、不安で緊張が強くなると右手でグーパー、グーパーしたりする。毎日、夕方にテレビを見ているときに胸をブルブル震わせるのを無意識に繰り返す。母親が忙しくてかまってもらえないと不安になる様子。日々、観察しているとだんだんとガクガク身体を震わせる感じに変わり、心配で小児科を受診し、その映像場面を医師に見せると、てんかん発作ではなく、チックのようなものだろうといわれたとのこと。小児科医のアドバイスで夕方のテレビは見せていない。ひどくはないが、吃音(どもり)も少し出ている。4月から幼稚園の入園で不安もあり、体験入園でも目をパチパチさせていたらしい。

原因として考えられる家族の関係があったらしい。チックの症状を発症する以前、上の兄(9歳)のアトピー症状がひどくなり、強迫性障害も合わせて発症。アトピー症状改善のために、しみる温泉水をかけるときに大声をだすなど、兄が精神的に不安定状態だった。母親も兄のことが不安で兄にかかりっきりだったとのこと。また、兄の温泉治療で弟を実家に預けて寂しい思いをさせることが多かったらしい。本来はとても明るい子供だったのに、チックの症状が出始めたと同時期位に性格も暗く、不安げになり、赤ちゃん返りのように母のおっぱいを吸うようになった。なるべく不安にさせないようにして、兄の症状も改善し、フラワーエッセンスをとるようにして、以前よりは改善したとのこと。

母親の思慮深いサポートもあり、代理検査などを通して段階的に改善された症例を報告する。

【初回施術】

〔目安検査〕
エネルギー系:第4チャクラ、第6チャクラ

〔EB特定検査〕

第4チャクラ
→信念→「慈悲心」(お母さん)→A君に対して~してあげたい→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
→信念→「羞恥心」→恥ずかしと思っていることPCRT呼吸振動による施術→陰性反応

第6チャクラ
→信念→「慈悲心」→A君がお兄ちゃんに対して心配していること→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
→信念→「同情心」→A君がお兄ちゃんに対して・・・→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了

【2回目:4日後】

〔目安検査〕
エネルギー系:第4チャクラ、第6チャクラ

〔EB特定検査〕
第4チャクラ
→信念→「復讐心」(お母さん)→一年前の過去の友人に対して→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

第6チャクラ
陰性反応

施術終了

【3回目:3日後】

〔目安検査〕
エネルギー系:第4チャクラ、第6チャクラ
症状イメージ

〔EB特定検査〕

第4チャクラ
→感情→「恐怖」→お兄ちゃん→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
症状イメージ
→目のチック症状→信念→「復讐心」→お兄ちゃん→→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了

【4回目:5日後】

〔目安検査〕

肉体内外EB:第6チャクラ、第4チャクラのEB消失
症状イメージ→目の症状

〔EB特定検査〕

症状イメージ→目の症状、口の症状
→信念→「復讐心」→お兄ちゃんとけんかをすると負ける、物の貸し借りで我慢していること→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
テレビを見ているときの症状
→信念→「復讐心」→以前、保育園に預けられたこと→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了

【5回目:5日後】

〔目安検査〕
肉体内外EB:第6チャクラ
症状イメージ→目の症状、口の症状

〔EB特定検査〕

症状イメージ→目の症状
→信念→「自省心」→保育園で人が怒られるのを見て自分のことのように当てはめて反省する→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
→慈悲心→「慈悲心」→お兄ちゃんがお母さんに怒られるのを可愛そうに思う→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了


【6回目:4日後】

〔目安検査〕
肉体内外EB:第6チャクラ
症状イメージ→目の症状→陰性症状、口の症状→陰性症状
症状イメージ→視力調整

〔EB特定検査〕

第6チャクラ
→「信念」→「同情心」→昨日のお兄ちゃんに関するトラブル→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

症状イメージ→視力調整(遠近刺激)
→感情→「意欲」→何に関しても一生腱命に集中する→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応

施術終了

チックの症状も軽減し、それに伴ってお子さんの表情が以前のように明るくなって良かったとの報告をいただく

【7回目:10日後】

〔目安検査〕
肉体内外EB:頸椎後部

〔EB特定検査〕

肉体内外EB:頸椎後部
→警戒心(母親)→子供達に対して厳しくする加減
→エピソード記憶→不安そうに息子さんを見ている自分→陽性反応→安心して息子さんを見ている自分→陰性反応→パターン呼吸振動法にカラー情報を加えて、陽性反応(赤)か陰性反応(緑)のパターン変換にて調整→陽性反応の陰性化

施術終了

【8回目:7日後】

お母さん曰く、全体的にチックの症状は改善されているが、口をモグモグしているときがあり、それがチック症状なのか、単なるクセなのか気になるとのこと

〔目安検査〕
症状イメージ:代理検査

〔EB特定検査〕
症状イメージ:代理検査
→恐れ→お兄ちゃんの声→PCRT呼吸振動による施術→陰性反応
エピソード記憶
→口をモグモグしている自分の姿(鏡を使用)→陽性反応→普通の自分の姿(鏡を使用)→陰性反応→パターン呼吸振動法にて陽性反応パターンから陰性反応パターンに変化して調整→陽性反応の陰性化

施術終了

【9回目:8日後】

〔目安検査〕
症状イメージ:代理検査
→口のクセ
→眠たい時→陰性反応
→怒られるとき→陰性反応
→お母さんが息子さんの症状を気にしている自分を客観視→陰性反応

施術終了

全般的にチック症状が改善され、お母さん自身も安心している様子なので治癒として様子を見ることにする。

【考察】
本症例で、順調に改善方向へと向かった背景に、PCRTに対する母親の理解と関わり方が影響を及ぼしているように思う。子供の治療と並行して、母親にも治療を受けていただき、AMとPCRT併用による治療効果を体験していただいた。施術者側の印象として、施術者、施術法に関して深く信頼を寄せていただけていることが感じられた。
チック症状を改善させるために、肉体面だけのアプローチでは改善が見込めないということは、一般的にも知られるようになっているのではなかろうか?西洋医学では精神面に作用を及ぼす薬物療法も行われているようだ。PCRTでは、心身相関に関係する誤作動記憶に直接アプローチするため、何が原因に関係し、関係していないかが検査で分かる。PCRTはこのような心因性が関係する症状に関しては、本質的、かつ合理的な治療法といえるだろう。







2015年10月28日水曜日

治療効果を引き出す「エネルギー医学の目」「心身相関医療の目」「脳科学の目」

最近、「患者教育手法」が治療効果を引き出すうえで必修条件になるということをつくづく感じる。特に心身条件反射療法(PCRT)のように、通常医療とは異なる考え方で治療を提供する場合、多くの患者さんが一般常識的な「西洋医学の目」で診てもらうことを期待しており、最初は不思議な治療と思われる傾向が強い。また、施術者も「西洋医学の目」で診る知識や検査技術を訓練することで、患者さんからの信頼を得ようとする傾向があるだろう。それも大切な信頼関係になるかもしれない。

その一方で、西洋医学的に基づく一般常識的な知識が、自然治癒力を妨げていることも少なくはない。例えば、身体の構造面や機能面ばかりに目を向けて、「心と身体の関係性」には目を向けようとしない。あるいは身体の不調は、身体の構造や機能異常だけにあるという思い込みが強い場合、その「信念体系」は自然治癒力の妨げになることがある。

例えば、先日来院された中学生女子の場合、病院で腰椎分離症と診断を受け、3か月間ほどコルセットを着用していたそうだ。腰痛は約一年半前から、肩関節の痛みは5か月前からあり、頻繁に痛みを繰り返しているとのこと。週に5日バトミントンの練習を行っており、特定の動きができなくなっているらしい。

初回の施術では、肉体面の機能異常障害を脊柱中心にAMで調整した後、さらにメンタル面との関係性による誤作動記憶の調整を行った。特に「恐れ」に関するキーワードは、肉体面に影響を及ぼしていた様子。症状が改善されないことによって、バトミントンの試合に負け、さらには練習が楽しくなくなり、最終的にはバトミントンを辞めることになるのではないかという未来へのネガティブな空想が関係していた。

2回目、8日後の来院日、初診時の症状はかなり改善されていたが、腰に違和感があるとのこと。PCRTの検査をしてみると、「意味記憶」の誤作動が関係していた。脊椎分離症との診断を受け、無意識的に動きを制限していたようだ。「意味記憶」とはどのような影響を及ぼすのかという本質を分かりやすく説明して調整を行った。

その後、二回ほど来院され、腰痛や関節痛はほとんど良好とのことで喜んでいただいている。もしも、このような「意味記憶」による誤作動記憶の調整をしていなければ、恐らく腰痛の慢性化は継続していただろう。施術によって肉体面のバランスをしっかりと調整しても、無意識の脳は、繰り返し慢性症状を引き起こさせていただろう。

このように、慢性症状を本質的に改善させるためには「意味記憶」や「エピソード記憶」に関係する誤作動記憶の調整はとてもパワフルだと感じる。ただし、このような治療法はほとんど一般には知られていないので、「西洋医学の目」で診てもらうことを期待している患者さんにはあまり効果が引き出されないかもしれない。

PCRTの「誤作動記憶を調整する」という治療法の意図や理屈をある程度納得していただけているかどうかは、治療効果を引き出すための前提条件になるだろう。PCRTの治療法の説明、いわゆる「患者教育」は、患者さんとの信頼関係を築いて治療効果を引き出すためにはとても大切な要因になるだろう。PCRTを希望される患者さんには「エネルギー医学の目」「心身相関医療の目」「脳科学の目」で診ているということをしっかりと理解していただけるように努めたい。

次回のPCRT研究会では、PCRTの患者教育手法や「意味記憶」や「エピソード記憶」の上級編もご紹介させていただく。

2015年5月7日木曜日

関節リウマチ症状の改善 !!

来院時所見

年齢65歳、男性、17~8年前より発症し、常にどこかの部位に痛みを感じるとのこと。病院にて検査を受け、関節リウマチの診断を受ける。痛み止め、湿布で症状の緩和に努めているとのこと。

両中手指節関節の腫脹、やや発赤、関節変形を認める。痛みのため拳を握れない状態。特に左手が顕著で運動制限あり。両膝関節痛、特に左膝関節の屈曲時に疼痛が顕著で運動制限あり。

経過

施術法は、アクティベータ療法(AM)とPCRTを併用。初回からAMの後に、メンタル系と抑制系の施術を行う。3週間後の3回目の来院時、特に手指の関節痛が明らかに改善されたとのご報告をいただいた。実際の所見でも、初回に見られた腫れもほぼ消失し、疼痛による運動制限もかなり改善されていた。

9回目の施術から、左膝の症状のぶり返しが生じていたが、症状をぶり返す『誤作動記憶』のパターンを消去することで、徐々に改善され、症状のぶり返しはほぼ消失した。13回目の治療を終えた時点、ご本人も症状の改善を自覚されており、完全ではないにしろご自分の身体に自信が持てている様子だった。今後は、施術の間隔を少しずつ開けながら、メンテナンス的に継続治療が望まれるだろう。

考察

関節リウマチは膠原病の一つで、一般的に完治することは困難だとされる自己免疫疾患である。確かに薬物療法だけに頼ればそうかもしれないが、肉体だけの問題ではなく、心身相関的に心と身体の関係性を含めた検査と施術を行えば、決してそうとは言えないだろう。原因が、神経と筋肉との関係性、心と脳の関係性というように、『関係性』という視点と、『誤作動』は記憶されているという視点をもてば、自己免疫疾患も改善することが普通といっても言い過ぎではないかもしれない。別の言い方をすれば、「関係性」や「誤作動記憶」という視点を持たないがゆえに、治せる病気も治せないと考えたほうが本質的だろう。

本症例の患者様をご紹介して下ったのはその方の息子さんで、その息子は、遠方でアクティベータ療法とPCRTの施術を行っている治療院で改善された経験があり、その信頼のつながりで来院して下さった。治療効果の裏には「信頼」というベースが必ず存在している。「信頼」という強固なベースがあれば、難病とわれる様々な自己免疫疾患も改善される可能性は十分にある。

2015年3月27日金曜日

難治性の蓄膿症

30年以上も前から慢性的な蓄膿症の症状で悩まれているとのことで来院。5回目の来院でしたが、蓄膿症だけでなく、他の症状も改善されたとことで、大変喜んでいただきました。施術を受ける前に、拙著「体の不調は脳がつくり、脳が治す」を読んでいただいていたとのこと。PCRT療法に対する理解と信頼関係もうまく構築されたように思います。メンタル面だけではく、様々なアレルギー情報も関係していました。

長年抱えた慢性症状にも長年抱えるだけの「学習記憶」があり、その誤作動の記憶をひも解いていくことで症状も徐々に改善されました。心の奥に隠れている潜在的な感情や心の構造をご自分で認識することで、様々なメンタルブロックが解除され、本来の自然治癒力が引き出されたようです。このような治療効果も「信頼関係」があってのことです。患者様と術者間の信頼関係、ならびに自分自身の治る力を信じるということはとても大切なことだと改めて感じさせていただきました。


2015年3月26日木曜日

からだの「慣れる力」

「慣れる力」は、「健康」と密接に関係します。

「慣れる力」は「適応力」に言い換えることができます。慣れる力、あるいは適応する力が強い人と弱い人では、どちらが健康的になれるでしょうか?

「5月病」といって、新入生や新入社員が新しい環境の変化に適応できずに、メンタル面や身体面に様々な症状を引き起こすことは良く知られています。また、「空の巣症候群」といって、50代の女性によくみられ、子育てが終わり、子供が家を巣立っていったあたりから、空虚感的な変化に適応できないことでメンタル面や身体的な症状を伴います。

このように、メンタル面的な要因が明確な場合だけに「適応力」が関係するとは限りません。例えば、「花粉症」などの症状も、身体が花粉にいかに慣れるかで、症状が良くなるかどうかが決まります。多くの人は、なるべく花粉を吸引しないようにマスクをするなどの対策を取ります。すると花粉の時期には、毎年マスクをするのが当たり前になります。

ファミリーカイロでは、マスクから解放された患者さんがたくさんいらっしゃいます。4年前から花粉の時期にはマスクが欠かせなかったという患者さんが、当院の治療で根治して、「何年もマスクをしていた時期は何だったのだろう?」といわれていました。現在の一般的な医学情報では花粉症の治療は、対症療法しかなく、治らないのが当たり前の感覚です。なぜ、花粉症が当院の治療で治るのでしょうか?

それは、人間が本来持ち備えている「適応力」を利用して、身体を花粉に慣れさせる治療を行っているからです。人間は本来、様々な環境の変化に適応できる力を備え持っています。その「慣れる力」、「適応する力」をいかに発揮するかが、健康を維持する上でとても大切です。

日本では3月~5月にかけては、多くの人が様々な「変化」を経験する時期です。昔から「郷に入れば郷に従え」と、その土地やその環境に入ったならば、そこでの習慣や、やり方に従うのが賢い生き方であるといわれています。

「慣れる力」にブレーキをかけるものは何でしょうか?その本質の多くが、「○○であるべき」「○○のはず」「○○が当たり前」という心の奥で信じている信念体系に関係しています。このルール規制が厳しければ厳しいほど「脳の柔軟性」は失われ、「慣れる力」は低下していきます。

つまり、「~べき」によるルール規制が低下すると、「脳の柔軟性」が高まり、より健康的になれます。もちろん、「~べき」が低下しすぎるのも問題です。ご自分の「慣れる力」を信じて、様々な変化に適応できるように学習し、新しい環境に身体を慣らして健康を維持していきましょう。

2014年10月16日木曜日

「ストレス」を認知して脳(心)のコップを広げよう!

PCRT(心身条件反射療法)別名:ニューロパターンセラピーは、脳(心)のコップに溜まったストレスの誤作動を解放させて、様々な症状を改善します。さらに、ストレスに対する「認知力」を高めて、ストレスを整理し、脳のコップの枠(容積)を広げます。そうそることでストレスに対する「耐性力」や「適応力」を上げ、「脳の体質改善」へと導くことができます。

痛み、コリ、しびれ、疲れなどの様々な症状は、意識的にも無意識的にも様々なストレスが溜まり、脳(心)のコップの中で、耐性のボーダーラインを超え、緊張が持続し続けることで生じます。一般的にはストレス解消としてストレスの対象から離れて、息抜きに非日常的な行動をしたり、運動したりしてストレス発散に努めます。



そのようなストレス解消法で一時的に改善することもあるかもしれません。しかしながら、表面的には解消された気分になっても、深層的にはその緊張が芯から取れていないことも少なくはないのではないでしょうか?深層的に芯からその緊張を取り除くためには、脳・神経系の誤作動を調整することが必要です。人間の身体をコントロールしている脳・神経系の誤作動が調整されると痛みやコリを引き起こしている原因の緊張は自然に解放されます。

人は生きている以上、様々なストレスと接しながら生活しています。そのストレスは生きていくうえでも大切な「刺激」で、何らかの刺激がなければ生きていくことができません。しかしながら、そのストレスが一時的であれば問題はないのですが、慢性的に長引くようなストレスを抱える場合があります。そのような場合、できるだけそのような慢性的なストレスは元から解放させなくてはなりません。PCRTではその元のストレスを特定してそれに関係する誤作動を調整し、脳(心)のコップにストレスが溜まらないようにサポートすることができます。

さらに、PCRTの施術を継続していると、脳(心)のコップの枠が広がり、様々なストレスが溜まっても、整理されやすくなります。また、脳(心)のコップの容積が広くなっているので、ストレスに対する「耐性力」と「適応力」が身に付き、様々なストレスの影響を受けにくい体質へと改善されていきます。

PCRTでストレスの影響を受けにくい体質改善を目指しましょう!

2014年10月1日水曜日

「身体のバランス」と「心のバランス」

「身体のバランス」は正常に保てているでしょうか?

現代は、山あり谷ありの複雑な自然な環境とは異なり、ほとんどの道は舗装され、バリアフリーで、障害物が少ない安全な環境で毎日の生活を送っています。そのため知らず知らずのうちにバランス感覚は退化して、その機能が低下している可能性があります。

身体のバランス感覚をテストする簡単な方法があります。まずは、両足でまっすぐに立ちます。次に片方の太ももが床と平行になるぐらいに挙げて、片足立ちをします。30秒ぐらい保持します。(転倒しそうになったらすぐに足を床に着けましょう!)あまりふらつきがなければ、少し休んで、今度は目を閉じて、片足立ちを30秒ぐらい保持します。ふらつきがなければ、身体のバランス感覚は正常です。

もしも、大きくふらついたり、挙げた足が床に数回着くようでしたら平衡感覚の調整機能に異常が生じている可能性があります。平衡感覚には耳の奥の三半規管や小脳の機能が関わっていますので、そのような異常がある場合には、専門医での診察や当院での治療をお勧めします。

さて、「心のバランス」ですが、正常であるかどうかの判断はとても複雑です。一つの判断基準として、「感情」があります。「感情」には「外に現れる感情」と「内で処理される感情」があります。また、自分で自覚しやすい「顕在的感情」と、自覚しにくい「潜在的感情」があります。感情の性質から分類すると「意欲」や「義務」などの意志的感情、「喜び」や「連帯感」などの肯定的感情、「恐怖」や「逃避」などの否定的感情があります。

一般的には否定的な感情は無くして、肯定的な感情を持つようにしましょうという教えがありますが、それは、心のバランスから考えるとそれは不自然かもしれません。喜怒哀楽の感情は外に現れるか否かにかかわらず、生きた人間としてその感情が日常の生活の中で現れないということは心のバランスが保てていない可能性があります。

また、「怒り」の感情は良くないといわれています。その感情が一時的ではなく長引くような感情になると、人間関係だけでなく身体にも影響を及ぼします。しかし、子供をしつけるときには時には激怒して大切なことを気づかせて、次の日には、ケロッとして、喜んで笑顔で接するということもあるでしょう。そのような強弱のある感情やバリエーション豊富な感情の中で豊かな心が育まれるのかもしれません。

ドラマや落語でも面白い内容には、笑わせたり、驚かせたり、泣かせたりして、喜怒哀楽の感情を巧みに表現して、人間味を感じさせてくれます。論語の中で「中庸」という言葉があるように、過大、あるいは過少にならずに何事もほどほどにバランスを保つことが大切だと説かれています。身体も心の感情も偏らずに幅広く動かすことが身も心も豊かになる秘訣になるようです。