過去10年を振り返り、活動を継続する原動力は何だったのか?それは、「同じような症状でも、すぐに改善する患者さんがいる一方で、同じ症状を繰り返す患者さんがいるのはなぜか?」という探求心からきています。そして、今日までの臨床研究を支えてきた基本は「生体反応検査法」です。PCRT研究会の発展は、患者の身体を使って行う、この「生体反応検査法」に基づいており、この基準がなければ、何もなしえなかったといっても言い過ぎではないでしょう。
この「生体反応検査法」と患者さんの自覚症状改善とが一致することで、私たちはこの治療法に確信を得てきました。逆にいうと、一致しない場合、さらなる探求心に火がつき、その矛盾点をさらに追及しつづけてきました。その結果、「その患者さんは、なぜ改善しないのか?」の隠れた本質が少しずつ見えてきました。そして、その本質を改善するための治療法が新たに開発され、治療家の先生方に臨床現場で活用していただき、同じような成果を得ることで、さらなる確信を得るという繰り返しの旅を続けてきました。
この10年の旅の途中で、治療家として様々な発見や多くの深い学びを得ることができました。その中でも変わらないいくつかの「テーマ」があります。その中でも最も大切なキーワードは「記憶」です。本研究会の名称に関係する「条件付け」「パターン」という言葉には、「記憶」という意味が含まれています。症状を創り出す原因が「記憶」されているから、それを上書きして、症状のない「記憶」に書き換えることができるのです。
そして、この「記憶」は、「反射」という神経学的な機能に関係します。「生体反応検査法」では脳幹と大脳基底核を中枢とする反射系を利用しています。反射系に学習記憶された筋骨格系の症状などは、様々な徒手療法によって効果が期待できます。アクティベータ・メソッドもその一つで、主に関節系に関係する神経学的な誤作動の記憶を、「反射系」レベルで改善するためにはとても効果的です。
治療直後には症状が改善されるが、症状がぶり返してしまう場合は、症状を引き起こす「記憶」が「反射系」だけにはとどまりません。情動に関係する「大脳辺縁系」や潜在的な思い込みなどに関係する「大脳皮質系」への記憶にも関係性が及びます。
そのような症例では、症状に関連する「潜在感情」や「信念」、「価値観」、あるいは「意味記憶」や「エピソード記憶」に関係する誤作動の記憶を反射的に引き出して検査を行い、施術を行う必要があります。創造性豊かな人間は、様々な学習記憶をして様々な症状を創り出す生き物です。だからこそ、簡単に改善する患者さんがいる一方で、なかなか改善しない患者さんもいるわけです。
だからこそ、治療は楽しい!と感じる今日この頃です。本研究会10年の活動を振り返り、微力ながら地域社会の健康に貢献できているという実感が沸いてきております。
それでは、今年も研究熱心な先生方とともに、治療の本質を追究し続けて、多くの患者様に貢献できることを願っております。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
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