大学1年、男性の右投げピッチャーが投球イップスの症状を訴え来院。投球イップスに加え、キャッチボールでもイップスの症状を感じることがあるとのこと。高校一年生の時から発症。悪い時には投げることができなくなるが、高校一年生の時よりは良くなっているらしい。他治療院で電気治療やマッサージ治療を受けている。
4年ほど前から発症したイップスが、短期間でスムーズに改善した理想的な症例であるので報告する。
【初回検査・治療】
〔初回目安検査〕
- ハード面の誤作動検査(機能的検査)
- 両肩関節挙上、頸椎左右回旋にて陽性反応を認める。
- 脊柱関節の神経関節機能障害の検査(アクティベータ・メソッドによる検査)では右骨盤部、L2、T8部に陽性反応。
- ソフト面の検査(心身相関に関係する誤作動記憶によるエラー)
- マウンドで投げるイメージで誤作動反応、軽く投げるイメージで誤作動反応、遠投では陰性反応。
- 症状イメージ:マウンド投球
- 症状イメージ:マウンド投球
- 症状イメージ:マウンド投球
(結果)の後からついてくる」という内容の説明を行う。
投球イップスを抱えている多くの投手は、イップスを改善させるためのフォームの改良ばかりに意識を注ぐため悪循環から抜けだせないことが多い。むしろ、「どのような球を投げたいのか」の「結果」が肝心で、どのように投げたいのかのなどの「投げ方の技術論やプロセス」は重要ではない、むしろ、「結果」を意識せず、投げ方の「技術論」ばかりを意識してしまうと、身体のコントロールする神経系や筋肉系がうまく作動しなくなり、様々な誤作動が学習記憶されてしまう。究極的いえば、理想の送球ができれば、フォームなどはいろいろあってもよいということになる。スポーツ科学で、よく研究者がフォームのことをあれこれと理論的に解説することが多い。フォームの重要性を強調しているが、いい球を投げた結果、そのフォームが出来上がったのであって、いいフォームの結果、いい球が投げられた訳ではないことが多いのではなかろうか?そのような解説を聞くと、フォームがとても重要かのように錯覚してしまう。フォームの改良で良くなったという話も聞くが、どのような球を投げたいのかのゴール(結果)が最初にあって、それに伴ってフォーム(身体)がついてくるというのが自然だろう。つまり、どのような球を投げたいかという理想の結果が鮮明にイメージできれば、身体はそのように投げられるように自然に(無意識に)フォームを作ってくれる。「フォームはゴール(結果)の後からついてくる」。という考え方が大切になる。
- 上記の説明を終えて、理想の投球結果、すなわちどんな球を投げたいかを質問→「伸びあがる球」→PCRT検査→陰性反応
- フォームを意識した投球→PCRT検査→陽性反応(誤作動あり)
- 再度、伸びあがる球を投げた結果のイメージ→PCRT検査→陰性反応(誤作動なし)
- 患者にもマッスルテストで陽性反応と陰性反応の違いを体感してもらう。
- PCRTパターン呼吸振動法にて陽性反応から陰性反応へと施術→陽性反応の陰性化
- 施術終了
前回の施術後、練習でかなり改善されたとのこと。
〔PCRTEB特定検査〕
- 前回の陽性反応はすべて陰性化。
- 症状イメージ:実際の試合想定でのマウンド投球
- 症状イメージ:エピソード記憶
施術終了
【3回目:4日後】
前回に引き続き調子がいいとのこと。
〔PCRTEB特定検査〕
- 症状イメージ:試合想定での投球
→左バッターに対する苦手意識→陽性→警戒心→デットボール→中学生のときのデットボールの記憶→陽性反応→PCRT呼吸振動法
- 症状イメージ:近くのキャッチボール→陰性反応
- 施術終了
前回に引き続き調子がよく、大学のリーグ戦も始まり、試合でもよかったとのこと。
- 症状イメージ:キャッチボール
施術終了
【5回目:8日後】
前回に引き続き調子がよく、イップスに関してはほとんど気にならなくなっているとのこと。
- メンテナンス的に脊柱を中心に誤作動記憶を調整する。
- 施術終了
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