2017年12月12日火曜日

「脳の疲れ」を取る大切なポイント

 ここ数年前から「マインドフルネス」というタイトルの書籍が日本でも増えてきました。マインドフルネスの定義は語る人によって多少異なりますが、「今この瞬間」の自分の体験に注意を向けて、現実をあるがままに受け入れることです。昔からある「瞑想」と似ていますが、マインドフルネスで特徴的なのは、宗教性を排除し誰にでもシンプルに実践できるようにしているところです。しかも、脳科学的に効果が実証されているところに注目が集まっています。

特に注目されているのは、マインドフルネスを習慣的に継続していれば、脳の働きのみならず、脳の構造そのものが大きく変わっていくということです。そのような脳の変化を「可塑性」といいますが、十数年前より、人間の脳は何歳になっても使い方次第で変化が生じるということが明らかになってきています。

「瞑想」と聞くと、多くの人は「無心になる」「雑念を取り払う」といったことが思い浮かぶのではないでしょうか?マインドフルネスというのは、「意識を無にする」「何も考えないようにする」のとは真逆のことになります。つまり、意識を無にするのではなく、最大限に意識を向けることで脳が休まるのです。脳の休め方にはコツがあります。

コツ1:今、ここに意識を向ける
「今、ここに意識を向ける」ということは、過去でもなく、未来でもなく、今そのものに意識を向けるということです。もしも、過去や未来に関する雑念が浮かんできた場合、その事実に「気づき」、「今の呼吸」に意識を戻します。
コツ2:いい悪いの判断はしない
もしも、過去や未来に関する雑念が浮かんできた場合、そこにいい悪いの判断は入れないで、ただ、その事実を認識して、ゆっくりと「今の呼吸」に意識を戻します。

脳科学の研究では、脳の疲れは「過去や未来」に関する雑念や妄想から生じてくることがわかっています。身体や心を休めるために、多くの人は仕事のストレスから解放されて、自宅でゆっくりと過ごした方が肉体的にも精神的にも健康的だと考えがちです。しかし、休んだはずなのに逆に疲れを感じたり、体調不良を起こしてしまったという経験はないでしょうか?それは、休んでいるつもりでも脳は過去のことを引きずったり、未来の雑念を考えて判断し、脳が疲れてしまうからです。

マインドフルネスの目的は過去や未来から生じるストレスから解放されることです。「今ここ」に意識を向けるということが大切で、こうでなければならないという細かな「ルール」に縛られることはありません。マインドフルネスには認知行動療法を応用して心の不調を改善する手法もあります。それは当院で行なっている心身条件反射療法のアプローチにとても似ています。そのポイントは以下の項目です。

1.       ストレスに関係する善し悪しの判断を保留する
2.       ストレスに関係する「信念」や「価値観」の由来を探る
3.       ストレスに関係する「異なる前提」を考える
4.       ストレスに関係する事実に慣れる
5.       ストレスを広い領域や長い時系列で考える


これらの脳を休息させる手法は、脳科学的にも最先端のアプローチとして紹介されています。脳の疲れは「過去や未来」に関する妄想や、善し悪しの「判断グセ」が多大な影響を及ぼしているという事実をしっかりと理解していただければ、さらに心と身体の健康が維持できると思います。

追記:12月17日 日曜日 午前10より健康教室にてさらに詳しく説明します。マインドフルネス瞑想法もご紹介する予定です。

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