脛骨の疲労骨折の患者が、3回目の治療後に疲労骨折のある側の足でケンケンできるようになった。側で見ていたお母さんが、「痛くないの?」と尋ねると「うん・・」と嬉しそうに微笑んでいた。3回の施術で完治したわけではないが、患者さんが顕著な改善を自覚されたその背後にある「原因と結果」を考察してみたい。
高校1年性のサッカー部の男子が1ヶ月ほど前より両足(下腿部)に痛みを生じて、整骨院と整形外科を受診。病院では右脛骨の疲労骨折と左脛骨のシンスプリントと診断される。病院で診断された2日後に当院を受診。まだ、完治したわけではないが、3回目の治療後に患者自身が症状の改善を自覚され、治る方向へ自信を持たれた。通常であればケンケンするなんてありえない状態。なぜ、そのように改善したのか私なりの考察を述べてみたいと思う。
病院で疲労骨折の診断を受けると、数ヶ月は練習を中止、安静を指示される。通常、「骨折」したら安静が当たり前と思う方がほとんどだろう。骨折に関する医学知識があればなおさらその思いは強くなるかもしれない。私自身も本質的な治療に確信を得る前まではそのように考えていた。
しかし、いくつかの早期改善の施術経験を通してその考え方が一変した。「試合に出たいけれど、どうにかならないでしょか・・・病院では安静を指示されているので・・・」と大事な試合を控えている診断された子供の親御さんに相談を受けて疲労骨折の施術をさせてもらう機会がいくつかあった。どの症例も施術をしてみると、意外に回復が早く、試合に出場できるようになった。
おそらく通常の医学的知識の考えでは恐らく説明がつかないと思う。まず、考えなくてはならないのは外傷による骨折とは性質が異なるということである。外傷の骨折は明らかに「直接的外力」による影響だが。しかし、疲労骨折の場合は「間接的外力」による影響だろう。「間接的外力」とは、筋肉のバランスや関節のバランスがうまく調和できていないために間接的に骨に「ねじれ(捻転)」などの間接的外力が異常に繰り返し加わったことによる結果である。
つまり、身体の筋肉・関節のバランスが悪く違和感を感じながら無理をし続けたことが予測される。若い選手は一生懸命練習していると、多少の違和感を感じてもそれが当たり前になって、痛みに慣れて無理をすることも考えられる。疲労骨折の原因はバランス異常による間接的外力による結果なので、そのバランスを調整すれば回復は早いのだと推測できる。
そして、バランスが調整されれば、骨折部への異常なストレスは加わることなく、むしろ、骨癒合を助ける正常な刺激が骨芽細胞に加わることで治癒を早めるのではないかと考えられる。つまり、原因となるバランス異常を調整するから改善が早いのだと思う。ただし、ここでいうバランスとは単に筋肉・関節・骨だけのバランスのことではなく、無意識・脳・神経系などを含めた総合的なバランス調整の結果である。それは早期回復にとても重要なポイントだと私は経験的に確信している。
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