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2017年4月27日木曜日

痙性斜頸(ジストニア)の早期改善 シリーズ1

痙性斜頸(ジストニア)の早期改善 シリーズ1

通常、1年以上も継続しているジストニアの症状は、様々な誤作動記憶が関係しているので治療回数が多くなる傾向にある。本症例は、家族の事情で施術を一時中断されたが、比較的早期に改善されたジストニア症状として2回シリーズで報告させていただく。

患者情報:
60代女性。1年半前より、首が勝手に左に回るようになる。家事に集中しにくく、電車や美容院、エレベーターなどで人目が気になりストレスを感じることが多い。症状が強くなるのは字を書くときや顔を下に向けたとき。最初は整形外科を受診、それから神経内科を受診、別の神経内科も受診。病院でMRIの検査、痙性斜頸の診断を受け、神経内科にて投薬、ボトックス注射を受ける。その後、やや軽減したがそれからは変化がないとのことで当院を受診。思い当たる原因は、マンドリンの練習で、一生懸命練習していて、最初は首に違和感を感じていたとのこと。夜、横になっていて、頭が急に締め付けられるような感じがして、首に痛みを感じたので、ロキソニンを飲んで就寝。翌朝、急に首が左に傾くようになって、そこから痙性斜頸の症状が頻繁に起こるようになったとのこと。症状は、手で顎を触れると軽減するらしい。

問診:(重要なポイントのみ)
術者:ご自分では思い当たる原因はなんだと思いますか?
患者:マンドリンに関係していると思います。
術者:なるほど。
患者:それと、先ほどお話ししたジストニアが発症する前の夜に、締め付けられるような症状があって、それ以来ですので、それも関係していると思います。
術者:なるほどですね。そのような事柄が影響しているかどうか、後で検査をしてみましょう。

特記:問診中、患者は右手で顎を押さえて、首が左に向かないようにされていた。

治療法の説明:
ジストニアの症状は、身体的(構造学的)な問題ではなく、無意識的な誤作動記憶による症状であることを分かりやすく説明。ジストニアの症状を作り出す脳の神経回路(クセ)ができているので、それを切り離して新しい神経回路(クセ)を上書きするための治療法であるということ。構造学的な異常ではないこと。さらには単に神経の機能学的(働き)な問題ではないこと。問題は、神経回路のプログラムの問題であることをできるだけわかりやすく説明。特に心と身体の関係性による「誤作動記憶」とはどのような状態なのかを体感的に検査を通して説明。

【一回目の施術】

目安検査:陽性反応
l   筋肉・関節(自動運動)=右頚椎回旋、頚椎前屈、右肩甲帯後方
l   EB(エネルギーブロック)部位=右胸鎖乳突筋の筋腹を摘む
l   症状イメージ=マンドリンを弾くイメージ、下を向くイメージ、字を書くイメージ、夜締め付けられたイメージ

ハード面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
l   AM(アクティベータ・メソッド)とPCRT(心身条件反射療法)でハード面調整を完了。
l   ハード面調整完了後、症状イメージ(イップス)以外の目安検査は消失。

ソフト面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
症状イメージ(マンドリンを弾くイメージ)のEB(誤作動記憶)から施術開始
術者:それでは、マンドリンを弾くイメージで陽性反応が示されていますので、そこから誤作動記憶の原因を検査していきましょう。先ほど説明させていただいた検査チャートを使って、ジストニア症状に関係する無意識の誤作動記憶のキーワードを探していきます。
PCRT誤作動記憶検査チャートを使いPRT(生体反応検査法)を行う。
大脳辺縁系→基本感情チャート→意欲でPRT陽性反応
術者:意欲というキーワードが関係していますね。マンドリンの練習をされているときは意欲的ですよね・・・
患者:はい、そうですね。
術者:意欲的であることがいいと悪いとかは関係なく、意欲的になっている際にたまたま脳の神経回路が誤作動を生じさせるクセがついてしまっているので、その感情を意識的に引き出して、誤作動が生じないように調整させていただきます。それでは、マンドリンを意欲的に弾いているイメージをしてください。
患者:はい。
PCRT呼吸振動法を施す。「意欲」のフィードバック検査で陰性反応。
術者:「意欲」に関する誤作動記憶は調整できましたので、再度、マンドリンを弾いているイメージをしていただけますか?
患者:はい。
術者:まだ、陽性反応が示されていますので、今度は、原因と思われる夜締め付けられた時のことを思い出してイメージしていただけますか。
患者:はい。
術者:そのイメージでも誤作動記憶の陽性反応が示されていますので、先ほどのチャートを使って、検査させていただきます。
l   PCRT誤作動記憶検査チャートを使いPRT(生体反応検査法)を行う。
l   大脳辺縁系→信念チャート→執着心でPRT陽性反応
術者:こんどは、執着心というキーワードも関係しているようですが、何か心当たりはありますか?
患者:そうですね。やはりマンドリンの演奏が上手くなりたいということでしょうか?
術者:そのことに関係しているかどうか検査をさせていただきますので、執着心につなげて想像してみてください。
患者:はい。
術者:「さらに」に検査で陽性反応が示されていますので、上手に演奏できた先にあるものはなんでしょうか?
患者:そうですね。練習している仲間の皆さんと合奏して楽しみたいですね。
術者:いま、お話しされている際に検査(PRT検査)をしていますと陽性反応が示されていますので、その思いも関係していると思います。では、そのことに影響を受けないように調整させていただきますので、そのことを心の中で思っていてください。
l   PCRT呼吸振動法を施す。「執着心」のフィードバック検査で陰性反応。
術者:「執着心」に関する誤作動記憶は調整できましたので、再度、夜締め付けられた時のイメージをしていただけますか?
患者:はい。
術者:いいですね。そのイメージも陽性反応が消失しています。それでは、下を向いた時や字を書いている際の症状のイメージをしていただけますか?
患者:はい。
術者:それらのジストニアの症状も陽性反応が示されていませんので、今日の施術はこれで完了させていただきます。
l   ソフト面調整法の施術完了

治療後の説明の一部:
術者:最初に検査させていただいた目安検査の陽性反応が消失していますので、今のところは、症状を生じさせない神経回路ができているということです。目には見えませんが、治療による脳の学習効果で新たな神経回路ができているということです。その神経回路を強くしていくためは、施術を継続されることが理想です。
今、お話をしている間に、顔に手を当てていませんでしたが、どうですか?
患者:あ〜そうですね。顔に手を当てていないと顔が左に向くのですが、今はいい感じですね。

2017年1月30日月曜日

痙性斜頸(頸部ジストニア)の一症例

痙性斜頸(頸部ジストニア)の一症例

経過と考察

2年6ヶ月前から、痙性斜頸を発症し、常に症状を感じているが、特に歩く際、噛むとき、話すときに悪化するとのこと。来院時には仕事ができない状態で、日常生活にも支障を来しているらしい。来院時が今までの症状経過で一番悪いという。

当院に来院するまでに、鍼灸院、通常病院、メンタルクリニック、ペインクリニック上部頸椎のカイロプラクティックを受ける。病院でレントゲンやMRI検査などを受け、投薬治療、漢方薬、ボトックス注射も数回受けたが、良くなったり悪くなったりしているらしい。

症状は大学卒業前の後半ごろから発症。ゼミの活動で、リーダーとして発表したことがきっかけだったらしい。その後、社会人として入社式で人前に出る際など、緊張すると痙性斜頸の症状が生じることを自覚されたとのこと。

痙性斜頸の治療で大切なのは、自分自身の「意識」と「無意識」を理解することなので、通院を重ねてもらいながら、PCRTで示される検査結果に基づいて、今まで意識していなかった自分の「無意識」を理解しやすいようにサポートしていった。施術の後には、施術中に示された「誤作動記憶」の内容に基づいて、家で紙に書き出して、自分の無意識を再認識してもらうこともあった。

9回目の来院では、本人もだいぶん良くなって来たことを自覚されていた。特に印象的だったのは、異性に対する「誤作動記憶」の反応だった。男性(特に若い人)が目に入ると「良く見られなきゃ」と無意識に緊張が首に集中して痙性斜頸の症状が生じ、通り過ぎて視界からなくなると首の緊張が脱力するという。


痙性斜頸の原因はそれだけではないが、施術を通じて、自分の「無意識」の全体像がある程度明確になるにつれて、異性に関する「誤作動記憶」も消失した。完治というまでには至らなかったが、来院当初から比べるとかなり改善されている様子で21回で治療を終えた。

2017年1月17日火曜日

痙性斜頸(頸部ジストニア)の改善 (無意識の理解)

痙性斜頸(頸部ジストニア)の改善


経過

2ヶ月ほど前から意識とは裏腹に、自然に首が片方に傾くようになった。同時に肩こりの症状が出始めた。仕事中にパソコンを使用している時、家事をしている時、バレーボールをしている時、人と会話をしている時など、常に首が傾く症状があり、特に緊張している時は悪化し、一人でぼっーとしている時には軽減するとのこと。


病院では痙性斜頸(頸部ジストニア)と診断され、最初の病院では投薬治療、次の病院でボトックス注射を一度だけ受けた。それ以外にも整骨院でマッサージや鍼灸治療を受けている。病院でのボトックス注射で少しよくなっているように感じているとのことだが、何度もボトックス注射を受けるのは不安もあり、当院を受診。

初回の身体への生体反応検査では、頸部や上部胸椎周辺、両肩周辺の筋緊張反応や関節部に陽性反応が示された。さらに無意識の「誤作動記憶」への生体反応検査では、職場でのパソコン業務の場面、バレーボールの練習の場面に陽性反応が示され、「探究心」に関係する信念も関係していた。

2回目の施術では、大勢の人前にいる場面、人と会話する場面で陽性反応が示され、その背後に「慈悲心」や「警戒心」などの信念が関係していた。3回目、4回目と消去法のようにだんだんと症状が発現する場面が少なくなってきた様子。

5回目では、以前示されていた人に対する陽性反応は改善されていた。狭い空間や集まりで気を使って会話している時に症状が生じているとのことで、その場面に関係する「誤作動記憶」の施術を行った。「執着心」や「利己心」の背後にある「存在感」という価値観を大切にされているということが自分自身でも理解できたようで、自分が無意識に行っていた「意味づけ」を客観的に把握できた様子だった。

6回目では、前に示されていた複数の陽性反応も改善され、以前の会話の際のジストニア症状も改善されたとのこと。ある特定の人だけ症状が発現したというので、その場面で施術を進めた。前回とは少し意味合いが異なるが、「利己心」の背後にある「重要感」という価値観が一連の検査で浮かび上がった。他の人に対してはこれまでの施術で陽性反応が示されなくなっており、その特定の人だけに反応が示されるので、「その人だけに身体(無意識)が反応するということを自分なりに理解できますか?」と質問しところ、自分なりにその反応の意味が納得できた様子で、施術後にはその陽性反応はすぐに陰性反応に切り替わった。

考察


最初に来院された際、症状が発現する場面が多くて、常に斜頸が生じているような感じだったが、施術の回数を重ねるごとに、消去法のように陽性反応が消され、それに伴って症状も改善された様子だった。

ジストニアの症状の本質は、意識と無意識の「不一致」にあるので、「無意識」の領域を無視して、身体だけの治療や調整で良くなるというのは甚だ疑問である。ジストニアに限らず、意識と無意識の「不一致」で様々な症状が引き起こされるが、改善するために大切なのは、患者自身が普段意識していない「無意識」をできるだけ理解できるように、施術を通じて改善のお手伝いをすること。

医学の世界では、原因不明で難しい症状の一種であるかのように捉えられがちだが、意識と無意識が一致できるようにサポートすれば、段階的に改善される症状である。6回の施術を終えて、完全に良くなっているという訳ではないが、患者さん自身も施術を重ねるごとに段階的に良くなっていることを実感されている。

本症例では様々な「誤作動記憶」が関係していた。その「誤作動」の背後には「存在感」や「重要感」という普段意識していない価値観に関係する無意識的な意味づけが大きく関係していたようだ。PCRTの一連の施術を通して、無意識の心の構造を客観的にマッピングすることで、患者自身が自分の無意識を素直に理解し、そのことで、新たな神経回路の構築に変化が自然に促されたのだろう。つまり、自分自身(無意識)を深く理解することで、新たな思考の選択肢が自然に増えた結果だといえよう。