痙性斜頸(頸部ジストニア)の改善
経過
2ヶ月ほど前から意識とは裏腹に、自然に首が片方に傾くようになった。同時に肩こりの症状が出始めた。仕事中にパソコンを使用している時、家事をしている時、バレーボールをしている時、人と会話をしている時など、常に首が傾く症状があり、特に緊張している時は悪化し、一人でぼっーとしている時には軽減するとのこと。
病院では痙性斜頸(頸部ジストニア)と診断され、最初の病院では投薬治療、次の病院でボトックス注射を一度だけ受けた。それ以外にも整骨院でマッサージや鍼灸治療を受けている。病院でのボトックス注射で少しよくなっているように感じているとのことだが、何度もボトックス注射を受けるのは不安もあり、当院を受診。
初回の身体への生体反応検査では、頸部や上部胸椎周辺、両肩周辺の筋緊張反応や関節部に陽性反応が示された。さらに無意識の「誤作動記憶」への生体反応検査では、職場でのパソコン業務の場面、バレーボールの練習の場面に陽性反応が示され、「探究心」に関係する信念も関係していた。
2回目の施術では、大勢の人前にいる場面、人と会話する場面で陽性反応が示され、その背後に「慈悲心」や「警戒心」などの信念が関係していた。3回目、4回目と消去法のようにだんだんと症状が発現する場面が少なくなってきた様子。
5回目では、以前示されていた人に対する陽性反応は改善されていた。狭い空間や集まりで気を使って会話している時に症状が生じているとのことで、その場面に関係する「誤作動記憶」の施術を行った。「執着心」や「利己心」の背後にある「存在感」という価値観を大切にされているということが自分自身でも理解できたようで、自分が無意識に行っていた「意味づけ」を客観的に把握できた様子だった。
6回目では、前に示されていた複数の陽性反応も改善され、以前の会話の際のジストニア症状も改善されたとのこと。ある特定の人だけ症状が発現したというので、その場面で施術を進めた。前回とは少し意味合いが異なるが、「利己心」の背後にある「重要感」という価値観が一連の検査で浮かび上がった。他の人に対してはこれまでの施術で陽性反応が示されなくなっており、その特定の人だけに反応が示されるので、「その人だけに身体(無意識)が反応するということを自分なりに理解できますか?」と質問しところ、自分なりにその反応の意味が納得できた様子で、施術後にはその陽性反応はすぐに陰性反応に切り替わった。
考察
最初に来院された際、症状が発現する場面が多くて、常に斜頸が生じているような感じだったが、施術の回数を重ねるごとに、消去法のように陽性反応が消され、それに伴って症状も改善された様子だった。
ジストニアの症状の本質は、意識と無意識の「不一致」にあるので、「無意識」の領域を無視して、身体だけの治療や調整で良くなるというのは甚だ疑問である。ジストニアに限らず、意識と無意識の「不一致」で様々な症状が引き起こされるが、改善するために大切なのは、患者自身が普段意識していない「無意識」をできるだけ理解できるように、施術を通じて改善のお手伝いをすること。
医学の世界では、原因不明で難しい症状の一種であるかのように捉えられがちだが、意識と無意識が一致できるようにサポートすれば、段階的に改善される症状である。6回の施術を終えて、完全に良くなっているという訳ではないが、患者さん自身も施術を重ねるごとに段階的に良くなっていることを実感されている。
本症例では様々な「誤作動記憶」が関係していた。その「誤作動」の背後には「存在感」や「重要感」という普段意識していない価値観に関係する無意識的な意味づけが大きく関係していたようだ。PCRTの一連の施術を通して、無意識の心の構造を客観的にマッピングすることで、患者自身が自分の無意識を素直に理解し、そのことで、新たな神経回路の構築に変化が自然に促されたのだろう。つまり、自分自身(無意識)を深く理解することで、新たな思考の選択肢が自然に増えた結果だといえよう。
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