2017年4月13日木曜日

PCRTとAMによるゴルフのドライバーイップスの施術経過(4回シリーズ):シリーズ1

PCRTAMによるゴルフのドライバーイップスの施術経過(4回シリーズ)

1年以上ドライバーイップスの患者さんが、4回の施術で改善へと向かった。
その経過を4回シリーズで辿る。

シリーズ1

患者情報:
40代男性、会社員、アマチュアの試合にも出場されているとのこと。以前はゴルフのスコアが70台だったが、今では90台になっているらしい。さらにいい成績を上げるためにプロのコーチからも指導を受けているが、なかなか改善しないという。イップスの症状は、1年2ヶ月前より発症。遊びのラウンドよりも試合の時の方が悪化する傾向がある。アイアンやパターのスイングでは全然問題ない。しかし、ドライバーショットの際に振り上げてから、腕がスムーズに降りてこない症状がでるらしい。

【1回目の施術】

目安検査:陽性反応
筋肉・関節(自動運動)=右肩関節、右鎖骨関連関節、右肘関節、右大胸筋
症状イメージ=ドライバーのスイング(実際に球を打つ際に陽性反応、球を打たない素振りは陰性反応)

ハード面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
AM(アクティベータ・メソッド)とPCRT(心身条件反射療法)でハード面調整を完了。ハード面調整完了後、症状イメージ(イップス)以外の目安検査は消失。

ソフト面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
症状イメージのEB(誤作動記憶)から施術開始
術者:それでは、先ほど説明させていただいた検査チャートを使って、イップス症状に関係する無意識の誤作動記憶のキーワードを探していきます。
PCRT誤作動記憶検査チャートを使いPRT(生体反応検査法)を行う』
『大脳辺縁系→信念チャート→同情心でPRT陽性反応』
術者:同情心で反応が示された場合、否定的な同情心と、何かの事柄や考えを共有して同じ心情を共有したりする肯定的な同情心の場合もあります。別の検査チャートを使ってもう少し的を絞ってみましょうか?
分野→友人関係→ゴルフ関係・・・
患者:もしかすると先輩かな・・
術者:その先輩のイメージで検査してみましょうか・・・『PRT(生体反応検査法)を行う』・・・陽性反応が示されているので、その先輩が関係していると思います。どんな関係ですか?
患者:その先輩はゴルフを始めるきっかけになった人ですね。その先輩も試合にでているし、気が会う人ですね。
術者:そうですか。それでは、そのことが身体に影響を及ぼさないように調整しますので、気の合う先輩のことをゴルフ関係も含めて意識してもらえますか?
患者:はい。(先輩関係のイメージ)
PCRT呼吸振動法を施す。続いてPRTによる検査』
術者:その先輩に関係する「同情心」の誤作動記憶は調整できましたので、再度、ドライバーショットのイメージをしてもらえますか?(フィードバック検査)
患者:はい。(ドライバーショットのイメージ)
術者:陽性反応が示されていますので、他の誤作動記憶があるということですね。それでは再度、検査チャートを使って検査をしてみましょう。
『大脳辺縁系→信念→自尊心で陽性反応』
患者:自尊心に関係するとしたら、ゴルフ関係のプライドかな? ドライバーショットの距離とか?
術者:経験からくる自尊心ですね。それでは、そのことをイメージしてください。
PRTによる検査』
術者:陽性反応が示されていますので、そのことを思ってもらいながら調整します。
患者:はい。(自尊心に関係するイメージ)
PCRT呼吸振動法を施す。自尊心のフィードバック検査で陰性反応』
術者:自尊心に関係する誤作動記憶が消失しましたので、再度、ドライバーショットのイメージをしてもらえますか?
患者:はい。(ドライバーショットのイメージ)
術者:ドライバーショットのイメージで陽性反応が消失しましたので、今日は最後にご自分の理想のドライバーショットを客観的にイメージして、検査させてもらえますか?
患者:はい。ん〜〜難しいですね。でもイメージしてみますね。
術者:(生体反応検査法で確認)そのイメージでは陽性反応が示されていますので、それは身体に合っていないということですね。それでしたら、プロでもアマチュアでもいいのですが、理想のゴルファーがドライバーショットを行なっているイメージで、そのイメージを参考にしてご自分と重ね合わせてみてください。もちろん、まったく同じショットはできませんので、そのモデルに近いショットでイメージしてみてください。
患者:はい。(モデルを参考にした理想のドライバーショットのイメージ)
術者:(生体反応検査法で確認)そのイメージでは陰性反応ですので、身体には誤作動が生じていません。それでは、そのイメージを使って施術を行います。イップスの症状のあるご自分のドライバーショットのイメージをグレーにして、理想のご自分のドライバーショットのイメージを何か明るい色のイメージをつけて調整させてもらいますが、どのような色がいいですか?
患者:黄色でイメージします。
術者:それでは、深呼吸をしながら、グレーのイメージを最初にしていただき、次に黄色のイメージをしてください。深呼吸が一回終わったらイメージを切り替えて、次のイメージで深呼吸をしてください。イメージの切り替えを2往復します。ですので、深呼吸は4回になります。深呼吸をされている間に私は誤作動記憶の調整を行います。それではお願いします。
PCRTパターン振動法』
術者:さきほど、理想のイメージができなかったことを思い出してもらいますか?
患者:はい。(理想のイメージが難しいと感じた際のイメージ)
PRT(生体反応検査法)』
術者:先ほどのような陽性反応は消失していますので、今日はこれで施術を終わります。今日の調整でドライバーイップスのイメージによる陽性反応は消失していますが、脳の記憶は複雑ですので、イップスに関係する誤作動記憶は奥に隠れている場合も少なくはありません。完治するまで継続して調整する事が大切ですのでまた、次回診させてください。

患者:はい。わかりました。ありがとうございます。

2017年4月11日火曜日

急性腰痛の早期改善

急性腰痛の早期改善

患者情報:
40代女性、昨日、職場でくしゃみをした時から急に腰が痛くなり、だんだんと悪化したとのことで来院。10数年以上も前から何か不調があるごとに当院を利用していただいている患者さんである。今回は1年と3ヶ月ぶりに来院された。

【1回目の施術】

目安検査:陽性反応
筋肉・関節(他動運動検査)=骨盤関連関節、腰部関節、胸部関節、頸部関節、両肩関節、両肩甲帯関節、胸骨関連関節、両股関節・・・ほとんどの動きで痛みを誘発
筋肉・関節(自動運動検査)=骨盤関連関節、腰部関節、両股関節・・・ほとんどの動きで痛みを誘発
体軸(他動検査)両下肢体幹軸

ハード面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
AM(アクティベータ・メソッド)のベイシック調整とアドバンス調整を骨盤関連関節、腰部関節、胸部関節、頸部関節に施す。
PCRTの空間ブロック調整法にて骨盤、腰部、腹部、胸部周辺のEBを調整

施術後の目安検査の再評価:
施術前に陽性反応が示されていた目安検査は全て陰性
痛みのためにできなかった骨盤・腰部周辺の他動運動検査でも痛みの誘発はほとんどなかった。

患者さんの症状はかなり改善され喜んでいただいた。

【2回目の施術】4日後に来院

問診:
術者:その後、どうでしたか?
患者:荷物を持つ仕事で、休むことなくできているのですが、朝起きてから痛くて、1時間ぐらい身体が固まっている感じです。身体を動かしているとだんだんと良くなるのですが、前屈みの時に痛いですね。

目安検査:陽性反応
筋肉・関節(他動運動検査)=骨盤関連関節、腰部関節、頸部関節、特に腰部前屈運動と左側屈運動にて疼痛

ハード面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
AM(アクティベータ・メソッド)のベイシック調整とアドバンス調整を骨盤関連関節、腰部関節、胸部関節、頸部関節に施す。
特記)椎間関節部の反応が顕著であったため、腰部関節を側屈させファセットの調整を施す

施術後の目安検査の再評価:
施術前に陽性反応が示されていた目安検査は全て陰性
痛みが誘発されていた腰部前屈と左側屈の陽性反応は消失。

患者さんは施術前の痛みの消失に喜んで、安心された様子が伺えた。

考察:
急性腰痛の患者も様々であるが、今回の患者はくしゃみをしてから急に腰痛が悪化したことから、腰椎椎間板に何らかのストレスが加わり、椎間板内の線維輪や周辺の軟部組織を痛めた可能性もある。髄核が飛び出して、ヘルニア状態になっているかどうかは定かではないが、施術後の体重負荷ですぐに安定していたので、おそらくヘルニア状態にまでにはなっていないことが予測される。もしも、線維輪が破れ、髄核が飛び出してしまうほどの状態であれば、テーブルの上ではかなり動けるようになっても、いざ体重負荷をかける時になると、疼痛が増強することが多い。その場合、徐々にテーブルを起こしながら、その都度、その体勢で調整を行い、立位姿勢に適応できるようにサポートする。今回の患者はそこまでの調整は必要なかったので回復が早いだろう。

AM(アクティベータ・メソッド)は、関節や軟骨周辺の細かな神経受容器に調整振動が届くので、このような急性腰痛の患者にはとても効果的である。

2017年4月10日月曜日

意識と無意識の不一致を乗り越えた先にあるもの

意識と無意識の不一致を乗り越えた先にあるもの

ダンスインストラクターの方が、半年前からある股関節の痛みで来院。最初は、寝たままの状態から、膝関節を曲げて、股関節を45度ぐらい屈曲するだけで、痛みが生じていた。2ヶ月後のイベントまでにはなんとか治したいとのこと。8回ほどの通院で舞台パフォーマンスができるまで回復、2回目の舞台も無事終了。股関節を大きく内回しや外回しをしても痛みのない状態まで回復し、施術後には症状はほとんど消失するが、次の来院日には、両方の股関節前面の鼠径部に症状がぶり返すとう状態が3回ほど続いている。そのぶり返すパターンには何か原因があるだろうと、患者さんとともに探索していた。

ぶり返す症状が継続してから約1ヶ月後の施術でようやく糸口が見えてきたのでご紹介させていただく。

目安検査:陽性反応
EB部位を触れる=両鼠蹊部(3回ほどぶり返す)
症状イメージ=スタジオに戻るイメージ(前々回からぶり返す)

ハード面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
AM(アクティベータ・メソッド)とPCRT(心身条件反射療法)でハード面調整を完了。ハード面調整法の後は、いつもその場で症状が軽減、あるいは消失している。

ソフト面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
前々回の検査から、ダンススタジオに戻るイメージをしてもらうと、陽性反応が示されていたので、その日の施術でもダンススタジオのイメージから検査を行う。

術者:それでは、以前からぶり返しが続いているダンススタジオに戻るイメージから検査させてもらえますか?
患者:はい(ダンススタジに戻るイメージ)
術者:(生体反応検査法)また、陽性反応がぶり返していますね。それでは、また検査チャートを使って調べます。
患者:(検査チャートを押さえる)大脳辺縁系→感情→意欲
術者:意欲というキーワードで陽性反応が示されていますが、何か心当たりはありますか?確か前回の施術でも意欲のキーワードが出ていましたが・・・。その時は、振り付けのアイディアを出すというような創造性に関する意欲だったと思います。再度、そのイメージで検査させてもらえますか?
患者:はい(前回と同じ振り付けを創り出す意欲をイメージ)
術者:・・・前回と同じように反応が出ていますね。ということは、まだ、そのことに関して深い意味があったり、不明瞭だったりしている可能性があるのですが・・・新しい振り付けを創り出した先にあるモノはなんでしょうか?
患者:そうですね。新しい振り付けができたら、それを舞台公演で発表したりすることになると思います。
術者:お話しされている間に検査をしてみると、陽性反応が示されていますので、そのことが、先ほどの意欲の先にあるゴールになる感じでしょうか?それ以上先のゴールはありますか?
患者:いいえ、それ以上はないと思います。
術者:「さらに」の生体反応検査でも反応が示されないので、それが最終だと思います。それでは、そのことをイメージしながら深呼吸をしてください。
PCRT呼吸振動法を施す。生体反応検査で先ほどの陽性反応が陰性反応に変わる
術者:意欲に関する誤作動記憶は調整できましたので、スタジオに戻るイメージで再検査させてもらいます(フィードバック検査)・・・そのイメージでまだ陽性反応が示されていますので、再度、検査チャートを使って検査させてもらいます。
患者:(検査チャートを押さえる)大脳皮質系→意味記憶→エピソード記憶
術者:「エピソード記憶」の場合は、症状部位からの痛みの信号ではなく、脳で作られる痛み信号です。では、そのエピソード記憶の施術を行いますので、まずはご自分自身の姿を客観視してください。映画の中にいる自分を想像するような感じです。そして、その自分の映像の中で痛みのある部位に赤い色をつけてもらえますか。
患者:はい、想像できました。
術者:今度は、その痛みの赤い色を取り除いてください。
患者:あ〜色が取り除けない〜。え〜何だろう〜
術者:お・・・赤色を取り除くイメージができないのですね。それでは、その痛みの赤色を取り除けない原因検査のために再度チャートを使って調べてみましょうか・・・。
患者:(検査チャートを押さえる)大脳皮質系→意味記憶
術者:「意味記憶」というのは無意識に何か意味付けしていることが、赤色の症状を取り除けない原因の一つになっているということです。もしかすると、ぶり返す原因の一つになっているかもしれませんね。それでは意味記憶の検査チャートを使って検査させてもらいます。
経験→情報→ストーリー・・・あ〜「ストーリー」で反応が示されましたか・・・この反応は少し複雑です。ここも無意識の自分が作っている筋書きで、意識では早く治したいと思いつつ心の奥の無意識さんは、治ると何かを失うと勘違いしているようなことです。例えば、今、新しい振り付けのアイディアを出そうと一生懸命になられていますが、股関節が悪いことで、そのアイディアがでてこない自分にとっての正当な理由だったり、あるいはご自分に対する何かの言い訳だったり・・・・
患者:・・・ん〜何かそれは分かるような気がする。本当は(振り付けを)やりたくないけどやらなければいけない。そのことに文句を言っちゃいけないというのは、仕事があることにありがたみを感じているがゆえにありますね・・・
術者:そうですか〜、では身体がそのような自己矛盾に反応しているということを理解できそうですか?
患者:ややこしいけど理解できます。(笑)
術者:それではその自己矛盾を認識してもらいながら大きく深呼吸をしてください。(PCRT呼吸振動法を施す)
術者:それでは、先ほどイメージで取り除けなかった赤色を取り除いてみますか・・・
患者:あ〜〜〜無くなった!え〜〜すごい、手のひらに汗も出てきた!わ〜すごい!(自律神経系の変化)
術者:それでは先ほどのエピソード記憶の調整を行いますね。深呼吸を繰り返しながら、先に症状の赤色のついた自分の姿を思い浮かべて、次に赤色を取り除いた自分の姿を思い浮かべて、深呼吸を続けながら2往復繰り返してください。
PCRTパターン振動法を施す
患者:あ〜今度は症状の赤色がイメージしにくくなりました!あ〜不思議!
術者:それでは、最初の陽性反応の検査に戻りますので、スタジオに戻るイメージをしてもらえますか?
患者:(スタジオに戻るイメージ)
術者:今度は陽性反応が示されていません。今回は、奥深い誤作動記憶が明確になったので期待できるかもしれませんね・・・
術者:いい気づきだったと思います(お〜すごいドラマだな〜〜と感心する・・・)
患者:ありがとうございました。
施術完了

考察:
施術の直後には慢性症状が改善されるが、その症状が同じような原因パターンで振り返される場合、「意味記憶」や「エピソード記憶」に関係している事は珍しくない。今回のケースのように症状がない理想の自分自身の姿を想像できないということは、言い換えると、無意識のもう一人の自分が「そのイメージはしたくない」といっていると解釈することもできる。当の意識の本人はそのような無意識さんの思いを知る由も無い。

治っている自分の姿というのは、意識では心から望んでいる姿なので、想像できるはずだが、それができないというのは、どこかに「理想のイメージ=治るイメージ」を制限しているもう一人の自分が存在しているということにつながるだろう。施術を通じて意識と無意識さんとの境界線を取り払って無意識さんに寄り添ってみると、「無意識さんが抵抗している理由もよく分かる」ということにつながり、新たな選択肢へと広がる。


これは、一般論的に言われている「疾病利得」というニュアンスとは異なる。このような意識と無意識との不一致がもたらす関連症状は、単にハード面だけの施術法だけでは到達できない領域だろう。PCRTの臨床現場では、そのような壁を乗り越えて次のステージへと進む。そして、その瞬間、瞬間に様々なドラマが展開される。私たちはそのような患者さん達に寄り添って、一緒にその壁を乗り越えていくことで、なんとも言えない治療家としての醍醐味を患者さんとともに味わうことができる。いつもこのようなドラマに遭遇するわけではないが、このような奥深い施術に携わることができるということに心から感謝する。