2018年3月14日水曜日

2018年度PCRT研究会の基礎1を終えて

2018年度PCRT研究会の基礎1を終えて

私は、先日の研究会で密かに喜びが膨らんでいます。ここ数年の研究会でPCRTの本質を深く理解していただき、実際の臨床現場においても結果を出している先生方が増えてきているのを実感することができました。また、今年から、新しく開発した生体反応検査法の教授法を今回の基礎1の研究会で試したところ、多くの先生方が短期的に習得しやすくなっていることを実感できました。


今年で14年目となるPCRTの基礎1の研究会は、昨年度からすでに大きな転換期を迎えていることを感じていました。今回の洗練された基礎1の研究会でそのことを確信することができました。本研究会で目指しているのは実際の臨床現場で患者さんに貢献できる治療家の育成です。実際に結果が出せる本物の治療技術を提供していると自負しています。ここ数年間、LCAのスタッフと共にプログラムの内容を試行錯誤してきましたが、ようやく教育システムとしてのプログラムの花を咲かせることがでてきました。これからも他のLCAのプログラムと共にコツコツと花を増やし、問題を抱えている多くの患者さんに貢献したいと願っております。

2018年3月7日水曜日

患者(クライエント)への「質問力」その8【関心のベクトルを合わせる】

患者(クライエント)への「質問力」その8【関心のベクトルを合わせる】

通常医療では、専門分野に分かれているので、患者が求めているニーズや関心の寄せどころも分かりやすい。しかしながら、慢性症状になると関心の寄せどころも様々になる。事故などによる急性症状の場合は、身体的な構造や機能的な異常に関心を寄せることが最優先される。通常医療では慢性症状を抱えた患者の場合でも、まずは身体の構造的、並びに機能的な問題がないかどうかの検査が行われる。もしも、身体的な異常が見つからない場合は、メンタル面との関係性が疑われ、心療内科の受診を勧められることが多い。もしも、患者自身もメンタル面との関係が身体の症状に影響を及ぼしているという理解があれば、治療者と患者との関心の寄せどころが共通するので、関心のベクトルを合わせることで治療もスムーズに進みやすくなる。

その一方で、本質的な問題にメンタル面が関係しているにも関わらず、患者や治療者がメンタル面に関心を寄せずに、本質的な問題解決に至らずに症状が長引くことがある。メンタル面が関係しているか否かの判断は、目で確認できるものではないので治療者の経験や洞察力が求められる。経験のある治療者がメンタル面の関与を確信したとしても、患者自身が自らの心の影響に関心を寄せなければ、両者の関心のベクトルがずれてしまい治療は進展しなくなるだろう。症状の改善を遅らせる例としてよくあるのは、画像診断などで構造異常が見つかり、本来はその構造異常が症状の原因ではないのに、その構造異常ばかりに関心を寄せて、本質的な原因となるメンタル面に関心を寄せない場合である。

本質を見極めることに長けている治療者であれば、例え構造的な異常が見つかったとしても、その異常は症状に関係していない可能性があることを患者に丁寧に説明して、メンタル面との関係性にも関心を寄せるように促すだろう。また、慢性症状の原因がメンタル面に関係しているということに対して否定的な治療者であれば、メンタル面との関係性にはほとんど関心を寄せずに、身体的な構造異常や機能異常にばかり関心を寄せて本質的な原因から目を反らしてしまうだろう。人間は機械仕掛けのロボットにように構造的な問題だけ、あるいはメンタル的な問題だけというように両者を白黒分けることはできない。心と身体は有機的につながって様々な環境に適応しながら、自然治癒力を保ち続けている。

本質的な原因がどこに関係しているかの探索は治療者としての重要課題である。臨床経験のある治療者が症状の原因はメンタル面との関係性にあると直感的に感じたとしても、患者自身がメンタル面に関心を寄せなければ症状改善には結びつかない。身体の症状は身体の問題であり、心の問題にしたくない患者も少なくはない。その場合、術者が無理にメンタル系の施術を勧めても治療効果は期待できない。メンタル系への治療は、患者と術者との関心のベクトルが一致して初めて得られるもので、治療者の技量や経験だけでは結果が得られるものでない。


2018年2月27日火曜日

生体反応検査法の極意  その2

陽性反応がうまく引き出せない方に、陽性反応が示されるように指導した後、陽性反応を明らかに示して検査することができます。その際、その明らかな陽性反応結果を見て「自分で陽性反応を創っているような気がする」というコメントをいただくことがあります。つまり、勝手な思い込みで陽性反応を創っているのではないかという意味で、そこにはそんな明らかな反応が示されるはずはないという信念が見え隠れしているのが分かります。そのような検査結果を疑うような制限する信念があると、「明らかに示される陽性反応」=「自分で勝手に創り出している」=「客観性に欠ける」=「検査の信頼性がない」ということにつながり、その制限する信念の影響はいつまでたっても生体反応が読み取れないという可能性が生じます。このような受講者の多くは、科学至上主義的な機械論思想が背後に隠れており、主観を完全に省いた客観性を重んじていることが考えられます。

主観性と客観性に関わることに関しての説明は難しい部分ではありますが、この生体反応検査法は、現代科学のように純粋な客観的評価をしているわけではありません。あえて言えば、「検査者が主観的に感じ取ったものを純粋にそのまま客観的に表す」というような表現ができるでしょうか。その客観性を高めるためには、検査を行う前から判断や評価などの思い込みは排除しなくてはなりません。検査者が熟練すると検査をする前から直感的にどのような反応が示されるのか感じることもありますが、できるだけ心の状態をニュートラルにしてあらゆる思い込みを排除することが求められます。ニュートラル状態を保って検査を行う訓練も必要ですが、生体反応検査法の客観性が高まるほど、検査の精度も高まり、治療効果もそれに伴います。

検査のマインド設定を理解した後は、「患者の陽性反応と陰性反応のパターンを読み取る訓練」です。レッグテストやマッスルテストの生体反応検査法を長年指導して分かったことの一つですが、陽性反応が引き出せない人は、陽性反応がどのような結果になるのかがわからないから反応が引き出せないとう現象があるように思います。レッグテストの実技指導で、「そこの誤作動反応は、これくらい明らかな陽性反応が示されると思いますよ・・・」と示して、そのあと代わって実技をしてもらうと、その通りの明らかな陽性反応を示すことができる方と、首を傾げてお手本通りに明らかな陽性反応が示されない方に分かれます。そこで、誤作動刺激を加えることなく、陽性反応と陰性反応のレッグテストの結果がでるようにマインド設定を加えて示してもらったところ、陽性反応を引き出しやすくなりました。つまり、調整反応が示されると、〇〇のような結果になりますよという前提学習がなかったために、微妙な神経生理学的な誤作動が引き出せないという状態が生じていたということになります。

生体反応検査法をマスターするための第二段階として、陽性反応と陰性反応の結果(現象)を把握するということになります。レッグテストでは誤作動刺激を加えずに、「ニュートラルな状態と誤作動反応の状態は、この患者ではどのように反応するのか?」というマインド設定で、陽性反応と陰性反応の結果を明らかにします。マッスルテストにおいても同様に、誤作動刺激を加えずに、患者は何も力を加えずリラックス状態で、検査者は関節のロック状態(陰性反応)とアンロック状態(陽性反応)の状態を把握します。この際、患者が力を加えていないのに、ロック状態は作り出せないのではないかと思われがちですが、抵抗を加える力の角度を関節の連結軸に向けることによってそれは可能です。もしも、患者が力を加えない状態での関節のロック状態(陰性反応)とアンロック状態(陽性反応)の状態を把握できれば後は簡単です。誤作動刺激が加わった状態で検査をすると、微妙な変化をキャッチしてアンロック状態を引き出すことができます。

この辺りの説明は文章だけでは伝わりにくいところもありますで、次回のPCRT研究会で実技指導を交えながら詳しくご説明させていただきます。