陽性反応がうまく引き出せない方に、陽性反応が示されるように指導した後、陽性反応を明らかに示して検査することができます。その際、その明らかな陽性反応結果を見て「自分で陽性反応を創っているような気がする」というコメントをいただくことがあります。つまり、勝手な思い込みで陽性反応を創っているのではないかという意味で、そこにはそんな明らかな反応が示されるはずはないという信念が見え隠れしているのが分かります。そのような検査結果を疑うような制限する信念があると、「明らかに示される陽性反応」=「自分で勝手に創り出している」=「客観性に欠ける」=「検査の信頼性がない」ということにつながり、その制限する信念の影響はいつまでたっても生体反応が読み取れないという可能性が生じます。このような受講者の多くは、科学至上主義的な機械論思想が背後に隠れており、主観を完全に省いた客観性を重んじていることが考えられます。
主観性と客観性に関わることに関しての説明は難しい部分ではありますが、この生体反応検査法は、現代科学のように純粋な客観的評価をしているわけではありません。あえて言えば、「検査者が主観的に感じ取ったものを純粋にそのまま客観的に表す」というような表現ができるでしょうか。その客観性を高めるためには、検査を行う前から判断や評価などの思い込みは排除しなくてはなりません。検査者が熟練すると検査をする前から直感的にどのような反応が示されるのか感じることもありますが、できるだけ心の状態をニュートラルにしてあらゆる思い込みを排除することが求められます。ニュートラル状態を保って検査を行う訓練も必要ですが、生体反応検査法の客観性が高まるほど、検査の精度も高まり、治療効果もそれに伴います。
検査のマインド設定を理解した後は、「患者の陽性反応と陰性反応のパターンを読み取る訓練」です。レッグテストやマッスルテストの生体反応検査法を長年指導して分かったことの一つですが、陽性反応が引き出せない人は、陽性反応がどのような結果になるのかがわからないから反応が引き出せないとう現象があるように思います。レッグテストの実技指導で、「そこの誤作動反応は、これくらい明らかな陽性反応が示されると思いますよ・・・」と示して、そのあと代わって実技をしてもらうと、その通りの明らかな陽性反応を示すことができる方と、首を傾げてお手本通りに明らかな陽性反応が示されない方に分かれます。そこで、誤作動刺激を加えることなく、陽性反応と陰性反応のレッグテストの結果がでるようにマインド設定を加えて示してもらったところ、陽性反応を引き出しやすくなりました。つまり、調整反応が示されると、〇〇のような結果になりますよという前提学習がなかったために、微妙な神経生理学的な誤作動が引き出せないという状態が生じていたということになります。
生体反応検査法をマスターするための第二段階として、陽性反応と陰性反応の結果(現象)を把握するということになります。レッグテストでは誤作動刺激を加えずに、「ニュートラルな状態と誤作動反応の状態は、この患者ではどのように反応するのか?」というマインド設定で、陽性反応と陰性反応の結果を明らかにします。マッスルテストにおいても同様に、誤作動刺激を加えずに、患者は何も力を加えずリラックス状態で、検査者は関節のロック状態(陰性反応)とアンロック状態(陽性反応)の状態を把握します。この際、患者が力を加えていないのに、ロック状態は作り出せないのではないかと思われがちですが、抵抗を加える力の角度を関節の連結軸に向けることによってそれは可能です。もしも、患者が力を加えない状態での関節のロック状態(陰性反応)とアンロック状態(陽性反応)の状態を把握できれば後は簡単です。誤作動刺激が加わった状態で検査をすると、微妙な変化をキャッチしてアンロック状態を引き出すことができます。
この辺りの説明は文章だけでは伝わりにくいところもありますで、次回のPCRT研究会で実技指導を交えながら詳しくご説明させていただきます。
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