2011年10月22日土曜日

「個人は質素に、社会は豊かに」 

先日、土光敏夫さんのことが紹介された新刊「清貧と復興 土光敏夫100の言葉」 出町譲 (著)を購入して読んでみた。

もう15年以上も前になるが、父が数十年前に購入していた1970年出版の「経営の行動指針」という土光敏夫さんの本を読んだことがあった。当時は、開業当初で、「経営のことも何か勉強しなければならないな・・・」という感じで、経営のことなどほとんどわからなかった。しかし、土光さんの本を読んでなぜか心に響くモノがあった。

特に「個人は質素に、社会は豊かに」という土光さんのお母様が残した言葉には感銘を受け、その言葉を筆でキャンバスの布に書いて、額縁にいれ、治療院に飾っていた時期があった。そして、その言葉の影響を受けて、「分相応に個人は質素な生活を心がけ、人々を豊かにせよ。」という言葉を創り、弊社の社訓の一つに加えさせていただき、未来のための指針にしている。

まだまだ、その言葉には近付けていないが、その言葉は確かに指針となっており、方向性を見失わないような羅針盤の役目を担ってくれている。

独身時代、収入も増えて、今よりも税金をたくさん払っていた時期があった。どうせ税金で払うのだからと、海外研修でビジネスクラスの座席を使ったことがある。土光さんには「そんな贅沢は必要ない」としかられるかもしれない。

飛行機での海外研修も最初のうちは、少しワクワク感を感じていたが、飛行機に乗る回数も増えてくるとそれに慣れてきてネガティブな感情が湧いてきた。恐らく、ビジネスクラスとファーストクラスとの比較が入り、その格差に不満、あるいは嫉妬心を抱いていたのかもしれない。そのようなネガティブな感情も重なって、ビジネスクラスに乗ってみた。

その時、ビジネスクラスを楽しむというよりも、ビジネスクラスに乗る乗客の人達を空港のラウンジでよく観察していたのを覚えている。どのような人達なのだろうか?お金にはゆとりがあるのだろうな~・・・ゆとりもないのに見栄をはっているのだろうか・・・どんな職業なのだろうか・・・など色々と想像を膨らませた。

それはそれで楽しい妄想だったが、なぜか自分にはしっくりこなかった。というよりも自分はビジネスクラスのタイプではないと感じたのかもしれない。

それ以来、ビジネスクラスにはご縁がなくなった。

現在では飛行機が海外を飛び回っている時代だが、飛行機が飛び始めた当時では、エコノミークラスの座席はとても贅沢な座席だったに違いない。

今では豊かになり、他との比較対象があるが故に、エコノミークラスの座席は贅沢ではなくなった。しかし、それはその人の心の持ち方で、豊かな気持にもなれはずだと、最近ではエコノミークラスを楽しんでいる。

質素な生活の中にこそ本当の豊かさが隠されているのかもしれない・・・

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