2012年8月11日土曜日

012年度、45周年AMI instructorカンファレンス レポートその3

カンファレンス3日目の朝、ライフカイロプラクティックウエストの学長によって将来のカイロプラクティックが関わるヘルスケアの再構築に関するプレゼンテーションがあった。その後、カイロプラクティック業界では著名な研究者であるDr. John Trianoによってメカノトランスダクション【mechanotransduction】についてのプレゼンが行われた。メカノトランスダクションとは機械的刺激(情報)を生化学的シグナルに変換すること。
私は数年前より筋膜や硬膜などの軟部組織への神経学的な誤作動を発現させるために、ストレッチや持続圧などの手法と合わせて、圧迫、伸展、振動など局所的な力学的な刺激を加えて検査、ならびに施術に応用して臨床的な研究を積み重ねてきた。この臨床研究とトランスダクションの科学的研究はとても関連性が深いと直感的に感じた。

臨床家達は臨床現場では施術の効果の有効性を毎日のように感じながらも科学的な根拠が乏しい。近年注目されているこのトランスダクションというメカニズムの解明は、我々の施術効果を細胞や分子レベルにおいて科学的な根拠に基づいて裏付けしてくれる可能性が大いに高い。将来、このトランスダクションの研究が広く発展し、我々の施術効果が科学的な根拠にも符号しているということが広く知れ渡ることを期待したい。

その他、Dr. Louis Sportelliという50年以上もカイロプラクティック業界に携わっているドクターのプレゼンもあった。米国のカイロ業界の会長や世界カイロプラクティック連合の会長などを歴任し、現在では多くのカイロプラクターが加入する保険会社の会長を務めている大御所である。余談ではあるが、他のプレゼンターの講義がある際、カイロプラクティックを謙虚に学んでいる姿勢に感心させられた。

アクティベータ・メソッドの本の編集にも携わっているDr. Regecca Fishcherによって、Track 3 アドバンスの最新の教材がプレゼンされた。その後、実技のテーブルに分かれて、最新のアイソレーションテストの疑問点や問題点を出し合ってノートに書き込み、そのノートを回収して再編集に使う予定。教科書になるまでには様々なプロセスを経て、修正を繰り返しながら、臨床の現場で患者に喜んでいただけているのだと再確認することができた。

その他いくつかのプレゼンテーションの後、インタビュービデオがスクリーンで紹介された。それは、アクティベータ器によって奇跡的に昏睡状態から回復されたという体験談をもつ女性へのインタビューだった。その女性の顔がなんとなく私の隣に座っているドクターによく似ていると思いながら尋ねてみると、驚いたことにその本人だった。今回はそのような特別な意味があって招待されたらしい。そのドクターは、カイロプラクターになる数年前、今から18年ほど前に事故で9か月間昏睡状態になってしまい、病院で入院生活を送っていたとのこと。病状に変化がなく母親は藁をもつかむ思いで、以前通院していたカイロプラクターに何とかできないかと治療を依頼したらしい。

その時は、治療を依頼されたドクターも回復できるのかどうか半信半疑だったがアクティベータ器を使って環椎を施術したところ、それから奇跡的に意識が回復したという。アクティベータ器によって命を救ってもらったので、アクティベータ器を使うドクターになりたいという思いを胸にカイロ大学へ入学し、現在では命を救ってくれたそのドクターのクリニックでパートナードクターとして勤務しているとのこと。

我々は、昏睡状態の患者に施術を依頼されることはないので、昏睡患者を治療することはほとんどない。しかし、恐らく効果があるのだと思う。我々の治療の対象外だという思い込みがあるだけかもしれない。別のカイロプラクティックテクニックでも施術によってこん睡状態の患者が覚醒したという話を聞くが、恐らく共通しているのは脳・神経系への振動による刺激だろう。やはり、自然治癒力、すなわち、生命エネルギーの力は「振動」と深く関わりを持っていると思う。今後もアクティベータ・メソッドの潜在的な可能性に大いに期待したいし、私の臨床研究のコンセプトである「振動」というテーマをさらに深めていきたい。

この米国のカンファレンスと同時期に、東京では通常のAMセミナーが開催されていた。そこで渡米前にAMJのインストラクターたちと話し合い、スカイプを使って米国のカンファレンス会場から東京の会場へ最新情報を伝えることを計画していた。カンファレンスでドクターファーにスカイプでの交流を依頼したところ、快く引き受けてくださり、実現することが出来た。途中、音声がうまく伝わらないこともあったが、ドクターファーが、リアルタイムで会場のスクリーンに登場したことは受講者にとってサプライズであり、とても喜んでいただけたようである。日本国内で私が不参加のセミナーは初めてだったが、菊地マネージャーのリーダーシップによって、他のインストラクターの先生方が一致協力して、充実したセミナーが開催されたとのことだった。

カンファレンス最終日の夜には、ディナーパーティーが開催された。パーティーでは45周年の記念式典が開かれ、グローバルに発展するドクターファーの功績とその歴史に関わるドクターたちが称えられた。また、現在、米国内で活躍しているディレクターやカイロ大学のインストラクター、並びに世界各国で活躍しているインストラクターが表彰された。私も日本を代表して「International Director of the Year」と「International Development Ward」という二つの賞をいただいた。一つは国際的に最も活躍したディレクターという表彰で、もう一つは国際的な発展に貢献したということで、イギリスのインストラクター達と共に表彰を受けた。

この表彰の陰には日本のインストラクターをはじめ、事務局のスタッフ、並びにそのメンバーを支えてくれている家族の力は大きい。また、毎回熱心にセミナーを受講して下さる先生方やアクティベータ・メソッドを利用してくださる患者さんたちのネットワークのお蔭だと思う。来年度はドクターファーの来日セミナーが計画される予定。今後もさらにAMI社との信頼関係を保ちながら、アクティベータ・メソッドの啓蒙に貢献することができればと願う。

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