2014年7月21日月曜日

疲労骨折からの改善!

【来院時の現症】

14歳女の子、中距離の陸上選手。2か月ほど前より右の踵が痛くなり、来院された時には部活の練習ができない状態で、痛みは毎日感じているとのこと。ファミリーカイロを来院する6日前に整形外科医院を受診。レントゲン検査で踵骨の疲労骨折の診断。投薬、貼り薬、電気低周波治療を受け、3回ほど通院されたとのこと。足のアーチを支える足底板装具も装着されていた。普通に足を着いても痛みがある状態だったで、最初から爪先立ちなどの負荷を掛ける検査は行わなかった。

【初診時施術】

最初の筋抵抗検査では、特に足のアーチを構成する筋肉、右下肢全体の筋群の弱化反応が診られた。アクティベータ・メソッド(AM)で検査を進めていくと、特に足関節周辺部、ならびに腓骨周辺の神経関節機能障害の反応が示された。PCRT(心身条件反射療法)の施術では走る際のイメージや爪先立ちのイメージ、陸上関係の心配事などの誤作動反応が示されたので、合わせて施術を行った。

施術後は両足である程度爪先立ちができるまで改善。付き添って施術を見ていただいたお母さまにも、ある程度の信頼を得られたようで、当院での継続治療を希望された。「継続通院されるのであれば、今日からでも足底板は付けないほうが治りが早いので、足底板は外されたほうがいいですよ」とご指導させていただいた。

【2回目の施術】

片足立ちで軽く屈伸運動をしてもらうと、左右ともにふら付いて不安定な状態。平衡感覚の異常を疑い、三半規管の検査をしてみると複数の眼球方向で反応を示す。幼いころから乗り物には酔いやすいとのこと。三半規管のバランス調整も行い、三半規管に関連する神経学的機能の向上を目的にリハビリ運動の指導を行う。

【3回~6回目の施術】

だんだんと症状が軽減していき、通常の日常生活では痛みをあまり感じなくなってきた。五日目の施術後に試しにジョギングをしてみると5分後ぐらいで痛みが生じたので中断したとのこと。

【7回目~13回目の施術】

陸上の練習も自分のペースで少しづつ始めながら、13回目の来院日には、ジョギングをこない、全力の7割程度で走ってみたけれども痛みがでなかったとのこと、検査でも骨盤と脊椎以外、患部の足の反応は示されなかった。当院で施術を初めて40日後、12日後には中体連が控えていた。

【14回目の来院】

通常の練習を行っても痛みを生じなかったとのこと。片足立ちでジャンプを繰り返してもらうと、痛みはないが、何かスムーズさに欠ける。尋ねてみると、「右足は、何かジャンプの仕方が分からない感じ・・・」という。「ジャンプの際はどこに意識を向けていますか?」と尋ねてみると、足に向けているという。そのパターンを検査してみると、緊張パターンの反応を示した。

そこで、足ではなく身体が宙に浮いている感じを意識してジャンプしてみてはどうですか」とアドバイスし、その感覚で検査をしてみると、緊張パターンが示されない。緊張パターンも施術で切り替えて、実際にジャンプをしてもらうと、今度は、左右同じようにジャンプができるようになった。

今度は、実際のレースの際の意識はどこに向けているかを尋ねてみると、足の運び方など、足に意識を向けているとのことで、その意識での走りも「緊張パターン」を示していた。そこで、「何かに引っ張られたり、何かに押されたりして身体が浮いているような感覚で先を意識して走ったりするイメージに変えてみてはどうですか」と、意識を体の部分に向けるのではなくその先にあるものに向けるようにしてはどうですかと提案し、自分なりの感覚でイメージをしてもらった。

すると、先ほどの「緊張パターン」は示されなかったので、そのイメージで走る練習を実際にしてはどうですかとアドバイスさせていただいた。

【15回目の施術】

部活でのジョギングには支障がなかったが、足底部に少し違和感があったとのこと。検査をしてみると、右足の縦のアーチを創る関節部と足底筋の機能異常が診られた。アクティベータ器にて調整後、肉体外のエネルギーブロック(PCRT検査による)が診られたので感情面による誤作動を調整した。週末には中体連が控えており、部活が終わる「喜び」と部活が終わった後に勉強を頑張る「期待」という前向きな感情が絡んでいた。大会を前にして、順位やタイムのことも大事なのかもしれないが、それよりも中体連最後の大会を前にして、何か将来に向けたすがすがしさを感じさせてくれた。

【考察】
一般医療では、疲労骨折の治療となると、少なくとも2か月から4か月は安静が必要とされる。恐らく当院で施術を行わなければ、足底板でしばらく固定して、数か月間安静を保っていただろう。長期的にはそれでも治るのかもしれないが、希望されていた最後の中体連には参加できないのは明らかだった。今年の中体連が娘にとって最後になるので、悔いのないように参加させてあげたい!」という親御さんからの勧めで当院へ来院していただいた。施術する側としては、調整すれば早期に回復させることができるという自信はあるものの、ほんとうに大会までに間に合わせることができるのかとプレッシャーがなかったわけではない。
詳しい施術内容までは述べていないが、ここまで順調に改善した背景にはいろいろな壁がいくつかあった。大きな壁の一つとして、「疲労骨折がそんなに早く治るのか」という一般常識の壁だった。病院でレントゲン診断を受け、足底板で固定してもらい、長期の安静を指示されたわけなので、骨折しているのに固定もせず、できるだけ早期に動かすように指示されるということは「常識破り」になる。その一般医療による常識として植えつけられた思考パターンからコーチング的に探索して、新しい自分の治癒力を信じられる信念体系へと変化させる必要があった。そのようないくつかの一般医療常識に絡んだ信念体系の壁を乗り越えることによって、本来持ち備えている患者自身の治癒力が最大限に発揮できた成果だと思う。
AM、PCRT、コーチングというようにそれぞれの良さを患者さんのニーズに応じて併用した症例であった。

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