毎回、セミナーが終了した後には、あの質問にはこのように説明すればもっと分かりやすかったのではないかといろいろと反省することや学ぶことが多々あります。今回はアドバンスのクラスでの質問のなかで、大切なポイントがいくつかありましたのでシェアしたいと思います。
ポジション1の臨床的意義について、
ポジション1を構造的に診るのと、筋肉のトーンを感じ取る「有機的な読み取り方」をするのとではPD側の判断に大きな違いが出てきます。患者さんの身体的構造やその時々の状態にもよりますが、一見、右短下肢に見えても、その患者さんの立位姿勢を再現するように足関節部の底屈と内反をしっかりと取り除いて、十分な軸圧(頭上圧)を加えることで、最初に見えた右短下肢が、左短下肢へと逆転することがあります。そして、その多くが左PDと一致します。この正確なポジション1が読み取れるかどうかは、臨床的にとても重要なポイントになります。
アクティベータ・メソッドの施術の多くが腹臥位で行われますが、このポジション1による頭上圧(軸圧)は、重力下にある立位姿勢での神経機能学的な状態を一時的に再現させるという意味も含まれます。もしも、私たち人間が無重力状態や寝たきりの状態で生活しているのであればこのポジション1での刺激はあまり意味を成しません。私たちは常に重力に逆らって立ったり座ったりすることで、それぞれの関節に軸圧が加えられ、そして、バランスを保っているということを踏まえることが大切です。
歩けない乳幼児の場合はどうでしょうか?乳幼児は最初、首が座らない状態から、数か月でだんだんと座る状態、すなわち重力に逆らって頭を保持する機能が養われてきます。抱っこされているか、ベビーカー、あるいは寝ている状態ですので、下肢、骨盤への重力に伴う軸圧はかからない状態です。ポジション1を見る際には、頭上圧ではなく、両下肢を軽く牽引して下肢長差を比較します。そして、重力負荷がまだかからない骨盤や腰椎、胸椎などは検査、矯正せずに、頸椎1番、あるいは2番などの上部頸椎を調整します。この部位には反射系の中枢である脳幹部が存在するということと、頭が重力に逆らって座るという構造学的機能が最初に働く部位という意味で重要になります。
中国古典の「呻吟語」の中で、「ただ道を得ることの深き者にして、然る後に能を浅言す。凡そ深言する者は、道を得ることの浅き者なり。」とあります。
つまり、「道を深く体得している人ほど、語ることが単純でわかりやすい。ああだ、こうだと回りくどく、むずかしいことをいう人ほど、道を体得することが浅い。」ということです。
カイロプラクティックや様々な施術法の分野でも、ああだ、こうだと回りくどく難しいことを語る人がいます。聞き慣れない専門用語を使ってあたかもそれくらいは知っていて当然ですよと言わんばかりに学者のように語る。
何か頭のいい人のように錯覚しがちですが、心に入り染み込んでこない。表面的な知識は豊富なようだが何か本質的なことが分かりにくい。結局、語る本人が本質的なことを理解していないので、シンプルな言葉で分かりやすく伝えられないように感じます。
カイロプラクティックでも様々な理論があります。そして、それを説明するための理屈があり、納得しながら学びを深めていくわけですが、Activator Methodsにはカイロプラクティックのエッセンスがたくさん詰まっているように思います。
以前から繰り返し言っていることではありますが、AMにはシンプルの中にも奥深さが隠されています。まだまだ、解っているようで、解っていないことがたくさん隠されているはずですので、「解ったつもり」にならずに、さらなる本質を追及していきたいと思います。
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