2019年5月3日金曜日

治療院での「めまい」のアプローチ

めまい、ふらつき、フワフワ感、天井が回るなどの症状を抱えた患者さんが私たちの治療院に来院されます。「めまい」の原因は様々で、病院での治療が必要な「めまい」もありますので、病理的な疑いのある患者さんは病院への受診をお勧めしたほうが良いでしょう。特に腫瘍や感染症が伴う場合は病院での治療が必要です。耳が原因の場合は耳鼻科、脳が原因の場合は脳外科や神経内科などで検査が必要です。

「めまい」の治療のために来院される患者さんの多くが、腰痛や肩こりで受診された経験があり、信頼関係が築けている患者さんです。また、すでに病院での検査を受けて、改善が見られずにご紹介で来院される患者さんもいます。私たちが診る患者さんは、基本的には病理的な構造的異常を伴う「めまい」ではなく、機能的な異常による「めまい」症状です。

患者さんが訴える「めまい」の症状にも様々な種類があります。長年、「めまい」の患者さんを施術させていただいた経験で、自然療法で効果が出せる機能異常による主な「めまい」の発生源は「前庭器官」、「小脳」、「頸動脈洞」だと考えています。最も多く遭遇してきたのは「前庭器官」で、次いで多いのは「小脳」。そして、3つ目が起立性調節障害に関係する「頸動脈洞」です。「めまい」といっても、患者さんによって様々な表現の仕方があります。この3つの発生源は問診からもある程度推測することができます。前庭器官に機能異常がある場合は自分が回るというよりは天井や周りが回るという表現をされます。小脳性の機能障害の場合はまっすぐに歩けず平衡感覚がおかしいというような表現をされます。そして、頸動脈洞の機能障害は立ち上がった時にふらつくと訴えます。これらの3つの発生源が複合した症状もありますので、それを明確にするためには目安検査が必要になります。

それぞれの機能障害をプロトコルに基づいて施術を行うと、施術前に示された目安検査の陽性反応が陰性化され、ほとんどの患者さんがその場で症状の改善を体験されます。めまいを引き起こす発生源は異なっていても、基本的には身体を調節するコントロール系に異常をきたしているわけです。コントロール系統の調整だけでも症状の改善が促されますが、症状がぶり返す場合には、さらにそのコントロール系を乱す原因を調整する必要があります。私の臨床経験によるとその多くが無意識的な誤作動記憶で、いわゆる心と身体の関係性による誤作動です。ほぼ9割以上の「めまい」の患者さんがその誤作動記憶の調整で改善されるので、その因果関係には確信を得ています。構造異常の診断が得意な西洋医学の文献でも「めまい」の原因の約3分の1は心因性という報告もあります。

「めまい」だけの症状ではなく、パニック障害や不安障害などでも「めまい」を伴うことがしばしば見られます。私たちの臨床現場では心因性といっても本人も自覚していないような無意識的な内容が原因となっていることがほとんどです。「めまい」の施術直後には9割以上の方が症状の消失、あるいは軽減を体感されますが、次の来院時にはぶり返している方も少なくはありません。その場合は、原因となる誤作動記憶を掘り下げて消去法のように原因パターンを消していくことで症状が改善されていきます。これも私の経験ですが、機能的な「めまい」の症状は、筋骨格系の症状と同様に比較的改善されやすい症状であると言えるでしょう。

次回のPCRT基礎2では「めまい」の発生源を特定する目安検査とハード面調整法だけでも効果があるという手法をご紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。

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