先日、NHKのダビンチ・ミステリー(第2集)という番組を見ました。モナリザの絵画で知られているダビンチは、医学、生物学、物理学、工学・・・あらゆる学問に精通していた「万能の天才」と言われています。そのダビンチの思考を分析するために膨大な「手稿」を世界から入手してAI解析を行い、ダビンチの「脳内」を再現するような広大なプロジェクトが紹介されていました。その中で、ダビンチを研究している心臓弁手術専門の心臓外科医は、ダビンチが描いた心臓の内部を現した解剖図に感銘を受けたといいます。その解剖図には心臓の内部の血液の流れが描かれており、血流の渦の回転力で心臓弁を閉じる機能まで解説しているのです。それは500年前に描いた解剖図です。心臓弁を閉じる仕組みは最近のコンピュータのシュミレーションによって、血液の流れを解析することで心臓弁の箇所で渦を巻いてその勢いで弁が閉じられるという仕組みが明らかになったとのことで、どのようにしてダビンチが最新の分析器もない時代に、その弁を閉じる仕組みが血流の渦によって引き起こされているということが分かったのでしょうか?
番組では500年前の分析機器がない時代に、ダビンチがどのように心臓弁を閉じる原理を知り得たのかということが紹介されていました。その秘密をAI解析してみると、ダビンチは「水」に対して異常なこだわりがあったことが分かりました。彼は川の運河を観察し、渦が生じる仕組みを何度も実験し、解剖によって動脈で再現したのではないかと言われています。水は血液と結び付き、生命という根源的な関心へとつながっていく様子が示されていました。まさに水こそが地球を循環しており、世界をつないでいる大切な生命の源になる。理論物理学者・フリチョフ・カプラによると、「世界の全てを知りたいと願ったレオナルドにとって水こそがその象徴だったのではないか」と述べています。
ダビンチは「自然には法則のない結果は何もない」、「法則を理解せよ」と記述しています。フリチョフ・カプラによると、・・・『ダビンチが膨大な知識に基づいて、複雑な仕組みを全体の「つながり」を通して考える発想を持っており、それは、すなわち「システム思考」で物事を幅広く考察し、体系的に考えていたのではないか。」「光学、解剖学、認知科学、存在論など科学や哲学、さらには芸術を融合させ、全ての知識がインターネットのように分かっていたのではないか?」・・・と述べています。ダビンチは科学と芸術の領域を行き来して、さらには哲学をも融合させていたようです。これは、カイロプラクティックの創始者であるDDパーマーや2代目のBJパーマーの考えに通じていますが、もしかすると、ダビンチの影響を受けていたのかも知れません。
番組ではダビンチが幼少の頃から「自然」をくまなく観察していた様子が紹介されていました。そのような「自然」に対する観察力が土台となって、数学や幾何学などの様々な知識とつながり、様々な発明発見につながったのでしょう。「自然」という本質を土台にすることは、様々な法則につながっているようで、「人間の本質」も「自然の本質」につながっているように思います。番組の最後に、・・人類の複雑化、グローバル化が進む現代において、「細分化」する技術では対応できない問題が生じている、これからは「つながり」から世界をとらえる力が求められるのではないか・・というコメントが心に残りました。この番組を通じていろいろなことを考えました。本質的な治療法を長年研究してきた治療家として、「細分化」でとらえる機械論的な診方に限界を感じ、「つながり」、「関係性」でとらえる有機論的な診方へと方向転換した20年以上も前のことを思い出しました。改めてこれまでの臨床研究が意義あるものであり、時代の流れに沿ったテーマであることを再認識し、これからもこのテーマを深めていきたいと心に響くものがありました。
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