2020年2月16日日曜日

ウイルスに対する「免疫力」と「適応力」

最近(20202月中旬)、連日のように新型コロナウイルスのニュースが飛び交い、感染者の数や死亡者の数が報告されています。感染者数や死亡者数以外に気になるのは、このウイルスの感染力や潜伏期間ですが、特に知りたいのは感染しても発病しない方や軽い患者がいるという報告の詳細です。人から人への感染も起こることが分かってきました。多くの情報が得られつつある一方、濃厚接触から飛沫感染などの感染のしやすさや感染源、感染経路、重症度など十分に分かっていません。また、この新型コロナウイルス感染症に対しては、有効性が証明された治療法はなく、ワクチンも存在しません。
私たちはどのように予防すれば良いのでしょうか?多くの人が行っている予防対策はウイルスを「避ける」という方法です。ウイルスが体内に入らない様にマスクや手洗いが必要だということは周知の通りですが、どこまで予防できるのかという科学的な有効性は曖昧な部分もある様です。「避ける」ということが過剰になり過ぎても精神的なストレスが心身のバランスに影響を及ぼしてしまうことにもなりかねません。今回の新型コロナウイルス は前回のSARSコロナウイルスよりも毒性が弱いという報告もあるようです。この流行がいつまで継続するのかは定かではありませんが、いつかは落ち着いてくることは前回の経過記録から見ても明らかです。
予防のために次に必要なのは「免疫力」を高めるということです。基礎疾患を持っている人は免疫力も低下しているので、重篤な状態になりやすくなります。逆に言えば健康で免疫力が高いと感染しても症状が悪化することが少ないかもしれません。しかしながら、基礎疾患のない成人の死亡例も出ているという報告もあります。基礎疾患のない成人が急激に症状を悪化させてしまう現象の1つに、「サイトカインストーム」があります。
免疫系はウイルスなど外敵が体内に侵入してきた際に、白血球が攻撃し始めます。この調整にはサイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っており、体は白血球をさらに動員し、体温を上げてウイルスの増殖を抑えたり、咳や鼻水を生じさせたりと、さまざまな反応を起こします。このとき、一部の人では、その反応が強く出すぎて身体に大きなダメージを与えることがあります。それがサイトカインストームです。はしかやおたふくは子どものうちにかかると軽く済むが、大人になってかかるとダメージが大きくなりがちだというのはよく知られた現象です。
私が長年自然施術療法の研究をしてきた観点から感染症に対する予防対策は、「適応力」が鍵ではないかと考えています。これは「免疫力」と類似した考え方です。ウイルスが変異して進化して続けている今日において、人間も進化して適応していく必要に迫られているのだと思います。私たちは長い人生において、風邪などの感染症には何度か罹患しており、その都度、自然治癒力が働いて治してきた経験は誰もが持っているでしょう。インフルエンザで高熱がでるのも、自然治癒力が働いてくれている現象で、高熱を出してウイルスを死滅させる役目があるとされています。だから、熱が出たからといって簡単に熱を下げてはダメだと言われています。
私たちは子供から成人になる過程で様々な感染症に罹患して、自然に治す力を学習してきているのです。その経験が多いほど病気を治す力が身についていると言ってもいいかもしれません。例えば、子供には大変だからといって、親がいろいろなことをサポートし過ぎると、子供は自分で考えて行動する力が損なわれるので、いざという時に知恵が働かなくなるということもあるでしょう。また、高齢者だからといって、過剰に介護してしまうと、人はそれに頼ってしまい自分では何もできない頭、身体になりかねません。それと同様に風邪などの軽い感染症などは、できれば薬は少なくして、「体内にある薬」によって自力で治す方が、病気の治し方が訓練され、ウイルスに対する適応力も高まってくるのではないでしょうか?
私は長年アレルギー治療の研究を行ってきました。アレルゲンという目には見えないアレルゲン情報を身体に適合させる施術を行なっています。身体を使った検査で陽性反応か陰性反応かを判断し、調整後に陽性反応から陰性反応へと転じると、ほとんどの患者さんでアレルギー症状が改善されます。この施術法は、ヒトが本来持っている「適応力」を引き出す施術法であり、原因となるアレルゲンを避けるというより、「免疫記憶」を書き換える施術になります。
これは、「人間は外界との関係性で生かされている」というPCRT(心身条件反射療法)の哲学的概念の一つにも関係しており、免疫系とウイルスとの関係性を調和させようとする施術です。ウイルスが進化し変異し続けているとはいえ、ウイルスも自然界の一部であり、人間もその進化に適応し順応していく必要があるのではないでしょうか?人は本来進化するもので、「適応力」を高める力も進化させる能力を持ち備えているということを意識することも大切だと思います。
「避ける」という予防以外に、PCRTでできる施術があるとすれば、身体のバランスを整えて「抵抗力」を高めること。そして、ウイルス情報の過敏度を検査して、もしも、陽性反応が示されたら、その「免疫記憶」を書き換える施術、身体をウイルス情報に適応させる施術を行なって免疫系が過剰になりすぎない様に調整することができると思います。「抵抗力」と「適応力」を高めて、進化するウイルスと共存できる体質を創っていきましょう。

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