
人は「フロー体験」をすることで、人間の無限の可能性を引き出し、素晴らしい成果を引き出すといわれています。その「フロー体験」が実践されていた職場として、創業者の井深大さんが健在だった当時のソニーが紹介されています。戦後に混乱期に掲げられた「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」・・・というソニー設立趣意書の創業理念に基づいて突き進んでいた頭脳集団が、「フロー体験」によって、当時としては革命的な製品を世に出してきたといわれています。
人は何もしないと「無気力」になります。社会問題にもなっている認知症にはこの「無気力感」が関係しているといえるでしょう。何らかのスキル(能力)を身に着けると満足を感じますが、だんだんとそれに慣れると「退屈感」を感じます。少しチャレンジして高いスキルを身に着けると自信がついて、「満足感」や「安心感」を感じ、さらには「幸福感」も感じるかもしれません。その一方でチャレンジの度合いが高くなると、「心配感」を感じます。さらにチャレンジの度合いが高くなると「不安」になりストレスを強く感じるようになります。
人は本能的に「安定感」や「安心感」を求める傾向がありますが、そこには「退屈感」が伴うことが少なくはありません。だからと言って「挑戦」ばかりが継続するとストレス度が高まり、心身共に疲弊しがちになます。人は「退屈」と「挑戦」の狭間にある自分に合った「フロー体験」をすることで、心身のバランスが保たれ、素晴らしい体験がそこから生まれます。
また、「最良の健康」を維持するためにも、この「フロー体験」を保ち続けることが大切です。何歳になっても、「適度な挑戦」は持ちつづける工夫こそが、この「フロー体験」を伴う「最良の健康」を維持する秘訣です。安定の継続=不健康といってもいいくらい、「安心」、「安定」、「満足」には危険が隠されているということも心に留めておきましょう。「挑戦」と「安定」とのバランスを保ちながら最良の健康と成長を維持していきましょう。