2017年4月11日火曜日

急性腰痛の早期改善

急性腰痛の早期改善

患者情報:
40代女性、昨日、職場でくしゃみをした時から急に腰が痛くなり、だんだんと悪化したとのことで来院。10数年以上も前から何か不調があるごとに当院を利用していただいている患者さんである。今回は1年と3ヶ月ぶりに来院された。

【1回目の施術】

目安検査:陽性反応
筋肉・関節(他動運動検査)=骨盤関連関節、腰部関節、胸部関節、頸部関節、両肩関節、両肩甲帯関節、胸骨関連関節、両股関節・・・ほとんどの動きで痛みを誘発
筋肉・関節(自動運動検査)=骨盤関連関節、腰部関節、両股関節・・・ほとんどの動きで痛みを誘発
体軸(他動検査)両下肢体幹軸

ハード面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
AM(アクティベータ・メソッド)のベイシック調整とアドバンス調整を骨盤関連関節、腰部関節、胸部関節、頸部関節に施す。
PCRTの空間ブロック調整法にて骨盤、腰部、腹部、胸部周辺のEBを調整

施術後の目安検査の再評価:
施術前に陽性反応が示されていた目安検査は全て陰性
痛みのためにできなかった骨盤・腰部周辺の他動運動検査でも痛みの誘発はほとんどなかった。

患者さんの症状はかなり改善され喜んでいただいた。

【2回目の施術】4日後に来院

問診:
術者:その後、どうでしたか?
患者:荷物を持つ仕事で、休むことなくできているのですが、朝起きてから痛くて、1時間ぐらい身体が固まっている感じです。身体を動かしているとだんだんと良くなるのですが、前屈みの時に痛いですね。

目安検査:陽性反応
筋肉・関節(他動運動検査)=骨盤関連関節、腰部関節、頸部関節、特に腰部前屈運動と左側屈運動にて疼痛

ハード面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
AM(アクティベータ・メソッド)のベイシック調整とアドバンス調整を骨盤関連関節、腰部関節、胸部関節、頸部関節に施す。
特記)椎間関節部の反応が顕著であったため、腰部関節を側屈させファセットの調整を施す

施術後の目安検査の再評価:
施術前に陽性反応が示されていた目安検査は全て陰性
痛みが誘発されていた腰部前屈と左側屈の陽性反応は消失。

患者さんは施術前の痛みの消失に喜んで、安心された様子が伺えた。

考察:
急性腰痛の患者も様々であるが、今回の患者はくしゃみをしてから急に腰痛が悪化したことから、腰椎椎間板に何らかのストレスが加わり、椎間板内の線維輪や周辺の軟部組織を痛めた可能性もある。髄核が飛び出して、ヘルニア状態になっているかどうかは定かではないが、施術後の体重負荷ですぐに安定していたので、おそらくヘルニア状態にまでにはなっていないことが予測される。もしも、線維輪が破れ、髄核が飛び出してしまうほどの状態であれば、テーブルの上ではかなり動けるようになっても、いざ体重負荷をかける時になると、疼痛が増強することが多い。その場合、徐々にテーブルを起こしながら、その都度、その体勢で調整を行い、立位姿勢に適応できるようにサポートする。今回の患者はそこまでの調整は必要なかったので回復が早いだろう。

AM(アクティベータ・メソッド)は、関節や軟骨周辺の細かな神経受容器に調整振動が届くので、このような急性腰痛の患者にはとても効果的である。

2017年4月10日月曜日

意識と無意識の不一致を乗り越えた先にあるもの

意識と無意識の不一致を乗り越えた先にあるもの

ダンスインストラクターの方が、半年前からある股関節の痛みで来院。最初は、寝たままの状態から、膝関節を曲げて、股関節を45度ぐらい屈曲するだけで、痛みが生じていた。2ヶ月後のイベントまでにはなんとか治したいとのこと。8回ほどの通院で舞台パフォーマンスができるまで回復、2回目の舞台も無事終了。股関節を大きく内回しや外回しをしても痛みのない状態まで回復し、施術後には症状はほとんど消失するが、次の来院日には、両方の股関節前面の鼠径部に症状がぶり返すとう状態が3回ほど続いている。そのぶり返すパターンには何か原因があるだろうと、患者さんとともに探索していた。

ぶり返す症状が継続してから約1ヶ月後の施術でようやく糸口が見えてきたのでご紹介させていただく。

目安検査:陽性反応
EB部位を触れる=両鼠蹊部(3回ほどぶり返す)
症状イメージ=スタジオに戻るイメージ(前々回からぶり返す)

ハード面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
AM(アクティベータ・メソッド)とPCRT(心身条件反射療法)でハード面調整を完了。ハード面調整法の後は、いつもその場で症状が軽減、あるいは消失している。

ソフト面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
前々回の検査から、ダンススタジオに戻るイメージをしてもらうと、陽性反応が示されていたので、その日の施術でもダンススタジオのイメージから検査を行う。

術者:それでは、以前からぶり返しが続いているダンススタジオに戻るイメージから検査させてもらえますか?
患者:はい(ダンススタジに戻るイメージ)
術者:(生体反応検査法)また、陽性反応がぶり返していますね。それでは、また検査チャートを使って調べます。
患者:(検査チャートを押さえる)大脳辺縁系→感情→意欲
術者:意欲というキーワードで陽性反応が示されていますが、何か心当たりはありますか?確か前回の施術でも意欲のキーワードが出ていましたが・・・。その時は、振り付けのアイディアを出すというような創造性に関する意欲だったと思います。再度、そのイメージで検査させてもらえますか?
患者:はい(前回と同じ振り付けを創り出す意欲をイメージ)
術者:・・・前回と同じように反応が出ていますね。ということは、まだ、そのことに関して深い意味があったり、不明瞭だったりしている可能性があるのですが・・・新しい振り付けを創り出した先にあるモノはなんでしょうか?
患者:そうですね。新しい振り付けができたら、それを舞台公演で発表したりすることになると思います。
術者:お話しされている間に検査をしてみると、陽性反応が示されていますので、そのことが、先ほどの意欲の先にあるゴールになる感じでしょうか?それ以上先のゴールはありますか?
患者:いいえ、それ以上はないと思います。
術者:「さらに」の生体反応検査でも反応が示されないので、それが最終だと思います。それでは、そのことをイメージしながら深呼吸をしてください。
PCRT呼吸振動法を施す。生体反応検査で先ほどの陽性反応が陰性反応に変わる
術者:意欲に関する誤作動記憶は調整できましたので、スタジオに戻るイメージで再検査させてもらいます(フィードバック検査)・・・そのイメージでまだ陽性反応が示されていますので、再度、検査チャートを使って検査させてもらいます。
患者:(検査チャートを押さえる)大脳皮質系→意味記憶→エピソード記憶
術者:「エピソード記憶」の場合は、症状部位からの痛みの信号ではなく、脳で作られる痛み信号です。では、そのエピソード記憶の施術を行いますので、まずはご自分自身の姿を客観視してください。映画の中にいる自分を想像するような感じです。そして、その自分の映像の中で痛みのある部位に赤い色をつけてもらえますか。
患者:はい、想像できました。
術者:今度は、その痛みの赤い色を取り除いてください。
患者:あ〜色が取り除けない〜。え〜何だろう〜
術者:お・・・赤色を取り除くイメージができないのですね。それでは、その痛みの赤色を取り除けない原因検査のために再度チャートを使って調べてみましょうか・・・。
患者:(検査チャートを押さえる)大脳皮質系→意味記憶
術者:「意味記憶」というのは無意識に何か意味付けしていることが、赤色の症状を取り除けない原因の一つになっているということです。もしかすると、ぶり返す原因の一つになっているかもしれませんね。それでは意味記憶の検査チャートを使って検査させてもらいます。
経験→情報→ストーリー・・・あ〜「ストーリー」で反応が示されましたか・・・この反応は少し複雑です。ここも無意識の自分が作っている筋書きで、意識では早く治したいと思いつつ心の奥の無意識さんは、治ると何かを失うと勘違いしているようなことです。例えば、今、新しい振り付けのアイディアを出そうと一生懸命になられていますが、股関節が悪いことで、そのアイディアがでてこない自分にとっての正当な理由だったり、あるいはご自分に対する何かの言い訳だったり・・・・
患者:・・・ん〜何かそれは分かるような気がする。本当は(振り付けを)やりたくないけどやらなければいけない。そのことに文句を言っちゃいけないというのは、仕事があることにありがたみを感じているがゆえにありますね・・・
術者:そうですか〜、では身体がそのような自己矛盾に反応しているということを理解できそうですか?
患者:ややこしいけど理解できます。(笑)
術者:それではその自己矛盾を認識してもらいながら大きく深呼吸をしてください。(PCRT呼吸振動法を施す)
術者:それでは、先ほどイメージで取り除けなかった赤色を取り除いてみますか・・・
患者:あ〜〜〜無くなった!え〜〜すごい、手のひらに汗も出てきた!わ〜すごい!(自律神経系の変化)
術者:それでは先ほどのエピソード記憶の調整を行いますね。深呼吸を繰り返しながら、先に症状の赤色のついた自分の姿を思い浮かべて、次に赤色を取り除いた自分の姿を思い浮かべて、深呼吸を続けながら2往復繰り返してください。
PCRTパターン振動法を施す
患者:あ〜今度は症状の赤色がイメージしにくくなりました!あ〜不思議!
術者:それでは、最初の陽性反応の検査に戻りますので、スタジオに戻るイメージをしてもらえますか?
患者:(スタジオに戻るイメージ)
術者:今度は陽性反応が示されていません。今回は、奥深い誤作動記憶が明確になったので期待できるかもしれませんね・・・
術者:いい気づきだったと思います(お〜すごいドラマだな〜〜と感心する・・・)
患者:ありがとうございました。
施術完了

考察:
施術の直後には慢性症状が改善されるが、その症状が同じような原因パターンで振り返される場合、「意味記憶」や「エピソード記憶」に関係している事は珍しくない。今回のケースのように症状がない理想の自分自身の姿を想像できないということは、言い換えると、無意識のもう一人の自分が「そのイメージはしたくない」といっていると解釈することもできる。当の意識の本人はそのような無意識さんの思いを知る由も無い。

治っている自分の姿というのは、意識では心から望んでいる姿なので、想像できるはずだが、それができないというのは、どこかに「理想のイメージ=治るイメージ」を制限しているもう一人の自分が存在しているということにつながるだろう。施術を通じて意識と無意識さんとの境界線を取り払って無意識さんに寄り添ってみると、「無意識さんが抵抗している理由もよく分かる」ということにつながり、新たな選択肢へと広がる。


これは、一般論的に言われている「疾病利得」というニュアンスとは異なる。このような意識と無意識との不一致がもたらす関連症状は、単にハード面だけの施術法だけでは到達できない領域だろう。PCRTの臨床現場では、そのような壁を乗り越えて次のステージへと進む。そして、その瞬間、瞬間に様々なドラマが展開される。私たちはそのような患者さん達に寄り添って、一緒にその壁を乗り越えていくことで、なんとも言えない治療家としての醍醐味を患者さんとともに味わうことができる。いつもこのようなドラマに遭遇するわけではないが、このような奥深い施術に携わることができるということに心から感謝する。

2017年4月3日月曜日

ビリヤードイップスの施術(初診時)

ビリヤードイップスの施術(初診時)

患者情報:
30代男性、ビリヤード歴は15年、ビリヤードの試合などにもプロに混ざって参加されているという。イップスの症状が出始めたのは2ヶ月ほど前からで、ビリヤードをするときには毎回その症状がでるという。特に悪化するのは大会などでプレッシャーを感じているとき。

AMPCRTを併用し、PCRTの検査プロトコルに従って調整を行う。

目安検査:陽性反応
チャクラ=第四、第五のEB(エネルギーブロック)、右手掌チャックのEB
筋肉・関節(他動運動検査)=右肩関節、右鎖骨関連関節、右肘関節
症状イメージ=ビリヤードのショット、大会で緊張する場面

ハード面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
AMのベイシック調整とアドバンス調整を肩関節、肩甲骨、鎖骨周辺、肘関節へ
PCRTの空間ブロック調整法にて上部胸椎、肩関節、肘関節周辺のEBを調整

ハード面調整後、右肩関節中心とする筋肉・関節のEBの陽性反応は消失、チャクラのEBの陽性反応も消失。患者自身が調整前に感じていた肩関節の他動運動による違和感も消失。

ビリヤードのショットのイメージによる検査では、まだ陽性反応が示されていたので、ハード面調整は完了。ソフト面調整へと切り替える。

ソフト面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
ショットのイメージ=陽性反応
PCRT誤作動記憶検査チャートを使いPRT(生体反応検査法)を行う。
大脳辺縁系→信念チャート→競争心でPRT陽性反応
術者:勝負ごとですので、ライバルが何人かいると思いますが、思い当たる人は何人いますか?
患者:そうですね。三人ぐらいですかね・・・
術者:それでは、競争心に関連する人がいるかどうか検査をしますので、適当に一人一人心の中で思い浮かべてもらえますか?
患者:はい(一人目を想像)
術者:(術者はPRT検査)反応しませんので影響はないと思います。では次の方の想像をお願いします。
患者:はい(二人目を想像)
術者:(術者はPRT検査)その方のイメージでは身体が反応を示していますね。
患者:なるほど・・・
術者:ちなみにもう一人の方を想像してもらえますか?
患者:はい(三人目を想像)
術者:(術者はPRT検査)その方は反応しませんので影響ありませんね。それでは、反応を示した二人目の方ですが、何か心当たりはありますか?
患者:そうですね、その人とはビリヤードに対する考え方が合わないというのは意識していると思います。
術者:(術者は患者が会話をしている時にPRT検査)いま、お話しされている最中に検査をしていると身体が反応を示しているので、そのことが関係しているようです。「さらに」というキーワードで身体に聞いてみると、その奥に競争心につながる心が隠れているかもしれないのですが、思い当たりますか?
患者:そうですね。その人には負けたくないですね。
術者:(術者はPRT検査)それで陽性反応を示していますので、そのような気持ちを認識してもらいながら、そのことが身体に障らないように調整させていただきますので、私の声に合わせて深呼吸をしてください。→PCRT呼吸振動法
二人目の人のイメージでフィードバック検査すると陰性反応→他の信念が関係していないかでフィードバック検査すると陽性反応を示す。
信念チャートで再度PRT検査を行うと、今度は「犠牲心」で陽性反応を示す。
術者:今度は「犠牲心」というキーワードで陽性反応が示されるのですが、何か心当たりはありますか?
患者:???
術者:ちょっとピンとこないようですので、「犠牲心」に関係する分野を別のチャートを使って調べてみましょう。
術者:趣味関係で陽性反応ですので、ビリヤード関係ですね。
患者:ビリヤードで犠牲???ん・・・あっ、もしかすると、最近子供が生まれたので、ビリヤードで家族を犠牲にしているというのが心の何処かにあるかもしれませんね・・・
術者:それでは、そのことを思い浮かべてもらいながら検査をしてみましょう。PRT検査・・・そうですね。そのことで陽性反応が示されていますね。
患者:そうですか。なるほど・・・
術者:それでは、そのことが身体に影響を受けないように調整させてもらいますので、そのことを思いうかべてもらいながら大きく深呼吸をしてください・・・PCRT呼吸振動法・・・それでは、再検査をしますので、そのイメージのままで・・・(術者はPRT検査)、陽性反応が消失しています。他に何か影響がないか調べますので、先ほどのショットのイメージをしていただけますか?
患者:はい(ショットのイメージ)
術者:今のイメージでは、先ほどの陽性反応が示されていません。それでは、最後にもっともプレッシャーを感じて、イップスの症状が強かった時を思い出していただけますか?
患者:はい、(患者にそのイメージをしてもらい術者はPRT検査)
術者:そのイメージでは陽性反応が示されていないので、誤作動を生じさせる脳の神経回路は切り替わっていると思います。
それでは、実際の感覚の変化を試していただきたいのですが、ここでは実際に球を打てないので、実際に打つように素振りで打つ動作をこのベットの上で行ってもらえますか?
患者:はい(治療用のベットの上で構えて何度か球を打つ動作を行う)
術者:治療前の感覚を10とすると、治療後の感覚はどれくらいですか?
患者:そうですね。感覚がずいぶん変わりましたね。3ぐらいでしょうか?
術者:それは良かった、この状態を身体が記憶してくれるとぶり返しが少なくなって早く改善することが期待できますね。
施術前の目安検査はすべて陰性反応
ソフト面調整の完了

患者は満足そうな笑みを浮かべていた。

施術後の説明:
術者:このイップスの治療は、筋肉に誤作動を生じさせてしまう脳の記憶を書き換える治療です。おそらく陽性反応が示された内容は、普段意識していないことだった思います。誤作動記憶に関連するほとんどが無意識的なことですので、今日治療した内容のことはしっかりと覚えていただき、さきほどご紹介した自己療法も家で行って、脳と身体に記憶させておいてください。
今日の施術では、イップスを引き起こす誤作動記憶の反応は消失していますが、脳の記憶は複雑で、他の誤作動記憶も隠れている場合があり、完治するまで繰り返し治療が必要なケースが多いのですが、次回はどうされますか?ご自身で症状の改善具合をみながら通院されますか?
患者:様子を見ながら来て見ます。
術者:それでは、また必要な時に来院されてください。

考察:

様々な種類のイップスの症例がある中で、ビリヤードのイップスの患者さんの来院は珍しい。しかしながら、イップスの種類はほとんど問題にはならない。どのイップスであろうが、心が関係している以上技術論だけでは解決しない。どのイップスであれ、発症してから長期間放置して、しかも技術論、すなわち表面的なテクニックで治そうとした経験があると長引く傾向にある。比較的早く改善する傾向があるのは、発症後早期に来院された患者さんである。本症例の患者さんも発症から2ヶ月後ぐらいに来院されたので、改善は早いだろう。