2017年6月2日金曜日

強迫性障害


【情報・経過】
40歳、男性、自閉症、4年ほど前より当院を利用していただいており、メンタル面の問題や肉体面の問題があるときにご利用いただいていた。病院でも強迫性障害と診断され複数の薬を毎日服用している。今回は、8ヶ月ぶりの来院で、1ヶ月ほど前に仕事上のトラブルがあり、そのことが頭から離れずに気になっているとのこと。来院の際、お母様に大きな声で話していることを指摘されて、イライラ感のレベルも高まっている様子だった。

《目安検査》
チャクラ1、2、3、4 両側手のチャクラ、頭部空間EB(オーラ)
トラブルのイメージ、数値化→わからない。PRTの検査では10段階で9レベル

《調整結果と考察》
アクティベータ・メソッドによるハード面調整後、トラブルに関係する気分のイメージから調整を行う。PCRTの気分障害調整法を施し陽性反応を消去。PRTによる気分障害のレベルは9から1レベルへと軽減。
「気分はどうですか?」と尋ねると「いいですね。先生のマッサージとホットパックがよく効きました・・・」
術者:「???マッサージとは違いますが・・・(笑)」
患者:「あ、すみません、カイロの治療でしたね・・・(笑)」
術者:「何でも効果があればいいでよね・・・(笑)」
マッサージとホットパックが効いたというコメントには拍子抜けしたが、なぜ効果があったのかどうかは患者さんにとってはどうでもいいこと。でも、治療者側にとっては、なぜ効果があったのかということは、治療効果を高める上でとても重要な関心ごとである。「なぜ効果があったのか」ということに興味を持っていただく患者さんもいるが、多くの患者さんにとってその理屈はどうでもいいことが多い。治療前までは、お母様とのちょっとした会話でイライラ感が高まっていた様子だったが、治療後にはすっかり気分も回復された子だった。もしも、施術前と施術後を脳の画像検査で比較すれば、大きな変化がみられるだろうと思うが、科学的な証明よりもまずは目の前の患者さんに喜んでいただけることが先決だ。自閉症と診断された患者さんには様々なタイプがおられる。今回の患者さんのように、強いストレスを受けるような出来事が生じると、そのことが頭から離れなくなって、そこから抜け出せない患者さん。視覚的情報や聴覚的情報に過敏な患者さんなど様々である。誤作動記憶が複合してくると様々な症状として現れる。これは、自閉症と診断されていない方に限らず、誰にでも起こり得る。ファミリーカイロで行なっているPCRTの主な治療目的は、脳の誤作動記憶を調整して、様々な環境に適応できる脳の記憶に書き換えることである。一回の施術で、様々な環境の変化に適応できるようになる訳ではないが、施術を継続しながら脳のコリをほぐし、脳の柔軟性が高まるようにサポートできればと願う。


2017年5月31日水曜日

寝ている時に両足がジンジンして歩く時に両足が重たい

寝ている時に両足がジンジンして歩く時に両足が重たい

85歳、女性、両膝や足の裏、両手の痛み、右肩関節の痛みを訴えて来院。ふらつき感や足のむくみの症状もある。血管迷走神経失神で何度か意識がなくなり病院に搬送されたとのこと。整形外科や内科の病院には通院されている。

【経過と調整】
最初は歩行もままならなくて、付き添いの方と来院されていたが、通院回数を重ねるごとに徐々に回復された。当初は関節の痛みに加えて、メニエール氏病や頻尿、喘息、アレルギー、便秘など様々な症状を抱えていた。症状があまりにも複合しているので、最初は何が改善され何が改善されていないのかが分かりにくかった。

通院回数を重ねるごとに、今まで長く患っていた両膝の痛みや肩関節、手の痛みも改善された。施術後に症状が一時改善され、ぶり返すことも多かったが、そのぶり返しもだんだんと少なくなり、ご本人も治るということに自信を持たれていた様子だった。数週間は足の痛みを訴えることがなかったが、先日、寝ている時に両足がジンジンして、歩く時に両足が重たいという。症状の程度を数値化すると10段階で「10レベル」。

アクティベータ・メソッドによる調整後、症状が「6レベル」まで下がる。その後、PCRTのハード面調整法にて中枢神経系刺激と筋膜調整を行い「3レベル」まで下がる。3日後に来院され、ジンジンしていた症状がだいぶん改善されているが、特に右足に症状を感じるとのこと。症状のレベルを尋ねると「3レベル」。引き続き、アクティベータとPCRTの筋膜を調整後レベルを尋ねると「1レベル」まで改善。帰りには「だいぶん楽になった!」と喜んで帰られた。

【考察】

年齢のせいという訳ではないが、年を重ねるごとに病院で様々な治療を経験されている様子だった。最初の通院では様々な症状を抱えていたので、症状を数値化するという段階ではなかったが、症状が限定化されるにつれて、数値化することができ、さらに症状の改善度を客観的に確認することができた。治療法はもちろん、自分自身の治る力に対する信頼がかなり高くなった様子。今後、症状がぶり返すこともあるかもしれないが、「治らない経験」よりも、「治る経験」の方が上回ったのではなかろうか。今後もご自身の身体に自信が持てるようにサポートさせていただく。

2017年5月29日月曜日

送球イップス 「挑戦者」から「理想のゴール」へ

送球イップス 「挑戦者」から「理想のゴール」へ

情報:
中学2年生男子、野球部、ピッチャー、野手兼任。小学生の頃から野球を始める。
1年ほど前(昨年の5月)より軽度のイップスの症状を感じ、秋頃には回復したが、最近(今年の4月後半)より不安定になってきたとのこと。通常のキャッチボールでは問題ないが、ピッチャーやファーストへの送球でうまく投げられないとのこと。

【1回目】

目安検査:
*右上肢挙上、右肩甲帯後方で陽性反応
*ピッチングのストレートで陽性反応、変化球(カーブ)は陰性反応
*ショートからファーストへの送球で陽性反応

《ハード面調整》
アクティベータ・メソッドにて関節筋肉系の調整を行う。胸椎中部と右上肢の陽性反応を調整
《ソフト面調整》
問診にてどのような時に不安定になるのか尋ねたところ、投手で登板した際、試合の立ち上がりでは問題ないが、プレッシャーを感じてくると不安定になってくるとのこと。さらにどんな時にプレッシャーを感じるかを尋ねたところ、昨年、自分の責任で点が入ったことを経験しているのでそれが関係しているかもしれないとのこと。その時を思い出してイメージしてもらうと陽性反応を示すので、そこから、チャートを使って誤作動記憶に関係するキーワードの検査をして調整。さらにエピソード記憶として、不安定な自己イメージを調整。

【2回目】

《目安検査》
ハード面の目安検査は陰性反応
*ソフト面の目安検査は前回のショートからファーストへの送球、並びに練習でのピッチングでのイメージも陰性反応
*そこで、実際の試合のピッチングのイメージをしてもらうと陽性反応
*不安感を10段階で表してもらうと7のレベル。そこから調整を行う。

昨日の練習ではショートを守り、普通の送球はできたとのことだった。
ハード面調整はほとんど陽性反応が示されず、主にソフト面調整を行う。

《ソフト面調整法》
大脳辺縁系に関係するいくつかのキーワードが示されたが、特に印象的だったのは、小学生の頃から野球を始めて、周りからも期待されていたため、自分はできて当たり前だという自負があった様子。そのプライドを守ろうとしている心の背景が見えてきた。このようなパターンは比較的上手で周りから期待されている選手に生じやすいプレッシャーである。このような場合、多くは失敗しないようにと「守り」のプレーになる傾向がでて自分の実力が発揮できなくなる。そこで、「挑戦者」であることの大切さを提案させてもらい、様々な事例をお伝えした。

【3回目】

《経過》
問診で、昨日の練習試合で登板したが、3回が終わって、自信がなくなったので監督さんに伝え、交代してもらったとのこと。もっとも自信がない度合いを10とすると10レベルとのこと。
自信がない10レベルを目安として、そこからソフト面調整を行う。
前回に引きつづいて失敗しないように「守る」というマイナスのパターンやチームへの責任感を感じる反応も示されていた。
それに加えて、「意味記憶」や「エピソード記憶」の反応も示され調整を行う。調整後、自信のないレベルが10から1まで改善される。

【4回目】

《経過と考察》
問診では、外野で練習や試合を行うようになり、外野で野球を楽しめているとのこと。しかしながら、今後、ピッチャーやショートでも問題のないようになりたいとのことで、未来を先取りした検査で陽性反応を引き出し調整を行う。
検査では、「意味記憶」や「恐れ」のキーワードで陽性反応が示され調整を行う。
理想のピッチングや送球のイメージができている理想の自分になっているゴールのイメージはできますか?と尋ねると、ちょっと首を傾げながら難しい表情を表す。これはよくあるイップスを引きずってしまうパターンだが、イップスの症状が治ったら、〇〇の練習をする、あるいは〇〇のゴールを決めるというような、イップスが治らないと理想のゴールのイメージができないというパターンが示されていた。このようなパターンに入ると、無意識的にできない理由、あるいは失敗の理由をイップスのせいにしてしまう癖がついてしまい改善が遅くなる。もちろん、イップスが治れば、送球ができるようなるという理屈をもっともな理由になるのだが、人間の脳は、「原因と結果」を混同して、負のサイクルにゴール設定して、そのから抜け出せなくなる。イップスという症状は結果であり原因ではない。つまり、イップスは目的(ゴール)があるから生じてしまう症状で、ゴールがなければイップスは生じないので、イップスの症状を治すのをゴールにしてしまうと、何のためにイップスを治しているのか脳が混乱して負のサイクルに陥るということである。そのゴール設定は、間接的にも直接的にもイップスを改善するためにはとても大切である。このような負のサイクルに入っている場合はコーチング的に質問させてもらう。「何のために送球するのか?」、「何のために練習をしているのか?」「何のために野球をしているのか?」「何歳まで野球をするのか?」など、ゴールに関係する隠れた価値観について質問させてもらうことが多い。すると、多くの方は、自分自身の盲点に気づき、自分を俯瞰的に捉えることができ、心にゆとりができて新たな神経回路のパターンが生まれて改善への一助になる。

【5日目】

《経過》 
昨日、監督さんから急にピッチャーで起用され登板したところ、7イニングを問題なく完投できたとのこと。イップスの症状に関してはだいぶん自信がもてた様子だった。今日は、肩の違和感がでたので、主にそこを診てほしとのこと。

《目安検査》
肩関節伸展、外転、肩甲帯後方、頚椎伸展、屈曲に陽性反応

《ハード面調整法》
*アクティベータ・メソッドにて胸椎、右肩関節、肩甲帯を調整
《ソフト面調整法》
*「競争心」や「自省心」で陽性反応。それぞれ調整を行う。

《考察》
イップスに関してはかなり改善している様子で前向きな印象が持てた。本症例は、「守り」から「挑戦者」へ、そして、「イップス治しの負のサイクル」から「理想のゴール」へと「不健全のパターン」から「健全なパターンへ」と抜け出すことに成功した事例である。イップスにはそれぞれにパターンがあり、それぞれに治るプロセスがある。施術者は一人一人の患者さんに寄り添って、そのドラマをしっかりと汲み取っていく力が必要だと改めて思う。