2019年9月12日木曜日

2019年度PCRT中級2を終えて

今回は台風が東京を通過するという最中、無事に中級2のセミナーを終えることができました。基礎1から中級2までのシルバー認定受験資格が得られる最後のプログラムでした。本年度、最初から全てのプログラムを受講していただいた先生方が着実に成長している過程が明らかに感じ取れました。イップスの症例報告をしていただいた先生も今年から初めて参加していただきましたが、PCRTのコンセプトや手法が明確に示された分かりやすい内容の症例報告でした。

PCRTの特徴である「身体をエネルギー体として診る」「物質や情報をエネルギーとしてとらえる」、並びに慢性症状を単に「機能異常」だけでなく、「誤作動記憶」として捉えるところ、また、原因を単一ではなく、「関係性」によってもたらされた複合因子であるという点についての理解が、机上の空論ではなく、実践的に理解していただいたのではないかと思います。そして、多くの慢性症状が身体内だけの機能異常を調整する「閉鎖系」の視点だけでなく、身体機能と肉体外や無意識の心理社会的要因との関係性も含めた誤作動記憶の機能異常を調整する「複雑系」の視点が必要であることも実感していただけたのではないかと思います。

今回のPCRT中級2までのプログラムでエネルギー的な視点での「蟻の目」、「鷹の目」、そして時系列的に流れを読む「魚の目」のスキルを上げることが、有機論的な視点を持った施術者にとって重要であるということを学んでいただいたのではないかと思います。次回11月10日11日に福岡で開催予定の上級編では、シルバー認定以上レベルの内容をご紹介させていただきます。心身相関に関連するイップス、遠隔治療、ダミーや模型などを使った代理検査や調整法などをご紹介させていただきます。

2019年9月11日水曜日

施術に“魔法”や“マジック”はない?

代替医療の治療者が施術をして驚くような結果がでると、施術を受けている人やそれを見ている人は“魔法”や“マジック”のように感じることがあります。また、施術者自身が「“魔法”の〇〇法」というように、自分の施術や手法を宣伝する目的でそのような言葉を使って注目を集めようとしたりします。自然治癒力を引き出す施術法に魔法やマジックが本当にあるのでしょうか?

私は長年代替医療の世界にどっぷり浸かってきた人間です。「なぜ、治るのか、治らないのか」を探求し続けてきました。代替医療の専門教育を長年受けてきました。理論や理屈も大事にしてきましたが、何よりも臨床現場における結果に興味を注いできました。代替医療の中でも本場の米国で発祥したカイロプラクティックには大きな影響を受けています。学生時代から様々なカイロプラクティックのセミナーを受けました。若い頃に遭遇した米国のカイロプラクター(治療者)の施術を目の当たりにして、最初は“魔法”というよりも半信半疑で見ていたことを思い出します。

そして、研修を重ねるにつれて、臨床現場で自分でも同じような結果が得られると、そこから「なぜ、そのような結果」が得られるのかという「本質への探求」が始まりました。捻挫で足を引きずる、あるいは腰痛のために車椅子で来院されるような重度の症状を抱えた患者が、普通に歩いて帰ることができるなどの結果がある一方で、結果が伴わない患者さんに遭遇することもあります。「その違いは何か?」という本質的な因果関係への探求は現在でも大きなテーマです。

魔法のようにも思える施術法の本質は何か?そもそも、なぜ魔法のように感じるのか?それは多くの人々の考え方、受け止め方が現代医学の「科学信仰」に基づいているからです。代替医療の多くは特に目には見えない「生体エネルギー」を対象にして施術を行っているので、そのような施術で効果が現れれば、「あら不思議」、「魔法みたい・・」となるわけです。折れた骨をつなぎ合わせる、飛び出た軟骨を取り除く、あるいは詰まった血管の通りを良くするなど、目で確認できる施術は何の不思議もありません。当たり前の治療になります。

代替医療の中で、自然治癒力を引き出すことを目的に施術を行っている治療者は、多かれ少なかれ目には見えない生体エネルギーを基本に施術を行っているはずです。もしも、そうでなければ、それは現代医療の考え方に基づいて目に見えるモノを対象に施術している可能性があります。現代医学の医師と同じ目線で症状を捉えているということになるかもしれません。もしかすると、現代医学に基づいた考え方だからこそ安心感を感じ、あるいは当たり前の考え方として感じる人も少なくはないかもしれません。言い換えると、現代医学とは異なる考え方で症状の因果関係を説明されると“怪しい”ということになり、たとえ施術で症状が改善してもそれは“不思議”となるのかもしれません。

多くの人たちにとって現代医学の考え方は“当たり前”になっています。そして、その考え方から外れた考えで施術効果が現れると“魔法”や“マジック”のようだとなるわけです。もしも、目には見えない生体エネルギーによって、私たちの身体の働きが調整されているのだということが当たり前の考え方になれば、代替医療の施術は至極当たり前の療法になるのですが、科学が主流の現代医療の世界において、目には見えないモノを信じるということはまだまだ難しい課題のようです。

2019年9月3日火曜日

期外収縮(脈が飛ぶ)の原因を知りたい・・・

「期外収縮の原因を知りたい・・・恐らく精神的なことだと思うのだけれども・・・」以前から腰痛や関節などの症状で当院を利用していただいている患者さんのご要望だった。患者さんは当院の治療のコンセプトをよく理解していただいていたので、時折起こる期外収縮の原因が無意識のメンタル面に関係しているということは薄々感じていた様子だった。

病院でも期外収縮の検査をしており、特に器質的な異常は見られなかったとのこと。でも、時折、期外収縮が起こることがあり、脈が飛んで不整脈を感じるという。来院時には期外収縮は生じていないので期外収縮が生じていた際の記憶を指標に検査を進めた。

謙虚な方であるが、能力も人間性も高く、責任のある立場で長年お仕事をされてきたように感じる。関係していたキーワードは「自尊心」、その方への質問として、「お仕事に関して密かに誇りや自信に思えることで、周りからも高く評価されている理由があるとしたら何でしょうか?」と質問した。

色々と考えながら、4つほどの項目が引き出されました。そして、それらの項目毎に調整をさせていただいた。思いついた項目の内容は、施術者には開示せずに患者さんだけがそれを認識された。そして、「恐らくご自身が誇りに思えることであるがゆえに、それに関連する事柄が周りに生じると、脳が過敏になっている可能性があります・・・・」と説明させていただいた。

調整後、「何となくつかめたと思います。多分、(原因は)そうだろうという気がします。」と、納得された様子だった。患者さん自身も「器質的な問題」ではなく「機能的な問題」であると認識されて相談していただいた様子。身体の機能、働きに影響を及ぼしている無意識的な心の動きが分かると調整が可能になる。

病気の予防には現代医学に基づく定期的な健康診断も大切だが、身体の機能に異常を生じさせている原因を特定して調整する原因療法は、本来必要とされる医療ではないかと思う。このように無意識的に条件付けされて、心臓の働きに誤作動が生じることがあるということを明確に検査し、その誤作動を調整できるという施術文化がもっと社会に当たり前に知られることを願う。


2019年9月1日日曜日

パフォーマンスを上げるための「心の持ち方」

本日、ナショナルチームに入っている選手が試合前に来院された。ナショナルチームに入って2年目、最近ではランキングも下がってきており、現在継続している練習と試合とのバランスなど、このままのやり方でいいのか少し迷いがあるとのこと。もしかすると、そのようなことがパフォーマンスにも影響を及ぼしているのではないかとのことで・・・

「身体に聞いてみた」

すると、以下の項目で「誤作動記憶」の反応が示された。
ここでいう「誤作動記憶」とは「心と身体」、「意識と無意識」の不一致からなる脳に誤作動を生じさせる記憶(パターン)のことである

l  所属チームとナショナルチームの練習の違い
l  海外遠征での環境の変化
l  休日の過ごし方や過酷なスケジュールなどOFFONの調整

上記の誤作動記憶の調整とともに、それぞれの項目で誤作動を打ち消す自分に合った肯定的な「心の持ち方」も身体の反応を検査しながら探索した。

【所属チームとナショナルチームの練習の違いについての心の持ち方】
ナショナルチームの練習メニューに関して違和感があるが、その中でも主体的に自分にプラスになる練習を工夫する

【海外遠征での環境の変化の捉え方】
東南アジア遠征での蒸し暑さや設備の古さなど劣悪な環境だが、未来の自分を鍛えてくれる練習・訓練だと思って臨む

【休日の過ごし方】
一般論的に「次の試合に備えて休む」というように「頭」で考えて無理に休むのではなく、「身体」で感じて必要な時は休み、必要でなければ適度に練習をする

【過酷なスケジュールの臨み方】
2日連続で試合がある時は心身ともに負担が掛かるが、自分を鍛えてくれる訓練、練習だと思って臨む

ナショナルチームの一員として、海外遠征などその場の環境に適応できる自分になれるように自分に合った心の持ち方が必要になるだろう。一流選手になるとメンタル面と身体との微妙なバランスがとても大切になる。そんな局面で「身体に聞く」検査は有効で、コーチング手法を織り交ぜた質問で、選手は自分に合った答えを自分で見つけていく。


今回はパフォーマンスに関係していたメンタル面のサポートが十分にできた感触があったので、恐らく本来の実力が発揮されてパフォーマンスが向上するのではないかと期待して陰ながら応援している。

2019年8月29日木曜日

疲労骨折のバランス調整

脛骨の疲労骨折の患者が、3回目の治療後に疲労骨折のある側の足でケンケンできるようになった。側で見ていたお母さんが、「痛くないの?」と尋ねると「うん・・」と嬉しそうに微笑んでいた。3回の施術で完治したわけではないが、患者さんが顕著な改善を自覚されたその背後にある「原因と結果」を考察してみたい。

高校1年性のサッカー部の男子が1ヶ月ほど前より両足(下腿部)に痛みを生じて、整骨院と整形外科を受診。病院では右脛骨の疲労骨折と左脛骨のシンスプリントと診断される。病院で診断された2日後に当院を受診。まだ、完治したわけではないが、3回目の治療後に患者自身が症状の改善を自覚され、治る方向へ自信を持たれた。通常であればケンケンするなんてありえない状態。なぜ、そのように改善したのか私なりの考察を述べてみたいと思う。

病院で疲労骨折の診断を受けると、数ヶ月は練習を中止、安静を指示される。通常、「骨折」したら安静が当たり前と思う方がほとんどだろう。骨折に関する医学知識があればなおさらその思いは強くなるかもしれない。私自身も本質的な治療に確信を得る前まではそのように考えていた。

しかし、いくつかの早期改善の施術経験を通してその考え方が一変した。「試合に出たいけれど、どうにかならないでしょか・・・病院では安静を指示されているので・・・」と大事な試合を控えている診断された子供の親御さんに相談を受けて疲労骨折の施術をさせてもらう機会がいくつかあった。どの症例も施術をしてみると、意外に回復が早く、試合に出場できるようになった。

おそらく通常の医学的知識の考えでは恐らく説明がつかないと思う。まず、考えなくてはならないのは外傷による骨折とは性質が異なるということである。外傷の骨折は明らかに「直接的外力」による影響だが。しかし、疲労骨折の場合は「間接的外力」による影響だろう。「間接的外力」とは、筋肉のバランスや関節のバランスがうまく調和できていないために間接的に骨に「ねじれ(捻転)」などの間接的外力が異常に繰り返し加わったことによる結果である。

つまり、身体の筋肉・関節のバランスが悪く違和感を感じながら無理をし続けたことが予測される。若い選手は一生懸命練習していると、多少の違和感を感じてもそれが当たり前になって、痛みに慣れて無理をすることも考えられる。疲労骨折の原因はバランス異常による間接的外力による結果なので、そのバランスを調整すれば回復は早いのだと推測できる。

そして、バランスが調整されれば、骨折部への異常なストレスは加わることなく、むしろ、骨癒合を助ける正常な刺激が骨芽細胞に加わることで治癒を早めるのではないかと考えられる。つまり、原因となるバランス異常を調整するから改善が早いのだと思う。ただし、ここでいうバランスとは単に筋肉・関節・骨だけのバランスのことではなく、無意識・脳・神経系などを含めた総合的なバランス調整の結果である。それは早期回復にとても重要なポイントだと私は経験的に確信している。

2019年8月12日月曜日

帯状疱疹後神経痛

70代後半の女性が口の周りの帯状疱疹後神経痛を訴えて来院。7週間ほど前に帯状疱疹で病院に入院。10日ほどで退院。来院時は病院に通院中で投薬や点滴の治療を受けているとのこと。帯状疱疹は無くなったが、その後の痛みが1ヶ月ほど継続しており、日常生活などにも支障をきたしているとのこと。特に朝の目覚めで痛みが最も強くなる。痛み止めを服用すると軽減するらしい。

当院を利用していただいたことがある息子さんからのご紹介で来院された。最初はハード面だけの施術を行った。患者さんの表情から察するとまだ痛みが強い感じが伺えた。ソフト面の調整は、初診時の患者さんには控えるようにしている。それは患者さんの理解度や信頼度を考慮してのことである。しかし、症状の改善度とあるキーワードが顕著に示されていたことを考慮して、そのキーワードに対して質問させていただいた。

すると、誤作動記憶が明確に反応を示していたので、二つのキーワードに関連するソフト面の調整を行った。施術後、患者さんはにっこり笑って痛みから解放された様子が伺えた。かなり痛みで苦しまれていたのだろう。

初回の施術から2ヶ月ほど経過している。遠方からの来院で、気軽に通院できる状況ではなかった。一回の施術で痛みがかなり改善されていたのは明らかだったが、その後も痛みがぶり返さずに維持されていることを願う。

帯状疱疹の原因はウイルスであると言われている。確かにウイルスは関係しているが、私の臨床経験では、その背後には潜在的なストレスが関係していることがほとんどで、そのストレスの調整後の症状が改善される。ストレスによって免疫力が低下してウイルスが暴れ出し、ストレスに条件付けされて痛みが記憶されるのだと考えている。

帯状疱疹に限らず、様々な「神経痛」には潜在的ストレスが関係していることが多い。このような施術が当たり前になる社会になると、もっと多くの方が痛みから解放されるだろう。私たちはそのような施術文化を社会に創造していきたい。

2019年8月2日金曜日

書痙(ジストニア)

問診情報

高校3年生の男子がお母様と共に書痙の改善を期待して来院。初診時は全く書くことができずに手も震えるとのこと。発症当時はペンを持つこともできず、初回来院時はペンを持つことはできるが、その後手が動かなくなる状態。

初回来院5ヶ月前に3つの病院を受診されたとのこと。一つ目の心療内科を受診、その約2週間後に二つ目の心療内科を受診、その1ヶ月後にメンタルクリニックを受診していずれも精神薬を処方される。

施術前後を評価するための初回の目安検査

身体機能検査(間接法)
陽性反応が示された動作
頚椎左回旋、肩甲帯後方、肘関節屈曲、拳を握る、母指と小指を近づける、書く動作
心身相関機能検査
書くイメージ

初回の施術

ハード面調整(AM)では、骨盤、脊柱、左肩甲骨、肘関節、手関節の機能異常を調整。
ソフト面調整(PCRT)では、大脳辺縁系の誤作動記憶、信念関連のキーワード3つ、価値観関連のキーワード1つ、大脳皮質系のエピーソ記憶を調整。

施術経過

2回目〜12回目まで2枠の予約(施術時間:2025分)をいただき継続治療を行う。ハード面調整とソフト面調整の施術を継続する過程で、5回目の来院時にはメンタル的に気分が改善され、全く書ける感覚がしなかった当初から10段階で4レベルまで上がった感じがするとのことだった。

そして、6回目の来院時には何とか書けるようになったとのこと。しかし、書くことに集中すれば何とか書けるが、他のことを考えながら記述することは難しいとのこと。つまり、以前のように自然には書けない状態。

7回目から書痙の症状が改善傾向に向かったので以前からあったアレルギー性鼻炎の施術も並行して行う。10回目の来院時には本調子ではないが調子がいいとのこと。鼻炎の症状も改善されているとの報告を受けた。11回目ではほぼ自然にかけるようになってきたという報告を得た。

12回目ではほとんどいいとのことで、メンテナンス的に脳のバランスを調整。書痙に関する書くイメージの検査でも陰性反応だった。

13回目では1枠(10分)の予約をいただき、主に脳バランスの誤作動記憶の調整を行う。

考察

大学受験を控えているにも関わらず約5ヶ月間も書痙の症状を患っており、人生の大切な節目に大変な思いをされたように感じた。身体(書痙)に影響を及ぼしている無意識的な誤作動記憶を調整していくうちにだんだんと症状が改善されていった。施術(PCRT)のコンセプトもある程度理解していただいていたので、段階的に改善方向へと向かったのだと思う。

原因となる過去の記憶から鑑みると様々な事柄が絡み合っていたようだ。もつれた糸の束を一本ずつほぐすように誤作動記憶を一つ一つ消去していった結果、完治へと導かれた。症状が改善していくプロセスを通じて、自分の心の奥にある思い(心の構造)を知り調整することで脳の柔軟性が増して症状が改善された。

このような本質的な心身相関の原因療法を体験することで、単に症状が改善したことだけではなく、メンタル的なコントロールも上手になっていると思う。大学生、社会人へと進む過程でこの経験を生かして健康を維持していただきたいと願う。