2018年9月3日月曜日

お母さんの無意識が関係する子供の食物アレルギー

6年ほど前に、食物アレルギーの症状で来院して下さった患者さんが再来院。以前、来院していただいたときは、一歳半の幼児だった。当時、来院された際には、食物アレルギーが多くて、病院からの指導も受けて幅広い食物制限を行なっていた。その結果、約8ヶ月前から体重が増えていないとのことだった。来院時には、通常の幼児に比べると明らかに痩せ細っているのが見てわかった。当院を受療する前にはいくつかの病院を転々とされていたが、解決策もなくお母様は八方塞がりの状態でとても悩まれていた。そんな最悪の状態で当院に来院され、10回ほど通院されてから体重も1キロ増えてきて喜んでいただいた。まだ、いくつかの食物アレルギーの治療は必要だったが、経済的な理由で中止されていた。

それから、その患者さんも元気な7歳の男の子に成長した。今回はご主人の転勤に伴って海外で生活をすることになり、それまでには、何でも食べられるようにアレルギーを改善したいとの希望で再度、アレルギー治療で来院。以前ほどではないが、まだ、複数の食品に対してアレルギー症状がでるとのことで、アレルギー治療を施しながら、陽性反応が消失した後に、実際にその食品を触ったり、ほんの少しだけ舐めたり、口にしたりして、実際のアレルギー症状を確認してもらいながら治療を継続した。

4回の通院治療で、以前から制限していた牛乳、乳製品、卵、鶏肉、パンなどが普通に食べられるようになった。興味深かったのは鶏肉のアレルギー治療だった。アレルギー検査チャートでは陽性反応が示されていなかったのに、実際に食べて試してみたら、顔が赤くなってアレルギー症状がでたという。再検査でもチャートで検査しても反応が示されない。これはアレルゲン以外の何かが関係していると直感的に思い、症状が再現されたイメージから検査をすすめた。すると、「警戒心」というキーワードが示される。それもお母様の過去の記憶が影響を及ぼしていたことが判明。3歳以下の子供は、お母様の影響を受けやすいことは臨床的によくあることだが、7歳の子供でも、過去の記憶で、しかもお母様の記憶が影響を及ぼしているというのはとても興味深かった。

お母様によると、過去、鶏肉をうっかり食べてアレルギー症状がでていたので、お母さん自身も意識的にも無意識的にも鶏肉に対して警戒していたと思うとのこと。お子さんと手をつないでもらい、鶏肉に対する警戒心を認識してもらい調整を行なった。その後、鶏肉を試してもらったが、アレルギー症状は出なかったという。因果関係に関しては珍しいが、この症例から考察すると、3歳以上の患者でも身近にいるお母さんの過去の記憶の影響も考慮して検査を行なわなければならないと思った。やはり、術者のマインド設定はいかにニュートラルにするかの訓練が大切だと改めて思った。

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