2015年9月24日木曜日

「治る力」それは「目には見えない力」です!

「あなたの腰痛の常識は、いまや非常識!」というフレーズで、NHKの「ためしてガッテン」で紹介されていた腰痛に関係するクイズです。

ℚ1:ギックリ腰は痛みが取れるまで安静にする
ℚ2:ヘルニアがあるので腰痛とは一生の付き合いだ
ℚ3:腰が痛い時は常にコルセットをした方が良い
ℚ4:腰痛はすべて腰の異常(構造異常)が原因で起こる

この文章はすべて「誤り×」です。

これは日本整形外科学会がまとめた「腰痛診療ガイドライン2012」に基づいて作成された問題です。恐らく多くの人が不正解だったのではないでしょうか?一般の人に限らず、多くの医療者でさえもこの4つ問題の回答に首をかしげる人がいまだに多いと思います。それ故に、昔からの腰痛の常識は、いまや非常識といわれているのです。

科学的なデータ(JAMA268:760-765,1992)によると約85%の腰痛は医学的(構造学的)には原因不明です。つまり、ほとんどの腰痛は骨や軟骨など構造異常が原因ではないということが世界的な研究で証明されているのです。このことは20数年前より専門家の間で知られ、ここ数年の間に、日本でも一般の新聞や雑誌などでも多く取り上げられるようになっています。

先日、数人の患者さんに「先生が以前から言われていたことが、テレビでも紹介されていましたよ・・・」「腰痛の原因は腰ではなく脳にあるとか・・・」と教えていただきました。私流にいうと脳の「学習記憶」、すなわち「誤作動記憶」に原因があるということ。後で調べてみると、NHKスペシャル「腰痛・治療革命~見えてきた痛みのメカニズム~」というタイトルの番組でした。番組では3か月以上長引く腰痛を対象にしており、腰痛に関する最新の研究による知見が紹介されていました。

その番組で強調している治療革命の大切なポイントは、今まで常識とされていた腰痛の構造異常、すなわち、骨や軟骨などの変形があっても、それは直接的な腰痛の原因ではないということです。しかしながら、医療従事者も含めまだまだ多くの人達が、「腰痛の原因は構造異常にある」と思い込んでいるのではないのでしょうか。なぜ、いまだにそのような誤った常識が変えられないのでしょうか?

それは、目に見えるモノをだけを異常としてきた現代医学が基本とする科学至上主義の慣習にあるかもしれません。『目に見えるモノだけを基準にして、目に見えないものは切り捨てる』そのような医療が主流になっている限りは、「腰の構造異常がないのになぜ腰が痛いのか?それは不思議だ・・・」ということになるのではないでしょうか?

私たちの身体は、ほとんど目には見えないモノでコントロールされているのです。特に心の動きは目には見えませんが、心と身体は密接に関係し合っています。そのような目には見えないモノと肉体との関係性を診ることは、健康を保つうえでとても大切なことだと私たちは考えています。

目に見えるモノだけを基準にする医学的常識にとらわれずに、目には目みえないモノを感じとることも大切しながら健康を維持していきましょう。本当の「治る力」は、目に見えるモノの力ではなく、目には見えないモノによる力であるということをしっかりと認識するこが、心と身体を豊かにするうえでとても大切なことだと思います。

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