「素直さ」は人間の成長において、とても大切であると一流の人の賢人達は説いています。理屈や言い訳をせずに素直に修行に励む子は吸収が早く伸びていく。問題に直面しても、素直にものを見ていくことで解決の糸口が見えてくる。
1000年以上もの昔、設計図や重機などがない時代にどうして東大寺や薬師寺などのような洗練された建造物が建てられたのでしょうか?宮大工棟梁、西岡常一氏の内弟子の経験をもつ小川三夫氏は、「おそらく奈良時代の工人たちは何も心がとらわれることなく、素直に物事を捉えることで、あれだけの知恵を生み出したのでしょう。それを再建しようと思えば、やはり自分を無にして昔の工人に心を合わせることが大事です。そうすると「つくってやろう」というのではなく「自然に作り上げていく」という感覚が分かってくる。私はこれまでの人生の中でこの素直さということをとても大事にしてきました。」と述べています。
治療者が、「治してやろう」という心で患者さんに接するよりも、「患者さんと一緒に二人三脚で自然治癒力を引き出そう」というスタンスでアプローチした方が、治療効果も高くなる傾向があります。患者さん達は治療者に治してもらうという感覚がごく自然なのかもしれません。しかし、「治す力」というものは本来患者さん自身がもっているものなので、治療者はその「治す力」を引き出す調整をさせていただいているのです。
身体に聴いて、誤作動の反応を引き出し、「治す力」をブロックしているところを調整していく。不思議と思われる「生体の反応」も素直に受け入れてくださる患者さんは治りも早いという傾向があるようですが、通常医療の理屈で疑問を抱く患者さんにとっては、その反応が腑に落ちない。すると自然治癒力も引き出され難くなり治りも遅くなる傾向があるようです。
素直な人に共通するのは、うまくいかないのは自分のせいで、周りのせいにはしないという傾向があります。ノーベル賞を受賞した山中伸弥氏は、「うまくいった時はおかげさま。うまくいかなかった時は身から出た錆」を信条にしてきたといいます。また、松下幸之助氏も「僕はな、物事がうまくいった時にはいつも皆のおかげだと考えた。うまくいかなかった時はすべて自分に原因があると思っとった」といっていたそうです。
人は生きていく上で、様々な困難や壁に遭遇することがあります。その時、自責にするのか、他責にするのかで、その人の人生は大きく左右されるのではないでしょうか。健康問題に関してもそう思います。特に原因不明の慢性症状などは、基本的には自分自身の生活習慣や心の習慣が症状の原因に関係することが多いのですが、改善し難い人は単に身体だけの問題にしたり、他者や周りに原因の矛先を向けたりする傾向があります。
他者や周りが作った原因だから、自分には変えられないと思い込む。もしも、自分にも原因の一部があると思うことができれば、そこから原因を変えることができますが、自分には全く非がないと思い込んでいるから他者次第、医者や治療者次第となり、自らの自然治癒力も変化し難くなる傾向が生じます。
少しでも「病気や症状は自らが創ったものである」という前提に立てば、自分自身を省みて、変えるべきところを変えれば、病気や症状の流れも変わりやすくなります。
「過去と他人は変えられない。しかし、今ここから始まる未来と自分は変えられる。」エリック・バーンより。
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