15歳になる老犬(パピオン)が股関節部の強い痛みを訴えて来院。「犬が痛みを訴える???」となるかもしれないが、飼い主によると、いつものように犬を抱えようとした際に、「キャンーキャンー・・・」と吠えて痛がるとのこと。シャンプーの際も患部を触らせないという。痛みで散歩にも行けない状態。15年も面倒をみている飼い主はどこが痛いのかがある程度予測できるようだ。来院の際にも犬かごからなかなか出てこようとしない。ようやく出てきてみると、左後ろ足が震えている。触診をしたり動かしたりできないので、すぐに飼い主を「犬の代理」として、検査と調整を行うことにした。
代理検査法は飼い主との信頼関係がある限り有効な検査法になる。痛みの原因を探索すると、左後ろ足と腹部に陽性反応が示された。症状レベルは8、機能検査で、筋骨格系レベル10、メンタル系レベルは10と最も悪い状態。PCRTの検査では大脳辺縁系で「恐れ」のキーワードで反応が示された。飼い主に質問しながら的を絞っていくと、隣に引っ越してきた人が、壁をゴトゴトさせてかなりの騒音が聞こえてくるとのこと。苦情に伺ったが、引っ越したばかりで、壁に何かを取り付けていることのことらしい。PCRT検査で示された「恐れ」に関係する隣から聞こえる騒音イメージで調整。
次のキーワードは、「逃避」が示された。飼い主によると、「恐らく一人でいるときに、その騒音も関係しているのか、知らない人が入ってくるのではないかと恐れて、それを避けているのかな・・・」とのことで、「逃避」の調整も行った。施術後の機能評価レベルは全て1に改善。
それから3日後に来院、飼い主はかなり症状が改善されたと喜ばれていた。ちなみに、パミオンは2歳ぐらいから一年で人間に換算すると4歳ぐらい成長していくとのこと。例えば生まれたから6年で40歳で、15年だと75歳になるらしい。なので、連れてこられた飼い主によると、「これで歩けなくなって、逝ってしまうのかと・・・」と、ふと思ったとのことだった。
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