新年、明けましておめでとうございます。
昨年はお陰様で学びの多い1年間でした。今年もさらに学びを深め、多くの人の症状改善や問題解決に貢献できるように精進してまいりたいと思います。治療家としての原点を振り返ると、「自然療法で治す」ということを30年以上も問い続けてきた訳ですが、今年も症状を「治す」ということの意味を深く考えながら臨床とセミナーで貢献できるように邁進してまいります。
自然手技療法で「治す」とは、どういうことでしょうか?
薬や外科的手術などを行わない代替医療に携わっている治療者は、患者が本来持っている自然治癒力を高める、あるいは引き出すことを目的に施術を行います。例えば、全身のマッサージをして自然治癒力を高める。足つぼのマッサージをして自然治癒力を高める。また、第一頸椎にだけ刺激を行う治療者達は、そこだけを調整して後は自然治癒力に任せる。あるいは別の言い方でイネイト・インチェリジェンス(内なる自然の叡智)に任せるというカイロプラクティック由来のハイカラな言葉を使う人も最近は多くなってきているようです。
薬や外科的手術などの西洋医学であれ、代替医療の東洋医学であれ、あらゆる療法で効果があるというのは患者自身に自然治癒力、すなわち生命力が本来備わっているからです。死を迎える時が来るまでは、ほとんどの人に自然治癒力、生命力が備わっています。かすり傷がほっといても自然に治るように、誰もがその力を持っています。しかし、特に骨折や脱臼などの障害は、治療者による施術がなければ、変形したままの状態になります。その一方で腰痛などの障害は、西洋医学でも代替医療でも治療者が施す施術によって治る場合もありますが、治療者が関わらなくても時間をかけて自然に治る場合もあります。
例えば、手技療法で、ある部分だけを調整して、「後は自然治癒力に任せる。身体に治させる」という理屈で患者を帰して、数日後に症状が改善したとします。その改善は調整したから改善したのか、もしかしたら調整しなくても自然治癒力で治っていたかもしれません。その真意を判断することは容易なことではありません。調整したから数日後に症状が改善したかもしれませんし、ある種の儀式のような暗示効果で改善したかもしれません。患者にとっては改善されれば、どのような理屈でも関係のないことですが、治すことを重んじている治療者にとっては、大切な関心ごとだと思います。
前述したように治す治癒力は患者自身にありますが、自然治癒力を100%発揮できるように施術をしているのは治療者であるということが、明確に分かる施術を行っているかどうかが治療者としての価値を決めているのではないでしょうか。代替医療の治療者は、構造や病理ではなく生命エネルギーの滞り(ブロック)を治すことが本来の役割だと私は考えています。しかしながら、その本質から外れて、西洋医学の医師のように診断して、慢性症状を構造的に捉えている代替医療の治療者は少なくはないように思います。
西洋医学の知識と技術がなければ治らない様々な病気や症状はたくさんあります。機械論的な思考でなければ治せない症状や病気がある一方で、機械論的思考の医療では限界がある慢性症状もたくさんあります。とくに慢性症状の多くは、機械論的に分離、分割的な思考ではなく、有機論的思考、すなわち、生体エネルギーを基準に、関係性、統合性、システム思考で考える必要性があると私は考えています。
構造的異常がなく機械論的な医療が施せない慢性症状に対しては、特に治る力を阻害している生体エネルギーのアンバランスをいかにして整えることができるかが重要な鍵になるのです。代替医療の治療者に求められるのは、自然治癒力を妨げている生体エネルギーブロックを除去するために生体エネルギーを調整して“治す”ということす。生体エネルギーブロックは目で確認することはできませんが、外科医が肉体の構造を修復して治すという行為と同じように、生体エネルギーブロックを調整して治しているのだと私は考えています。
生体エネルギーブロックが判断できる熟練した治療者は、症状に関連する生体エネルギーブロックを検査し、それを調整することができるので、多くの症例において、なぜ、症状が改善したのかが理解できていると思います。そのように生体エネルギーブロックを調整することで、自分が“治している”という感覚を毎日の臨床で感じられるようになります。そして、“治せる治療者”としてのアイデンティティーや誇りを確立することができると思います。
代替医療の治療者を志す多くの方々とともに“治せる治療者”の価値を高めて参りたいと思います。
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